まずは今年の戦車道全国大会から見ていきましょう。
そして迎えた抽選会の日、集まった各校の代表達がくじを引いていく。昨年優勝の大洗女子学園はトップであった。
(うぅ…緊張する…。)
こういう場になれていないみほは多くの視線が集まる中で抽選箱から札をとる。昨年はまったくの無名とあってステージに注目していたのは聖グロ勢と黒森峰勢くらいだった。
『大洗女子学園、13番!!』
放送が流れると場内がざわめく。16の学校がそれぞれ8校ずつA、Bブロックに別れてトーナメントが行われるのがこの戦車道全国大会の通例だ。
「13番、Bブロックですね。」
「優花里先輩、今年はどんな高校が相手なんでしょうかね?」
みほと一緒にやって来た優花里と梓は壇上から降りてくるみほを見ながら会話する。去年はいきなりのサンダース大学付属高校という強敵と闘うはめになってしまったが今年はいかに?
続いて準優勝の黒森峰女学園の隊長逸見エリカが立ち上がりステージを目指す。途中みほとすれ違いなにやら一言二言交わして行った。
「エリカ殿から何か言われましたか?」
戻ってきたみほに優花里が少し心配そうにたずね、梓もみほへと顔を向ける。今回初めて抽選会についてきた梓は実際見てはいないが昨年の抽選会の後でみほ達あんこうチームと黒森峰代表として来ていたエリカとの間でひと悶着あったのだ。
「ううん、大丈夫。今年も決勝で待ってるって。」
どうやら取り越し苦労だったようだ。
『黒森峰女学園、6番!!』
逸見エリカが引いた番号に会場がどよめく。黒森峰はAブロック。つまり昨年と同じく決勝までお互い接点が無い組み合わせとなった。
さらに各校代表が次々とステージの上でくじを引いていく。
『プラウダ高校、1番!!』
『聖グロリアーナ女学院、15番!!』
『アンツィオ高校・9番!!』
『サンダース大学付属高校、5番!!』
『知波単学園、12番!!』
『継続高校、8番!!』
『マジノ女学院、3番!!』
そして…
『ゲルダム高校、14番!!』
大洗女子学園と最初に激突する相手が決まった。
「ゲルダム高校?」
「聞き覚えの無い学校ですね。」
「私も初めて聞いた。」
梓、優花里、みほが続けて言葉を発する。戦車道名門の家系であるみほも知らないとは全くの新設校と言うことか。
そして壇上から件の学校代表が降りて行くところであり、ほぼ同時に3人の方にその人物は数秒視線を向けた。
「大洗女子、相手にとって不足なし。」
青と黄色を基調とするセーラー服に身を包んだゲルダム高校戦車道隊長黒部将実(くろべ・まさみ)はそう呟いて視線を逸らした。
第64回日本戦車道高校生大会
マッチング一覧
Aブロック
第1試合 プラウダ高校対メイプル高校
第2試合 マジノ女学院対ヴァイキング水産高校
第3試合 サンダース大学附属高校対黒森峰女学園
第4試合 コアラの森学園対継続高校
Bブロック
第1試合 アンツィオ高校対ヨーグルト学園
第2試合 秀麗あおば高校対知波単学園
第3試合 大洗女子学園対ゲルダム高校
第4試合 聖グロリアーナ女学院対ワッフル学園
大洗が初戦を突破すればおそらく聖グロリアーナと第二回戦で激突することだろう。聖グロは大洗が四強で唯一白星を逃している相手であることからかなりの激戦が予想される。そして知波単、アンツィオとこれまた大洗には因縁ある相手が組み込まれていることも注目されていた。また今回初出場となるゲルダム高校(鳥取県)、秀麗あおば高校(京都府)と西日本勢が増えたことも今大会の特徴と言えよう(その他の西日本勢、黒森峰女学園・熊本県、サンダース大学付属高校・長崎県、なお昨年参加のBC自由学園は岡山県にある)。
