おまけIF/とある都のお話
───それはある日から始まった違和感。
「うん? なんだ恋、また随分と食べたな」
「?」
とことこと歩く恋を見かけた愛紗が、恋にそれを言ったのが始まりだった……と、思う。
言われた恋は首をこてりと傾げて、理解に到らなかったのか、愛紗の言葉に曖昧に頷くことで返しつつも、その場からてくてくと離れていった。
……。
数週間後。
「お腹、空いた……」
きゅるぐー、とお腹を鳴らした恋が、俺の服を引っ張った。
振り向けば、どうしてか頬がこけているように見える恋がそこに居た。
……の、割りに、お腹は膨らんでいる。
「って言ってもな……お腹いっぱい食べたんじゃないのか?」
そんなお腹を見れば、きっと誰だってこう言う。俺だってこう言う。
けれど恋は首を横に振るった。
「……最近、みんなそう言う。食べさせてくれない……」
人差し指を口に銜えて、じぃっ……と見つめてくる恋さん。
食べさせてくれないって、じゃあ今までどうしていたんだと訊くと、
「ねねが自分の分をくれた……。それはだめって、言ったけど……、ん……、聞いてくれないから……分けて……」
いや、あの。なんか喋るのもダルそうなんですが?
え? もしかして本当に空腹状態? でもお腹膨らんでて───ハッ!? もしや病気!?
お腹がでっぱる病気ってなんだっけ!? たしか子猫は黴菌とかが入るとお腹が出っ張るとかなんとか……もしやそれ!?
「よ、よしわかった! 普通の味で申し訳ないけど、今栄養が付くもの作るから!」
「……!」
頬を赤く染めて、こくこくと頷く。
そんな恋の頭を優しく撫でて、ふらつく彼女をお姫様抱っこして厨房へと駆けた。
……。
さらに数ヵ月後。
「また、随分と詰め込んだな、恋。食べすぎは感心せんぞ」
「……?」
また通路で恋に話しかける愛紗を発見。
おやぁ……? と首を傾げたくなるほどにお腹が出っ張っている恋は、やはりこてりと首を傾げていた。
「えぇっと……愛紗」
「? あ───ご主人様。お出かけですか?」
「仕事がひと段落ついたから、散歩でもって。で……さ。どうしたの?」
なんとなーく思い当たることがあるけど、まあ恋だから……って理由でみんなも納得していたんだろう。
けれど、いい加減に誰かがツッコむべきだと思うのだ。
……最近は、ただでさえ周囲の変化に思い悩む日々が続くわけだし。
「いえ、最近の恋は見かけるたびに大量に食べているようで、こんなにも腹部が……。恋、お前も女ならば、少しは人の目を気にしてだな……」
「……まだ、なにも食べてない」
「───え?」
「恋、まだなにも食べてない」
「…………」
「………」
……。
「あのー……さ。ずっと言いたかったことがあったんだけどさ」
「……いえ、私も気になることはあったのですが、恋ですし、まさかと……」
「?」
首を傾げる恋。その腹部を見て、俺と愛紗は軽く空を仰いだ。
……通路の天井があるだけでした。
「恋。お腹、おかしな感じがしないか?」
「ん……なにか、動いてる……」
「ど、どんな感じに?」
「……? ん、……小さいなにかが……蹴る、感じ……?」
『やっぱりぃいいーっ!!』
愛紗とともに絶叫し、疑問を確信に変えた。
つまり。その。恋が、妊娠しました。
……。
蒼い空の下、その事実は一気に広がり
「ちんきゅぅきぃっく!!」
「ゲベェエウェッ!?」
医療室として宛がわれている部屋の中、俺の腹に蹴りが埋まる。
助走をつけないショートレンジキックだった。
「お、おおおお、おぉおおおまえぇ!! いつの間に、いつの間に恋殿と、ととととぉおお!!」
「仕合で、十回勝った時……っ……やたら、と……抱きついて……きて……!」
水月です。当たり所が悪すぎて、説明どころじゃございません。
「だだだ抱きついてきたのをいいことに、そのまま押し倒したですかこのえろえろだいまじんーっ!!」
「そんなことするかぁ! きち───げっほごほっ! き……きちんと、何度も説明したりっ……! ~っ……遠回しにやめといた方がって感じに話したりもしたわぁっ!」
「ななななんですとぉおーっ!? で、では恋殿っ!? まさか恋殿が望んでこのようなことに……!?」
「ん……美以が言ってた。強い女は、強い男の子供、産む……って」
「れ、恋殿ぉ……! その条件ならばなにもこの男でなくともぉお……!」
「……ご主人様じゃないと、嫌……。弱いやつは、いらない……」
うわ……きっぱりだ……。
まさか恋が、いらないとまで言うとは……。
「ねね、ご主人様のこと、きらい……?」
