ガンダムSEED×00~異世界にイノベイターは何を思う?~<完結>   作:MS-Type-GUNDAM_Frame

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面倒ごとは大体終わった・・・やったぜ!
これから最終回までがんばります。


47話:対話と帰還、そして

不思議な空間だった。上下は無く、重力もない浮遊感。そのくせ、今自分が見ている方向は確実に前だと確信がある。

意思が力を持つ空間、とでも言うのだろうか。

 

「ここは・・・?」

 

当然の疑問が口を突く。しかし、答えよりも先に空間を制圧するかのような強大な意思が周囲を満たしていた。

 

「まさか、あれはGN粒子だったのか?」

「ソランさん!?」

 

目の前にいるわけではない。しかし、確実に()()にいる事が感じられる。今までに無い不思議な感覚があった。そして、周りに感じられる強力な意思も、この人物によるものだという確信がある。

 

「キラ・・・そうか、これはあの装置が原因か」

「どういうことなんですか?」

 

刹那は、言葉では答えなかった。ただ、キラの脳内にイメージが投影される。

 

泣いている女性を撃った。神のために戦った?それからはいろいろな場所へ行き、必死に走り、それでもどうしようもない絶望が立ちふさがったが・・・ストライクに似た何かがすべてを打ち倒した。先ほど見た光のような輝く粒子を放っている。

場面が次々に変わる。

必死にシミュレーターで訓練を積んでいる。

やがて、戦争が始まった。

殺した。壊した。焼いた。撃たれた。撃ち返した。切り壊す。跳ね除ける。

仲間がいた。三人のパイロットと、クルー、整備士・・・

やがて、趣味の悪い金色のモビルアーマーがかなりの物を焼き壊した。世界が敵だった。

それでも、不屈だった。数年時を待ち、再び同じ組織として立ち上がった。

世界を救おうとしているのだと、理解した。そして、その手段の不器用さにも。

遂に、あの降臨した神のようだったモビルスーツのパイロットが現れて、袂を別った。

最後には大きな犠牲を払う。それはイメージだけではなく感覚だった。途中から感じ始めた仲間たちの感覚が消えていく。

 

「そんな!」

 

それでも、絶望しなかった。諦めなかった。

赤い光が目の前を通り過ぎ、意識が拡大していくのがわかる。だが、まただ、まだあの男がいる。

味方は倒れ、機体は欠損し、ぶつかる、ぶつかる、ぶつかる・・・

機体は壊れた。それでも、次の機体を使ってぶつかり続ける。お互いがお互いの存在を許容できない、そんなぶつかり様だった。

やがて、決着がついた。

 

そうして、また場面が飛ぶ。銀色の何かが夥しく、宇宙を覆っている。また戦争の繰り返しだ。

忌諱感が、ひしひしと流れ込んできた。何か道はないのか。他に、他に。どちらかが滅びるしか道はないのか?

一度見た顔がまた浮かぶ、それは空間を覆う感覚に引っかかっていたが、弾けて消えた。

 

結局・・・事態は対話によって解決した。目の前の人物、ソラン・イブラヒム(刹那・F・セイエイ)は、果てしない宇宙へと消え・・・

 

謎の空間まで、意識が戻った。

 

「今のは・・・」

「俺の記憶だ」

 

やはり、と思えた。しかし、今の言葉が意味することは

 

「あれ・・・未来、ですか?」

「いや、パラレルワールド、のようなものだと解釈している」

 

パラレルワールド。今まで信じたことも無かったものが、わずかに壁を隔てた先にあるかのような錯覚を抱いた。つまり、この数か月目の前にいた人間は次元を超えてこの世界にいたわけだ。

 

「どうして、いや、どうやってそんなことが?」

「手段は分からないが、原因は分かる。俺の記憶にあった、GN粒子。分かるか?キラ」

 

どこかで見ているのかも判らなかったが、頷いた。

 

「あれは、ガンダムの動力として使われてはいるが、未知の部分が過分にある。原因というなら、あれ以上の物は無い」

「そう、ですか」

 

余りに同時に浮かぶ疑問に、キラは短くそう返すしかなかった。

 

「そして、俺の正体も分かった」

「正体?」

 