一方でAブロックではいきなりの黒森峰対サンダースが1番の注目を集めた。しかも勝ち上がった方はプラウダと激突する可能性も高いうえに継続高校も勝ち上がるだろう。かなりの熱戦だ。
ちなみに昨年の出場校であるBC自由学園とボンプル高校は前者が昨年起こした内紛騒動の責任として部活、履修科目の活動及び大会等への参加自粛。後者はタンカスロン(強襲戦車競技)への注力のため今大会不参加である。
大洗代表の3人は抽選会の後、取材陣の猛攻を切り抜けて戦車喫茶ルクレールにて休憩をとっていた。
「ゲルダム高校…鳥取県の鳥取砂丘に近い鳥取港を母港とする学園艦とありますね。」
「へぇ、鳥取か…。」
「砂漠に戦車…ドイツのアフリカ軍団なんかが似合いそうですね。」
梓が携帯で調べた情報にみほが相槌を打ち優花里が返す。何やらその瞳が輝き始めたように感じたみほの顔にひとすじの汗が流れた…。
「優花里さん…もしかして…」
一週間後…
『秋山優花里ゲルダム高校潜入作戦!!』
ドドーン!!という効果音と共に大洗戦車道ミーティングルームに設置されたモニターに赤字のタイトルが浮かび上がった。
『わたくしは今、謎に包まれたゲルダム高校へと潜入しつつあります。今回もコンビニ船を利用しております。』
優花里のナレーションが始まり少し遠くにゲルダム高校学園艦の姿が見える。大きさは大洗女子学園の2倍以上、外観は潜水艦Uボートを彷彿とさせる。
『ここがゲルダム高校ですね。なんとものものしい校章でしょう。ちなみにこの学校はもともと2年前までは大鷲学園という名前だったそうであります。』
場面は切り替わり校舎入り口へ。正面から見据えると鷲に絡みつく蛇という独特な校章が嫌でも目に入る。
さらに時間が進められ戦車道訓練の時間がきた。
『これより、我がゲルダム高校戦車隊旗掲揚、全員注目!!』
訓練前の訓示が始められる前に幹部と思われる生徒の宣言に合わせて練習用グラウンドに立てられた旗竿にするすると旗が上がっていく。赤地の布に黒を主体とした色彩で校章が描かれた旗が風に翻る。
『では続いて、黒部隊長からの訓示である。』
壇上の生徒がさらに続けると全員が体勢を戻す。壇の後方から1人の生徒が上がってきた。優花里がすかさず隠したカメラをズーム操作する。青を基調とした他の生徒とは違う黒いパンツァージャケットに身を包み所々に軍服の様な装飾がなされ、制服の色に合わせた黒色のオープンヘルム式鉄兜を被っている。風にはためくその頭頂部の赤いトサカ状の羽根飾りがなんとも鮮やかだ。
『諸君、我々は無事先日サンダース大付属の二軍とヴァイキング水産高校との練習試合に勝利した。しかし相手は我々より格下。この程度で満足されては困る。』
白手袋をはめた右手に握る指揮棒をうならせて威圧するがごとき話し方。優花里は思わず息を呑んだ。
『我々には勝利の二文字しかない。そのためには各員が最善を尽くし、時に勇敢に、時に非情となることが求められるのだ。甘い考えでは大洗に足元をすくわれることになるやもしれん!』
そして指揮棒を高々と振り上げて叫びを上げた。
『我々は必ずや勝利をおさめる。それが我が栄光あるゲルダム高校戦車道!!我々には敗北はない!!アフリカ砂漠の砂嵐の様な怒濤の熱き一撃のもとに大洗の寄せ集め戦車の愚連隊を叩きのめすのだ!』
『おぉーっ!!!!』
ゲルダム高校戦車道の全員が腕を上に突きだして応える。とりあえず優花里はそれにならい、もしかしたらこの高校はかなりのダークホースなのでは無かろうかと思い巡らせる。カリスマ性の高い指揮官に結束力の高い隊員達、そしてドイツの強力な戦車、強敵の予感がする。
『さて、諸君。これより訓練だが、その前に紹介したいゲストがいらっしゃっている。』
