目指せ二連覇!!   作:ストレイカー

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長らくお待たせいたしました。仕事の山場を越えてコツコツ書いては消して、知波単練習試合決着です
改めて文章で戦車戦を表現するって難しいですねぇ。

そしてライバル達との交流も…


決着・そしてライバル達です!

「敵影なし。」

 

 M3リーを追う玉田のホニと名倉のチハ改は周囲を警戒しつつ街の大通りを抜けて海沿いを南下して行った。

 

 M3リーの車内では副砲担当の大野あやが声をあげる。

 

「もう!!チハ相手なら副砲でも倒せるのに!」

 

 唯一反撃できる37ミリ副砲が後方へと射撃をするものの2輌ともなかなか当てさせてはくれない。充分敵の追撃は妨害できてはいるが背後をとられていてはいつやられるか分からない。

 

 ちなみに戦後の実験資料によるとM3リーの副砲を主砲として持つM3軽戦車スチュアートで射撃試験を行ったところ新砲塔チハでも300メートルの距離から正面を貫通させられるという結果が得られたらしい。

 

「あや、落ち着いて。うまくおびき寄せられてはいるよ。」

 

 梓が地図を見ながらルートを確認して言う。

 

『こちらウサギチーム、あんこう、ペンギンさん、間もなく予定ポイントです。』

 

『こちらあんこうチーム、準備完了。』

 

『同じくペンギンさんチーム、準備完了。』

 

 すぐに2チームから返答が来た。

 

「皆、あと少しだよ!頑張って!!」

 

 

 

「麻子さん、エンジン全開でお願いします。華さん、落ち着いてしっかり狙って下さい。」

 

「わかった。」

 

「心得ました。」

 

 

 

「野島さん、ここ一番頼んだよ!鞍馬さん、初撃破のチャンス、頑張ってね!」

 

「よしきた!」

 

「まかしといて!」

 

 

 

 M3を追う一式中戦車と三式砲戦車。3輌は序盤でペンギンさんチームが西の隊長車とタイマンを張ったビーチへと来た。

 

「おしいぞ!もう一息だ!」

 

 玉田の車輌の放った砲撃がM3の右側を掠めて砂を巻き上げた。

 

「一発でいい、当てさえすれば…。」

 

 幸いにも開けた場所であれば狙いやすい。いりくんだ路地などはこちらの動きも制限され戦いにくい。2対1で後方から一方的に撃ち込めるのは実に有利と言えよう。しかし…

 

(待てよ…なぜ簡単に開けたところへ…)

 

 ふと玉田の脳裏にそんな疑問が生じた。熱くなっていたことで見落としていたがここは大洗にとってテリトリーとも言える街、いやにあっさりとこちらに追いたてられ過ぎでは無かろうか。

 

 その思考は突然耳に届いた戦車のエンジン音で遮られた。

 

 

 

 

 

「今です、パンツァーフォー!」

 

「突撃!パンツァーフォー!」

 

 防砂林の中から迷彩シートや木の枝で偽装したあんこうチームのⅣ号戦車とペンギンさんチームのセンチネルが飛び出した。

 

「華さん!目標三式砲戦車!」

 

「鞍馬さん!目標九七式中戦車!」

 

 唸りをあげて2輌の戦車が突撃する。

 

「しまった…。」

 

 玉田達は完全に側面を突かれた。有利と思われた状況と根っからの突撃精神が災いしての完敗であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『知波単学園、三式砲戦車行動不能!!』

 

『知波単学園、九七式中戦車改行動不能!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 知波単勢が次々と敵に討ち取られる中で西絹代以下森にいた面々は一旦北上して街の中央から北側に進出していた。

 

「くそっ!!こちらの突撃癖を誘発された時点で我々の負けだったか…。」

 

 キューポラから上半身を出した西は悔しげに左手の拳で天剴を叩いた。戦術を転換して戦略を練っても個々の人間の意識改革は中途半端だったのだ。

 

「西隊長…。」

 

 これで総数は4対7…。一式中戦車3輌に三式砲戦車1輌。相手は隊長車のⅣ号にⅢ突、M3リー、ヘッツァー、チヌ、八九式にセンチネル。ハッキリ言って勝てる見込みは…。

 

