真・恋姫†無双 魏伝アフター   作:凍傷(ぜろくろ)

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151:IF3/突端と終端②

 氣が篭った手甲と足とがぶつかり、閃光のような火花を発する。

 それを合図に白装束の軍勢が動き出し、対抗するようにこちら側も一斉に動き出した。

 

「チッ! 于吉め、余計なことを!」

 

 左慈が舌打ちとともに叫び、同時に放つ蹴りを俺は左の手甲で逸らし、右の手甲で反撃する。

 左慈はそれを、身を回転させることで避けながら、逸らされた右足ではなく左足で蹴り上げ、着地するや屈みこみ、流れる動きで足払いへと移行。

 だがむしろ蹴られて構わんとばかりに、構えた状態から加速の直突き。水面蹴りにより、体ごと回転するその頬へと、カウンターを決めるように拳を振るった。

 けれど左慈は拳が頬に触れた瞬間に脱力。

 頬に氣を集束させて、クッションとして代用。俺の拳を軸に身を回転させて、殴られた衝撃を外側へと逃がして、回転のままに俺を蹴り、軽く距離を取りながら着地した。

 

「何を驚いている? 肉体は成長せず、氣を高めるか道術を鍛えるしかなかった俺達だ。こんなことくらい、出来て当然だろう?」

「ああそうだなっ! っせぃっ!」

「フン、馬鹿正直な突きだ。構えも視線も真っ直ぐすぎて、避けることさえ作業になる」

 

 地を蹴り接近し、右拳を真っ直ぐに突き出すも、左慈は僅かな動作だけで無駄なく避けてみせた。

 そんな彼を、

 

「そりゃ、避けさせるための行動だし」

「なにっ!?」

 

 肘を曲げて頭を掴み、引き寄せると同時に左手に込めた氣を、腹部に埋め込むように放つ。

 いや、放とうとしたが、その掴んだ頭でさえ軸にして、彼は身を回転させて左の掌底を避ける。

 ならどうするか? 引き寄せる動作を受け入れて、前回転で攻撃を避けた彼……その体を抱き締めるようにして、

 

「パイル!」

「おごぉっ!?」

 

 パイルドライバー。

 普通じゃ絶対に聞けないだろう悲鳴をあげて、しかし左慈はすぐに起き上がり、俺が顔面目掛けて振り下ろした下段突きを躱す。

 

「づぅうっ……! き、貴様ぁあ……! この状況でプロレス技だと……!?」

「状況や手段を選んで勝ちを拾えるほど、平和で余裕な鍛錬なんて……生憎、許されなかったんだよ」

 

 どんな方法だろうと相手の隙は穿て。じゃなければ、同じく成長する将らには一生勝てやしない。

 俺にそう教えてくれたのは冥琳だ。

 勝ちたいと本気で思うのなら、綺麗な勝利など最初から想定してはいけない。

 決められた型の武術で勝つ戦いなんてものは、意識するよりもよっぽど綺麗なものだ。

 美学を持ち込まない勝利というのはとてもドス黒いもので、それこそ戦う以前に毒殺してしまうことほど確実なものはないのだと。

 ただしそれは、相手から呆れるほどの怒りを買うものだとも。

 そりゃそうだ。

 

「ならば───こうだ!」

 

 勉強の続きだ。

 そうして、相手にとっての“自分が思いもつかない行動”で虚を突かれた場合、多くは相手に苛立ちを持たせる。

 そして無意識下で対抗意識というものを燃やす相手が多く、“ならば”と卑劣一歩手前の行動をしてくることも多い。

 “予想通り”に足下の石を蹴り弾き、俺へと飛ばしてきた彼───の眼前へと、飛んで来た石を手甲で弾きながらも一気に詰める。

 

「なっ!?」

 

 相手が驚きに身を硬直させる瞬間を逃す手は無い。

 地につけた右足から一気に螺旋の加速を開始して放たれた拳が、左慈の腹部へと突き刺さる。───が、その手応えがやけに軽い。

 直後に左慈は吹き飛び、しかし地面に手をついてひらりと体勢を立て直す。

 ……腹部に氣を込めて、自分から後方に跳躍してダメージを殺したのだ。

 