壇上の将美がそう言うやいなや優花里のいる方へと顔を向けた。
『そこにいることはわかっているのだ!!大洗女子学園のスパイ、秋山優花里!!』
『えっ!?』
カメラ目線となった将美が続ける。
『我がゲルダム高校を少々甘く見ていたな。』
優花里の左右に立った隊員が彼女の腕を掴む。
『丁重にもてなしてやろう。連れていけ!!』
「試合前の偵察行為とみたが…。」
ゲルダム高校戦車道の隊長室に連れてこられた優花里は持ち物検査の後尋問を受けていた。
「黙秘かね…まぁ良いだろう。」
そう言うと将美は立ち上がって指揮棒を右手に持って左手の掌でその先を軽く握りながら続けた。
「せっかく来てくれたんだ、我が戦車道の特訓を見ていただこう。」
「総員整列!!」
将美と優花里が訓練所に戻ってきたのを確認した副隊長格が声をあげるとそれぞれの車輌にいた履修生達がすぐさま集合した。
「まず基礎トレーニングは終了だ。ここから本格的な特訓に入るぞ!」
「まずは1年生チーム、前へ!!」
『良いか!?この訓練はただの戦争ごっこではない!!常に動き回らねばどうなるか?分かっているな!」
「はいっ!」
「よしっ!!ではかかれ!」
Ⅲ号F型・N型アフリカ軍団仕様、Ⅳ号G型アフリカ軍団仕様、Ⅵ号ティーガーⅠアフリカ軍団仕様
次々と主力の戦車が現れる。情報通りドイツ系の車輌が主力である。
「第1、第2、第3チーム、前へ!」
呼ばれたチームが前に出る。それぞれⅢ号戦車F型2輌、ティーガーⅠに乗る。
「砲爆隊用意!」
少し離れた丘に何か戦車と思われるものが集まっている。
「あれは!?」
優花里はカメラをズームアップして見る。そこにいたのは…
「38t対戦車自走砲マルダーⅢ!!それに…Ⅱ号自走重歩兵砲!!」
いずれもドイツ軍アフリカ軍団の北アフリカ戦線で活躍した対戦車自走砲と歩兵榴弾砲である。前者が5輌、後者が2輌、さらにその先の丘にも各4輌用意されている。
38t対戦車自走砲マルダーⅢH型
重量約10トン
全長4.65m
全幅2.35m
全高2.48m
主砲75ミリ40式3型対戦車砲
大洗でも使用していたチェコスロバキア製38t軽戦車の車体に7.5cm PaK 40/3 対戦車砲を搭載したオープントップ式対戦車自走砲である。
Ⅱ号自走重歩兵砲
重量約11トン
全長5.41m
全幅2.6m
全高1.9m
主砲15㎝榴弾砲
こちらはⅡ号戦車の車体に15 cm重歩兵砲33年型を搭載した同じくオープントップ式自走砲である。主砲は榴弾砲のため貫徹力は低いがドイツ歩兵部隊が装備する砲としては当時最も大口径かつ強力であり、北アフリカ戦線などで敵拠点の制圧に威力を発揮している。
ちなみに第二次大戦中の駆逐戦車と自走砲の違いは明確には無く、所属の違いで分類される。駆逐戦車は機甲部隊、自走砲は砲兵部隊に所属する。
例
駆逐戦車
ヘッツァー、フェルディナンド、エレファント、ヤークトティーガー、ラング、トータス等
自走砲
Ⅲ号突撃砲、三式砲戦車、セモベンテ自走砲、BT-42突撃砲、Ⅳ号突撃砲、セクストン自走砲、グリーレ自走砲等
なお現在においての明確な違いは、近代的な戦車には移動する物体を砲撃する能力と移動しながら砲撃する能力が備えられている。対して自走砲では、自衛戦闘時に直接射撃が行なえるように照準器を持つものもあるものの、あまり重視されておらず、長距離の目標へ向けてどれだけより多くの砲弾を短時間で投射できるかと言う定義がある。
「訓練開始!!パンツァー・フォー!!」
将美の号令に3輌が走り出す。単縦陣でティーガーⅠを2輌のⅢ号が前後で挟む形だ。
「自走砲部隊、攻撃用意!」
