真・恋姫†無双 魏伝アフター   作:凍傷(ぜろくろ)

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56:魏/一握りの勇気の行方①

98/傷つけることよりも難しいこと

 

 ……最近、誰かに見られている気がする。

 

「………」

 

 それは、非番の日……俺が袁術に拳骨してしまった日よりも前から感じているもの。

 それと同じものが、ずぅっと俺を追っている気がする。

 ある時は街で、ある時は城内で。

 誰かの鍛錬に付き合わせてもらっている時でもそれは存在し、いつか霞に模擬戦に誘われた日にも、同様の視線を感じていた。

 そして、その視線の正体は多分……

 

……。

 

 中庭の東屋で、進捗(しんちょく)報告をするための書を纏める。

 日も半ば。

 昼食を終えてから取り掛かった仕事は、自室では落ち着かない理由もあって、こうして風に当たりながら実行していた。

 前の非番の日、自室に戻ればどうしてか破壊されていた俺の部屋の扉。

 それが、実はまだ直されていないのだ。

 扉が開けっ放しの部屋って、最初から扉がない解放的な部屋よりも不安になるし、“だったらいっそのこと”とこうして中庭で仕事をしているわけなのだが……どうしてだろうなぁ。前までならあっという間に直されていた筈の扉は、今回はやけに直るのが遅かった。

 そりゃあ自然に直るわけじゃないんだから、当然といえば当然なんだが。

 

「もしや誰かが直すのをやめなさいとか言い出したとか? 最近になって部屋に施錠するクセをつけ始めた俺を狙う誰かが……!」

 

 …………そうなると一人しか思い浮かばないから困ったもんだ。

 けどまあ、さすがにそれはないだろう。

 出来ることがあるとしたら闇討ちくらいなんだし……あれ? 待って? それ全然安心できないんだけど?

 

「………」

 

 あれ以来、袁術は俺の部屋には来ていない。

 元々宛がわれていたらしい部屋へと戻り、以前ほど顔合わせをしない日が続いている。

 華琳は、どうして袁術が急に俺の部屋を出ていったのかについては、一言たりとも教えてはくれなかった。彼女と袁術との間になにかがあったのは間違い無さそうなのだが、言ってしまえば拳骨して泣かせた相手の部屋にHIKIKOMOること自体が、たしかにおかしいといえばおかしい状況ではあった。出て行くのも当然……なのだが、やっぱり気になるのだ。俺の部屋の扉のことも合わせて。

 気になるものは仕方ない。というのも実際、何度か袁術の部屋に向かおうとすることがあった。その度になんとか我慢して自室に戻るようにしている俺。相手が動き切るまでは我慢だ我慢。

 

「ん、仕事仕事っ」

 

 筆を走らせる。

 進捗報告とはいっても、何をするでもなく平和な時間が続いている。

 対処に困る問題が起こることもなく、どちらかといえば警備隊は誰かの案内をすることが多くなった。

 平和な証拠だよな、うん。

 町人も賑やかに過ごしているし、かつて治安の悪さが目立っていた区画も、いつか流琉と話した警備隊の職安の話が上手くいったのか、落ち着きを見せている。一部じゃあ、かつてはワルだった者でも料理の腕さえ認められればって、躍起になって有名になった料理店もあるくらいだ。

 

(まあ、実際に今日、その店に食いに行ってみたわけだが……)

 

 そこで働いていた男が見覚えのある男だったもので、衝撃を受けた。といっても及川ほどの面識があるわけでもなく、ただまあ……この世界に初めて下りた時に会った、あの黄巾党の三人組の中のチビのほうだったって話だ。

 ヒゲのアニキのほうも別の店で頑張っているらしく、デブの方はその力を活かせる範囲で町人の手伝いをしているらしい。

 会ってみれば、揃って“客の笑顔ってのも悪くねぇ”みたいなことを言っていた。

 人間、変われば変わるもんだ。

 難しいのはそのきっかけを掴めるかどうかか……。

 あのチャーシューが美味かった店は、やっぱりというかなんというか、別の場所に移転してしまったらしい。つまり、ここではきっかけを掴めなかったってことだ。

 かつてはそこにあったものを見るように、そこを通る度に季衣が“チャーシュー……”と漏らしている。

 

