ガンダムSEED×00~異世界にイノベイターは何を思う?~<完結>   作:MS-Type-GUNDAM_Frame

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再筆版進まねぇ・・・

此方の通常更新は恒常的な、彼方の再筆版は瞬間最大の文章力が鍛えられていくようなイメージでやってます。で、最大パワーが出ない・・・
つまり、片方スランプ。

昔、塾の先生に「成長が緩やかになるからスランプに見えるだけ」理論を聞かされたので、解決方法もそれに従うということで(投稿するかは分かりませんが)手当たり次第色々書いてみようと思います。

あと、一時期再筆版で読みにくいというご意見がありましたので、現実的にやろうと思ってできる方法をアンケートしてみます。
意見がある!と言う方はアンケートへどうぞ。今のままが一番っしょ!という熱い意見をお持ちの方は3と投票しておいてください。


29話:紅海の鯱の影

「魚雷用のランチャー、試作アダプタ完成しましたー!」

「ホバー用スカートの元型です!後は装甲材の溶接を―!」

「クローラーからバッテリー外してきました」

 

現在、アークエンジェルはソナーで索敵を並行しながら紅海を進んでいるが、整備班は大変忙しくしていた。

 

「もしかして、ここはいつもこうなのかい?」

 

医務室から士官用の牢へ連行されるバルトフェルドは、呆れたように笑っている。

 

「ええ。アナタが戦ったあのジンもあんな感じであっという間に作っちゃったんですよ」

「うちにもこのくらいの工作部隊がいればねぇ・・・」

「アンディ、ダコスタくんに怒られるわよ?」

 

一応述べておくと、アイシャとバルトフェルドの牢は別々である。本人たちも了解済だ。

先ほどのアイシャの言葉に「違いない」と苦笑しながらぼんやり整備班を眺めていたバルトフェルドの目に、見覚えのある少年が映る。

 

「あれは確かキラ君だろう?」

「ええ。彼がいなければ開発もこう上手くはいかないでしょうね」

 

つまり、ZAFTは未来を担うべき優秀な若者をその手から逃しているのだ。流石にその一人で戦況が覆りはしないだろうが、一定の戦果を挙げていた自分たちの部隊は彼ともう一人のたった二人に算を乱され敗走しているのである。一騎当千を謳うZAFTの敵がこれか、とバルトフェルドは虚しさを噛みしめていた。何といっても、戦前は若い命を散らせるのかと反戦派だったのだから。

 

「すまない、長く立ち止まりすぎてしまったようだ」

「いえ・・・では、申し訳ありませんがお手を失礼します」

 

再び、手錠を取られて歩き出した。

 

「あとで、キラ君と話がしたいんだが、可能だろうか?」

「監視が付きますが」

「構わないよ」

 

さて、何を話そうかと考えたところで、艦内に警報が鳴った。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「敵は!」

「ゾノです!グーンも二機!」

 

ゾノは、グーンの後継機として開発されたZAFTの水中用MSだ。艦長は急ぎ対策を考える。

 

「曹長のジンは?」

「まだ出せません」

「ならストライクか。ソードに換装して出撃させる。先に魚雷を目くらましに垂直投下しておけ」

「はっ!」

 

一分ほどで、魚雷がミサイル砲台から零れるように投下され、同時にソードストライクが発進する。

 

「さて、ノイマン曹長。君にはやってもらうことがある」

「なんでしょう!」

「バレルロールだ」

「・・・・は?」

「二度は言わんぞ!急げ!」

「やりますよ!やって見せます!」

「それで良い。タイミングはこちらで指示する。トノムラ伍長、イーゲルシュテルンの操作を手動に切り替えて銃座につけ。ケーニッヒ二等兵、索敵に交代だ」

 

「「は!」」

 

二人とも、バレルロールのような無茶でなくてよかったと思いながら配置についた。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

その頃、水中のキラは必死に攻撃を捌いていた。

 

「動きが鈍い・・・!」

 

当然のことながら、水中では人型が水の抵抗を受ける障害となり、上手く進むことが出来ない。アークエンジェルの真下で、魚雷やフォノンメーザーなどの敵の攻撃をなんとかかわし続けていたその時、水を介して音声が届いた。

 

『・・・えるか、聞こえるか、准尉。エールストライカーに換装せよ』

 

どうやら、高出力のスピーカーのようなものを鳴らしているらしい。キラは急いで水上へと飛び上がった。

 

「どこだ?」

 

さすがにソードストライカーではスラスター出力の問題でジャンプは出来ないので、ワイヤークローで真上のアークエンジェルに掴まり、体を中空に維持させる。

 

「え?」

 

同時に、船体が大きく回り始めた。

 

『しっかり掴まっておけよ?』

 

