ようやく第二話が書き上がりました!何とも言えない感覚を覚えます。
いつも通り誤字報告等よろしくお願いいたします。
それではお楽しみ下さい!!
時は進んで呼び出しと言う名の強制労働が言い渡された翌日の午後5時少し前。
もうこの年齢から社畜の仲間入りとか辛すぎる。ちなみに無視を決め込んでスルーをしようとか思っていたらなんと昨日のうちにメールが来てしっかりと釘を刺されたので逃げられない。
何で俺の考えを読んだ上に脅迫まがいのメールまで送ってくるんだ。そんなエスパーみたいな事されたら焦る。
ちなみにそのメールによるとどうやら今日の放課後5時にその問題児の関係者がわざわざ迎えにくるらしい。
そりゃ資料で名前は知っているが逆に言うとそれ以外に何も、例えば正確な住所は勿論の事、趣味や生活状況、家庭の事情などなど知らない。むしろそんなの知ってたら間違いなく問題でしかない。
時計代わりにもなっているスマートフォンの電源を入れると16時56分を示していた。
「もうそろそろか......」車寄せの邪魔にならぬように配慮されて設置された門に体を寄り掛からせながら呟く。
するとまるでタイミングを見計らったかのようにタイヤのグリップ音とともに静かながらやや甲高いブレーキ音が鳴り響き黒色の乗用車が到着した。
音につられて顔を上げると運転席からきっちりとスーツを着ていても硬い雰囲気を一切与えないほど柔らかな表情の女性が降りて来てこちらに会釈をする。
「平川様でいらっしゃいますでしょうか」
まさかこの歳で様付けをされるという驚きと、何故このような人が自分の名前を、という疑問で一瞬固まる。
しかし直に思考を立ち直し、慌てて会釈を仕返す。
「はい。平川です。失礼ながらあなたは」
自分の知り合いに連絡はしてないし、顔見知りでもない。
「これは失礼いたしました。私は天宮家にお使えしている執事の鶴崎でございます。」
そう言って革製と思しきいかにも高級そうな名刺入れから器用な手付きで名刺を差し出してくる。
思わず受け取ってしまったが、親御さんのどちらかが来ると思っていたが予想外の展開。まさかのご令嬢だった。そんな風に驚きを隠せないでいると再び口を開いた。
「旦那様と奥様より平川様をお嬢様の所へお連れするようにとの事でしたので私がお迎えに上がった次第です。」
家柄が良いと自然とこういう対応になるのかと自分でも妙な納得の仕方をしていると
「どうぞお乗り下さい。ご案内いたします」
と言って手慣れた手付きでドアを開けた。
車に乗り込むとこれまた丁寧にドアを閉めて運転席につくと滑らかに車寄せから出て車を走らせて行く。
すると前をきちんと見たままいくらか柔らかになった口調で話始めた。
「執事としては誠にお恥ずかしい限りなのですがあまりお嬢様の最近を把握していないのです。」
まさかの執事さんですらまともに知らないってどういう事なんだろう。疑問しか出て来ない。
「そもそも私がこちらに居るのも訳があるのです。」
「と言うと何か事情が?」どうやらこの執事さんがここに居るのは珍しいとでもいうような口ぶり。それだけこの出来事に気を配っているのだろう。
「えぇ。実は旦那様と奥様に付いて海外に渡航していたところ由佳お嬢様と最近から音信不通になりまして……」
音信不通になった上に学校にまで出ていないとなるとそれは心配にもなるだろう。
「それで日本に戻って来たと?」
「厳密に言えば私だけ様子を確認しに戻って来ているのが正確ですが概ねその通りです。」
随分と冷淡なのか手が離せない程忙しいのか。なんとも形容しがたい物がある。
「そのような状況下ですので知っている限りの近況ですがお教えします」
これは非常にありがたい申し入れ。例の書類には当然の事ながら登校しなくなったのは何時からか。それまでは至って特筆すべき所が無いと言った極々当然の事が書いてあったにすぎない。対話をしに行くのだから情報量は多い方が当然良い。
「わざわざありがとうございます」
素直にこの人には感謝を禁じ得ない。
「まず由佳お嬢様と音信不通になって以降、旦那様以下我々からの連絡にも応じるどころか着信拒否の状態です」
「それはまぁ……そうでしょうね」
わざわざ音信不通にするのだから電話やメールに出るとも思えない。と言うか
そうじゃないと音信不通とは言わないだろう。
「私がこちらに戻って来てインターホン越しにお嬢様の様子を確認したのですが大丈夫、平気、問題無いと一点張りだったのですが何とかドアの隙間から話す事はできたのですが……」そう言って若干黙り込んだ。
随分とこの執事さんも苦労したのだろう。それほどに大変だとすると自分に降り掛かって来た苦難を呪いたくもなる。
「と言う事は顔を見れたと言う事ですか?」
「見れたと言うよりは覗けたと言った方が正しいかもしれませんね」
覗けたとはどういう意味なのだろう。顔を合わせたのなら見れたと言うはずなんだが……
「と言うのもですね、ドアの向こうから顔が少し出て来て覗き込まれるような感じでしたし、数分で話を切られてしまいまして」
何やら小動物的な物を感じる。それに無口なのか。それとも単に面倒くさかっただけだろうか。
「と言う事はほとんど部屋の中を見れてないってことですか?」
「いえ。一応見れては居るのです。ですが当然ながらドアの隙間から廊下が少し見えただけのです。」何とも歯切れが悪いと言うか、随分と遠回しな言い方。
「見えたのは良いんですが靴箱が何となくホコリっぽかったのと部屋のドア先に段ボールがいくつか見えまして……」
随分と部屋が荒れているようだ。それにどうやら典型的な引き籠もりのようで掃除もせずに通販とかを多用しているのだろう。
「他に何か分かった事はありませんか?」
「流石に隙間から見えただけですのでこの程度しか……」
「そうですか……」正直大した事は得られなかったと言うのが偽らざる答えだろう。比較的予想できる事しか出て来ていないのだから仕方が無いと言えば仕方ないのだろう。
ふと外を見ると幹線道路から車は一つ入り閑静なマンション群を走っていた。
するとミラー越しに見えたのだろうか横目でこちらを見ながら
「もうすぐ着きますから支度をしておいて下さい」と声をかけて来た。
そして車はゆっくりと速度を落としあるマンションの駐車場へと入って行った。
読んで下さった方々ありがとうございます!!
感想、批評等々ぜひぜひよろしくお願いします。
次の第三話は既に最初の少しだけ出来ていたりそうでなかったり......
ちなみに実は既に完成までの大筋は決定してたりしています!
なお、途中の細かいシチュエーションはまでなのでこういったシチュエーションが欲しい!とかこういうのはどうだろうと言った提案をお待ちしております!!
それではまた次回まで!アデュー!!