「はぁ……」

 

 どうか別の場所でも誰かを幸福にしていますようにと願わずにはいられない。

 美味かったもんなぁ、あの店。

 

「……マテ? あの頃のことを思い出せば、アイスなんてものも華琳の手にかかれば……」

 

 とか思った矢先だった。

 視界の隅にぴょこんと動くドリル……もとい、……もとい…………ドリルか。

 麗羽ほどではないにしろ、巻いた髪を歩くたびにぴょいんぴょいんと揺らす存在が。

 まあ、華琳だけど。

 

「“噂をすれば影が差す”か。いいや、ちょっと訊きたいこともあったし、少しだけ時間をもらおう。……って、華琳への報告のことなのに、華琳に訊くのってどうなんだ?」

 

 考えてみた途端に、溜め息を吐く華琳の姿が思い浮かんだ。

 よし、自分でなんとかしよう。考えるコト、大事。

 で、そんなことを思った瞬間に見つかるのが世の常ってわけで。

 バッチリと目が合ってしまったからには隠れるわけにもいかず、そもそも隠れる意味もなく、華琳がこちらへ来るまでを待った。

 

「こんなところに居たのね」

「こんなところって……それが数日前にここで優雅に茶を飲んでたやつの言うことか」

「……言葉のあやというものよ」

「ははっ、まあ少しでも誰かを探したりすると、場所がどこでも“こんなところに”とか言いたくなるのはわかるよ。で、どうしたんだ? 進捗報告書なら今まとめてるところだけど」

「ええ結構。けど用事はそれじゃないわ」

 

 そう言って差し出したのはひとつの容器。

 そこには甘い香りを冷気とともに漂わせる例のブツが。

 

「…………噂で現れる影ってさ。普通ここまで人の予想通りに動かないと思うんだ」

「? なんの話よ」

 

 アイスだ。

 間違い無くアイスだ。

 しかもこの香りは……

 

「果実で香り付けしたのか?」

「ええ。以前、呉で採れたものを雪蓮が分けてくれたものがあってね。一刀と一緒に収穫したものだからって、笑いながら言ってたわね」

「へぇ……」

 

 人のことを散々引っ張り回してくれたからなぁ、あの呉王さまは。

 思い立ったが吉日で、その瞬間の相手の都合なんてものはまず考えない。

 そのくせ本当に大事な用事がある時には突撃してこないのだから不思議だ。

 あれも勘の為せる業ってやつなんだろうか。

 

「なかなか面白いわね、このあいすというものは。ここまで素材の香りが前に出る食べ物もそう無いわよ」

「材料が少ないくせに、その材料が香りのあるものばっかりだからだろうな。そりゃあ匙加減ひとつで変わるよ。で、食べてみていいのか?」

「そうでなければこうして差し出したりはしないのだけど?」

「そりゃそうだ。じゃあ……いただきます」

 

 匙子でアイスを軽く掬い、口に運ぶ。

 すると、ふわりと舌で溶けるアイスが口に甘みとほのかな香りを残し……

 

「あっ、これ茘枝(らいち)かっ!」

 

 冷気に乗る香りだけでは確信が持てなかった正体が、舌に乗り、ほどけた途端に確信へと至る。

 途端に“あぁ採った採った! 雪蓮と一緒に収穫したよこれ!”って思いが一気に溢れ、俺の顔はどうしようもなく笑みに支配された。

 

「ていうか美味い! しかもいろいろ思い出せて面白い!」

 

 ああっ、頬がじぃいんってする!

 酸っぱいのとは違った頬への満足感に、体が痺れる感じだ!

