40/笑顔が見たい
ある日の建業。
城の中庭で準備運動がてらに始めた、左手のみの木刀の扱い方【応用編】を終わらせた俺は、鍛錬を手伝ってくれた思春と昔話をしていた。
何気なく口に出た“誰かのため”とか“自分のため”とか、そんな言葉をたまたま深く考えてみようと思ったために、こんな話題が出てきた。
起源、なんてものが自分の人生のどこから始まったものなのかーなんて、わかりそうにもないことを延々と話しては、“貴様について知る必要のあることなど何一つとしてない”とか一息で言われたんだが……意外なことに、きちんと最後まで聞いてくれた。
そもそも鍛錬に付き合ってくれること自体が驚きだ。そう思いながら、呉に来てからのことを思い返してみるわけだが、思春が付き合ってくれる理由らしき理由など見つかるはずもなく。まあ、なんだろう。やっぱり気になるわけで。
「なぁ思春。鍛錬とか話に付き合ってくれるのは正直に言って嬉しいんだけど……どうして付き合う気になってくれたんだ? 俺、どっちかっていうと嫌われてるんだと思ってたんだけど」
「………」
……あれ? なんだか“なにを言ってるんだこの馬鹿者は”って顔をなさってる?
「国に尽くそうとする者に対して、話も聞いてやらぬ者が、いったい国に対してなにをしてやれる。やり方はどうあれ、貴様は呉に尽くそうとしているんだろう。それに───」
「それに?」
「…………いや、なんでもない。続きを話せ」
「?」
昔話の続きを促す思春は、木に背を預けながら自分の右手を見下ろして、一度だけ「……フン」と言うとそっぽを向いた。
そんな仕草でさらりと流れる長い髪の毛や、落ち着いた雰囲気の庶人の服が、これで結構似合っている。
動きづらくないのかと訊ねてみても、「貴様相手ならばこれで十分だ」と言われる始末で。この世界に在って、今さら男は女より強いなんて言うつもりもないけど、それはそれで寂しかったりした。
そんな彼女と対面するように胡坐をかいている俺は、前までだったら見えてしまっていたであろうFUNDOSHIに目を逸らす必要もなく、足首ほどまで長いスカートに安心を得ながら、にこやかに話を進めることができた。
(けど───右手か。怪我でもしたんだろうか)
綺麗な手を見ていると思春に気づかれ、彼女は顔をほのかに赤くして……またそっぽを向いた。
赤くなるようなことをした覚えはないんだが……右手? 俺が思春の右手に関係することっていったら、あの日に握手したことくらいだろ?
(…………わからん)
気にしないことにして、話を続ける。
正義への疑問を通りすぎて、日々の中で疑問に思ったことや、自分が天の国でどんな生活をしてきたのかとか、無駄な話から真面目な話まで。……なんだけど、なかなか難しいもので。自分では可笑しかったはずの話も、思春は静かな眼のままに聞いていた。
話して聞かせた言葉が右から左へ流れて行くわけでもなく、雪蓮に言われた“思春の表情を豊かにする”って言葉をそのまま実行に移しているわけでもないんだが、どのみち思春は笑わなかった。
むしろこうまでキリッとした顔をしていると、意地でも笑顔を見たくなる。
武に真っ直ぐで真面目な女性……思い出すのは凪なんだが、凪はあれで結構表情は豊かだった。隣に真桜と沙和が居たことも相当に影響しているんだろう。だったら何故、同じく仲間が居る思春がこうも表情を崩さないのかといえば……
(錦帆族……海賊だったっけ。その頭をしてたっていうんじゃあ、それも仕方ないのかもしれない)
そんな彼女の表情を豊かにさせるためには、いったいなにをどうすればいいのか……うんうんと考え込んでいると、思春が「何を唸っている」とツッコんでくれる。
「あ、んっと…………んん、なぁ思春?」
「なんだ」
華琳……悩んでわからない時、あなたならどうしますか?
俺は直球でいってみようと思います。
「笑ってみせてくれないか? こう、やわらかな笑顔でぇえっひゃああーいっ!?」
いつの間に抜かれたのか、俺の首にヒタリと当てられる曲刀。思わず喋り途中だった言葉が裏返り、そのまま悲鳴になった。
あ、あぁああの思春サン!? 言っちゃなんだけど庶人扱いの貴女がどこから刃物を!? どうせ当てるなら、鍛錬用に借りてきた木刀を当てましょう!?