「福田!!寺本!!細見!!街へ突撃するぞ!!」

 

 残された知波単最後の一手、即ち突撃戦法。

 

「いいか?敵を破るには我々だけでは力不足だ。ならば最良は敵の頭を潰すこと。この一撃に全てを賭ける。特攻してⅣ号戦車を仕留める。それが一矢報いる最後の一手!!」

 

 西は左右に並ぶ一同へと視線を一度向けてから質問した。

 

「ついてきてくれるか?」

 

 その質問に否定することなど知波単一同にできるはずも無かった。

 

「はいであります!」

 

「隊長にどこまでもお共いたします!」

 

「今なら敵も油断しているかもしれません!」

 

 福田、寺本、細見が力強く返答する。

 

「ありがとう。では行くぞ…。最優先目標は敵隊長車輌。」

 

 一旦言葉を切った西は気合いを込めるかのように下した。

 

「突喊!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 敵を完全に撃破して玉田達の無事を確認したみほ達は一旦情報を整理して次の手を打つべく地図を見ていた。

 

「これで残るは4輌ですね。」

 

「できればここで決するつもりでしたが…。」

 

 梓と優花里が発言する。敵の半数を一気に仕留めたのだから良しとするが…。敵を刺激して突撃を誘い一気に勝負を決するというのがいらいら作戦の目的だった。

 

「ともかく再び集合します。場所は…」

 

 とりあえず戦果はあがりこちらのペースに持ち込めるのだからと気を取り直したみほが指示を出そうとする。が…

 

「みぽりん!!アヒルさんとアリクイさんが敵に襲われたって!」

 

『大洗八九式中戦車、行動不能!』

 

 Ⅳ号から飛び出すように出てきた沙織からの報告とジャッジの声が響く。街の北側で作戦を決行したアヒルさんチームとアリクイさんチームが敵襲を受けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「追え追え!玉田達の犠牲を無駄にするなぁ!」

 

 西は一式中戦車の上で握り拳を作って檄を飛ばす。期せずして玉田達が囮のようになったことで西達はノーマークで街へと雪崩れ込むことに成功した。そこで彼女達は北側にいたアヒルさんチームとアリクイさんチームに思わぬ遭遇をした。

 

「多勢に無勢は逃げるが勝ち~!」

 

 西達に追われているのはアリクイさんチームの三式中戦車。砲塔を後ろ向きにして反撃を試みているがさしもの砲手建子も右に左にぶれすぎてなかなか致命傷を与えられずにいた。

 

「ももが~、とにかくジグザグ走行だにゃ~!」

 

「ぐぬぬ、狙いが定められない。」

 

 敵の砲弾をギリギリでしのぎ幅の制限される道路で右へ左へととにかく動く。

 

「ここだっ!」

 

 一瞬のチャンスをものにすべく建子が砲撃するが…。

 

「うおっ!」

 

 間一髪、西の車輌の横をかすってどこぞの居酒屋に直撃した。

 

「惜しい!」

 

 悔しがる建子だがすぐに次なるチャンスを狙う。ちょうどその時ショッピングモールの特別観覧席にて破壊された居酒屋の大将がガッツポーズを決めていた。

 

 

 

 

 

『アリクイさんチーム、そのまま次の交差点を直進した先に歩道橋があります。』

 

「歩道橋?」

 

 みほの言葉を聞き返すねこにゃー。

 

「そうか!!」

 

 一方で建子はみほの言わんとすることがすぐに分かった。

 

 砲塔を左斜め上に固定してその時を待つ。ねこにゃーが砲塔から少し頭を出して歩道橋の接近を知らせる。建子はしっかりと発射トリガーを握りスコープに集中する。

 

「発射!」

 

 発射された弾は歩道橋の基部に見事命中した。

 

「うぉっ!?」

 

 知波単一同の前に歩道橋が崩れ落ち急停止を余儀なくされた。

 

 

 

 

 

「くそっ!!迂回するぞ!」

 

 追いかけていた三式チヌの砲撃によって道を塞がれた西達は迂回して追いかけるべく方向転換する。しかし…

 

『それには及びません。』

 

 ズドンッ

 

「うあっ!」

 

「ひにゃ!?」

 

「もがっ!」

 