「……よくもまあ、あの一瞬でころころと次の手を」

「貴様こそ、随分と姑息に徹することに躊躇が無いな。貴様に武を教えた者は皆、そうであれと唱えたのか?」

「いいや? 正々堂々ぶつかって勝てって人ばっかりだったよ」

「ハッ。だったら貴様は随分と仲間との絆とやらを軽んじる北郷一刀なんだな。俺が今まで見てきた北郷一刀とは随分と違うらしい」

「貫く理想があるから、その過程でどう思われるかなんてことはとっくに切り捨てたよ。勝たなきゃ辿り着けないなら、勝たなきゃ───話にもなりゃしない!」

 

 踏み込んで正拳。

 だが左慈はその場から動かず、接近する俺の拳を逸らす動作とともに───どんな力が働いたのか、こちらの体が宙を舞った。

 まるで漫画とかで見る合気だ。

 回転しながら吹き飛ぶ自分を何処か他人事に感じつつ、その回転を利用しての蹴りを放つが、それすらも逸らされ、地面に激突させられる。

 すぐに跳躍からの踏みつけが容赦なく顔面目掛けて落とされる。その空中に居るという状況を逆に利用して、起き上がる体勢も半端なままに、地面についた手から腰にかけてを螺旋加速。

 逆に左慈の顔面に浴びせ蹴りをかましてやり、衝撃を逸らされて逃げられても構うかって勢いのままに、踵で捉えたまま地面に叩きつけた。

 

「ぐはっ!? きさ───ちぃっ!」

 

 すぐに起き上がって顔面目掛けて拳を振り下ろすけど、それより早く起き上がった左慈には当たらない。

 それどころか振り下ろそうとした動作さえ隙と断じて、すぐに蹴り込んでくる姿に呆れと感心の念さえ抱く。

 氣をクッションにしながら、後方へ跳躍することで腹へのソレの威力を殺し、着地と同時に息を吐く。

 戦ってみて気づくが、こいつ……本当に行動の一つ一つが綺麗で、巧い。

 ……長い間を鍛えたのだろう。

 先輩って呼びたくなる意識の大半はそこからくるものだ。

 けど、だからってなにもせずに否定を受け入れる覚悟なんて刻めやしない。

 絶対に勝つ。

 勝って、なにもかもを肯定して、自分が願う未来に、必ず───!

 

「おぉおおぁああっ!!」

「勢いづくのは勝手だがな……! 直撃を食らっていないからと調子に乗るな!」

 

 踏み込みからの、拳による加速突き。

 それを、苛立ち混じりに見守りながら、左慈は流れるような動作を見せた。

 

  “構えから、蹴り”。

 

 当然のようにしなければならない動作から、ソレは放たれた。

 が、振るわれた足が膝の先から見えなくなるほどの速度であったそれに、一瞬、取るべき行動を忘れた。

 直後、左腕に衝撃。

 その痛みで戻ってきた意識に、動けなかった自分に驚く。

 戦いながらあそこまで棒立ちになるなんて、いったいなにを考えているのか。

 そうは思うが、あまりにも綺麗だったのだ。

 それこそその攻撃を完成形にまで昇華させたと思わせるほど、動作から攻撃までの流れに目を奪われた。

 

「棒立ちのまま喰らうとはな。まさかもう疲れたとでも───」

 

 けど。

 そんなことを言って全てを投げ出すわけにはいかない。

 鍛錬したのはこちらも同じ。

 だったら、今、その成果を発揮しないでどうするんだ。

 相手の武術に感動している場合じゃない。

 そんな武さえ乗り越えなきゃ、望んだ未来には辿り着けないのだから。

 

「ッ───!」

 