「貴様……なにをふざけたことを言っている」
「い、いや~……ふざけてなんか……! ただ、笑顔が見てみたいかなって……。ほ、ほら、雪蓮が望む呉の在り方が、みんなが笑って過ごせる呉なら……ね?」
「……一理ある。だがたとえ笑顔になろうと、何故“貴様に”見せなければならん」
わあ、物凄い正論だ。
俺が見たいからってことじゃあ理由にはならなそうだ。ならなそうだけど、それは思春にとっての理由ってことで……うん、俺は見てみたい。
「俺が見たいからってことじゃ、理由にならないかな」
「ならん」
真正面からの言葉がゾグシャアと胸を抉っていった。
一応は納められる曲刀を見て安堵の息を吐きつつ、ああ……容赦ないなぁ思春さん……などと、相変わらず情けない思考ばかりを働かせながら、胡坐で座したままに後方の草むらに両手をついて空を仰ぐ。
「………」
───呉のみんなと戦うことになり、ボッコボコにされたあの日からしばらく。
大した間もなく朱里と雛里は呉にやってきて、学校がそろそろ出来そうだということを教えてくれた。
そろそろとは言うが、まだ手を加えられる段階ではあるらしく、追加する意見次第では建築期間は伸びます、とのこと。
決まった事で重要になったものといえば、町人や兵などに学ばせるより先に、教師にこそ学ばせるということ。まず、気心知れている将を相手に“きちんと教鞭を振れるか”、“教える物事は相手に伝わりやすいものであるか”を調べるためにだ。
教える側が“知っているのが当然”って考え方で突っ走れば、誰も付いていけないしさ、仕方が無いよな、これは。
仕方がないんだけど……どうして俺が教師役を任されなきゃならんのだろう。
「話は変わるけどさ、思春。どうして俺が教師なんだろう」
考えてみても解決しなかったから、いっそ訊いてみた。
すると思春はあっさりと返してくれる。考える素振りすら無しでだ。
「“がっこう”とやらについては、貴様が一番詳しいからだろう」
うん……そりゃあ、“学校”についてはね?
でも教えれば理解出来そうな内容だし、俺がやることもないんじゃないだろうか。
「それってさ、“塾”って意味ではみんな知ってるんじゃないのか?」
「必ずしも同じとは限らん。だから貴様に委ねられたのだろう」
「………」
学校(新築)。教師(俺)。生徒(蜀の将)。
どうしてこうなったのか……俺は、教師として蜀に招かれるらしい。
しかも蜀の将を相手に教鞭を振るってみせる必要があるのだと。
教える内容は俺の世界のものと同じでいい、と言われたけど……丁寧に教えられるかなんてわかるはずもない。
むしろ俺が、“相手も知っていることを前提”にした教え方をしそうでいけない。いけないのに二つ返事って……馬鹿だなぁ俺……。
でもさ、仕方なかったんだ。朱里と雛里がさ……涙目で服を引っ張ってきてさ……お願いしてくるんだもの……。
あれ、狙ってやってるんじゃないよな……? あれを断れる人が居たら凄いよ。
「…………ん、それなら仕方ない……のか? 全部が納得できるわけじゃないけど、今は納得しておくよ」
「貴様はいちいち考えすぎだ。魏の人間には、もっとお調子者だと聞いていたぞ」
「そうなの!?」
ショ、ショックだ……! お調子者……かもしれないが、まさか本当にそんなこと言われていたなんて……!
「与えられた仕事はほどほどにこなすが、部下に任せてあちらこちらへとうろつくことが多い。兵や部下には人柄で慕われてはいたが、息抜きが多すぎるのが玉に
「………」
正論すぎて何も言い返せませんでした。
こういうこと言うのは真桜か沙和だろうか……うう、苦労かけてごめん。
だけど率先してサボリまくってた二人に言われたくはないかなぁ……ああ、じゃあ言い方を変えよう。凪、迷惑かけ通しでごめん。
うん、しっくりだ。
「さて、くだらん雑談もここまでだ。北郷、貴様の予定を話せ」
「いつもながら、爽やかなまでの“貴様”をありがとう。準備運動的な鍛錬は終わったから、これからイメージトレーニングに入るよ。出来ればまた手合わせしてくれると嬉しいんだけど、思春もいろいろ忙しいだろ?」
「…………」
「うわ。今小さく溜め息吐いた……? そ、そんなに嫌だったか……?」
「庶人扱いの私に。貴様の監視以外のどんな忙しさがある。蓮華様に貴様の行動の全てを逐一報告すればいいのか?」
「や……それはちょっと困るけど」
そう……だよな。思春も、訊ねられない限りは冥琳や雪蓮にもなにも言っていないっていう。
それは庶人がするような仕事ではないからであり、訊ねられれば報せるのは、食を賄ってもらっている恩があるからだ。
