真・恋姫†無双 魏伝アフター   作:凍傷(ぜろくろ)

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117:IF2/前向きなのもいいけど、たまには後ろも見よう③

-_-/かずピー

 

 とある昼のこと。

 鍛冶工房の奥で手甲を発見した。

 鍛冶工房ってなんだかふと寄りたくなるよね! 視察ついでに寄ったそこで、そんな気分に襲われた故の邂逅であった。

 で、現在はその手甲を装着。

 中庭で氣を込めて身体を動かしているところだ。

 

「よっ! っと! ほあっ!」

 

 ついでに足を守るもの(ほぼ似たような素材のもの)も見つけたので、サイズも丁度いいことに喜びつつ装備。

 ずしりと重いそれは、そもそも攻撃するためのものではないのだろう。防御重視の作りだとパッと見ただけでもわかりそうなものの、むしろ“だからこそ。ええ、だからこそいいんじゃあないか(・・・・・・・・・・・・・・)”と言いたくなるような重みに笑みがこぼれる。

 重くても、金剛爆斧を持ち上げる時と同じ方法でなんとでもなるし、重かったら重かったで鍛錬にもなる。

 

「せいっ!」

 

 片足で立ち、蹴りを放ちまくる。

 龍虎の拳のロバート・ガルシアの幻影脚のような感じの蹴りだ。

 氣で動かす足を、ミシンの針が動くイメージで突き出しては引っ込め、を高速で。

 

「ンウェー!!」

 

 次いで足を下ろすと、両拳で突きを連打する。

 これは加速を利用したサンライトイエローオーバードライブと同じ要領で。

 ンウェーって掛け声に意味はない。たぶん。

 そうして振るうたびに両手に溜まってゆく衝撃を解放。

 

「イィイイイヤァッ!!」

 

 振るった拳から衝撃を込めた氣弾が放たれ、霧散する。

 氣弾といっても散弾のようなもので、拳から離れれば大して飛ばずに霧散するだけ。

 出来るだけ氣を消さずに、衝撃だけ逃がす方法ってないだろうかと考えた結果がこれだ。べつに足に込めて震脚と一緒に逃がしてもいいんだけどさ。なんというか……普通じゃないこと、したかったんだ。(*既に普通の基準がおかしい)

 

「でも手甲をつけた状態だと、まず氣を手甲に移さないといけないんだよな……」

 

 もちろん殴る際にもだ。

 素手なら手に込めて殴るだけでいいし、衝撃も手からゴヴァーと出せばいい。

 しかしながら手甲の場合は……ううん、普段から使い慣れてる木刀だったらもっと楽に氣を通せるんだけどなぁ。もはやあれは、身体の一部と思えるほどに楽に出来るし。

 

「……ふぅ」

 

 自分が強くなるための道を掴むのって、やっぱり難しい。

 自分には氣ひとつしかないというのに、その氣自体が応用が利くものな上、用途がありすぎるのだ。ただ氣を強くして殴ればいいってわけでもない。

 応用出来るもの全てを反復練習&氣脈拡張を続けてじりじりと強くなる以外無い、と思っているものの、8年続けた自分の意見を言わせてもらえるなら……地道すぎる。

 だって考えてもみてくれ。氣ってものの使い方とかを天の漫画とかアニメとか、イメージとしての使い方で結構上手く使えるつもりになって、実践してみれば実際に上手くいった俺だけど、そんなちょっとズルイと思える近道をしても8年。8年かけてようやく岩を破壊出来たっていうのに、華雄や焔耶に訊いてみればどうだい。“岩なんか幼い頃にはもう破壊できた”とか言うじゃないか! だから旅の途中、岩を壊せたことがどれだけ嬉しかったことか! ようやく一歩近づけたって思ったよ! 嬉しかったよ!