 将と兵が白装束の軍勢とぶつかり、一気に周囲が騒がしくなったこの場で、決めた覚悟を胸に殴りつけ、蹴られたことでじくじくと痛む左腕は、癒しの氣で痛みを和らげる。

 それを、地面を蹴って距離を詰める過程で終わらせて、再び螺旋加速を実行。手甲も無しに振るったんじゃ、拳や筋を壊してしまう速度をそのままに拳を振りきる。

 左慈はそれを見切って必要最低限の距離を下がることで避けてみせるが、お生憎様、というやつだ。

 

  ヂパァン! という音が、喧噪の中で響いた。

 

 振り切った拳から放たれた、繋げたままの加速した氣を“鞭をしならせ音速を越えさせる方法”の応用で、さらに加速させて体内へ。

 その速度を保たせたままに足へと走らせた速度を、今度は具足で地面を蹴り弾くことで一気に接近、肉薄。

 

「な」

「おぉおおおりゃぁあああああっ!!」

 

 驚愕の声なんて最後まで聞いてやらない。

 再び振り切った拳が今度こそ左慈の腹へと勢いよく埋まり、

 

「がぁっはぁあっ!?」

 

 鈍い手応えとともに、彼は胃液をぶちまけながらも追撃を警戒して距離を取った。

 逃がすものかと足に氣を込めた矢先、その足にいつの間に放たれたのか、左慈の氣弾が直撃。たたらを踏んだ時点で追撃のタイミングは無くなっていた。

 

「ぐ、うぅぅっ……! よくも……貴様、っ……はぁっ……! 北郷、一刀ぉおお……!!」

 

 グイ、と口周りの胃液を袖で拭い、憎々しげに俺を睨む左慈。

 追撃が出来ないと判断するや、俺は俺で呼吸を整えることに努めていた。

 

「こんな雑魚の攻撃に、この俺が……! これは油断か……? ああ油断だろうな……! 忌々しい……こんな男の攻撃を受けて、反吐さえ吐く自分こそが忌々しい……!」

 

 素直な怒りをここまで真っ直ぐにぶつけられるのは、そう珍しいことじゃなかった。

 これも春蘭との付き合いのお陰だろうか。

 こんな、体の中を無理矢理冷たい刃で掻き回されるような殺気も、冷静に受け止められる。

 ただ、冷静になった時にも注意が必要だと教えてくれた人も居た。

 熱くなった存在は一点に意識が向きやすい。

 ただ、冷静になってもその状態を保たせようとする意識が走りすぎることがある。

 幾度も幾度も鍛えた者の場合、無意識に状況に対応出来るのが一番だと彼女……秋蘭は言った。

 意識しすぎるな。ただ、状況に順応して、経験したことのないものさえ今から学んで刻み込め。同じ攻撃は二度以上体に埋め込むことなどしないよう。

 

「容赦はしない───その首、蹴り落としてやろう!」

 

 構え、蹴り。

 再びの動作に心臓が跳ね上がる。

 また見えない蹴りが来る───そう頭が考えるより先に、俺の目は彼の膝より上を見ていた。

 膝から先が消える? だったら───膝の向きでその先を予測しろ。見えないものばかりに意識を持っていかれるな。

 

(そもそも、右足での攻撃なら、っ!! くぅう……っ! ~……正中線から左側にしか、来ないんだろうからな───!)

「!?」

 

 膝の位置から軌道を予測。氣を込めて構えた腕にズシンを重い衝撃が走るが、そんな驚愕もこちらにしてみればありがとうだ。

 左腕に走った衝撃を装填、振るう右拳から氣弾として放ち、再び腕の長さの分だけ軽く下がって避けるつもりだった左慈へと直撃させた。

 

「ガッ!? 小細工をっ……!」

 

 顔面に直撃、弾けたために猫騙しのような効果までもたらした反撃を前に、左慈は顔を庇うように下がる。

 その動作に重ねるように俺も間合いを詰めに地を蹴って、同じ分だけの距離を縮めるや───

 

「ごっ!? っ……あ、かはっ……!?」

 