 

「雪蓮には酒にでもと渡されたのだけれどね。せっかくだから余ったものを使ってみたのよ」

「“せっかくだから”でこの味!?」

 

 相変わらずどうなってんだこの完璧超人さんは。

 クッキーの時もどうすれば美味いかを見極めたし、ハンバーグの時だってキングサイズを作っちゃうくらいの手際と味を見せ付けたし、ラーメンの時だって店の大将と同じ材料で美味いもの作ってヘコませたし……あれ? でもこの茘枝、雪蓮と一緒に収穫したものだとしたら……大丈夫なのか? カビやすいって聞くけど。

 と、そんな俺の視線が気になったのか、華琳は簡潔に“茘枝酒用に浸けておいたものを使った”と教えてくれた。なるほど。

 

「いっそおかしいってくらいだろ……天以外でこんなアイス食べられるとは思わなかったぞ……」

 

 天と違って“そういったもの専用”の設備があるわけでもないのにこの味だ。

 やっぱり機械よりも手作りの温かさなのか? 心を込めるって素晴らしいですね。

 と、あまりの衝撃にぶつぶつと言う俺を見る華琳は楽しげだ。

 しかしまだ知識を詰め込む猶予はあるといった、挑戦的な目をしている。

 キミはなにか、己の知識がどこまで天に通じるのかを確かめ…………たいんだろうなぁ。

 あ、じゃあ……

 

「なぁ華琳。こんなに美味いものを作れる華琳に、もう一つ天のものを伝えたいんだけど」

「あら、この私に作ってみせろと挑発でもする気?」

「妙な受け取り方するなって。ただ、これが出来たらいいなって思っただけだから」

「……? 出来たら、いいもの……?」

 

 余裕の笑みに困惑が混ざる。

 さて。もったいぶる意味も無いし、ぱぱっと伝えてみよう。

 モノとしては伝えたことはあるものだ。

 

「こうして天で食べてたものが食べれるなら、郷愁とかもなんとかなると思うからさ。えーと……日本酒が造れるかどうか、試したいんだ」

「日本酒? それって酒のことだったわよね。あなたね、ここに酒蔵でも作れという気?」

「あ、やっぱり作るなら蔵からじゃないとだめか」

 

 テレビとかで酒蔵は見たことはあったが、やっぱり材料さえあれば何処でも作れるわけじゃないんだなぁ。

 

「作るにしたってコウジカビとかの採取から始めないと……って待てよ? ラーメンあるんだし、醤油はあるよな。醤油作るのに使う菌がコウジキンだった筈だから……まずは白米を蒸すところから……ふむふむ。(かめ)を用意して酵母も作らないといけないし……」

「ちょっと。作ること前提で話を進めないでほしいのだけれど?」

「あ、すまん。こういうのってどうも、考え始めると止まらないな」

 

 ……それだけ、郷愁があるってことなんだろうか。

 天じゃあ必然的に飲みたくても飲めないってことばっかりだったから、これが郷愁なのかはまた別な話なわけだが。

 でも、じいちゃんは胃の中から清めるために飲むとか言って飲んでたっけ。

 俺は飲めなかったけど。

 

「霞と約束したんだよな、日本酒を飲ませるって。だからなんとか作りたいんだけど……失敗したなぁ~、ビールもワンカップも、呉のみんなにあげたから残ってないし……」

 

 って、そういえば黄酒も米で醸造するんだよな?

 それって日本酒と大して変わらないんじゃ……いや待て? たしか黄酒は白米じゃなく糯米とか黍米で作るんだったよな。麹菌も麦麹を使うから、日本酒とはやっぱり違うか。

 

「ちょっと一刀! それはつまり天の食物を持ってきていて、しかも雪蓮にあげてしまったということ!?」

「へっ!? あ、ああ……まあ雪蓮っていうか、ワンカップはほぼ祭さん一人が飲んでたな」

 

 あ。あの瓶とか缶に原料とか書いてあるかな?

 ……さすがに捨てられてるか。

 ていうかそれ以前に、俺に詰め寄る華琳が怖い! なに!? 何事!?

