真・恋姫†無双 魏伝アフター   作:凍傷

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67:三国連合/あなたらしく①

113/浮き足を地につけて、ゆっくりと

 

 三国の会合。

 初日から大騒ぎになったその日から、はや三日が経った昼。

 他国に来たということで妙に燥いでいた元気っ子たちがようやく落ち着きを取り戻す頃、俺はあまり変わり映えのしない書簡整理の日々に追われていた。

 仕事が増えたといえば増えたのだが、覚えることが増えたというだけだ。いや、これが“だけ”と言ってしまうのも問題なくらいの量なのだが……。

 

(はぁ……)

 

 出る溜め息も自然のものとして受け入れるくらいに繰り返し、やっぱりするのは書類整理だ。やってもやっても片付かないところは、平和な証拠なのか自分が平和ではない証拠なのか。

 

(……ん)

 

 悪い報せが一切ないのは平和と受け取っていいんだろうなと受け取って、お茶を一口すすったのちに書類整理を続行した。

 

「おぅれぇ~い! おぅれ~い! す・ぎ・け・ん・さっんっばーっ!」

 

 どうしてか部屋の真ん中にて、大声で、そしてノリノリで歌う美羽を横目に。

 

「お上手ですお嬢様っ! その、人の集中力を掻き乱すとわかりきった大声で歌うところなんてもう最高ですっ!」

「うははははーっ! そうであろそうであろっ、もっと褒めてたもーっ♪」

 

 原因は七乃だ。

 わかりきっていることだった。

 あの日───七乃と久しぶりの再会を果たした美羽は、それはもう燥いだ。

 七乃もそんな燥ぎ様を全力で後押しするもんだから、その興奮はあっという間に臨界点を超え……今ではこの有様だ。

 前までの、元気ではあったが無茶はしすぎない美羽はどこへやら───

 

「美羽。少し声を抑えような」

「おおっ、わかったのじゃ」

「!?」

 

 ───なんてことはなく。

 軽く注意をしてみれば、素直にこくりと頷いてくれた。

 それに対する七乃の動揺は凄まじく、その目が俺を睨むわけだ。

 “よもや私が居ないのをいいことに、お嬢様をあの手この手で……!”とばかりに。というか……うん、実際初めてこんな感じで注意した時に言われた。真正面から言われた。一切の遠慮もなしに言われた。つまりこの反応は初めてってわけでもないのだが、七乃にとってはそれだけ衝撃的な事実らしい。

 

「だ、だめですよぅお嬢様っ、ここは元気にっ、ねっ?」

「妾は主様には迷惑をかけんと決めておるのじゃ。いくら七乃の言葉といえど、それは聞けぬ」

「───!! おっ……おじょっ……お嬢様が……!」

 

 七乃の目を真っ直ぐに見て言う言葉に、七乃が驚愕という言葉を顔に貼り付けた様子で後退った。それはまるで、かつてない状況に怯えているかのようで……───そりゃそうか、蜀で会っていろいろと話を聞いていた限りでは、随分と……まあその、関係の偏りはあったものの、仲良くやっていたみたいだし。

 だっていうのに突然“自分よりも俺を信じる”みたいなことを言われれば……なぁ。

 

「従順なお嬢様も……これはこれで……」

 

 ───なんてことはなく(再)。

 七乃は怯えにも似た表情を上気したうっとり顔に変え、ふるりと震えたのちに美羽を抱き締めた。

 乙女心は未だに勉強中の俺だが、彼女の物事に対する反応はしばらく想像の域を脱しまくるんじゃないかと……小さく苦笑しながら思った。

 

「ということで一刀さぁん?」

「……な、なにかな?」

 

 と、ここで七乃が俺を怪しい目でぬめりと睨んでくる。

 獲物を逃がさぬ狩人の目と言えば聞こえはいいんだろうが……ギロリとも違う、擬音であらわせば“ぬめり”が一番しっくり来るような、嫌な目だ。

 動揺するな、睨まれる覚えもなければ、そもそも“自分の代わりにお嬢様を”と言ったのは七乃だ。まあ……そういうことも関係無しに行動した自分は居なかったのかといえば嘘になるが。