『大洗女子学園、三式中戦車行動不能!!』

 

 少し前から追走から外れてアリクイさんチームの側面を突こうとしていた福田の一式が追い付いたのだ。

 

 

 

 

 

「これで5対4ですね。知波単もやってくれます。」

 

「まさか敵のテリトリーに突撃戦法を仕掛けてくるなんて…。」

 

 これぞまさに知波単魂だ。しかし去年までの正面切っての突撃とはまるで違う。味方の犠牲によって生まれた隙を突くかつて知波単がベスト4に輝いた時を彷彿とさせる作戦運びである。

 

「しかし敵の位置は分かりましたしアリクイさんチームが時間も稼いでくれました。」

 

 みほはそう言うと咽頭マイクのスイッチを入れて各チームへと指示を出す。

 

 「各車輌へ、引き続きカバさんチームはヒラメ作戦、カメさん、ペンギンさんは大洗水族館側にてどっこいしょ作戦を用意してください。ウサギさんは各チームのサポートをお願いします。」

 

 

 

 

 

 

 

「Ⅳ号発見!!」

 

 しばし後、集合して大洗の戦車を探していた西達は街の西部にてⅣ号を発見した。

 

「寺本は私とⅣ号を砲撃!!福田、細見は周囲を警戒!!決して離れるな!後方にも注意しろ!」

 

 

 

 間もなくⅣ号と知波単勢は町を北上してスタート地点のゴルフ場を抜け大洗海水浴場へと至った。

 

「カバさん、お願いします!」

 

『まかせろ!』

 

 みほの言葉に頼もしく応えるエルヴィン。既にⅢ突はしっかりと敵を捉えていた。

 

 

 

「砲撃用意!!マスターアーム・オン!!」

 

 エルヴィンの凛とした声が車内に響く。

 

「承知!!」

 

 左衛門佐はスコープに敵をおさめる。狙うは火力の高い三式砲戦車。

 

「ファイヤー!!」

 

 

 

 突如砂山の中から三式砲戦車を砲撃が襲った。

 

「なっ!?」

 

『知波単学園、三式砲戦車行動不能!!』

 

「Ⅲ突か…」

 

 まずは火力の大きい三式砲戦車を仕留めた。待ち伏せを得意とするⅢ突がまず砲撃とスコップで穴を掘り上から色を合わせたシートを被せて軽く砂をかける。そしてさながら獲物を待ち伏せるヒラメの如く狙いすまして一撃を見舞ったのだ。

 

「よし、穴を出て残敵を追うぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 一方でも新入生組が作戦を用意していた。

 

「ペンギンさん、頼むぞ!」

 

「「「「おぅ!!」」」」

 

 カメさんチームのリーダー武蔵から激励を受けたペンギンさんチームは気合いをいれた。

 

「じっくり狙え…。」

 

 スコープを合わせて右から左へと走る一式戦車の側面を狙う。自らの射線と敵の重なる一瞬が勝負だ。

 

「発射!」

 

 トリガーを引きドンッという音と共に57ミリ砲弾が発射された。

 

「何!?」

 

 砲弾は見事に寺本の乗る一式中戦車の側面に命中した。

 

 

 

「どっこいしょ作戦大成功!!」

 

 どっこいしょ作戦、それは昨年エキシビジョンマッチでカメさんチームとカモさんチームが披露したスーパー風紀アタックと大学選抜戦でカバさんチームと聖グロリアーナのローズヒップが披露したマカロニ作戦ツヴァイを組み合わせた戦法である。

 

 カメさんとペンギンさんはまず砂浜から堤防の上に顔を出すようにへッツァーの上にセンチネルが乗る。そして頭が出た部分を植え込みや海の家の営業看板に見立てた立て看板でカモフラージュして潜むのだ。

 

「よしっ!!浜へ降りて決着をつけるぞ!」

 

「ペンギンに続けぇ!!」

 

 堤防を越えるべく2輌は移動する。一連の作戦によって戦力は5対2となった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「西隊長!!」

 

「福田!!前に出ろ!私に構わずⅣ号を狙え!!」

 

「かしこまりました!」

 

 目標はあくまで敵隊長車輌だ。一矢報いるべく肉薄する。

 

「そうはさせないよ!!」

 