「ファイエル(撃て)!」
副隊長格が続けて指示を出す。すると…
「なっ!?」
用意されていた自走砲部隊が砲撃を開始した。Ⅲ号とティーガーの周囲に次々と炸裂する。
「驚いたかね?あの一帯には簡易型の地雷も仕掛けてある。」
その模様を見ている優花里に将美はさらに続けた。
「決して我々は生半可な気持ちで大会に挑んでいるのではない。自ら的になることで仲間の隊員の士気を高め、度胸を身につけさせるのだ。それも西住流が提唱するような鋼の意志をな。」
「すごい…。」
「勝つばかりではなく、追い詰められた時こそが真価を発揮するのだ。」
そして3輌は脱落することなく危険地帯を突破した。
「ご理解いただけたかね?」
「はい。」
なんという気迫のこもった特訓だろう。こうしている間にも地雷原を次々と戦車が駆け抜け、ジープが簡易型地雷を適宜落としていく。
さらに3年生チームまでこれを終えると今度は岩やドラム缶が点在し数輌の戦車や自動車が行き交う地帯を戦車で横断する訓練、起伏の激しい地帯での一斉行進間射撃と続く。
「ここまで2年かかった…強豪校に勝つために人を揃え装備を割り振り、人を育て戦略を練り時には鬼になり…。」
決して楽な道では無かったのだろう。優花里の交遊関係の中でならばかつてアンチョビがアンツィオ高校で戦車道を建て直したごとく彼女もまた自分の力の限り自らと仲間を虐め抜いてきたのだ。
そしてしばしの感慨に耽っていた将美は優花里へと顔を向けた。
「ではそろそろお引き取り願おう。蟹森、坪亀。」
傍で控えていた2人の隊員を呼ぶ。
「秋山さんを連絡船までジープで丁重にお送りしろ。」
そして将美は今一度優花里のカメラに向き直った。
「大洗に告ぐ、我々ゲルダム高校戦車隊一同、試合の日を楽しみにしている。」
「なんとも…」
「恐い特訓でしたねぇ。」
一通り優花里の持ち帰った映像を見終えた大洗の主だったメンバーはその内容に言葉が出ず、少しの間を置いてみほと梓が確認するように口を開いた。続いてアヒルさんチームの磯辺典子が発言する。
「しかし結束力、士気共にひじょうに高いと言えます。戦車に限らず集団競技には強みですね!」
バレー部のキャプテンでもある彼女らしい分析だ。
「みぽりん、何か手はあるかな?」
「うーん…。」
同じチームの沙織から質問されてみほは首を傾げて考える。
「一回戦のステージは砂漠地帯ですから地の利もあるだろうな。」
「砂漠なら街を除けば遮蔽物は少ないはず…。それなら車高の低い我らのⅢ突やヘッツァーの出番。」
「また砂に紛れて狙い撃ちですね!」
隣同士に座ったカエサルとツチヤが話し合っていると武蔵が会話に入ってくる。
「いや、果たして通じるだろうかにゃ?」
「どんな状況にも流されないようなら…ここは一気に攻め込んで一点集中、敵の頭を潰すべきよ!」
対面に座るねこにゃーとゴモヨが意見を出す。
「いや、ここはリー、ヘッツァー、八九式、センチネルで機動部隊を編成して敵を撹乱して機を伺うのはどうだろう?」
「アンツィオ得意のマカロニ作戦を拝借して誘き出すというのは?」
エルヴィンも続けて提案し、最後に末席に座る澄も手を控えめにあげて発言する。
各員次々と案を出していき優花里が纏めていくが隊長のみほはホワイトボードに貼られた資料を見ながら首を傾げ続けていた。
「う~ん…。」
「西住殿、ずっと悩んでますね。」
下校してもみほは74アイスにて悩んでいた。ついてきた優花里がその様子を見ながら言う。
「戦ったことのない相手だから大変だね。」
同じくついてきた沙織からも心配そうな声が出る。
「…」
茨城メロンアイスをパクリとしたみほが無言で宙を見る。
「西住殿。」
たまらず優花里が呼び掛けるも…