 そういう考えは無しにして、まずはお茶を───ってちょっと待った。こういう状況でお茶を飲むと、次の瞬間に七乃が爆弾発言をして……

 

「お嬢様をおいしくいただいたのなら、かつてのお話通りに次は私を───」

「………ウワーイヤッパリー」

 

 飲まなくてよかった。多少の心の準備をしておいてよかった。

 軽く頭痛がするのを感じながらも深呼吸して、霊性……もとい、冷静に対処を開始。

 

「えっとな、おいしくいただくっていうのがどういう意味なのか───」

「それはもちろん組み敷いて、あはぁんといただいてしまったという意味で」

「断じて無いっ! いただいてないっ!」

「えっ───あれだけの時間をお嬢様と一緒の部屋で過ごし、お嬢様と同じ寝台で寝ていたにも関わらず、あの魏の種馬一刀さんが一切……!?」

「あ……あのなぁ、いくら───って額に手ぇ当てても熱なんてないから!! 蜀でだって誰にも手を出さなかった前例ってものも少しは判断材料に入れてくれよ!!」

「実はあの頃から信用を得るために前準備を───!」

「するかぁっ!!」

 

 確かに魏のみんなに手を出したって前科はあるし、それは事実で認めるところだけど、だからって誰にでも手を出す男とか思われるのは心外だっていうのに……! そ、そりゃあもう魏だけのものって存在じゃなくなったぞ? けどそれを理由に手当たり次第にとか思われるのはやっぱり心外だ。

 そういうことはそう、自然の流れでするものであって、華雄が言ったように“支柱になったからって抱く権利が得られるわけじゃない”のだから。

 

「………」

「……な、なに?」

 

 思わず脱力しそうになる思考の最中、机越しに俺の目を真っ直ぐに見て、身を乗り出して顔を近づける七乃が。

 

「では一刀さんは、お嬢様には一切手を出していないと? どんな理由があろうと指一本出していないと?」

「あ、ああもちろ───…………」

 

 んだ、と続けようとした俺の頭の中に、少女の頭に落ちた拳骨が思い返された。

 

「いや、その。別の意味でなら手は出したな……うん」

「………」

「その“やっぱり”って顔なにっ!? 言っておくけど、いやらしいことは一切していないぞ!? 俺はただっ!」

「わかってますよぅ、一刀さんにとっては女の一人を食べるくらい、もはやいやらしいことでもなんでもないという」

「ことじゃないからっ!! あ、あーその……さ。前に美羽が危険な目に遭ってさ。その時にこう、手を出しちゃってさ」

「さっ……、さすが、です……! よもや危機的状況でお嬢様に欲情するなんて───!」

「人の話を聞こうな!? 欲情とかじゃなくて、拳骨しちゃったんだよ!」

 

 もうやだこの人! 基本的に俺をエロエロ魔人としてしか見てないよ!

 

「あー、そうなんですかー。お嬢様があまりにも従順なものだから、てっきりもっとすごいことをやらかしたものかと」

「“やらかしたこと”前提で考えるのをまずやめません?」

「お断りしますっ♪」

「………」

 

 前のように指をピンと立て、可愛らしい笑顔で言われた。

 七乃って、よーするに人をからかっていられたらそれでいいって性格なんだろうなぁ。

 

「まあその話は二度と話題に出ないように記憶の底に埋めておくとしまして、とうとう一刀さんは三国の支柱になったわけですが───……べつにしていることは変わりませんね」

「ん。強いて言うなら筆記仕事が増えたってくらいかな。なんでも三国の中心に都を作って、そこの管理を俺に任せるそうでさ。その前準備として、いろいろと覚えてもらうことがあるんだってさ」

「へー、そうなんですか」

「あんまり関心なさそうだね」

「はい。正直に言うとどうでもいいですね」

「その補佐役が七乃になりそうだって聞いても?」

「───…………え?」

 