 ……。鋭い蹴りが、俺の腹に突き刺さった。

 やられた。

 踏み込んだ勢いの分だけ、カウンターダメージとして返ってきた。

 骨のある硬い部分は狙わず、内臓を抉るような下から斜め上に減り込ませる鋭い蹴りだった。

 

「うぶっ! がはぁっ!」

 

 恥もなにもない。今度は俺が吐く番で、逃げる番だった。

 胃液をぶちまけながら、追撃として振るわれた蹴りを避け、それでも相手をしっかり睨みながら距離を取る。

 腹を庇うように体を屈ませ、下がる姿は滑稽に映ったのだろう。左慈はにたりと笑みを浮かべながら、どれだけの反撃が来ようが構うものかと一気に近づき、

 

「げがぁあっ!?」

 

 間合いに入った瞬間に一切の容赦無く振るわれた加速居合いの直撃を受け、地面に転がった。

 

「っ……ぶ、はぁっ───! がっはっ……はぁ、はぁっ……!!」

 

 ……一撃を腹に喰らったあたりで用意はしていた。

 予め絡繰に蓄積させておいた氣を加速に利用して、腹を庇う姿勢のままに重心を下ろして、近づけば居合い。

 吐きそうなくらいの集中力を無理矢理振り絞ったこともそうだし、腹部へ受けたダメージも本物だ。追撃したいのに、腹の中のものをぶちまけることにしか働いてくれない自分の稼動可能な意識に、涙さえ溢れてくる。

 不完全だった。

 全ての順序を正しく加速に向けられた筈だったのに、なにかが引っかかるみたいに氣の流れが途中で鈍った。だから追撃をしなければいけない。

 今動ければ決着がつけられる。

 吐きながらでもいいから動けと命令するのに、なんの冗談なのか足が動いてくれない。

 腹に喰らったのはマズかった。

 意識を蹴られた部分の奥に向けてみれば別の氣が滲み込んでいて、それが氣脈の動きを邪魔していた。

 これの所為で、居合いは完成に到らなかったのだ。

 

  と、なれば。

 

 確実に起き上がってくる。

 だから動けと命じるのに足は動かないし、氣で動かそうにも澱みが邪魔をして満足に動かせない。

 すぐに澱みの除去に意識を向けるも、どれだけ練りこまれた氣だったのか、中々消え去ってはくれず……動けるようになった頃には、相手も立ち上がって呼吸を整え、改めて俺を睨んでいた。

 

「フフッ……今ので決着といかなかったのは、貴様にとっては絶望の結果だったようだな」

「勝手に決めるなよ。望みを絶ってたら、こうしてあんたと向き合うことだってしないって」

 

 呼吸を整えて向かい合う。

 周囲は騒がしいが、白装束が意図的に俺と左慈を避けているのか、どちらかの軍勢が俺達を巻き込むことはない。

 

「上手く誘導したんだろうが、その木刀を喰らうことは二度と無いぞ。身に着けているものに一切の注意を向けないとでも思ったか?」

「居合いが来るのを予想していたみたいな言い回しだな」

「氣を用いての加速など、氣しか伸ばせるものが無い俺達では選んで当然の道だ。加えて俺は、この世界に居る傀儡どもと違って他の世界の知識を知らんわけでもない。貴様の知るフランチェスカがある世界にも居たことがあるんだぞ? 居合いの知識くらい、持っていて当然だろう」

「そうだな。ファクターだのなんだの、普通に言うくらいだもんな。……で、その当然の中で、どうしてあの貂蝉は」

「知らん言うな考えるだけ無駄だ」

「お、おう」

 

 やっぱりそこらへんは謎らしかった。

 そんなやりとりにみんなとの日々を思い出し、クスリと笑って……緊張ばかりだった心に少しのやすらぎを。

 