「うぅ……それは、この男は友達なのです……他の男と比べれば、嫌うどころか信頼できる存在ではありますがー……」
「ねねも、やってもらうといい……。とても、しあわせ……」
「あ、あぅう……! 恋殿が可愛いのです───はっ!? そうじゃないのです恋殿! ま、まさか産むのですか!? どのような子供が産まれるかわからんのですぞ!?」
「産む。きっと強い子。強く育って、とてもとても強くなって、それで……」
「そ、それで……?」
「恋が倒す」
『倒すの!?(ですか!?)』
言い切った恋の目は、楽しみにしている日を待つ子供のようだった。
そんなわけで……ねねの必死の説得(?)も右から左へ。
むしろどんどん言い負かされるねねがついには折れ、曲がりようもなかったけれど産む方向へ。
もちろん俺も喜んで、子供の誕生を待った。
妊婦の世話という意味で恋の世話を続ける日々が流れ……むしろ恋の調子がてんで変わらず、つわりのひどい女性は怖いとか聞いていたけど、あれぇ……? と首を傾げる毎日。
この時代の女性、逞しすぎます。
……ちなみに言うと、妊娠したの、恋だけじゃないです。
それが最近になって思い悩むことの大体の原因であり……一気に増える子供の数に、果たしてたった一人の父親である俺は、対応していけるのだろうかと───
……。
しばらくして、子供は無事に誕生した。赤毛の可愛い娘。
娘…………うん、娘なんだ。
息子、産まれないのでしょうか。息子とキャッチボールしたい。
とは思ったものの、これまた可愛いのでデレデレの俺、再誕。
「わ、わ、か、可愛い……! 父さま父さまっ、どうすればいいんでしたっけ! た、たかいたかいとかするんでしたっけ! 黄蓋母さまを持ち上げたみたいに!」
「まず落ち着こうな、丕。あと脇腹抓らないで、痛い」
「父さま……そういうことは、そのだらしがない顔をなんとかしてから言ってください」
「登さん。言いながらなんで俺の脇腹を抓るのかな」
「あらあらぁ、可愛いですね~♪ ほらほら~、お姉さんですよ~♪ ……お顔がとろけきっただらしのないお父さん~? この子、名前はなんと言いましたっけぇ」
「延~……? べつにだらしがないは言わなくてもよかったよな~……? あとさりげなく足踏まないで。名前はほら、あれだよ」
赤子を見る娘達は、その小さな命に興味津々だ。
でも何故か俺への攻撃がやまない。何故?
ともあれ、娘だ。
「姓は呂、名は姫。字は玲綺だ」
「りょ・き・れいき、ですかぁ」
名を唱えられた姫は、返事をしたわけではないだろうけど「あぅー」と声を上げた。
その反応に娘達の反応は盛り上がりの一途しか辿らず、性格的に大人しい方である述が、「つ、次は私に抱かせてください!」と声を荒くして頼むほどで……うん、賑やかだぁ……。
「おぉお……小さいなっ! 小さいぞ父よっ!」
「こーら、柄、あまり大声は出さない。びっくりして泣き出すぞ」
「うっ……こ、興奮しすぎてしまった……」
「あの、父上。こんなに可愛らしいこの子に、桂花さまからいただいた“ねこみみふーど”を着させてあげたいのですが……!」
「邵、それが原因で性格が桂花になったら、俺絶対に泣きそうなんだけど……」
「……そういえば桂花さまもお腹が大きくなっていると聞いた気が」
「へぁあっ!? ……やっ……! そ、琮……!? さすがにそれは───」
「あ、いえ。私、見ましたよ父さま。大きくなったお腹を抱きながら、ぶつぶつと言っているのを───」
「禅───今、なんと?」
「見ました。この目で」
「───」
時間が停止しました。
……。
度重なる───罠ッッ!
度重なる───罰ッッ!!
普通の罰では喜ぶ軍師に、覇王が与えるべき罰とは何かッッ……!
「華琳、擽っていいかい。キミが泣いて許しを乞うまで」
「やめなさいよ!!」
罠が重ねられて、罰が重なって、コトが重なった結果、子供が産まれました。
姓を筍、名を
「なぁああ~にが父さま父さまよこの馬ぁああ鹿っ! あんな見境無しを慕う前にやるべきことがあるでしょう!?」
「いい加減になさい惲! 事ある毎に人に突っかかって!」
「貴女が馬鹿だから馬鹿と言っているんじゃない! 何かといえばあの男と比べて、父を思うあまりに落とし穴に落ちるなんて滑稽だわ!」
「───……」
───何故か、丕ととんでもなく仲が悪い。
伝え聞く荀惲は曹操の三男である曹植と仲が良く、次男の曹丕が即位したあとも親交が絶えなかったとか、曹丕と親しかった夏侯尚と仲が悪かったとか、そういった理由から曹丕とも仲が悪かったと聞くが……まさか双方自分の娘という立場で、こうも仲が悪くなるとは……!