悲しさが、一瞬流れたように感じられた。だが、それは泡が顔に触れたような程軽く消えた。

 

「俺は、どうやら本物の刹那・F・セイエイではなかったようだ。偶然、こちらの世界に紛れたELSに、俺の意識の一部が流れ込んだドッペルゲンガーとでも言えばいいのか・・・」

「じゃあ」

「ああ、元の世界とのリンクが復活した今、俺は消えるしかないようだ」

 

絶句した。今までに見たソラン・イブラヒムは、紛れもない()()だった。たとえそれが人間を超えた何かであっても・・・

 

「それに、俺が消えて悲しむ人間がいるらしい。それが、お前と触れて分かった。消えてゆく俺には、その事実だけで十分すぎるほどだ」

 

想像もしなかった過去に触れ、キラには言葉が無かった。涙が流れていることが分かる。

 

「もう時間が無い・・・仲間を失う悲しみは分かるつもりだが・・・いや、俺は所詮まがい物で」

「でも、ソランさんは、僕には一人しか・・・」

 

どんどん、周りから何かが消えていく。空間を満たしていた何かが、どこかへ流れ出していくような、崩れるような。

 

「ありがとう。お前はお前の世界を救え、キラ・ヤマト」

「ソランさん・・・」

 

消えた。同時に、現実へ帰ってきたのだと、ストライクのコンソールが教えてくれた。

 

『・・・ろ、キラ・ヤマト、応答しろ!』

「はい、無事です」

 

どうやら、何度も呼びかけられていたらしい。思っていたよりも、短い時間だったようだ。

 

『はぁ、まあいい。プラント政府から降伏するとの通達があった。一度本艦に戻れ』

「了解」

 

どうやら、フィールドの真っただ中にいたストライクは少しづつ外へ流されていたらしい。それで通信が復活したのだろう。あまりに多くの事があった。悲しみとも言えないような重さを頭にぶら下げて、キラはアークエンジェルの方位へストライクを戻した。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

アークエンジェル級二番艦、ドミニオンのブリッジでは、レーザー回線による長距離通信でアズラエルと暫定議長、シーゲル・クラインが会談を行っていた。

 

「では、公正な裁判とコーディネーターの正当な人権の保障を条件に降伏し、評議会は解散するということでよろしいのですね?」

『ええ。パトリック・ザラの行いの証拠を集めるのには苦労しましたが・・・』

 

プラント内部では、クーデターが起きていた。クライン派がマスコミにザラ派の行った洗脳教育、地球の現状を大々的に報道させ、議会を占拠。パトリック・ザラ私兵の大部分を拘束することに成功し、政権を奪還したのであった。

 

「いや、プラントにもまともな人間がいて結構。全権大使として条件を確実に守ると誓いましょう」

『しかし、まだ問題があります』

 

はっきりしない物言いに、アズラエルが方眉を吊り上げた。

 

『パトリック・ザラを含む、ザラ派の主要人物数名が未だに発見されていない事です。既にアプリリウス以外でも非常線は張っているのですが・・・』

「あの狂人が見付かっていないとは・・・心当たりは無いのですか?」

 

心当たりは無いが、と、シーゲル・クラインは差し押さえた処分される前のザラ派が所持していると思われる物品のリストを提示した。

 

「装甲、バッテリー、鋼材、スラスター、フレアモーター・・・待ってください、このフレアモーターというのは?」

「太陽風を利用して加速するための装置だったと記憶していますが・・・」

 

近くにいた士官の答え、「太陽風を利用して」という言葉に、アズラエルは引っ掛かりを感じた。

 

「それはどの程度の物体を動かせるものですか?」

「一応、時間をかければ何分抵抗もない宇宙の事ですし、どれほどの物でも時間さえかければ・・・」

「いや、この宙域なら軌道さえずらせば地球の重力まで使えるでしょ」

「ああ、では、ユニウスセブン。どうですか、シーゲル・クライン氏」

 

そう聞かれたシーゲル・クラインは、明らかに動揺が見られた。

 

『実は、考慮しなかったわけではないのだが・・・あれほどの愛妻家が妻の墓標を落とすなどと・・・』

「信じたくなかった?まあ分からないではないですが、あれほどの事をやった人間をまだ信じているとは」

 

