真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
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第七十二話

 

 

 

意識が覚醒し、瞼を開ける。すると、差し込んでくるのは朝日の光。もう朝か……昨日は飲みすぎたな。まあ、俺は今日休みだし二日酔いでも構わない。

桂花や華雄の事もあってか昨日は次の日の事を考えなかったからな。まあ、今日の俺は自由だ。フリーダムだ。そうと決まれば、欲望に身を任せよう。

惰眠を貪りたい俺は二度寝をしようと寝返りをして……

 

 

「あ……おはよう秋月……」

 

 

そこには何故か桂花の添い寝姿。なるほど、俺は寝ぼけているらしい。瞼を閉じて更に深い眠りに落ちるとしよう。

グッバイ地球……そして、ちょっぴりヤンチャな人類達よ。

 

 

「二度寝するんじゃないわよ。それとも私と一緒なのは現実逃避したい出来事な訳?」

「い、いや……どちらかと言えば、あり得ない光景だと思ったんだが……頬を抓られて痛いのは夢じゃないようだ」

 

 

桂花は寝たまま俺の頬を指で抓る。うん、普通に超痛い。

 

 

「いや……つーか、なんで一緒に寝台に?昨日の記憶が若干飛んでるんだけど……ヤっちまった?俺、ヤらかした?」

「昨日は何もなかったわよ……アンタが寝た後に私が潜り込んだだけだから……」

 

 

俺の抱いた不安に桂花が答えた。そ、そうなのか……なんかホッとしたわ。

 

 

「何よ……何もなかった事に安心したの?」

「いや、それだけの事をして覚えてないのがヤバいと思ってたからさ。何もなかったのならそれはそれで。むしろ、その事をしたのなら、ちゃんと覚えていたい……ぶっ!」

 

 

桂花がジト目で俺を睨んでいたので本音トークをしたら顔を真っ赤にした桂花が枕を投げてきた。

 

 

「こんの……変態!」

「む、それは心外だな。大切な思い出は残すべきだ。むしろ変態と言うならお前と大将の……」

 

 

桂花が怒鳴ってきたので反論したら、その途中で口を手で塞がれた。

 

 

「アンタ……なんで知ってるのよ!?」

 

 

 

いや、単にカマをかけただけなんだけど、見事に引っ掛かったよ。むしろ入れ食いだ。それに気づいた桂花も顔を俯かせて震えている。

 

 

「ハハハッ。まあ……相手は大将だし……深くはツッコミはしねーよ……って危なっ!?」

「死ねーっ!!」

 

 

桂花さん、人に物を投げるんじゃありません!ま、待て竹筒はまだしも、文鎮はヤバいって……あーっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で……許して貰えたの?」

「暫く雑用をしろとさ……ったく」

 

 

桂花の暴走が収まった頃。流石に弄りすぎたと謝ったのだが桂花の態度はツンツンのままだった。それこそ会ったばかりの頃の様な状態だ。

その事を大将に話していたら笑われた。

 

 

「ま……漸く桂花も心の整理がついたのよ。まだ何度か悩むでしょうけどね」

「んな、簡単に解決するなら悩みとは言わないだろ」

 

 

やれやれと俺と大将は揃って溜め息を吐いた。

 

 

「兎に角、問題が解決したなら雑用に行ってきたら?薪拾いだっけ?」

「俺は今日非番だったんだがなぁ……」

 

 

大将の言葉に俺は肩を落としながら、本日出勤している警備隊の人間の一部を連れて森へと向かった。何故、一部かと言われれば袁紹の軍勢が近々、魏に攻め入ると予想されているからだ。その為に警備隊も駆り出されているので雑用をするのは必要最低限の人数と定められている。

実を言えば今回のも薪拾いが名目だが怪しい人物や斥候が彷徨いていないかを探る為でもある。

 

 

「副長……今日はお休みだったのでは?」

「それに体調も悪そうですし……我等でやりますよ」

 

 

同伴している警備隊が声を掛けに来てくれる。優しさが身に染みるわ……しかし、今日仕事をしているのは猫耳軍師のせいだし、体調が悪いのはぶっちゃけ二日酔いだ。

なんて思ってた時だった。

 

 

「やぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「なっ!?」

 

 

森の陰から何者かが飛び出して俺に襲いかかってきた。俺は咄嗟に何者かの攻撃を避けると即座に戦闘体勢に入る。襲撃者は布で顔を隠しているので何者なのか伺い知れない。

 

 

「貴様、何者だ!?」

「我等を魏の警備隊と知っての行動か!」

 

 

回りの警備隊が襲撃者に対して叫ぶが襲撃者は持っていた棍棒を肩に担ぐと体勢を低くして構える。しかし、随分小柄な奴だ……でも、こりゃ話は通じそうにないな……

 

 

「尋常に……正々堂々勝負!」

「奇襲の段階で正々堂々じゃないだろ」

 

 

襲撃者が襲いかかってくると同時に俺は胸の辺りでバレーボール位の気弾を生み出す。この技は酔っている時、または二日酔いの時に威力を発揮する。つまり、今の俺にはお誂え向きの技って事だ。

 

 

「錬妖球っ!」

「え……ふぎゃぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

襲撃者は俺の目の前まで迫って来ていたが俺の気弾の方が早く当たり、襲撃者は吹っ飛ばされた。ふぅー……ぶっつけ本番で成功してくれて助かった。

 

 

「副長!」

「お見事です!」

「凄いです。さすが副長!」

「驚きました!」

 

 

回りの警備隊が褒め称えに来る。よせやい、本人が一番驚いてんだよ。こんなに上手くいくとは思わなかったから。

 

 

「ぐ……うう……」

「っと……まだ、やる気か?」

 

 

褒め称えられて良い気分のところに呻き声が。見れば錬妖球で吹っ飛ばした襲撃者が起き上がろうとしていた。その行動に警備隊の面々も視線を俺から襲撃者へと移す。

 

 

「この強さ……やはり自分の目に狂いは無かったッス!」

 

 

襲撃者は巻いていた布を取り払うと俺の前に来て膝を着いた。その容姿は、ねねや流琉と変わらない年頃の子供。

 

 

「自分の名は高順!お願いします、どうか自分を弟子にしてください!」

 

 

着いた膝を曲げて、両膝を付き、俺に土下座をして弟子入りを志願した襲撃者。

え……どうしろってのよ……しかも名前が高順っ!?




『錬妖球』
幽遊白書で酎が使用した技。自らの妖気を酒気とブレンドさせ、球状にして投げつける。





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