華琳大好き人間である桂花の娘だ、絶対に丕とは仲良くなると思ったのに。
(原因俺? ……俺だよなぁどう聞いたって)
通路の一角で黄昏る。
こうして言い争いが耐えないものの、周囲の視線を気にしてか、丕は強く叱れないでいた。
結局は毎度丕が退くわけだが、それが惲の天狗の鼻を増長させるわけで。
「あらどうしたの? 続く言葉がないわよ? また負けを認めるのかしら、情けないわねお姉さま。うふふははははは、おほほほほほほげーっほげっほごほっ!」
でもやっぱりまだ子供で、高らかに笑おうとしたら失敗。
その姿をブフゥと丕に笑われて、カァッと真っ赤になると、負け犬の遠吠えみたいな捨てゼリフを吐いて走り去ってしまった。
「………」
「………、」
「……!」
で、ぽつんと残された丕に手招きをしてやると、ぱあっと明るくなって抱きついてくる。
もはや16歳。
良い歳なのだが、いつになったらこの娘の父さま大好きオーラは消えるのだろう。
や、とてもとても嬉しいんだけどさ。こうまでファザコンだと、いくらこの北郷とて相手の存在が気になるといいますか。
「連れて来たら来たで、鬼になるのでしょう?」
「修羅と化しましょう」
人の毎度の表情から心情を察したらしい華琳に、キリっと言って返す。
そう……丕が我慢をして俺が慰めるのは毎度のことなのだ。
我慢をした分、抱きついてきた娘の頭をよく出来ましたとばかりに撫でまくり…………マテ。もしかしてこれが原因なのか? いつまで経っても甘え癖が抜けないのは。
「俺もそろそろ本気で、親ばかをやめたほうがいいのかもなぁ。丕が俺にばかりかまけてなければ、惲だってあんなに丕を嫌うことなんてなかったろうに」
「それとこれとは話が別です。惲は父さまの凄さをまるでわかっていないからあんなことが言えるんです。……いつかの自分を見ているみたいで、歯痒くて仕方がないわ……」
「ええそうね。事ある毎に私に、一刀のあれが駄目だこれが駄目だと叫んできたわね」
「うぅぅううっ……か、母さま、それは言わないと約束を……!」
「あら。私がいつそんなことをしたかしら。あなたが一方的に捲くし立てて、恥ずかしさのあまり逃げ出しただけじゃない。了承など一切していないのなら、それは約束とは言わないわよ」
「あ……あぅううう~……っ!!」
はい、また些細なポカをやらかしたらしいです、宅の娘は。
そんな娘の頭をもう一度ぐりぐり撫でて、手に自ら頭を押し付けるようにする丕に笑みをこぼしつつ、解放。
途端に残念そうな顔で見上げられるが、気にしてはいけません。
「ん……丕といえば、姫は? 今日はまだ見てないけど」
「姫? 姫なら中庭で関平に氣の使い方を教えていたわよ」
「え? 姫が氣って。あいつ華雄と同じで常時消費型なのに……教えられるの?」
「難しいことは考えないで、全てを渾身でいけばそれが氣だ、と……まあ、そんな感じで教えていたわね」
「………」
姫……呂姫玲綺は脳筋でした。
在り方こそ恋と似ているのだが、小細工無しの全力粉砕型。
無口だし気まぐれだし、猫のような態度だけど犬のような忠誠心、そして白虎のような速さと熊猫のような破壊力。頭は悪いわけではないんだけどなぁ……考える力さえも破壊力に変えてってタイプで、とても元気だ。
……武器さえ手にしなければ甘えている時の猫、尻尾を振る犬が如く人懐こいんだが。
そんなだから、少しずれて産まれた惲とどうしても比較してしまう丕にとって、甘えてくれる姫は可愛くて仕方ないらしい。だから丕といえば姫を連想してしまって、先ほどの質問なわけで。
「それで、一刀? これからの予定は?」
「
「……はぁ。もういいわ、あなたね、娘が可愛いのはわかるけれど、いい加減誰かに手伝ってもらわないと本当に倒れるわよ。というか倒れたじゃない。確かにいつか、この地との絆を深めるためにも次代の子をと、あなたに言ったわよ。けれど、だからといって全ての子の面倒をあなたに見ろとは言っていないでしょう」
「だって平等に接しないとみんな拗ねるんだもん!!」
「どれだけ人に好かれているのよあなたは!!」
困ったことに……とは言い難いものの、困ったことに娘らには好かれている。
何がそうさせているのか……とも考えるのもアレなんだろうけどさ。
いつか決めたように、母親に鞭を頼み、俺はただひたすらに飴となった。
その結果が……ファザコン集団といいますか、なんといいますか。
筍惲は本当に、ほんっっっとぉおーに桂花に似たため、俺のことを嫌っております。
桂花にしてみれば産まれた子に罪は無いとかで、というか……むしろ男ではないのならとばかりに娘を自分側へと引き込み、幼い頃からの悪口刷り込み効果で父親嫌いに育てなすった。父親嫌いというか……男嫌いだね。別に俺だけが嫌われているわけじゃないし。
とまあ、現状はそんな感じで……なんだかんだで次代を担う子供はしっかりと産まれました。
皆様、まだまだ成長段階の子供だけど、各方面に才能が飛びぬけていて怖いです。
それこそ一人ではなにも出来ないものの、本当に一人一人が一つのことに偏る形で飛びぬけた能力を持っているのだ。
そんなお子めらが手に手を取り合ったらもう…………ねぇ?