 ここで隊長車を守らんとウサギさんチーム、カメさんチーム、ペンギンさんチームが左右前方走り込んできた。

 

「突撃ぃぃぃ!!」

 

「撃てぇ!!」

 

「Ⅳ号を守れ!!」

 

 突如現れた集団に怯まず西と福田の一式中戦車は一撃を見舞う。

 

「撃て!!」

 

「野島さん、そのまま突っ込んで!」

 

 Ⅳ号を狙った砲撃は遮る形で割り込んだセンチネルに命中した。

 

『大洗女子学園、巡航戦車センチネル行動不能!!』

 

「おのれぇ!!」

 

 仲間のリタイアに火がついたカメさんチームは直ぐ様体勢を変える。砂浜で急速Uターン、これぞカバさんチーム(正確にはアンツィオのカルパッチョことひなちゃん)直伝の必殺ナポリターンである。

 

「てぇ!!」

 

 ヘッツァーの75ミリが一式の背面に突き刺さった。

 

『知波単学園、一式中戦車行動不能!!』

 

 

 

「福田!?」

 

「西隊長!!後を頼みます!」

 

 頼りの片腕も失ったが今一度自らを奮い立てて西は追う。

 

「取った!」

 

 再びⅣ号の背後を取った西。撃破のチャンス。しかし…

 

「そうはさせん!!」

 

 ここでついに西の隊長車がヘッツァーと追い付いたⅢ突に捉えられた。

 

「撃てぇ!」

 

「ファイヤー!!」

 

「てぇ!!」

 

 Ⅲ突とヘッツァーの75ミリ砲が西の車輌を仕留める。大洗二大歴女チームの見事なコンビ撃ちであった。そして同時に西の戦車も砲撃を放つ。その砲弾はⅣ号を掠めるにとどまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『知波単学園全車行動不能!!よって、大洗女子学園の勝利!』

 

 

 

 大洗

 

 残存・Ⅳ号戦車H2型仕様、M3中戦車・リー、Ⅲ号突撃砲F型、38t軽戦車改ヘッツァー

 

 撃破・ポルシェ・ティーガー、ルノーB1・bis 、八九式中戦車、三式中戦車、センチネル巡航戦車6ポンド長砲身型

 

 

 

 知波単

 

 残存・なし

 

 撃破・一式中戦車3輌、九七式中戦車改4輌、三式砲戦車2輌

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ありがとうございました!!」」

 

 戦い終えた両校は集合して声を揃えて頭を下げる。

 

「開始時にはいけると思ったのですが、完敗であります。」

 

「いえ、レオポンさんとカモさんがやられてしまうなんて想像してませんでした。私たちも動揺してしまいましたから。」

 

 実際に知波単の作戦は見事だった。昨年黒森峰に正面から挑んで完敗した全国大会から大洗エキシビジョンマッチや北海道決戦を経て、新戦車も導入し確実にパワーアップを果たしていた。

 

「もしかするとそこで一気に突撃すべきだったかもしれませんね。勉強になりました!」

 

 今回は独断行動により指揮系統が乱れたことと慎重になりすぎるあまり敵に作戦を整える時間を与えてしまったことが敗因と言えよう。

 

「ようし!!それでは諸君!!」

 

 並んだ隊員一同へと振り替えって西は告げる。

 

「覚悟はできてるな!」

 

「「「はい!西隊長!!」」」

 

 副隊長以下全員が声を揃える。

 

「よしっ!!それでは準備して20分後に集合だ!」

 

「西さん、何をするんですか?」

 

 みほの質問に再び振り返ってしっかりと目を見て西が答える。

 

「敗者の花道であります。」

 

 

 

 

 

「こ、これは…。」

 

「なんとまぁ…。」

 

「…」

 

 知波単いわく敗者の花道を見たみほは思わず固まり沙織はなかば感心し、華は言葉を失う。それというのも目の前で中央通りをゆっくりと進んでいくトラック数台の上で知波単チームがタイツ着用であんこう音頭を踊っていたからだ。

 

 

 

「西隊長、恥ずかしいであります!」

 

「何も我々が自主的にしなくても良いのでは?」

 

「いかん!これは大洗の皆様への呼んでいただいたお礼なのだ!そして我々が明日勝利するための布石なのだ!」

 