アズラエルは、頭を振った。

 

「まあいいでしょう。阻止は当たり前として手段を詰めねば・・・」

『それなら、我々からはメテオブレイカーを提供しましょう』

 

メテオブレイカー、その名前は記憶にあった。否、知識人ならば必ず知っているだろう。Nジャマーを世界へまき散らした悪名高き兵器なのだから。

 

「本来の用途で使うというわけですね。では我々からは人手を・・・君、コペルニクス基地と連絡は取れますか?」

「・・・可能です、少々お待ちください」

 

流石に、これ以上は独断で動くわけにもいくまいとアズラエルは判断した。予想の正確性を高めるという意味もあるし、相手方の顔を立てておくという意味もある。

 

「君、この資料を送れるようにしておいて。ああ、暗号化はA-1レベルで・・・」

「はっ!」

「では、作戦会議を行いますので、後は使用可能なメテオブレイカーの数を教えてください」

『あ、ああ。少なく見積もっても50機はある。搭載爆薬はHNIWで核ほどではないが破砕には十分だと見られている』

「結構。そこの君、今の情報を資料に付与して」

「まだ確定情報ではありませんが・・・」

「説得する必要があるときには便利ですよ・・・よし、ではまた後でお会いしましょう、シーゲル・クライン」

『健闘を祈る』

 

会議では負けなしだろうな、とアズラエルは見られている。実際、ノウハウをつかむまではそうでもなかったが、最近の結果だけを切り取れば確かに負けなしだ。そして、月のコペルニクス基地と通信が繋がった。

 

「レーザー通信モジュールは実用化出来て嬉しい技術の内の最たるものですね・・・あー、あー、聞こえますか?」

『聞こえているよ、理事。流石に今回は難しいのではないかね?』

「ええ。しかし何もしないという訳にもいきません・・・幸いプラントの新政権からもある程度の協力が得られるようですし・・・」

 

先に資料を読み込んでいたらしい将校は、今回の作戦に懐疑的なようだ。失敗すれば批判があると思えば、何もしない方が安全策に思えたかもしれないが・・・

 

「それに、今回は知らなかったでは済まないでしょう・・・プラントは外交チャンネルを再び開きましたから、今では世界中で情報を入手できるようになります。プラントがすべて悪いでは通じません」

『では勝算があると?資料にはあのアークエンジェルのパイロットが一名行方不明とあるが・・・』

「もう一人、極めて有能なパイロットがいます。今回のγ線レーザーの発射阻止作戦でも多大な戦功を挙げていますし」

 

キラの現状は、アズラエルの耳にも入っている。報告はイマイチ要領を得なかったが、なんでも彼、ソラン・イブラヒムが消える瞬間を見たとかなんとか・・・

 

「確かに疲労はあるようですが、作戦開始時刻までには必ず立ち直るでしょう。それで、戦艦は出せますか?」

『それは問題ない・・・隕石の排除は、もともと月艦隊の仕事の一つですからな』

 

パトリック・ザラが地球に大打撃を与えようとするのなら、ユニウスセブンが使われるだろうというのはほぼ満場一致の見解だった。作戦遂行も許可され、残る問題は軌道の計算となった。すなわち、どこが狙われているか、ということだが・・・

 

「私は、大西洋連邦首都、ワシントンDCではないかと考えています」

『それはまた、何故です?』

「あの国がパトリック・ザラの生まれ育った国だからですよ。あれほどの被害者意識が、育った場所とは無縁とは考えにくい」

『なるほど、一理ありますな』

 

結局、アズラエルが自身の意見の正当性を主張し、それが証明された会議は予定調和だ。もちろん、意味があると考えるアズラエルは無駄な時間とは考えない。ただ、早くしなくてはという焦りがあった。

 

「では、皆で地球の救世主となりましょう・・・」

『はは、理事もそのような事に憧れますか』

「ええ。売り上げが大事ですので。では」

 

通信は、切れた。人海戦術の準備は出来た。ドミニオンとアークエンジェルの進路も、演算された通過予想地点へ向かっている。後は・・・

 

「キラ君が、立ち直ってもらわねば」

 