「…」
反応なし。
「みぽりん。」
今度は沙織が呼び掛ける。
「うーん…。」
動きはあったが声が届いていない。
「西住殿!」
「わっ!」
改めて強く呼び掛けるとみほが驚き危うくスプーンを落としそうになってしまった。
「ゆ、優花里さん…ごめん…」
状況から自分が上の空になっていたことを理解したみほが謝る。
「西住殿、考えるのは必要でしょうが我々にも頼ってください。」
力になりたくて仕方のない優花里、そして沙織も続くが…
「そうだよ、3人寄れば紋次郎の知恵って言うじゃない!」
「武部殿、それを言うなら3人寄れば文殊の知恵です。」
「…」
優花里の突っ込みを受けた沙織がやっちゃったと言った感じに固まる。
『あっしには、関わりのねぇこってす…。』
ちょうど近くに設置されたテレビからそんな台詞が聞こえてきた。
そうしている間に各校の対決が決していく。
Aブロック
第1試合 プラウダ高校対メイプル高校
プラウダ高校戦力
T-34-85中戦車3輌、T-34-76中戦車3輌、BT-7快速戦車2輌、KV-2重戦車1輌、IS-2スターリン重戦車1輌
山岳地帯における戦いでプラウダ高校が勝利
第2試合 マジノ女学院対ヴァイキング水産高校
マジノ女学院戦力
ソミュアS35長砲身型2輌、ルノーB1bis2輌、ルノーB1型3輌、ルノーAMC35軽戦車2輌
無人島における戦いでマジノ女学院が勝利
そして…
第3試合 サンダース大学付属高校対黒森峰女学園
「ここで決めるわ!」
「こうなりゃ自棄よ!突っ込め!」
荒れ地ステージを舞台に四強の2校、サンダース大付属と黒森峰の戦いが繰り広げられていた。
サンダース大学付属高校戦力
M4中戦車シャーマンA1型3輌、同A3型2輌、同A3イージー8型3輌、ファイアフライ2輌
黒森峰女学園戦力
ティーガーⅡ2輌、ヤークトティーガー1輌、エレファント1輌、Ⅲ号戦車J型2輌、パンターG型4輌
高地よりファイアフライで狙撃、残りの車輌で撹乱する作戦をとったサンダースであったがパンターの機動力を利用しての応戦と重駆逐戦車の装甲を盾に利用した作戦でファイアフライを仕留めた。昨年の大洗の戦い方を参考にした作戦であったがやはり黒森峰は一筋縄ではいかなかった。
「うおぉぉぉぉ!」
試合の終盤、サンダース隊長アリサのイージー8がA1型2輌を引き連れて突撃する。待ち受けるは黒森峰隊長逸見エリカのティーガーⅡ、副隊長赤星小梅と直下リタのパンターG型2輌。
「ファイエル!」
「ファイヤー!」
すれ違い様の砲撃、まさしく荒野の決闘のごとき激突は…。
『サンダース大学付属高校フラッグ車、行動不能!!よって、黒森峰女学園の勝利!!』
黒森峰に軍配が上がった。
「くそっ!」
アリサは悔しげに車内の手すりを叩いた。
荒れ地における戦いで黒森峰女学園の勝利
第4試合コアラの森学園対継続高校
継続高校戦力
BT-42突撃砲1輌、Ⅳ号戦車G型1輌、Ⅲ号突撃砲G型1輌、T-26E戦車1輌、T-34-76中戦車1輌、T-50戦車1輌、BT-7快速戦車3輌、KV-1重戦車1輌
ゴーストタウンにおける戦いで継続高校が勝利
Bブロック
第1試合 アンツィオ高校対ヨーグルト学園
アンツィオ高校戦力
P40重戦車1輌、セモベンテ自走砲M41型3輌、カルロアルマートM15型1輌、L3-cc5輌
渓谷地帯における戦いでアンツィオ高校が勝利
第2試合 秀麗あおば高校対知波単学園
知波単学園戦力
一式中戦車4輌、三式砲戦車3輌、九七式中戦車改3輌
秀麗あおば高校戦力
バレンタイン歩兵戦車Ⅲ型5輌、M4中戦車シャーマンA1型2輌、ヴァリアント歩兵戦車1輌、チャレンジャー巡航戦車2輌