 福田と続く細見の発言に西が怒鳴り率先して踊り舞う。

 

「良いぞ良いぞ!それもう一丁!!」

 

 先頭車で太鼓を叩く橋下団長がさらに威勢よくバチを振るう。

 

「皆!!この悔しさを忘れるなぁ!!!」

 

 知波単のやけくそあんこう音頭はなかなかに盛況であった。

 

 

 

 

 

 ちなみに黒森峰の逸見エリカ、知波単学園チーム一同はもっとらぶらぶ作戦において、アンツィオ高校チームはアンソロジーコミックにおいてあんこう音頭のタイツを着用しています。

 

 

 

 

 

 

 

「今日のMVPはカバさんチームだね。」

 

「先輩、おめでとうございます!」

 

「いやいや、今日の勝利はカメさんやアヒルさん達が敵を引き付けてくれたからだ。」

 

 一方でウサギさんチーム、カバさんチーム、ペンギンさんチーム、カメさんチームが集まって今日の戦果について話し合っていた。梓とシャルルの称賛にエルヴィンがトレードマークのドイツ軍帽のつばをつまんで返す。

 

 しかしなんと言っても今日はカバさんチームのⅢ号突撃砲が大活躍だった。味方が引き付けたとは言え、敵車輌の3分の1、3輌撃破している。

 

「ペンギンさんチームや新カメさんチームもよくやった。西隊長相手に一対一を挑んだり、体当たりもして、充分に活躍している。」

 

 カエサルからのお返しの称賛に新入生組が笑顔を見せる。そこへ続くはおりょうに左衛門佐。

 

「特にペンギンさんチームは隊長車を自らを犠牲にして庇うなんて、まるで弁慶のようだったぜよ。」

 

「いや、大阪の陣で真田幸村の影武者として庇い果てた真田十勇士の穴山小介だ。」

 

「いえ、戦艦大和を守って沈んだ駆逐艦浦風です!!」

 

「「「「「「それだ!!」」」」」」

 

 先輩に続けと言わんばかりに発言した武蔵の意見に歴女一同声を揃える。なんだかんだ言って皆馴染んで来ていた。

 

 

 

 

 

「ねこにゃー先輩!!もっと射撃を磨きたいです!」

 

「よく言った、まずはゲーセンへ行こう。」

 

「シュミレーションならおまかせもが!!」

 

 

 

 

 

「皆、明日から特訓するわよ!今度今日みたいな失態は許されないからね!」

 

「「「はい!!キャプテン!!」」」

 

 

 

 

 

「よしっ今からできる限りの整備するよ!」

 

「「「はいっ!!」」」

 

 

 

 

 

「良い?次こそ私達が活躍するのよ!」

 

「風紀委員の底力見せるのよ!」

 

「「おーっ!!」」

 

 

 

 

 

 その他のチームも今日の試合を振り返ったり、自分達のすべきことを模索する。明日からの訓練にも熱が入ることだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「みほさん、西さん。」

 

 一方でやけくそあんこう音頭を終えた西と合流したみほは背後から呼び掛けられ振り向くと思わぬ人物がいた。

 

「オレンジペコさん!?」

 

「オレンジペコ殿!!」

 

「ごきげんようです。」

 

 聖グロリアーナ新隊長オレンジペコが笑顔で立っていた。

 

「ご無沙汰しておりました!」

 

「わざわざ観戦に来てくれたんですか?」

 

「そうですね、私は大洗のファンですから。それに…」

 

 西とみほの言葉に返しつつ少し含みのあるような笑みを浮かべて…。

 

「今年の偵察です。よろしければお茶などいかがですか?」

 

 この時2人はペコがダージリン化しつつあるのではと考えた。

 

「じゃあ…少しだけ。」

 

 

 

「お待ちしておりましたわぁ!」

 

「西住さん、西さん、どうぞこちらへ。」

 

「お2人ともお疲れ様っす!」

 

「みほさん、良い試合でしたよ。」

 

 オレンジペコに案内された先でみほはさらに思わぬ人物達の歓待を受けた。

 

「ローズヒップさん、エクレールさん、ペパロニさん、小梅さん。」

 