 突然の事実にぴしりと固まる七乃。

 自分をおそるおそる指差して、きょとんとしているところへコクリと頷いてやると、随分と驚いてみせてくれた。

 

「いえいえいえいえっ! 私ごときが都の補佐だなんてっ! お嬢様を補佐するならまだしも、一刀さんを補佐していたらいつ誰に闇討ちされるかっ!」

「俺何者!? そんなことにはならないし、そもそもこれは華琳が決めたことなんだよ!」

「またまたっ、そんな嘘をっ」

「嘘じゃないって! え~っと……ほらっ、この書簡っ!」

 

 今回の計画についてを簡単に書き連ねた華琳の書簡。

 今朝渡されたばかりのものをズイと差し出すと、七乃は困った様子のままに受け取り、そこに書かれている文字を(あらた)めた。

 

「あのー……なぜ私に……?」

「たった一言、“暇そうだから”だって」

「……桃香さまのところで頑張って仕事していたんですけどねー……」

「その能力も認めているからこそだとも言ってたな。あ、ちなみにこの言葉は、“七乃がそう言うのを確認してから口にすること”って言われてた」

「先読みの達人ですかあの人は……。知り合ってから随分と経ちますけど、あの人の考えることは未だに理解で追いつくことが難しいですねー……」

「う……ちょっと同感」

 

 急に予想もしないことを言い出したりする状況は、まさにその一言に付す。

 とはいえ事実は事実で、実際にこうして先読みしてみせたんだから笑えない。

 いつか予言とかしそうで怖いよ。結構前に出会った占い師も凌駕しそうだ。

 

(……相手が言う言葉を予想してみせるのも予言っていうのかな)

 

 ちょっとだけ意味が違うか? ん、まあいい。

 とりあえずは仕事を片付けよう。

 

「ところで一刀さんがしているそれ、なんです?」

「ん? ああ、警備隊のことと、日本酒に関することについての華琳への報告、あとは都の管理をするために必要な知識もろもろと……」

「随分ありますね」

「はは……多少記憶力がついたってこともあって、前よりは役立ってるって証拠……だといいなぁ。未だに状況に困ると、同じことでも相談する癖は直ってないし」

 

 不安になるから何度でも打ち明けるといえば聞こえはいい……よくもないか? ともあれ、似たようなことで相談するのは出来るだけ減らしていきたいとは思っているのだが、思うだけでは上手くいかないもので。体の鍛錬もいいけど、頭のほうももっと成長させないとなぁ……。

 

「主様は最近、いつも忙しそうなのじゃ。もそっと息を抜いたらどうかの」

「そうしたいとは思うんだけどさ、困ったことに仕事を回されるのが嫌じゃなくなってきてるんだよな。もちろん休めるのは嬉しいぞ? サボリたい~と思うのは今でも同じだし。ただこう……きちんと役立ってるんだなって思うと、困ったことにやめられないんだ、これが」

 

 一年間をこの世界に焦がれる中で、自分は随分変わったんだろう。

 前の自分だったらボランティアがどうとかも、思ったとしても実行したかどうか。困っている人は見過ごせないものの、視界に納めてみなければ本当に困っているのかもわからない。それを理由に手を伸ばしもしなかったかもしれない。

 

「でも無理は禁物ですよー? ということで遊んじゃいましょうっ」

「それ、自分が遊びたいだけだろ」

「いえいえそんな。一刀さんが遊ぶと決めれば、たとえサボって遊んでいたとしても全て一刀さんの所為に出来るなんて」

「……思ってたんだね」

「思っちゃってました」

 

 輝く笑顔が眩しかった。

 なので遠慮なく補佐に関する書類を掻き集めると七乃に突き出し、こちらもにっこり笑顔で「じゃあこれ確認しておいて」と返した。

 対する七乃は笑顔を曇らせつつそれを受け取って、俺の寝台に腰掛けると、その横にちょこんと座った美羽とともに書類に目を通していった。

 