そして、敵MSが顔を出すと同時にアークエンジェルの甲板側が海面を向いた。

 

『撃て!』

 

対空砲火が海面に向けられ、度肝を抜かれて動きの止まっているグーンのうち一機を確かにとらえた。しかし、もう一機はすぐに姿を消してしまった。

 

「た、助かりました」

『ノイマン曹長に言ってやれ』

「お、お疲れさまです」

『どうやら敵は撤退したようだ。帰投しろ』

 

ストライクは、慣性で一周振り回されて再びアークエンジェルからぶら下がっていた。回収には刹那のジンが回された。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「おそらく、紅海の鯱マルコ・モラシムだ」

「名将ですね。でもカーペンタリアからわざわざですか?」

 

水中用MSの操り手で、かつインド洋に近いこの海域でなら、確かにモラシムの名が出るのは不思議でもないのだが、カーペンタリアからはかなりの距離がある。

 

「いや、ジブラルタルに偶々いたという可能性もある。それに、かのクルーゼ隊もこちらを追っているようだからな」

 

艦長の頭には、刹那からの報告にあったデュエルとバスターの影が散らついていた。何といっても、クルーゼ隊は執念深いことで有名だ。

 

「クルーゼ隊が足止めを相応の実力者に頼んだという線も有りうる。慎重になって悪いということは無い」

「では、ジンの改良を急ぎます」

「ええ、お願いします。大尉」

 

一応数時間で完成はするのだが、流石に試運転が必要なので完成まで12時間は見ていたが、戦況に余裕がないということで、試運転込みで10時間を切るようにとなった。

 

一方最近出番の無かったムウは、スカイグラスパーの調整が終わったため小躍りしていた。ただし、キラは帰りにムウがMSがよかったという小言をつぶやいていたのを聞いてしまった。

 

一応、ジンの改造の前段階でキラの手伝えることは大体終わってしまったため、休もうと部屋に帰った。

 

「ようキラ!」

 

先客がいた。

 

「なんでいるの?」

「シミュレーターの使い方を教えてくれ!」

 

流石に軍事機密で不味いのでは・・・とブリッジの艦長に止めてもらいに戻ろうとすると、今度は途中の食堂でムウに呼び止められた。

 

「シミュレーターしに行こうぜ!」

 

キラは頭を抱えたくなったが、先にカガリの要望について聞いてみた。

 

「良いんじゃね。あれは入隊試験でも使うしな。大体オーブ製だぞ」

 

実際、カガリはオーブではそれなりの立場があるため機密でもなんでも見ようと思えば見れるので、キラの杞憂と言えば杞憂なのだ。つまり艦長も止めてくれない。

ムウは一応艦長から聞いてカガリの本来の立場を知っている。知っていてこれと言うのも何とも言えないものはあるが・・・

 

「やった!早く行こうぜキラ!」

 

本人の自覚にも問題があるだろう。しかし誰も止めない以上、このままで事態が進んでいく。引っ張られながら後ろを振り向くと、一見誰もいなさそうな所へムウがウインクをしていた。

 

「すぐ行く!先行っといてくれ!」

 

シミュレーター室には、先に刹那がいた。刹那からは一言だけだった。

 

「許可は取ったのか?」

「い、一応」

「そうか」

 

これだけだ。とりあえず刹那からはこれ以上なにもなさそうだと判断したキラは、カガリに操縦方法を一通り教える。

 

「じゃあ早速対戦するぞ!」

「一応ゲーム機じゃないからね?」

 

まあゲーム機に見えるのも確かだが、パイロットの命が懸かっているのも確かである。そして回数の積み重ねが練度と生存率に直結しているのも確かなので、キラもシミュレータの操縦席に着いた。

 

「じゃあ、僕はエールストライカーで」

「私は・・・同じの行こう!」

 

キラの方に限らず、今シミュレーターには各パイロット用に細かくパラメータの調整がなされた機体のデータが入っている。それに対し、カガリのストライクは初期状態もいいところだ。当然・・・

 

「勝てないー!」

「あんまり簡単に勝たれると僕の立場が無いからね?」

 

その後やってきたムウの発案でチーム戦になり、刹那&カガリ対ムウ&キラでやったところ、キラは惨敗した。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

翌日の早朝、キラはたたき起こされた。

 

「敵襲だ!早く起きろ!」

 

夜襲と言う戦法は、古典的ながら非常に有効である。センサ等で敵を見つけられる現代でも、戦っているのはいまだ人間だからだ。

 

「昨日の奴ですか?」

「多分な。けど今日はあいつがいるんじゃないか?」

 

整備班の徹夜で、試運転を残しジンの改造は完了していた。




ミニッツメイドの朝リンゴとウェルチのアレキサンドリアマスカットジュースが美味しすぎてつらい。

来週はジン海戦型のお披露目になります

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