「いやぁ、各校の幹部が揃いぶみでありますな!」

 

 ペパロニは事前に応援に来ることと屋台を出す旨を受けていたため2人は知っていたが他にもこれだけ来ているとは思わなかった。

 

「エクレールさんと赤星さんは偶然いらっしゃってたそうですよ。」

 

「西住さん、お久しぶりですわね。さ、お2人ともどうぞどうぞ。」

 

 ペコが説明するとエクレールが2人に席をすすめる。エクレールとオレンジペコがみほを挟む形に、ペパロニと小梅が西を挟む形で着席する。

 

「何になさいますか?」

 

 みほの質問に各々答える。

 

「それじゃあ、オレンジペコさんと同じものを。」

 

「自分は冷えた麦茶をお願いします。」

 

「はい、ではオレンジペコをもう1つと麦茶を。」

 

 近くの給仕係に伝えるとすぐさま2人の飲み物が運ばれて来た。そこでエクレールが突然みほへ頭を下げた。

 

「西住さん、改めて昨年のこと謝罪いたします。」

 

「エクレールさん?」

 

「私にとって恩人たるあなたの危機に私達は何もできなかった…。」

 

「あ…。」

 

 エクレールの発言によって昨年の北海道決戦でのことだと思い至る。

 

「あなたたちとの練習試合のおかげで私達のマジノ女学院戦車道は電撃戦術の道を拓くことが出来ました。しかし…私達には何も…。」

 

 あの時エクレール達マジノ女学院は姉妹校であるBC自由学園の起こした内紛によってとても大洗に加勢することが出来ず、ダージリンからの応援要請に各校が応える中でエクレールは悔し涙を流してみほへのメッセージを託すことしか出来なかった。

 

「エクレールさん…私はあなたのメッセージをダージリンさんから受け取った時にとても心強くなれました。」

 

「…」

 

 みほの言葉が彼女の思いとともにエクレールへと伝わる。

 

「ここに来れなくても、自分を支えてくれる人や、想ってくれている人がいるんだって…。」

 

「みほさん…。」

 

「実は私達の今の教官も、あの時メッセージを送ってくれた人なんです。」

 

 羽村葵教官、直接会うことは無かったが彼もまたみほが戦車道大会決勝での行動が非難されたとき、黒森峰から大洗へと転校したとき、そして廃校の危機にさらされたときに彼女を支えた1人だったのだ。

 

「あなたや色んな人の言葉が私のことを勇気づけてくれました。」

 

 

 

 

 

『みほちゃん、頑張ってね!!俺は東京から動けないけど、応援してるよ!』

 

『みほさん、気圧されず、いつものあなたで戦って。そうすればきっと勝利はあなたの手に…。』

 

『みほちゃんガンバ!!大丈夫!!きっと勝てるよ!』

 

『みほちゃん、私は勝利を信じてる。だからみほちゃんも信じて頑張って!!』

 

『みほ、負けないでね!私との約束のために、私も頑張るから。』

 

 かつて兄のように慕った葵、大洗としての初勝利を称えてくれたエクレール、かつて共に戦車に乗った親友の瞳と千紘、そして同じくドイツにいる親友のエミ。みほのもとに来ることはできなかったが、その想いがこめられたメッセージはみほの大きな心の支えとなった。

 

 

 

「エクレールさん、ありがとう。」

 

「みほさん…。」

 

 みほの言葉にエクレールは瞳を潤ませてしまう。あの日交わした握手のように自然と2人はお互いの手を握りあった。

 

「くぅぅ~良い話っすねぇ!ぐすっ!!」

 

 こういうのに弱いのかペパロニが涙を流して鼻を啜る。

 

「でも本当に良かったですね。こうして私達はまた戦車道が出来るんですから。」

 

 小梅の言葉に全員が頷く。戦車が繋いだお互いの絆が失われかけても再び戦車で結ぶことができたあの夏は皆の宝物となっていた。

 

「今年こそは私達が優勝して勝利のお紅茶をいただきますわ!!」

 

「いや、ノリと勢いの増した私達アンツィオが最強っす!」

 

 ローズヒップが紅茶のカップを掲げて勝利宣言をするとペパロニが続く。そのとき

 

 カシャカシャ

 

「良いねぇ、これぞ青春の意気込み!!」

 