「はぁあ……蜀から解放されて、ようやくこれで自由だと思ったんですけどねー……」

「あっと。その言葉にも伝言。“野垂れ死にしたいのなら、いつでも出ていってもらっても構わないわよ”だそうだ」

「……あの。それって非道じゃないですか?」

「こらこら、衣食住を約束する対価として働かせることの何が非道なの。休みもあるし風呂にだって入れる。美羽とだって一緒に居られるし、七乃にとってはいいことづくめじゃないか?」

「あ…………そう考えると、確かに悪くないですかね」

「むしろ恵まれてるほうだよ」

 

 “この時代では”。そう続けようとしてやめた。

 実際、職にありつけていない人はまだまだ居る。

 仕事が必要だから開拓を続けて、開拓を続けるから仕事が増えて、仕事が増えるから作られる場所が増えていく。

 その連鎖を考えると、天の時代があんなにごみごみしている理由も頷ける気がした。

 1800年あたりでそこまでしか広がらなかったことを安心するべきなのか、1800であそこまで広がってしまったことを嘆くべきなのか。

 人が増えれば建物が増える。仕事も増える。増え切った先になにがあるのかといえば……正直、あまり考えたくない。

 学生やってる時はそんな難しいことを考えず、ただ漠然とした自分の将来を思っていた。

 

  “自分が進む道にはなにがあるのか”

 

 どうせ“なんとか”なるだろう───その“なんとか”がわからず、結局は流れるままに任せるしかなかったのだ。だって、“なるようにしかならない”と言っている人ばかりだから。

 この時代の人のように、“自分の手で”と考える人の方が少ないんだ、仕方ない。

 その点で言えば、俺は自分を変えられるほどの貴重な体験をしてこれた。

 人の生き死にはもちろん、自分の手で立とうとする人の強さや意思の眩しさ、厳しさの中に見えるやさしさや……人を心から愛するという気持ち。焦がれる辛さまでもを知った。

 どうせ“なんとか”なるだろう。

 そのなんとかを自分で決められる人は、まだ幸せなんだということも。

 

(決めてもらった道に文句の無い人も、まあ幸せ……なのかな)

 

 楽しんでいられるだけ幸せ、だな。

 自分で決めたことでも楽しめない人なんてごろごろ居る。

 そういった意味では自分は恵まれている方なのだ。

 死を見たし吐きもしたし泣きもした。けど、なかったことになんかしたくないのだ、仕方ない。そう思うってことは、無くしたくないと思うほどに、今日まで経験した全てを捨てたくないってことなんだから。

 時々過去に戻ってやり直したいと思うこともあるにはあるけど、今の俺がそれを望むのは贅沢ってものだと自覚している。

 

(現在の自分のまま、自分が変わるくらいの体験をするのと……過去。子供の自分に戻って人生をやり直すのと、どっちがいいんだろうな)

 

 過去の自分に戻れたとして、それまでの自分の記憶が無いという条件下ならば間違いなく前者。けれど記憶も持っていけるのだとしたら、それは───断言しよう。そんな風に考えてしまうヤツが、“自分の些細な行動”のひとつひとつで変わってゆく世界に順応出来るわけがない。

 きっとまた同じくらい成長した先で、あそこでああしていたらと後悔するのだ。

 困ったことに、それが人間ってものだから。

 この世界に来て、様々な人の動きを見て、その上で出たものといえばそんな答えばかり。自分たち───1800年先の自分たちは、随分と贅沢だという答えばかりに行き着いた。

 

「……よし、っと」

 

 だからといって自分はそうならないように、なんてことは考えないようにしたい。無理に気を張ると、ろくなことにならないことも同時に学んでしまったからだ。

 よーするにそう簡単には上手くいかないように出来ているのだ、この世の中ってやつは。……そう、それこそ1800年も前から。

 上手くやろうだなんて思わないこと。自分に出来ることを確実にこなして、そこから少しずつ自分に出来ることを増やしていく。一気に多くを望むのは、今の自分には荷が重過ぎる。