雪原地帯における戦いで知波単学園が勝利
「もうすぐ我々大洗とゲルダム高校の試合の日だ!」
放課後、戦車ガレージの前で大洗女子学園戦車道履修生全員が集合していた。
「相手はドイツのアフリカ軍団を彷彿とさせる戦車隊、しかも敵に有利な砂漠での戦いとなる。」
「総合戦力と地の利は向こうにあると見て良いでしょう。」
副隊長のエルヴィン、そして参謀格の優花里が履修生達の前に出て試合に関する訓示を行っていた。隊長のみほと副隊長の梓も同じく前に立ち、少し離れた場所に羽村葵以下教官と補佐一同も揃っている。
「しかし、我々はここで負けるつもりなど毛頭無い!新戦力も揃えて各自のポテンシャルも上がってきている!相手がゲルダム軍団だろうがロンメル軍団だろうが我々は怖れない!」
エルヴィンの力強い言葉に履修生達から賛同する言葉がいくつか上がった。ここで隊長のみほが一歩前に進み出る。
「それでは皆さん、力を出しきって全国大会にのぞみましょう。例え相手がこちらより数が多くても決して勝てないわけでないことは昨年証明しました。」
第1回戦、2回戦10対5、準決勝戦15対6、決勝戦20対8、大洗は完全に数で負けていたが各々の持ち前の技術や力、そして運を味方につけて戦い抜いてきた。
「今年も優勝を目指して、私も頑張ります。皆さんの力を貸してください!お願いします!」
みほがそう言って頭を下げた。しばし一同の沈黙…そして…。
「西住隊長、そんな言い方水くさいですよ!!」
「私達は大洗戦車隊の一員、運命共同体です。」
「廃校のプレッシャーの無い分戦いやすいと思うな。」
「賽は投げられた!!戦車道こそが我らが生きる戦場!!」
「出オチの汚名を返上するぞ~!」
アヒルさんチームの磯辺典子を筆頭にゴモヨ、ツチヤ、カエサル、ねこにゃーと各リーダーが発言し、他の面々も意気高く「やるぞー!!」「大洗ファイトー!!」と続く。メンバーの士気も上がっていることが見てとれた。みほが顔をあげたときに見たのは頼れるメンバー達の自信満々な顔だった。
「では本日の練習はこれにて解散!!」
「「「「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」」」」
葵が教官として締めてこの日の訓練は終わった。
大洗女子学園とゲルダム高校の対決迫る。果たしてみほは作戦を立てれたのか?ゲルダム高校はいかなる戦法で大洗を迎え撃つのか?それぞれの関係者はもとより多くの人達が注目する試合が幕を開けようとしていた。
新設高校のゲルダム高校、ドイツアフリカ軍団は伊達じゃない?抽選会についてもショートを作ろうか考えてます。
ついに第一回戦に挑む大洗女子学園、砂漠を駆け抜けるリー、ヘッツァー、センチネル。相対する2輌のティーガー。そして試合を見物している大洗サポーターの中に意外な人物が…。
次回「熱砂の攻防・アフリカ軍団です!」
補足
各校の戦力は資料等を参考にして一部オリジナルな編成になっております。オリジナル高校のゲルダム高校はドイツアフリカ軍団、秀麗あおば高校は聖グロと同じくイギリス戦車です。
それと黒森峰の直下さんの下の名前『リタ』はオリジナルです。正式な名前がなく『直下履帯子』と言われてますがさすがにこの名前はいかがなものかとオリジナルで組みました。エリカや小梅がフルネームで出るのに彼女だけ名字止まりでは僕個人としてはなんとなくしまらないのですけれど皆さんはどうなのでしょうか…
そして潜水艦型の学園艦についてはマジノ女学院学園艦を参考にしました。
それと先日UAが5000こえました。読んでくださる皆様のおかげでございます。ほんとうにありがとうございます!