「まあ、とりあえず……仕事するかぁ」
「一刀? 子供にかまけて自分の仕事をおそろかにするようなら───」
「“自分の仕事”はもう終わってるんだ。前倒しで出来ることは出来るだけやってあるから、あとで確認よろしくな」
「なっ……!? あなた一体いつ眠っているのよ!」
「ふははははは既に三日貫徹済みよ! もはや誰がこの北郷の前に立ちはだかったとて! 未来へかける情熱は誰にも止めることは出来ぬゥウウウウ!!」
「……一刀?」
「ゴメンナサイヤメマス」
「ふえっ!? は、速っ!?」
極上の黒い笑みを浮かべた華琳の一言に、下腹部がひゅって音を鳴らした気がした。
途端に心の勢いなぞ死んでしまい、しょんぼりとした俺を見た丕が大層驚いた。
「とにかく。手が空いている者は居るのだから、それらに給金を払う形で面倒を見てもらうわよ。一刀、あなたはまずしっかりと休むこと」
「ア、アノ、氣のことを教えてやると言ったら、姫、とっても喜んでイタノデスガ……」
「そう、残念ね。断りなさい」
「容赦ないですね!」
「いえ、当然のことです。大体父さま、なによりもまずご自愛くださいと言われていたではありませんか」
「無茶はしないことと言われただけであって、べつに無茶じゃ───」
「そう? 私から見ても無茶だと思えて、真似たところで倒れる自信があるのだけれど。そうまで言うなら私が試してみましょうか? そうね、もしそうして私が倒れたら、あなたへの対応は春蘭と秋蘭と桂花に───」
「イェッサァ無茶でしたもうゴネません!!」
華琳が倒れることで悪鬼羅刹と化した三人に吊るされる未来が頭に浮かんだ。
そうなってしまっては、もう折れる以外に道はございませんでした。
「じゃ、じゃあ僕、部屋に戻って───」
「ええ、そうなさい。そっちに部屋は無いけれどね」
「……父さま」
「戻る戻ります! だから笑顔で黒い氣とかやめて!?」
「知りません。だから私が一緒に行きます。どうせ父さまのことだから途中で道を逸れるに決まっています。それか、部屋には戻るけれど戻って“少し”休んだらすぐに出るに決まっています」
「なんでわかったの!? …………ア」
静かに、華琳さんが絶を、丕さんが鍛錬用の鉄棒入り木刀をズチャリと……どっから出したァアアーッ!!!
またか! またこのパターンなのか!
俺はただ娘達に親からの愛情を与えたいだけなのに……! ……愛? ハッ!
「やあ華琳さん。今日もお美し痛い!!」
愛という言葉で、そういえば娘を構ってばかりで、華琳とは……と思い、抱きしめたら額を叩かれた。程よく脱力された身体で繰り出されるそれはまるで水銀の鞭ッ……!!
ええはい、普通に大激痛でした。“美しい”、という言葉が“美し痛い”と繋がるくらいに自然な流れで叩かれましたとも。
そして何故わくわく顔で俺を見ますか丕さん。
いや、また叩かれるのも嫌だし、あなたにはやりませ───なんで睨むの!?
「本当に、周囲がどれだけ成長しても一刀は一刀ね。外見もまるで変わらないし」
「…………ああ、成長……弁慶ェエーッ!?」
「成長、という言葉に反応して、あなたはいったい人の何処を見ているのかしら……!?」
胸です、とは言えない。
背です、とも言えない。
なのに彼女は答えを求め、人の弁慶の泣き所を蹴った上で、笑顔のままに見つめてきます。
あなたならどうしますか、神よ。
どうせ怒られるのなら茨の道を歩みますか?
それとも己の信念を曲げず、誇りの道を往き、太陽の導きを受けますか?
はたまた野望の果てを目指し、生贄を受け取りますか?