「……? 何が可笑しい」

「わかったことがあったんだ。誰が何をどう言おうが、それは受け取る側の問題なんだって」

「当然だろう。それがどうした」

「あんたが愛紗並みに強くても、戦い方が違えば、武器が違えば取る方法も変わる。むしろ戦う手段の大半が氣を用いたものなら、愛紗と戦うよりも自分らしい戦い方が出来る」

「ほう? それがなんだ。俺に勝てるとでも言うつもりか?」

「勝てるさ。まず俺がそう信じなきゃ、どんな勝機も見逃すことになる」

「出来るのか? 仲間が居ない貴様に。お得意の、女の影に隠れて勝利にのみ酔うことが出来ないのに」

「俺とあんたとの決着じゃなきゃ連鎖は終わらないんだろ? だったら他に頼ることはしないし、出来ない」

「……ああそうだ。よく言った」

 

 相手の氣が充実していくのを感じる。

 どこからあんなにも濃い氣が湧いてくるのか、全身に氣を行き渡らせたらしい彼は、構えののちに疾駆。

 間合いに入るや右の蹴りを放ち、こちらは木刀を振るうことで迎え撃ってはみたが、相手の足を砕くどころか、左慈は木刀を足で受け止めてみせた。

 

「フン、足でも砕くつもりだったか? 笑わせるなよ北郷一刀。俺の氣は、抜き身の刃でだろうと斬れはしない」

 

 言うや、木刀を手で掴んで前蹴りへとスイッチ。

 まるで細剣を相手に立っているような尖った寒気に襲われた俺は、咄嗟にこれを避ける。

 ……、掠った制服が、あっさりと穿たれた。

 

「ッ! せいっ!」

 

 どういう氣の練り方をしているのか。

 確かに湧いた焦りから、咄嗟に左拳での反撃を。

 左慈は掴んでいた木刀を離すと突き出された拳に手を添えるようにして逸らし、体勢を崩した俺の顔面へと突き出した足を戻す過程で膝蹴りを。

 咄嗟に離された木刀の石突でその膝を殴りつけるが、勢いに負けて俺の手から木刀が飛ぶ。

 

「そらっ! 頼みの武器サマは飛んでいったぞ!」

 

 次いで突き出される貫手。

 体勢からして全ての悪条件が揃っている状態。躱すか受けるか。

 足に込めた氣を弾かせて下がれば当たらないだろうが、相手に攻撃の勢い……攻勢を持たせることになるだ───って考える余裕なんてない! ぶつかる!

 

「っ───だぁっ! ……りゃあっ!!」

 

 迷ったなら突撃。

 左手が右側へ、右手も膝を殴ったような半端な格好で、足の氣を弾かせて下がるのではなく前へ。

 貫手を掠らせながらも左肩からタックルをかまして、膝が浮きっぱなしだった左慈の体勢を崩して……躱した貫手を掴んで一本背負いを。

 

「! 貴様っ!」

 

 踏み込んだ足から螺旋加速を行使しての、強引な一本背負い。

 相手の腕を捻り切るつもりで実行したそれはしかし、左慈が俺の背に手を添え自分の体を宙へと飛ばし、腕を追うことで威力を殺される。

 しかもそれだけでは終わらず、跳躍の際に氣を加速。宙に跳んでから、さらに俺の“捻り切ろうとする力”さえ氣に乗せて、蹴りを放ってきた。無茶苦茶だ。

 当然一本背負いなんて格好の俺がそれを避けられるわけもなく、なんて考えるより先に手を離した。

 

「なにっ!?」

 

 勢いが乗り切った彼は放り投げられる形で宙を舞う。

 そこへ、手甲に込めた氣を砲弾のように放つことで追撃。

 左慈は振るった蹴りの勢いで空中で体勢を立て直すと、その氣弾を氣を込めた足で蹴り弾くことで余裕を以って着地する。

 

「っ……ふっ!」

 

 その着地に合わせて駆ける途中、落ちてきた木刀を手に横一閃に剣閃を放つ。

 それを屈むことで避けた左慈は、立ち上がる勢いを利用して一気に疾駆。

 振るう木刀と蹴りとが再度ぶつかり、氣の火花を散らした。


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