人数では、どうにもならない障害がある。それは、モビルスーツが開発される前の戦況が証明していた。そう言った一騎当千の戦力のカウンターに、どうしてもキラが必要だった。

 

「はあ、此処で悩んでいても埒があきません。直接訪ねてみますか・・・もしもし、バジルール艦長ですか?今からそちらへ向かいます・・・キラ君は・・・錯乱している?まあともかくそちらへ向かいますので」

 

思い立てば実行は早い。並んで作戦宙域へ向かうアークエンジェルとの間を、小型艇で突き進む。到着してすぐに、アズラエルはブリッジへ向かった。

 

「ただいま到着しました・・・キラ君は?」

「現在自室にいますが・・・ソラン・イブラヒム失踪時の聴取を行いましたが、要領を得ず・・・その、言い難いのですが」

「錯乱している?」

 

予想した答えを、艦長は否定した。

 

「実際にお会いになられるのが一番かと思います」

「はあ・・・」

 

意味の無いことは言わない人間だと、アズラエルは評価している。ならば、実際に遭うのが良いだろう。

 

「部屋は・・・ここですね」

『アズラエルさん?』

 

インターホンを押そうとした直前に、部屋の内部から声が聞こえた。

 

「・・・ええ。開けてもらえますか?」

 

ガチャリと音がして、ドアが開いた。既に、部屋の中には先客がいた。

 

「アズラエル理事!」

「ああ、そのままで結構です・・・キラ君?君は帰投してから錯乱していたと聞いていましたが・・・」

 

その質問に、キラは苦笑した。

 

「そう思われても仕方のないことを言っていたとは思いますけど・・・」

「すいません、ちょっといいですか?」

「どうぞ?」

 

ためらいなく挙手して発言するトールに、キラはすごいなと思った。しかし、他人の口から説明してもらった方がこの異常は理解できるだろう。

 

「最初は、俺たちもキラが錯乱しているんだと思ったんです。けど、あれを見てから・・・」

「ふむ、それは、今見せてもらっても?」

「構いません」

 

アズラエルは、何か物品を提示されるものと思っていた。しかし・・・

 

「今のは?」

「ソランさんの最後の言葉です」

 

一瞬、腹話術かとアズラエルは思った。しかし、あまりに違う。これは、頭の中に声が響いている。

 

「これを踏まえて、ソランさんが僕に見せた物を話します」

 

語られる内容は、実に荒唐無稽だった。しかし、先ほどの怪現象が事実ではないかと疑わせる。長い一人の男の半生は、短く30分ほどで語られた。

 

「それで、全てですか?」

「はい、僕が見たものは」

 

一瞬、キラの目が輝いていたように、アズラエルには見えた。

 

「なるほど、艦長が言い淀む訳だ・・・」

「僕は、やります。僕は僕の世界を救う。そう、言われましたから」

 

どうやら、心配ないらしいとアズラエルは判断した。しかし、最後に一つ疑問が残る。

 

「しかし、君は帰投した時確かに憔悴していたと聞いています。報告した部下の目は確かだということも分かっています。何があってそこまでの回復を?」

「それはですね!俺が来る前に」

「やめてトール!」

「カガリさんが・・・」

 

「あ、大体わかりました。その辺にしないとキラ君がもう一度再起不能になりそうなので・・・」

「はぁ」

 

明らかに残念だという顔と、明らかに安心したという風な顔のトールとキラに、アズラエルは苦笑した。

 

「いい友人を持っているようで何よりです。よろしくし過ぎて、作戦を蔑ろにしないようにお願いしますよ?」

 

まだ障害はいくつかある。ZAFTの新型核動力モビルスーツや、私兵の中で最も厄介と思われる正体の存在、ユニウスセブンの強度などなど。だが、現実主義のアズラエルには珍しく、キラならどうにかするかもしれないと根拠の無い予感があった。




はたしてキラの立ち直りパートは必要だったでしょうか・・・言い換えるとキラ×カガリのいちゃらぶパートな訳ですが
駆け足過ぎてうまく書けてない感じが有ったので、再筆版を差し置いて加筆修正するかもです。

そして今週はFGOバレンタイン・・・セミラミス欲しい・・・(☆5アサシン未所持)

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