「丕は大きく育ったのになモギャアアアアーッ!!」
容赦の無い指二本での目潰しが、俺の瞳を襲いました。
そう、選択は1。どうせ怒られるのなら茨の道を。
「まっ……ちょ、待っ……! それでも愛してるって言うつもりでっ……」
「ひぅっ……!?」
痛くて目が開けられないものの、華琳が息を飲んだのは感じた。きっと赤い。
そしてそんなことを感じている間でも、何故かくいくいと引かれる感触のする俺の服。
……きっと丕が“私は? 私は?”とばかりに引っ張っているのでしょう。
口で確認しようとしないあたり、なんと言えばいいのか、察しなさいと言うのが好きな人の娘というかなんというか。
「えーと……なんかもう何かを口にすればするほどひどい目に遭いそうだから、素直に部屋に戻って休むな……。あ、あー……あと。娘達にはちゃんと説明してくれると嬉しいかな」
「ん、こほんっ! ……ええ、それはきちんと言うわよ。休むように言ったのは私なのだから、当然じゃない」
「丕。華琳が咳払いから始める言葉って大体小さなポカに繋がるから、丕もよろしくな」
「なっ……!? 一刀っ、何を根拠にそんな───」
「はい、任せてくださいっ」
「丕!?」
長く一緒に居れば、見えてくる覇王像というものがあります。
それを踏まえて丕に頼むと、もはや目を瞑ってても気配で歩ける都の通路を一人で歩いた。
……。
で、部屋で休んで、目に氣を集中させて、ようやく開けるくらいに回復した───途端。
「父上様! 約束を違えるとは何事ですか!」
どばーんとノックも無しに扉を開け、関平さんが登場。
感覚的に、まだ約束の時間ではない筈なんだが……華琳か丕から聞いたのだろうか。
「ああ、ごめんなぁ平。ちょっと最近無茶しすぎてな、体調がよろしくないって断言されたから休まないといけないんだ」
「そのことはこの際構いません! 私が言いたいのは約束を違えた上、父上様がそれを言いに来なかったことが───」
「ん、少し黙る」
「ぴゃふぃぃっ!?」
うがー、とばかりに怒りを露にしていた平さんが、その後ろに居た姫に首を捻られて崩れ落ちた。
しかしすぐに平を抱きとめるとソッと寝かせて、扉を閉めて……他に誰も居ないことを確認すると、誰にともなくこくりと頷いて……
「…………父……!」
ぱあっ、と眩しいほどの笑顔になって、たった一歩で入り口から寝台までの距離を素っ飛んで来た。
ホワア!? と驚くのも束の間、慌てて抱きとめると、そのままの勢いで寝台に倒れてしまう。
当然というべきか、反射的に目を閉じてしまった俺の顔へ、姫は犬のように舌を這わす。
「うわぁあああやややややっ!? ちょ、姫、やめなさっ……姫っ!」
自分のやりたいことに猪突猛進。
呂玲綺というお子は、恋の容姿に美以の性格をインストールしたような子供だった。
が、やめなさいと言えば、
「ん……やめる」
ビタァとやめて、代わりにコシコシと俺の胸に頬擦りをしてきた。
うん、素直で聞き分けのいい子なんだ。それは確かなんだよ。
でもなぁ、一度視界から外れると言いつけられたことがリセットされるみたいで、たとえば俺が厠に行って戻ってこようものなら、もう姿が見えなくなったその時点でリセット。
再び飛びついてきて、思考を素直に行動に移して、再び舐めてくるわけで。
……こうして素直な割りに、別の誰かが居る前ではこういうこと、しないんだよなぁ。
「父……姫、今日は平に氣を教えた。……偉い?」
「あ、ああ……うん、偉いぞ。偉いけど、首は捻っちゃだめだからな?」
「……? しゅんらんが、人を黙らせるにはあれがいいって」
「覚えちゃいけませんそんなこと! もっと別にやり方ってもんがあるでしょうが!」
「ん……わかった。姫、父の期待に……全力で応える」
「姫……」
恋のように、どこか眠たそうな半眼めいた目で俺を見上げる姫は、そう言ってこくこくと頷いた。
……頷いて、
「……かゆーが言ってたように、お腹に拳をめり込ませて黙らせて───」
「却下ッ!!」
ちょっとぉおお!! 人の娘になに教えてんのあの二人ィイイイッ!!
しかもそれやられたら、俺の期待が全力ボディブローってことになりますよ!?
やめて!? 俺そんなこと望んでないから!
……なんて言ったところで、あの二人が聞いてくれるかどうか。
などと何処ともとれぬ虚空の先にあるであろう遠い空を思い、視線を泳がせた。
途端、姫が弾かれたように顔を近づけてきて俺の顔をペロペロとって、だぁーっ!!
「視線が外れたくらいでリセットしないの! 父さんこれから寝るんだから! ね!?」
「……でも父、話をする時、人の目……見て話せって」
「そういうところだけはきっちり覚えてらっしゃるんですねドチクショウ……」
でも怒ったりはしません。
頭を撫でて、とりあえずはもう眠る姿勢を───
「父さま!」
「ウワーイ!?」
───取ろうとした途端、姫によって閉ざされていた扉が、何者かによって開かれた。
その先に居らっしゃるのは楽綝さんと張虎さんでして……
「おとん! 病気って聞いたけど平気なん!?」
「す、すぐに氣による治療を! たとえ私の氣が滅びようと、必ず父さまを救ってみせます!」
「なんか状況悪化してるーっ!!」
誰!? 説明して回ってる人誰!?
べつに病気じゃないし、そんなことを楽綝に言えばこうなることくらいわかってるだろうに!