 ……でも8年です。

 8年なんですよ、ようやく一歩なんですよ。

 8年頑張っている間、華雄はどんどん強くなっていくし、桃香だって美羽だって……。

 

「………」

 

 この世界の武に関する才、というのは本当にすごい。

 才能がなくても、俺が頑張る8年よりも彼女らが頑張る8年の方が伸びがよすぎるほどに、影響ってものを持っている。

 なので小細工を組み込まなきゃ勝負に出るのは難しく、一緒に頑張ってみたりした白蓮も“こうまでしなきゃ勝負にもならないなんてなぁ……”と、よく落ち込んでいたものだ。

 一緒に、と言ったからには当然俺も落ち込んだわけですはい。

 あれか。某・野菜星人のように生涯全盛期みたいなものなのか。

 

「あ」

 

 野菜星人といえば。

 かめはめ波とか操氣弾とかで随分とお世話になったものの……試していないものも結構あったなぁ。身体強化って意味でとれば、これほど役立つものはないというもの。

 細かいヒントだろうと組み込んでいかなきゃ小細工にもならないし、その小細工ごと叩き潰してくるのがこの世界の武人だ。なので僅かなヒントでも拾わなきゃ、才能が無い人は伸びない。武や守の氣があったところで筋力を鍛えることが出来ない俺も、困ったことに似たようなものなのだ。才能があるのかは……これって才能っていうより応用だもんなぁ。

 きっとアニメとか見てなかった人にしてみれば、“そんなことで強くなれるわけがない”で終わるだけの行動だ。“それに8年を費やすなんてとんでもない!”なんて笑われるに違いない。

 やっていることはそうでも、それを8年続けるのがどれだけ大変かは、やってみればわかります。人間の思考……“出来ないんじゃないか”に勝つのはとても難しく面倒なことです。なので“出来ないんじゃないか”よりも“出来た時の楽しみ方”を想像して頑張ろう。……正直、そうじゃないとやってられない。本気で。

 

「界王拳って……出来るだろうか」

 

 超野菜星人が主流になってから忘れ去られてしまったもの。

 言ってしまえば超野菜星人よりも好きなんだが……あの、“きちんと修行で得た!”って感じがたまらない。そりゃあ、超野菜人2も3も修行で得たんだろうけどさ……たったひとつの種族じゃなければ手に入れられない能力よりも、頑張れば誰でも手に出来るかもしれない能力のほうが好みなわけで。

 そのあたりは鍛錬しまくっていればわかってもらえると思う。届かないものよりも届くものに手を伸ばすのは、伸び悩む者の宿命と言っていい。それは絶対に絶対です。

 とはいったものの、界王拳の原理なんて知るわけもなく……結局流れた。

 修得すれば氣が二倍になります。でも無理。やり方の片鱗すらわからない。大体、本当に倍になるかもわからないんだから。

 

「………………」

 

 しかしやらずに諦めるのはどうか。

 なのでこう、足を大きく開いて、腰を下ろして、両手はガッツポーズみたいに強く握って軽く持ち上げて……

 

「は、はー」

 

 “はー!”とか言って氣を膨らますイメージを。

 でもなんだか恥ずかしさが勝ってしまい、中腰みたいな状態で固まった。

 顔に熱が集まる。たぶん赤い。

 ……い、いやいやっ、こういう時は恥ずかしがっちゃだめだ。

 遊び心や童心はどうした!

 

「よ、よしっ、やろうっ」

 

 普通に立って、姿勢を整えてから深呼吸。

 手は相変わらず少し持ち上げたまま。肘と同じ高さに手がくるくらい構えて、握る。

 いわゆるドラゴンボールスタイル。ドラゴンボールってこの姿勢が多い気がする。

 その状態から足を開いて腰を落として、一気に氣を解放!

