オタクな専門学生のとんでもな青春   作:柚野鈴

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全くのド素人の初作品になります。
今回人名はほぼ出していませんが追々追加して行きます。更に駄文、薄めの内容等がダメな方はブラウザバックを推奨します。
誤字報告等よろしくお願いします。
それではどうぞ。


彼と彼女の出会いは唐突に
第1話 すぐに終わった日常生活


「次なんだっけ?」

昼休みが終わるまでに10分も無い中でのんびりと動く影が二つ。

『あのやたらと分かりにくい電気工学だったはず。授業料が勿体無いぜ』

こんな危なげな話をいつ講師が来ても可笑しくないどころか何人も通過する廊下のロッカーを開けながら平気でする。

『噂をすれば何とやら......ご本人のお出ましだぞ』

 

そう言いながら視線を向ける。それにつられて俺も顔を横に向けるとその人はキョロキョロと辺りを見回している。どうやら誰かを探しているらしい様子が見て取れた。

するとこちらを見つけた途端に真っ直ぐに歩いてくる。何事かと思うとぴたりと目の前に止まり声をかけてきた。

 

『君が平川君だったね。少しばかり話がある。付いて来たまえ』

何の要件も言わずに唐突に付いて来いと言われても戸惑うのが人の常だが素直に従って付いて行くしかない。何せこの人は現学生主任補で学科長、学年主任を歴任してきたこの学校の言わば人事部長のようなものである。

一応教科書だけは取り出しておいた為、つい先程まで隣にいた友人に荷物を預かってもらい慌てて追いかける。

後ろの方でガヤガヤと何かを盛んに話しているのが聞こえたが耳を傾ける間もなくその講師は廊下をコツコツと歩いてゆく。

「それで、俺に何のようですか」

やっと追いついて理由を聞いていないのを思い出してこう尋ねる。

『まぁちょいと頼みたい事が有ってな。着いてから説明しよう』

そういってはぐらかすとまた無言になり黙々と歩いて行く。

 

 

大して広くもない校舎のためすぐに教員棟と呼ばれている中にある一つの研究室に着いた。

最早嫌な予感しかしないが仕方なしに講師に後から部屋へと歩を進める。部屋の両脇に所狭しと並べられた書籍や機械の更に奥。

『ちょっと待っていてくれ。確かこの辺に......お、あったあった』

 

そう言いながらパーティションで仕切られた机の上のパソコンやプリンター、書架にファイル棚。それらに囲まれるようにして、堆く積み上げられている書類の山から1つの資料とおぼしき物を取り出してきた。

「......何ですか?このヤバそうな資料は」

『見て分からないかね。表紙のままの意味なんだが。君がそんなに頭が弱かったとは思わなかったよ』

 

何とも嫌味ったらしい言い方だがそこには突っ込まない。何より問題なのはその表紙。“3AD01の現状及び関連事項”と、こう書かれていた。流石にこんな物が一学生でしかない自分の前に出されても困惑する以外に無い。

 

「教員会議で出て来た議題の一つだ。しっかし、いくら学生担当補の上に、寮の総監督までやらされてるせいで問題児の案件も回ってくるんだ。まったく......人を何だと思ってやがる」ぼそりと何やら聞いてはいけないような不穏発言が飛び出した。

 

 数瞬の無言を挟み口を開く。

「いや......その先生の愚痴は置いとくとして、何で俺なんですかね?俺は特に変な事した覚えないんですけども」

実際自分は何の校則違反もしていないし問題行動も起こしていない。

『そんな事はこの中身を見れば分かるはずだ。後、君にはこの件に関しては一切の拒否権が無いという事だけは伝えておこう』

それはもう凄い嫌な感じの顔をしていた。それこそ何処かの時代劇に出てくる悪代官様みたいな顔をしていた。

それなら尚更関わりたくない事柄だと察しいち早くこの空間を抜け出そうと拒否の構えをとる。

「いやいやもう突っ込み所多すぎてどうすれば良いんですかね?というより俺はこんなヤバい資料の中身なんて見たくないんですが......」面倒事に巻き込まれたくはないし、訳の分からない事柄に入るとか絶対に嫌なので断固拒絶の姿勢をとる。

『ふむ。それでは私は君のお父さんを知っているということ位は教えておこう』

それはもう清々しいほどに飄々とした表情のままカップに手をつけながらさも当然かのようにそう言った。

 

人間には身が凍る瞬間が有ると聞いていたがまさか自分の身がそんな事になるとは思いもよらなかった。背筋がガチっと凍るような気がしたのを感じた。そして得も言われぬ感情に襲われた。

 

「......ぇ......」わずかに口を開きそう呟くので精一杯だった。

なんとそれは驚愕の事実だった。本来ならば大した事ではないが、とある事情のせいで滅多な事ではないのだった。

更に全くの赤の他人が自らの事を知っているという事になる。それは間違いなく何か切り札になるような物が出てくる可能性すら有るのだ。

最早次にどんな爆弾が有るか分からない為にとりあえず抵抗するのを半ば諦め、中を見てみる。すると教師が毒づくのも頷けるほどの内容だった。

 

 

なんとそこには今から3ヶ月も前、去年の期末試験終了後、正確には今年の教材の受け取りおよび始業式以外この学校に来ていないと描いてあった。それ以外にも最早見るも無惨な事柄がほぼA4半ページ分にわたり書き連ねられていた。

ここまで来ると真偽を確かめたくなるのが人間の本能と言うものらしく、自分は明らかに疑う顔をしているらしい。目の前に全てを知っていると思しき人物へと目を向けるとほぼ同時で言葉が返ってくる。

 

『勿論そこに書いてあるのは全て事実だ。では何か質問は有るかね。ただし私も忙しい身だから一つだけにしてもらいたい』

 

何か質問が有るか何処路の騒ぎではない。こんな絶対厄介極まりない上に史上最高にめんどくさそうなのやりたくない。

罵詈雑言に始まる文句を必死に喉を通らないように仕舞い込み、大して賢くもない頭をフル稼働させて1つの質問に辿り着く。

「この件に関しての横槍の心配と最終目標をお願いします。」

正直自分でも何故こんな事を聞いたのかは未だに分からない。だがその問いに救われた部分も確かに一部だけ存在した。

 

するとなにやら満足したのかそれとも計画通りなのを喜んだのかは分からないが一瞬薄気味の悪い笑顔を浮かべた。

『ふむ。一つ目は君に丸投げしてはいるが表向きは私が担当しているからその心配は無い筈だ。何かあれば私に言ってくれればある程度はどうにかしよう。二つ目の答えは単純明快、この学校への正常な復帰。それの一点に有る。それでは健闘を祈るよ。』

 

この自分達の指導者である男性教員は平然と何も知らなかった者を振り回し、途方もない爆弾を置いて嵐は去っていった。




最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。
どんなに些細な事でも感想にください!作者の励みになりますので。
重ね重ねこの作品を読んでくださって本当にありがとうございました。
それではまた次回お会いしましょう。
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