「綝、虎、静かにする。父、これから休む」
「姫姉さん……姫姉さんも話を聞いて……?」
「ん」
「姫姉ぇ、おとん平気なん……? 聞いた話じゃ、血を吐いて地面をのた打ち回って、そこいらのゴミ虫同然に死ぬ寸前て……」
桂花さん。
いつか覚えておいてくださいねコンチクショウ。
「平気。看病は姫だけでやる。心配ない」
「いえ、それは逆に心配です。私も───」
「平気」
「や、せやかて姫姉ぇ、家事とかでけへんやん。ウチはおかんがアレやから綝と一緒んなって勉強したけど」
「平気」
「……根拠は?」
「努力、と……根性と…………ん、腹筋」
『腹筋!?』
見事に俺と綝と虎の声が重なった。
え……いやちょ、えぇ!? 腹筋成分で看病されるって、どんな感じなの!?
ていうかそんなことゆっくり指折りしながら言われても、逆に不気味なんですが!?
「とにかく、平気」
「い、いえ。今の言葉を聞いては、余計に任せることなど───」
「……平気……!」
「ふぐっ……!? あ、相変わらずえらい威圧感やな……! けど、威圧感だけでウチらが退く思たら───」
「なら、実力行使」
『へ? あ、いや───ひきゃああああああああっ!?』
───その時のことを、その場に居合わせた北郷一刀氏(永遠の18歳)はこう語る。
「ええ、私も武を齧っている者ですから、その動きを見れば、その者の実力がどれほどのものかくらいおぼろげながらも
「あれは武じゃない」
「どう喩えれば通じると言いましょうか」
「例えばその───」
「純粋な?」
「そう、アレです」
「力? とか? ハハ……」
押し出しちゃったんですよ。
たった一人で。
二人がかりをですよ? そんな、それほど歳が離れているわけでもないのに。
いやァ……あんなの見せられちゃね、凄いんだなァ…………って。
「え? なにが…………って」
「言ったじゃないですか」
「純粋な力ですよ」
「思っちゃうでしょう。技術とか…………ホラ、弱者が強者を下すための技じゃなくて」
「純粋な力だったんです」
「憧れちゃいますよ。スゴイなァ………………って。男ならね」
使った部位? 片手でしたよ。
ええ、片手一本でした。
こう、トンって…………登校してる時にさ、ホラ……級友の肩を叩くくらい気安く。
綝が押されて、ええ、顔が赤くなるくらいリキんでました。精一杯の抵抗ってヤツです。
それを押すんです。誰が、って……後ろに回った虎がですよ。
ハイ、確かに二人がかりでした。
「なのに、平気な顔で……ア、チョット……違いました」
笑ってるんですよ、にこーって。二人は必死になってるのに。
傍から見たら……アレ、妹と遊ぶ仲の良い姉にしか見えないんじゃないですかね…………。
「え……?」
「話が進んでない?」
「…………」
「口を慎みたまえ。ウソは言ってません。数瞬を詳しく語っているだけです」
「決着は直後でした」
というのも……ハハ。
俺が口を出しちゃったんですけどね。
たった一言と、それに付け足すような言葉だけです。ええ、それだけでした。
「せっかく来てくれたのに追い出さない。いいから姫、こっちに来なさい」
「! やめる!」
で………………やめちゃったんですねぇ……。
ええ、一瞬でした。
なんの躊躇もありません。
言われたから言う通りにした……本当にそれだけだったんです。
え……? 決着じゃない……?
……。…………。ハハ。
決着です。
なにせ───
「……いや、べつにな、姫。寝転がってお腹を見せなくていいから」
「? 服従の格好、こうじゃない……?」
「………」
どこの獣ですかって話です。
でも、そんなことを笑顔でやるんですよねェ……。
やめなさいって何度言っても聞いてくれないんですよ……お願い助けて。
娘にこんな格好させてるって知られたら、なんかもういろいろなものが崩れ去ります。
無駄にバキっぽい解説しといてなんだけど、こんな冗談めいた話し方でも混ぜないと、いろいろと保っていられないのです。いえ、欲情的な意味じゃなくて。
「ほら、綝も虎もこっち来て。急に予定を変えてごめんな」
「いえ、父さまがご無事でしたら。日々を私たちのために駆け回る父を、何故責められましょう」
「ところでなんで平、こないなとこに転がっとるん? おとんの趣味?」
「違います」
首を捻られたなんて言えない。
言ったら言ったで悶着があって、次は二人が犠牲者になるかもだからだ。
「あ~……平はかわえぇな~……。お、おとん、ちぃっとだけここ、めくってもええかな」
「やめなさい」
で、母に似たのかどうなのか、張虎は霞が愛紗のことを好きなように、関平に目を移しやすい。気絶している母違いの妹のスカートを今にもめくりそうです。大丈夫かこの娘。
「あ、なぁ。ここに来たのはこの四人だけか? 尚や燿に会わなかったか?」
「あー、尚なー。相変わらず地味さ目指していろいろやっとるし、また裏通りの店、行っとるんちゃう?」