 

「はぁあああーっ!!」

 

 遠慮無しに叫ぶ! 氣の解放といったらやっぱりこれとばかりに叫ぶ! さけ───

 

「………」

「はっ!?」

 

 叫んだら、丁度通路を通っていたらしい文官の女性と目が合った。

 

「………」

「………」

 

 数秒後、女性はハッとすると何故か足早に通路を歩いていってしまう。

 そして残される、氣の解放ポーズで固まる、シャイニング・御遣い・北郷。

 なんでだろう。

 なんで……ドラゴンボールの真似をすると、いい確率で人に見られるのか。

 今なら大声で“はーっ!”と叫んだのに、ビームが出なかったポックリ大魔王の気持ちがわかる気がした。

 見ている人なら見張りの兵が居るだろうって? ……男に見られるのと女に見られるのとじゃあいろいろ変わってくるものなんですドラゴンボールっていうのは!

 

「はっ……はははは……恥ずかしさに勝てずに、御遣いがやってられるかぁあーっ!!」

 

 だが構わない! 続行!

 自分の氣を通して自分の中を探り、いつか冥琳に自分の氣を流して深層を探った時のように自分の深層を探る。

 意識の埋没。

 自分の内側を見るイメージを働かせて、視界がぼんやりしてきても続けて、気合を込めすぎて眩暈がして倒れた。しかしその衝撃も鍛錬のたまものと言うべきか、あっさりと化勁で外へと逃がし、倒れたままの状態で自分の内側を覗き見る。

 界王拳の原理はわからないものの、叫んだだけで氣が倍になるなら苦労はしない。

 ようはあれだ。氣の流れや……ええと、華佗が言うところの“澱み”とかか。

 あれをいじくる必要があるのだろう。

 あとは……チャクラとか点穴とかそっちのほう?

 自分で練れる氣は結構鍛えたつもりだし、外側が終わったなら内側でしょう。

 その一段階として、いつか華佗に攻守の氣の一体化をしてもらった……ってことでいいのか? あれも一応内側の問題だし、その攻守の氣も随分と鍛えられた。

 だったらもう一段階でしょう。

 その先があるのかは知らないが、やれることはとことんやる。

 無茶が出来るのは若いうちだけだと人が言うなら、若いままならずっと無茶をする。

 

「ん、ん……んー……」

 

 五斗米道の真髄なんてものは教えてもらっていないが、簡単な医術や氣の流れの読み方くらいなら教わった。

 それを実行して自分の内側を見るに、攻守を合わせた氣というのは随分と複雑なようだ。なんというのか、こう……氣と氣が常にぶつかり合っているような、そんな感じ。

 これを拳や木刀に乗せて放つのだから、そりゃあ威力もあがるってもんだ。

 心を落ち着けてみれば、ぶつかりあっていた氣も大人しく溶け込んでみせる。

 ……気分屋な氣なんだなぁ。自分の氣ながら、さすがといえばいいのかどうなのか。

 

「あ」

 

 そんな苦笑してしまうような微妙な気分の中、自分の中に妙な部分を発見する。

 氣が同じところをぐるぐる回っているといえばいいのか、その中心には妙な澱みがある。ハテ、と思いつつ、自分の氣を内部で操作して、尖らせたそれで澱みをゾスリと突いてみた。

 すると───

 

「キャーッ!?」

 

 そこから一気に氣が溢れ出し、氣脈を満たしてなお溢れ出し始めた。

 

「いぎゃだだぁーっだだだだだだ!?」

 

 すぐにコントロールしようとするも、勝手に溢れ出す氣なんてものをどう対処しろと、と言った感じで、ともかく体内から外側へと解放。

 自分で氣を纏うようにしてみた……んだけど、まだ止まらない。しかもすぐに氣脈を満たしてしまう始末で、それらをともかく体外に出し続けた結果…………いつもの二倍の速度で昏倒した。ええ、氣が練れなくなったのです。

 

「あっ……アー……ナ、ナルホドー……! この穴が常に空いた状態が、華雄なのかもナー……!」

 

 こんなものがあるとは思わなかった。

 とんだ界王拳だ。二倍の速度で疲れるとは。

 けれど死中に活あり。咄嗟に氣を練りたい時、ここぞという時にはいいかもしれない。

 筋力は強化できずに氣しかない俺にとって、自分の氣が無くなるまでしか動けないのがいつも通りの俺の戦い方だから……短期で攻めるなら、むしろこれはありがたい。

 ありがたいけど……次に戦う人が居ない場合だけだね、これ……。

 

「あ、ああ、あああがががが……! 痛っ……! 身体も氣脈も痛っ……!」

 

 そ、そうだよねー……!

