真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
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第百四十七話

 

 

丸太の上に乗っている俺をその場に居た者が見ている。超怖かったけど桃白白式移動法は上手く行った。これも、あの熊と会ったお陰だな。

 

 

崖から落ちた先で、あの熊と出会った俺は傷だらけとなった体を奮い立たせてなんとか戦おうとしたら、なんと熊は俺の傷を舐め始めたのだ。食べる前段階かと思ったのだが傷を治すかのように舐め続ける仕草は仲間を思う優しさにも思えた。

 

 

「ま、まさか……あの戦いで友情が芽生えたか……危なっ!?」

 

 

俺が手を伸ばしたら噛みついてきやがった!素早く引っ込めたけど!

 

 

「グルルッ……」

「さっき俺の傷を舐めたのは味見だったか……」

 

 

俺は立ち上がると手に気を込めた。気弾を放ち、熊から距離を取った。

 

 

「当然、効かないわな」

 

 

俺の気弾をマトモに当たった熊はケロリとしていた。くそっ……相変わらず出鱈目だな。って……あれ?なんで気弾を撃てたんだ俺?さっきまで体調最悪だったのに。

 

 

「グルルッ……」

「って、考えてる場合じゃないか」

 

 

俺の体調の問題は後回しだな……さて、この強い熊を相手にどうしたものか。

 

 

「居たぞ!」

「射て、射てっ!」

「あ、ヤバっ!?」

 

 

なんて、思っていたら蜀の兵士達が現れて弓を構えていた。いや、前門に熊。後門に蜀の兵士って最悪だな!?

あ、放たれた矢の一本が熊に突き刺さった。

 

 

「グルルッ……グオオオオオオッ!!」

「あーあ……」

 

 

矢を放たれた怒りからか熊は蜀の兵士達へとまっしぐら。

 

 

「たかが熊だ!やって……ぐあっ!」

「な、なん……ぎゃあ!?」

「た、助け……」

 

 

蜀の兵士の皆さんは熊に一方的にやられてる。なんとか倒そうとしてるけど俺の『かめはめ波』と『さよなら天さん』を食らっても倒せなかった熊だぞ。アンタ等に倒せる筈がない。

 

 

「ま、好都合だな……秋蘭達と合流しよ」

 

 

俺は熊を蜀の兵士達に任せて、その場を後にして秋蘭達を探しに行った。しかし、互いに移動していた為か一晩経過しても合流は出来なかった。そして夜が明けて広場の方から声が聞こえたので木に登って確かめると秋蘭と流琉を発見。兵士も一緒の様だが数が減っている。

 

 

「ったく……熊の時も思ったけど蜀って性質の悪いマネしてくれるな。不意打ちに集団リンチとは……ね」

 

 

しかし……劉備の指示なんだろうか。あの娘らしくない気がするが……

 

 

「グルルッ……」

「あ、お前もそう思う?」

 

 

鳴き声が聞こえたので視線を地面に移したら俺の登った木の下に先ほどの熊が……

 

 

「マズいな……秋蘭達を助けに行きたいけど、これじゃ……」

 

 

足下に熊が居るんじゃ助け……に……も……

 

 

「う……嘘……」

 

 

 

なんと熊は俺の登った木に手を掛けるとメキメキと根本から引っこ抜き始めた。俺は思わず木にしがみつくが、どんどん傾いていく。

 

 

「あ、あの……熊さん?」

 

 

遂に木は地面から離れた。そして熊は投擲の構えを取っている。

 

 

「ちょっ……待った!」

「グオオオオオオッ!!」

 

 

咆哮と共に熊は俺のしがみついていた木を投げ付けた。投げられた方角は先程、秋蘭達が居た方角。

 

 

「こ、こうなったら……やるしかないよな」

 

 

俺はバランスを取りながらそのまま気弾で木の枝と根を破壊して丸太に仕立てあげ、着地に備えた。

そして地面に突き刺さった丸太の上で腕を組み、あたかも最初から、その体勢で飛んできたかの様に振る舞う。

 

 

「なんとか間に合ったらしいな」

「秋月、無事だったか!」

「貴方が天の御使いの片割れ……」

 

 

俺が無事だった事に喜んでくれる秋蘭になんかスゴい美人が居た。

 

 

「落ちた崖の先で会いたくなかった奴と会っちまったがお陰で包囲網を崩せそうだぞ」

「何を……なっ!?」

「な、なんだあれは……」

 

 

俺が指差した先には、先程俺をぶん投げた熊が引き続き蜀の兵士達を襲っていた。矢を射たれた恨みを晴らしてるみたいだ……あの矛先が俺に向かなくて良かった本当に。

 

 

「さぁて……秋蘭も助けられたし、後は……」

「ふざけるな!」

 

 

ギリギリの所で秋蘭を助けられた事に安心した瞬間だった。涼州で見た馬超が俺に迫っていた。

 

 

「な、ちょっと待て!」

「うるさい!お前さえ居なければ夏候淵を討てたんだ!」

 

 

俺の制止にも馬超は止まらない。そして憎しみの目を俺に向けている。

 

 

「母様の仇を討つ!」

「だったら話を聞……がっ!?」

 

 

俺の言葉を遮って馬超の槍は俺の脇腹を削った。俺は脇腹を押さえながら膝を突き、立ち上がれなくなった。

 

 

「これで終わりだぁぁぁぁっ!」

 

 

馬超は俺の脳天に向けて槍を振り下ろそうとしている。おいおい……マジかよ。桂花に……会えなくなっちまう……

 

 

「魔閃光!」

「何っ、うわっ!?」

 

 

俺が一瞬の走馬灯を感じた瞬間。俺の背後から気弾が飛んできて馬超を吹き飛ばした。振り返れば大河が両手を突き出す構えをしていた。そうか、大河が俺の教えた気弾を放ったんだな。気を放つ事が出来なかったのに大した進歩だ。

 

 

「く、くそ……まだだ!」

「駄目よ翠ちゃん!魏の兵士が周囲を包囲し始めてる!」

 

 

馬超は立ち上がりまだ戦う気だったらしいが先ほどの美人さんに止められている。悩んだ仕草を見せてから蜀の兵士達は退却していった。そうか……大将達が来たんだな。随分早いご到着で……

 

 

「師匠!」

「大河……お前はやれば出来る子だと信じてたぜ……」

 

 

駆け寄りながら俺を呼ぶ大河を見て俺は微笑み……そのまま意識を失った。

 

 

 




『魔閃光』
孫悟飯の必殺技。額の前で掌を重ね、そこから気功波を放つ。かめはめ波よりも気の集束が早く、気に不馴れな頃の悟飯がピッコロから学んだ技。







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