「またか……尚はどうも、麗羽のあのキラッキラが嫌いだからなぁ。俺に似て黒髪に産まれたことを喜ぶくらいだし」
麗羽の娘、袁尚は母親の高飛車っぷりが苦手である。
常日頃から美しくありなさいと言われ続けた所為か、それに思いっきり反発するように。
現在の彼女は三つ編みに伊達眼鏡、化粧的なものを嫌うという、沙和が毎日“せっかく綺麗なのにもったいないのー!”と言うような格好をしている。
いや、いいんじゃないかな、委員長スタイル。と、俺は思っているんだが……麗羽はそれが嫌らしい。“今すぐに縦ロールにすべきですわっ!”とでも言いそうな状態だ。ロールなんて言葉、使わないけど。
「じゃあ、燿は?」
「セキトの子供の世話をしています。馬の世話の仕方を教わる予定だったそうですね。落ち込んでいました」
「うぐっ……ちゃんと謝らないとな……」
美羽の娘、袁燿は素直な良い子だ。言ってみればそれだけで、特徴的なことは特に。
美羽に似て可愛く、けれど目立つのを嫌う。ちなみに馬鹿ではない。
姫と何かが切っ掛けで仲良くなったらしく、セキトの子の世話をよくしている。
……そういえば“袁術の子”って、三国志演義では呂布の娘と婚約者的な位置にあったって……。これもなにかの繋がりなのかな。
外史だもんな、曖昧なところからの関係性が混ざっても、なんかもうあまり不思議に思わなくなってきた。
「張紹は? 禅と一緒に勉強を見る約束が……」
「普通に禅姉ぇと一緒に歩いとったのを見たで。ちょっと落ち込んどった。禅姉ぇも一緒んなって」
「うわぁ………………周循と孫紹は?」
「あ、はい。ついでにと迎えに行ったのですが、父さまが来ないと知るや、孫紹が周循を引っ張って走っていってしまって……その後は、わかりません」
「アー……」
雪蓮の娘だけはあるなぁとしみじみ。
そして周循、強く生きなさい。キミの母も散々と通った道だ。
「………」
なぁ華琳さんや……。
こんな子供たちが、将の数だけいらっしゃるのですが……本当にお手伝いさんに頼んだとして、その人は無事でいられますか……?
散々と振り回された挙句、泣きながら“限界です……辞めさせてください……!”って言われる未来が普通に思い浮かぶんだが……?
「うん、まあ……わかった。一方的にいろいろと訊いておいてなんだけど、少し疲れたから……眠るな」
「あ、はい、是非。父さまは仕事のしすぎです。母さまも常に言っていますが、父さまはいっそ少しくらいサボるほうが丁度いいかと思います」
「んで、サボった分ウチらと遊んでくれたらなー、って。なー? 綝ー?」
「ふ、不謹慎だぞ虎。私はそんなつもりで言ったわけじゃ……」
「えー? ほんならどないつもりなんー?」
「……綝、虎。少し黙る」
『黙りますっ!』
今まで黙って俺の傍で服従のポーズを取っていた姫が、眠たげだけど少し眉間に皺を寄せるようにして二人を睨んだ。
……途端に姿勢を正して返事をする二人の姿に、俺も様々な将相手にあんなふうな反応で返してたんだなぁ……としみじみ。
「あ、そだ。張紹が勉強を頑張ろうとしてるのはわかったけど、鈴々は? 娘に頭で負けるのは嫌なのだとか言ってたけど」
「……璃々姉さんと一緒に、ラーメンを食べに」
『………』
なんとも言えない沈黙が部屋を支配した。
……うん、いいや、寝てしまおう。
寝てしまえばこの、今さら襲い掛かってくる疲れとか頭重とかからも解放されるだろう。
あとのことは目覚めた俺に任せるとして、今の俺はゆっくりと…………。
「………」
ゆっくりと…………。
「あの。四人ともなんで布団に上がってくるのかな? ていうか平、いつ起きたの」
「え? はい、たった今ですが。状況がよく飲み込めなかったので、とりあえず三人に
「………」
……四人とも寝る気満々でございますか。
いいや、寝てしまおう。
本当に疲れがどっと来た。
寝てしまえば、もういろいろと考える必要も───
「んぅ~……」
「うわっひゃあっ!? ちょ、姫! 肋骨に顔を擦り付けるのはやめなさいっ!」
「で、ででででは父さま、私は首に……!」
「そういう意味じゃないから!」
「あっはっは、こういう時、綝は素直やなー♪ あ、おとん、ウチ腰がええ」
「別に場所を決めろとか言ってないんだが!?」
「父上様、私は腕で。腕枕もいいのですが、こう……抱きついていると落ち着くので」
「………」
前略お爺様。
孫は今も元気に生きておりますが、普通……娘というのはこんなふうに育つものなのでしょうか。
天ではファザコンなんて滅多にないと思っていたのに、この状況はいったい……。
娘に嫌われるよりは、そりゃあいいとは思います。
思いますが……最近、少々いきすぎな気がしてならないのです。
娘達は果たして、きちんと婿を手に入れられるのでしょうか。
ええ、まあ、連れてきたら来たで、全力で娘への愛を証明してもらう所存ですが。