 

「なんてことをしてくれたのよ! せっかくの天の食物を味わう機会を!」

「え、いや……ああ、そういうことか……」

 

 怒ってた理由がわかった。わかったところで対処のしようがないが。

 ワンカップ、柿ピー、缶ビール、あたりめ、チーかま、これらを用意しろと言われても俺には無理だ。干しホタテあたりならなんとかなりそうか?

 

「ん? でも待てよ?」

 

 及川のことだから、別のところにも何か詰めてたりとか……。

 一応傍らに持ってきておいたバッグを漁ってみる。

 メモ、シャーペン、シャーペンの芯、携帯電話……ティッシュにタオルに着替え一式……二重底の下にはもう何も無し、と。あとは何処かに……無いか。

 さすがの及川でも二重底が限界か。

 まあ、あったとしても衝撃とか日光とかで大変なことになってただろうし、この場合は無くて正解かもなぁ。

 

「けどまああいつのことだ、バックの中の上のほうにめくれる仕掛けとか───……あったよ」

 

 側面に糸のほつれがあり、軽く引っ張ればブチチチチと切れるソレ。

 中には予想通りにブツが入っていて───白いソレを取り出してみれば、

 

  “必死こいてモノ探したかずピーへ。おつかれさん。 及川”

 

「あのヤロォオオオーッ!!」

 

 白い紙に書かれた悪友の文字に素直に叫んだ。

 ええいいっそこのバッグ解体してくれようか!?

 探せばまだこういったものが出てきそうな気がするぞ?

 ていうか……空気読もうぜ……? な、及川よぅ……。

 ここは“ウワーこんなところに酒ガー”とかいって一気に解決をさ……? なぁ……?

 

「な、なによ、急に叫んだりして」

「なんでもないっ!! 期待した俺よりもさらに馬鹿が天に居るって、それだけだっ!」

 

 紙を引き裂いてぐしゃぐしゃに丸めて円卓に叩きつけた。

 ボスって乾いた音が鳴っただけで、気分は大して晴れはしなかったよ……。

 溜め息を吐く俺を前に、「……なによ。簡単に怒れるんじゃない」とか呟く声が聞こえた。いや、これ怒りっていうよりはツッコミ……ああいや、怒りか。

 

「天の酒とかについてはほんとすまん。あれはどうしたってもう用意出来ない」

「そうでなければわざわざ怒ったりなんかしないわよ……はぁ」

 

 溜め息をつかれてしまった……。

 や、でもあれは仕方ないだろ。こっちだって新しい地でドキドキしてたし、早く打ち解けるためにも……って、言い訳だな、これは。

 急ぐ必要なんてなかったし、じっくり仲良くなればよかったんだ。

 ただし、魏に戻るまでに酒等を死守していたとして、飲めたか、味わえたかと訊かれれば否だろう。だって賞味期限があるし。酒やビールはまだセーフだったろうけど、チーカマとかは確実にアウトだ。開けた瞬間、ある意味芳醇な香りが華琳を迎えてくれたことだろう。

 そう思えば、“宴の時に気づく”ってことが最善だったんだろうが……気づけなかったもんな、俺。仕方ない。

 ……と、そうこう話しているうちにアイスをたいらげてしまい、ハッとした時には遅い。

 慌てて全部食べてしまったことを謝るが、

 

「構わないわ。“味見”のために用意したものだもの、食べ切ってもらわなければ処理に困るし」

 

 わざわざそんな、“味見”って部分を強調しなくても……。

 

「うん、でも美味かった。よくこれだけ美味く作れたよな」

 

 流琉が言っていたことも嘘じゃなかったってことか。

 料理を食べた瞬間、調理法やらなにやらまで頭に浮かぶとかなんとか。

 で、気に入らなければ“この料理を作ったのは誰!?”と、某倶楽部のおじ様の如き特攻を開始する……そんな話を、今は消えたチャーシューが美味いラーメン屋で聞いた。

 

「失敗とか考えないよな、華琳は」

「この私が腕を振るうのよ? 失敗なんかする筈がないわ。……まあ、それも地盤があってこそだけれど。なんの知識もなしに成功するのは奇跡だし、知識があっても腕がなければより良いものなど作れないわ。あいすにしたってそうよ。現物をあなたが食べさせたから作り方の想像も出来る。そうなれば、一刀に出来るのなら私にも出来て当然でしょう?」

 

 うわーあ、物凄い自信だ。

 しかも実際にやっちゃうんだから、大した横槍も入れられないんだよな……。

 が、これだけは言わせてほしい。

 麻婆豆腐は丼で、ご飯にかけて一気に食ったほうが美味い!