 テーブルに座る彼女達を撮影するカメラの音がする。いつの間にやらカメラを構えた男性が来て写真を撮影していた。

 

「一文字さん。」

 

「はい、みほちゃん視線ちょうだい。」

 

 名前を呼ばれた男は気にせずみほに指示を出す。

 

「ちょっとあなた、いきなり失礼ではありませんこと?」

 

 エクレールが少し咎める口調で言うと男は顔をカメラから離した。

 

「おっと…これは失礼しました。」

 

 七三に固められた黒髪、気持ち細目に太めの力強い眉、170後半はあると思われる背丈に服装は黒シャツに白色のズボンに黒ブーツ。そして首から下げたカメラと赤いスカーフがトレードマークな人物。

 

「マジノ女学院の隊長さんは初見でしたね。一文字隼人(いちもんじ・はやと)、カメラマンで大洗の密着取材を担当してます。」

 

「一文字さんは去年の大会頃から大洗に通いで来てくれてるの。」

 

 みほが補足して男の素性を明らかにした。エクレール以外の面々がとくに声をあげたりしなかったのは昨年の大会等で大洗行くところ必ず現れるためすっかり顔見知りだったからだ。

 

「大洗女子の快進撃を取材するためにね。いやぁ局長から社内表彰されるなんて去年の今頃は思ってなかったよ。そのおかげで今年も担当できるなんて本当にありがたいね。」

 

 カメラを片手になんとも嬉しそうに隼人が言う。なにせ彼の写真を載せた記事が飛ぶように売れるのだからカメラマンとしてこんなにも嬉しいことは無いのだろう。

 

「せっかくなんすから私らも撮ってくださいよ。」

 

 ペパロニの言葉に素早く隼人が反応する。

 

「ん?それは名案、撮影させてもらえますか?」

 

 全員異義なしだった。当初は隼人の登場を好ましく思わなかったエクレールも承諾する。

 

「はい、撮りますよ~!ハイ、チーズ!!」

 

 中心にみほ、左右にオレンジペコと西が配置、後ろには小梅とペパロニ、エクレール、ローズヒップが並んで写真を写す。

 

 

 

 

 

 

 

『大洗女子学園、本年度白星スタート!!』

 

 翌日の戦車道新聞の一面を大きく飾った記事である。

 

『昨日大洗にて行われた大洗女子学園対知波単学園の練習試合は大洗女子学園に軍配が上がった。昨年度の高校全国大会優勝、大学選抜チームとの対決は記憶に新しい。大洗女子は新戦力にセンチネル巡航戦車を加え、新履修生も多数参加しての勝利は今年の更なる躍進を予感させてならない。また聖グロリアーナや黒森峰女学園等の強豪校も見学に来ており、今年は例年以上の激戦が期待される。今回の試合について大洗の隊長である西住みほさんは「なんとか勝利できましたが知波単も強くなってます。今年は昨年以上の激戦になりそうですが新入生の皆さんもとても頑張ってくれていますので、この勝利で自信をつけて全国大会でも皆の活躍を期待してます。」とのこと。一方知波単の隊長西絹代さんは「今日の敗北を糧として、各員のさらなる努力と意識改革を願い日々精進を貫こうと思います。」とのこと。来月に迫った高校戦車道全国大会にさらなる注目が集まる中でのこの戦いは今年の更なるドラマを予感させてならない一戦となった。』

 

 一面トップにはあの時並んだ7人の写真が飾られていた。




今回登場のキャラクターは仮面ライダー2号の一文字隼人です。おやっさんが出るならやはりライダーにも出てもらわねば
ちなみに改造人間ではありません。

ちなみに今回の中で出てきたマジノ女学院とBC自由学園の内紛騒動は劇場版ガールズ&パンツァーの小説版にて語られるエピソードです。また千絋、瞳、エミの3人はもちろんガールズ&パンツァー・リトルアーミーに登場するキャラクター達です。


次回予告
ついに来た全国大会抽選会、注目が集まる中で大洗との相手は新設校?優花里が潜入したそこで待ち受けていたのは…。
次回「抽選会・強敵ゲルダム高校です!」

そして今回の練習試合のショートショートな番外編も用意しつつあります。
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