 自分の中にある氣以上のものを出せるわけないもんねー……!

 なんか違うって……思ってたよ……!

 

 ……結局この日、見張りの兵に手伝ってもらわないと歩けないほど、自分の体は……体というか氣脈は大変なことになっていたらしい。

 

……。

 

 翌日には復活していたが。

 

「……だるい」

 

 でもだるかった。

 寝台で目を覚まして、朝食も頂いて、さあ運動だー……と構えたんだが、どうも。

 昨日のように自分の中を見てみれば、穿った澱みは消えていて、ぐるぐる回っていた氣も邪魔が無くなったとばかりにスジャーと流れているようだ。

 いや、まあ、このだるさはよく知るものだ。

 氣脈拡張を無理矢理やった翌日のだるさによーく似ている。むしろそのものだろう。

 

「……こうして澱みを解放していけば、氣脈も広がって絶対量も増えるんだろうけどさ……やるたびにあの激痛は……なぁ……」

 

 怖いです。

 しかしだ。ただ痛いってだけで、その中にあるかもしれない解決策を探さないのはもったいない。もしやすれば氣や氣脈が活性化状態にあって、その最中になにかをすれば、これまたなにかの成長に繋がるかもしれない!

 なので、

 

「まずは仕事からっ!」

 

 腕まくりをして政務に励んだ。

 あちらこちらへ走り、泣きついてくる文官女性(足速に逃げ出したあの子)に説明をしたり、兵の調練を手伝ってみたり、街の視察をしたり親父達に挨拶しに行ったり。

 その日の内に先のことの具体案までを骨組みとして組み立てて、後日の備えとして、あとは……無茶の時間でございます。

 

「…………ふぅうう…………よしっ!」

 

 宛がわれた自室の寝台に寝転がり、服も寝る用のものに変えて、あとは集中。

 身体の中の澱みを探して、一つ見つけたらまた一つと見つけて、それらを一気に……

 

「……っ……」

 

 い、一気に穿ったら、昨日以上の激痛が襲い掛かるのでせうか……!?

 あ、いや、考えてもみるのです北郷一刀。俺の氣は俺の氣以上を生み出せないんだから、あれ以上っていうのは無い筈だ。だからここはむしろ安心して、同時に穿ってしまったほうが一日で済むと考えるべきです。

 そ、そう。なんの問題もないはずだ。なので───

 

「覚悟……完了!」

 

 クワッと目を見開き、一気に穿った。

 …………その直後のことを、俺はよく覚えていない。

 ただ激痛が走ったのと、喉が勝手に叫んだのと…………以降は、視界が、ブラウン管みたいに───……

 

……。

 

 目を覚ますと寝台がぼろぼろだった。俺もぼろぼろだった。

 

「………」

 

 身体が動かないので、首だけ動かして見てみれば、寝台にも身体にも掻き毟ったような痕。血もべっとりついていることから、どうやら爪が剥がれたり、寝巻きも引き裂くほどに掻き毟って、腕の皮とかもぼろぼろっぽい。

 想像するに、記憶を拒否するほどの激痛に襲われて、暴れまわった……んだろうか。

 

「痛いとか越えて、動かないまでくるとは……」

 

 爪が剥がれたなら痛いだろうに、そんな感覚が残っていない。

 見える範囲の肩、そのぎざぎざに引き裂かれた寝巻きの残骸に、見慣れた爪がどす黒く変色した血と少しの肉とともに付着しているのが、相当気色悪い。

 

「…………あー……」

 