 だっていうのに支柱になることを望んだんだから、こうして必要な書類に目を通すことに戸惑いなんて感じちゃいけないのだ。───まあその、い、息抜きはもちろん必要だけど。

 自分に甘い思考にやれやれと苦笑をもらしつつ、椅子を軽く引きながら大きく体を伸ばした。それを終了の合図と受け取ったのか、七乃の隣に座っていた美羽がシュバッと顔を持ち上げ、タトトッと駆け寄ってくる。

 

「終わったのかのっ」

「ん、一通りは。あとは確認して、華琳に届けるだけだな」

「一刀さんはもうちょっと効率よく動いたほうがいいと思いますよ? だから仕事の無い日に書簡整理なんてしなくてはいけないことになるんです」

「仕事の時間に人の部屋に侵入してあーだこーだ質問しまくって仕事の邪魔した奴の言う言葉かそれが」

「……よく息が続きますねー」

「これくらい誰でも続くって」

 

 はぁっと溜め息を吐いて、もう一度伸びをしてから確認を始める。

 その途中、美羽が回り込んで俺の脚の間にちょこんと座ると、確認の真似事を始めた。

 せっかくだから声に出しながら確認をしていると、美羽もそれを真似る。こんなことがここ最近では珍しくなかった。

 

「声に出しながら読むと、脳に刺激が行く……でしたっけ?」

「一応。せっかくだし」

「? うむ、せっかくだしの」

 

 よくわかっていない様子の美羽の頭を軽く撫で、くすぐったそうに、しかし抵抗せずにそのまま読み続ける彼女とともに、平和な時を過ごす。ひとつが終わればまたひとつ。声に出しているからか、おかしな部分は七乃が待ったをかけてくれて、そこをきちんと調べてから修正をする。

 そんなことを何分か続けていると、いつしか俺と七乃は顔を見合わせて苦笑していた。

 補佐がどうのこうのと言っていたんだが、これが案外悪くないのだ。

 

「そうですねー、一刀さんも悪い人ではないですし、補佐も案外楽しいかもしれません」

「その確認と、いただいちゃってください発言が前後する理由がわからない」

 

 脱力と苦笑を混ぜた言葉に、七乃はくすりと笑うだけだった。

 ……さて、そうこうしているうちに見直しも終わって、晴れて自由の身。

 これからどうしようかなんて考えは浮かばず、今こそデザートを作り直す時!

 

「さってとー、これから、んおっと? 美羽? どうした?」

「……! ……!」

「うあ……」

 

 立ち上がろうとした俺の服の袖を、脚の間に座った美羽が掴む。

 空を仰ぐように俺を見上げるその顔は、輝きでいっぱいだった。

 一言で言うなら“遊んでたも”という言葉で埋め尽くされていた。

 

「あー……よ、よーし美羽っ! これから邑に牛乳を取りに行こう! いつか喧嘩しちゃったときのことを上書きするために、楽しい材料集めだーっ!」

「むむ? …………おおっ! それは名案じゃのっ!」

「よぅしそうと決まれば今から───」

 

 邑へゴーだ! ってところで、七乃が自分の頬に人差し指の腹を当てて、

 

「あのー、材料なら明後日にでも届けられると聞いてますけど?」

 

 ……そう仰った。うん、そうなんだけどさ。

 華琳には誘えと言われてる手前、出来れば今日中に入手して今日中に作りたいのだ。

 そもそも華琳が作った物流ルートなんだから、華琳が忘れてるはずもないんだけど……誘えと言うのなら誘わなきゃ怒りそうだし、それに華琳と一緒に行動するのは久しぶ───……あ。

 

「……? どうしたのじゃ、主様」

 

 俺を見上げる美羽を見下ろし、しばらく停止した。

 ……ごめん華琳、一人か二人増えることを、どうか許してほしい。

 一応そのために、機嫌を直してもらうための献上物でも用意しておこうか。

 流琉、手が空いてるといいんだけど。


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