 邪道の中からも受け容れられるものを拾えてこその、味の修羅だと思うのだ!

 ……あ、今度店でも設けてみようか。その名も邪道飯店。

 知る限りの、ぶっかけた方が美味しいものや単品では出せない味を用意してみるんだ。

 華琳のことだ、さすがにそういう店では、味も見ずに追い出すなんてことはしない筈。

 そうして食べてもらって、美味いって反応が得られたら───……いつかのように“この程度の店にしては、ね”と付け足されるんですね?

 やめましょう。ええやめましょう。

 

「一刀? さっきからおかしいわよ? 唸ったり頭を抱えたり」

「……いや。華琳を満足させるのって難しいなって考えてた」

「なにかと思えばそんなこと? 当然でしょう? 軽い事柄で満足するようでは、王なんて務まらないわよ。満足しないからこそ次があるの。鍛錬を続ける身で、それがわからないなんて言わせないわよ」

「あ……なるほど、そういうことか」

 

 誘われれば迷わず鍛錬に参加する俺だ、それはわかる。

 これが限界だ~って諦めてしまえば、伸びるものだってそこで終わる。

 国を作るのが工夫や町人なのだとしても、管理し金を出す者が居ないのであれば何も成立しない。

 国の主に“この状態で満足しているのだ、勝手な真似は許さん”なんて言われたら、それから先にはなにも作られないのだ。

 王は満足してはいけない……か。また難しい話だなぁ。

 

「じゃあ一時だけでも満足したいとか思うこと、ないか? アイスでもプリンでも満足してもらえなかったし、なにかあればなって考えてるんだけど」

「………」

 

 黙り込んでしまった。

 多少視線を逸らした顔は何故か赤く、そんな華琳に「華琳?」と声をかけつつ手を伸ばすと……ごすっ! と頭頂に空になったアイスの容器が落とされ、悶絶した。

 

「ごぉおおおおお……!! い、いきなりなにをっ……!!」

「おかしなこと言ってるんじゃないわよっ!」

「お、おかしいって……俺はただ……!」

 

 急な痛みに苦しみながらも見た華琳は、何故か少し機嫌が悪そうにしたまま、何処から出したのかもわからない絶を構えて中庭を促した。

 

「……一刀、体を動かしたい気分だわ。少し付き合いなさい」

「エ? や、俺はさ、ほら、さっきも言った通り進捗報告の書類を───」

「なに? 私の言うことが聞けないというの? ……一刀、あなたは私の“なんだった”かしら?」

「ああぁああもうわかったよ! やるよ! 木刀置きっぱなしだから取ってくるから! ちょっと待っててくれ!」

 

 全てが語られるより早く円卓を立ち、自室へ向かって走る。

 バッグはあるものの、竹刀袋は部屋に置きっぱなしだったのだ。

 ……それにしても、袁術もだけど華琳だって相当な我が儘さんじゃないか。

 あれでよく人のことを……いや、そりゃあ見合う分の仕事はしてるけどさ。

 

「…………はぁ。本当に、なんとかしないといけないわね。我が儘を断る気が最初からないのかしら、あのばかは」

 

 なにか大変失礼なことを、呟きではなく普通に言われた気もしたが、気にせずに走った。

 というかきちんと耳には届かず、俺はそのまま自室へと駆けていった。




日間2位……一時とはいえ、いい夢見させていただきやした。ありがとうごぜぇやす。
いきなりお気に入りが一気に増えて、何事かと思った……!

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