 少し整理して考えてみて、そもそもの考えが甘かったことを悟る。

 人の身体っていうのは簡単じゃなかった。

 嘔吐の時や腹痛の時も、胃の中に何もなくたって吐き気は消えない時は消えないし、どれだけ腹を下したって出るものがなくても痛いものは痛い。

 それはどうやら氣脈も同じだったようで、氣がもう出ない状況なのにも係わらず出ろ出ろと促された結果として、氣脈や丹田に物凄い負担をかけたのだ……と、推測。

 外側の痛みよりも内側の痛み。

 そんなもの、大抵の痛みを知っている者ならわかることだ。

 手を伸ばしたって治しようがないから苦しみ、我慢のしようがない。

 だから外側を傷つけて誤魔化そうとしたって、そうはいかなかった。

 結果、身体が取った自己救助の方法は気絶。お陰で、こんな有様である。

 

「う……ぐっ、ふんっ! はっ! ………」

 

 無理に動くとズキーンとなるパターンかなぁと思ったら、本当に痛みすらなかった。

 というか動けない。

 

「…………」

 

 諦めて寝ることにした。

 

……。

 

 途中、体の熱さに目が覚めた。

 

「っ……、う、くっ……!」

 

 体内を熱が暴れる。

 火傷の瞬間に走る、あの嫌な感覚が身体の中で踊っている。

 痛みはないくせにそれは鋭く感じられて、なんとかしたいのに身体は動かない。

 涙が出るほどの苦しみに、暴れて紛らわすことすら出来ず、部屋に寄ってくれた文官に水をくれというくらいしか出来ず、苦しみは続いた。

 

……。

 

 熱は消えない。

 なのに、次に襲い掛かったのは体中を走る激痛。

 掻き毟った場所や、爪が剥がれた指が今さらになって痛覚を思い出した。

 寝台の惨状や俺の状態に驚きつつも水を持ってきてくれた文官は、戸惑いながらも「まずは水を」と願う俺に水を飲ませてくれた。

 が、飲みこんだ瞬間に熱湯にでもなったかのように、身体は余計に熱くなる。

 苦しみながらも内側に意識を向けてみれば、ぼろぼろになった氣脈。

 ……なるほど、これは治るまで苦しむしかない。

 無理だとは思いつつ「華佗って居たっけ」と訊ねるも、当然居るはずもない。

 心が折れそうになる。そうしてしまう自分を許してやりたくなる。そんな言い訳を探す自分を許可したくなる。許可する自分を正当化したくなる。

 それらの自分を笑い飛ばして、とりあえず痛みに対しては泣いておくことにした。

 心折ったって現実から逃げ切れるわけがないのだし。自分を許したところでなにも変わらないわけだし。言い訳を探したところで変わらなくて、正当化したって変わらない。心を折ったらこの痛みがなくなる? 無くならないだろう。だったら泣いてでも回復するのを待つしかない。

 ちびちびと作られてゆく氣の一切を回復方面に向けて、ただひたすらに我慢した。

 

……。

 

 我慢の時間。

 痛みが脈とともにずぐんと持ち上がるたび、それを氣で捕まえて外に出す……そんな感覚的な作業を続ける我慢。

 集中しているだけで気が滅入るそれだが、やらなければ意味不明な言葉を叫びそうだ。

 なので続けて、耐え続けた。

 時折、体の中を見ることも忘れない。

 これだけ痛いのに、やったことが無意味だったらたまらない。

 澱みが出来ないように氣の流れにも気をつける。

 ……この時から、自分を内側から改造するための鍛錬は始まったんだと思う。

 そんなことを考えながら、常に疲れた状態にある俺は静かに目を伏せて、眠りについた。

 

……。

 

「ごぉ~主人様ぁん、会ぁあ~いたかったわぁ~ん!!」

 

 ……その先の夢の中で、相変わらずウィンクで突風を巻き起こすいつぞやのモンゴルマッチョに会うとも知らずに。

 とりあえず、夢の中なので自由に叫んでおいた。現実で叫びを我慢した分を発散するが如く。

 


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