ただまあ、今の気持ちを一言で表すとしたなら───
「あ、おとん、ウチ久しぶりにおとんの即興昔話が聞きたい」
「あ……懐かしいな。昔は父さまがよくしてくれたな……」
「父上様は話を作るのが上手かったからな……」
「…………ん。父、聞きたい」
「寝かせてくれぇえええーっ!!」
───まさに、これだった。
「やっほー父さんっ! 私と楯を迎えに来れないくらい酷い状態で顔も醜いって桂花様に聞いたから、ちょっと様子を見に来たわよっ!」
「来た……。……大丈夫……?」
その後も心配とは名ばかりの孫紹が桃を片手に突撃してきたり、周楯がそれに付き添って、けれど本気で心配そうな様子で声をかけてきたり。
「とーさんなんとかして! またかーさんがいい歳して高笑いして歩いてるの!」
「あれはもうどーやっても治らないさ。それよりしょーさん、僕らが居ると名の時点で紛らわしいから、早々に退散した方がよくないかい?」
袁尚と張紹が元気と冷静さを見せつつ、しかし確実に助けを求めてきたり。
「お父様、お休みのところ失礼───まあ。どうしたのですかお姉さま方、こんな大勢で押しかけて。お父様は病気と聞いておりましたが、まさかそこにこの人数で押しかけたのですか?」
「……あ、燿。や、これは違うっていうか。私はね? いい歳してまだ高笑いしているかーさんをなんとかしてもらいたくて。私が言ったって右から左なんだもん、仕方ないじゃない」
「病気が治ってからでもいいでしょう。一緒に居るのが辛いのなら私の部屋へ来てください」
「う……ごめん、燿。いっつも言葉に甘えてばっかで」
「姉妹なんですから。助け合うのは当然です。むしろもっと甘えてください。あと髪の毛いじらせてください」
「……あんたってさ、綺麗だし勉強も普通に出来るし口調も丁寧だけど、中身は結構アレよね」
「お父様とお母様の娘ですから」
にこりと笑う燿……美羽の娘は、本当に楽しそうでした。
さて、こうなると後から後からどんどんと来るんだろう。
これ、もうアレだな。眠れないパターンだ。
仕方ない、ちょっと話を聞いて、まだ完全に抜けられないわけじゃないなら、抜け出してでもどっかで寝よう。
だめだったその時は……体力の続く限り、娘を甘やかすとしようか。
「父さん父さん! 姉さんたちに真名を贈ったって本当!? 私も欲しいわ! 対価は貰ってから考えるから、もし考えてあるなら頂戴!?」
元気いっぱいに喋り、喋るたびに胸の前で手をポムポムと合わせる孫紹に、苦笑を漏らしながら頷いた。
16を迎えた娘ら、ようするに丕や登たちに真名を名づけてから少し。
その下の娘達は、“次は誰の番なのか”をそわそわと待つ日々を過ごしていたそうで、頷いた時から随分とヒャッホウな様子だった。
丕には
登には
延には
述には
邵には
柄には
琮には
禅には
それぞれ真名を名づけてみたものの、喜んでくれたのかどうか……ああいや、喜んでたよ? もうめっちゃ喜んでたけど。
でも果たしてこの娘達全員に名づけたとして、気に入ってくれるかどうか。
あ、惲は絶対に母親……桂花に名づけてもらうんだそうで、最初から無視でした。
……さて。
ちょっと考える仕草をした途端に私も私もと迫ってくる娘達に、俺は笑顔で迎えてこの言葉を贈ったのだった。
いいからまず寝かせてください
と。
……そんなわけで、軽いおまけをお届けしました、凍傷です。
書いてみて思いましたが……別にこれ本編の途中であってもいい気がしました。
そしてキャラの処理がとても大変なのは本当の本当に理解しました。
いろいろと考えましたが、それっぽいお話を取り入れてカタカタ。
名前調べるのが、これがまたいろいろと手間だったりして、名前はあるけどすぐに没する長男ではなく次男を調べてみたりと、少し探してみました。
呂布に娘なんて居たっけ……!? って一応調べてみれば、居たかもしれないのだが名前なぞありません状態。
ただコーエーの三國志シリーズ、セガの三国志大戦には名前付きで出ている模様。
コーエー側では呂玲綺。セガ側では呂姫として、ならくっつけちゃえと呂姫玲綺。
真名をヤマザナドゥにしたい衝動に駆られましたがきっと気の所為です。
書いてはみたものの、いや、本当にこれは多すぎて扱いきれません。断言します。
ただ面白い部分もあって、たとえば春蘭の娘である夏侯楙と関平は料理好き同盟を築いたとか、夏侯楙さんはお金が大好きで守銭奴だけど調理に関しては金を惜しまないとか無駄設定が出来上がる。
他にもあるけどキリがないので。
袁燿を懐かせて、平和な都に大渦をと七乃が企むってお話も考えましたが、シャレにならなそうなので却下の方向で。
ちなみに楽綝の読みの多くは“がくちん”ですが、さすがに「ちんー! ちーんー!」と呼ぶのは可哀相なので、もう一つの読み方の“がくりん”で。
ではまた次回で。