思春の態度で忘れがちになるけど、一応俺付きの人なんだよな……庶人で付き人って、変な感じだけど。
(それ以前に、手を繋いだ時からずっと、友達のつもりだけどね)
思春はそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、一緒に居てくれている。
嫌な顔をひとつせずに。……ただ単に無表情なだけかもしれないけど、これで結構“表情”はある。
最近それがわかってきて、思春と話すのも楽しいくらいだ。そう思うと、もうすぐこの国ともさよならなのは惜しい。惜しい気もする、どころじゃなくて素直に惜しいって思えた。
「もうそろそろ思春ともお別れか……ありがとな、思春。俺の傍にずっと付いてるなんて、辛かっただろ」
寝床も一緒で食事も一緒。鍛錬の時はこうして付き合ってくれて、風呂以外ではほぼ一緒だった。
俺のことを嫌っているのだとしたら、これほど辛い日々はなかったんじゃあなかろうか。
……なんて思ってたのに、やっぱり「なにを言っているんだこの男は」って顔をされる。
「貴様は馬鹿なのか?」
「えぇっ!? え───な、なに!? そんなに真っ直ぐに言われるほど馬鹿なの俺!」
で、何故か前振りもなく馬鹿かと訊ねられた。
ばっ……馬鹿……いや、自分で天才だーとか言うつもりもないが、俺だってこう……この一年、頑張って勉強も鍛錬も頑張ってさ…………そりゃ、この世界じゃああまり実りになった実感なんてないけど。
歴史に名を残す人たちに囲まれて生きてみろ、自分の努力が物凄くちっぽけなものだったって思えて仕方ない。
それでもいつかは役に立つって信じて頑張ってるっていうのに…………ば、“馬鹿”かぁあ…………落ち込むなァ……これは地味にこたえる……!
「忘れたか。私は、貴様に付けと、命じられたんだぞ。将でもない私が、庶人として、貴様にだ」
「あの……そこまで噛み砕かなくても、わかるつもりだから───って、え? ご、ごめん、今なんて……?」
「………」
「じゃなくてうんっ! 聞こえたよ!? 散々と噛み砕かれたのに理解できなかったとかそういう意味じゃなくてっ!」
ま、待て待て? じゃあなにか、思春はこのまま俺についてくるって───そういうことになるのか!?
だって呉のことはっ!? そりゃあ戦が終わったんだから、武人側は監視や兵の調練くらいしかやることなさそうだけど……呉って結構人手が少ない感があるし、そんな中から思春が抜けたら……ってもっと待てっ! 海兵のみなさんはどーなるっ!
みんな一緒についてくるとか、やめてくださいよ!? 進軍かと勘違いされるって絶対!
「あのー……つかぬことをお訊ねしますが…………海兵の皆さんはどうなるんでしょうか……」
「問題はない。海の上が故郷だと言うつもりもなければ、呉が故郷でないはずもない。そこいらのモノを知らぬ孺子でもあるまいし、私が抜けて均衡が崩れるようなら下につけていた私の目が狂っていただけのことだ」
「……そっか。信じてるんだな、みんなのこと」
「なっ……! と、当然のことを当然だと言っただけだっ、然を然と呼ぶことに信頼などいらんっ」
「………」
“やっぱりこの人も呉が好きなんだなぁ”って、しみじみと感じられた。
だって、呉の話をする思春の目は、どこかやさしいんだ。キリッとした眼光のなかに、ほんの少しだけど……歳相応の、やさしさが含まれる。
俺は、彼女のそんな瞬間の瞳が嫌いじゃあなかった。だからこそそんな目で笑ってみてほしいんだけど……だめだな、世の中思う通りには運ばない。
(うん)
こんな話があったな。世界は様々な“軸”で構築されている。
パラレルワールド、なんてものが存在していて、ようは自分とは違ったべつの自分が存在する世界の話だ。
その世界は今俺が立っている世界とまるで一緒だけど、明らかに違う事実が存在する。それは、そっちの世界の俺が、必ずしも同じ行動を取るわけじゃない、ということ。
たとえば剣道を始めるか始めないかでいえば、始めた俺が今の俺で、始めなかった俺がどっかに居る。始めた俺はこんな俺になって、始めなかった俺はこの世界に下りることすらなかったかもしれない。
剣道をしなかった所為で性格がスレたかもしれないし、始めたお陰でこんな俺になったかもしれない。ようは確率の話になるんだが、パラレルワールドが存在するとしたら、その時その時に感じた直感通りに動くかそうでないかで、そのパラレルってのはいくつも作られ続けてるっていうこと。
もちろんきっかけは俺だけに始まることじゃなく、そもそも父と母が結婚しなければ俺が産まれなかったりもした、という世界もあるわけで。
世の中が上手くいかないのは、それだけ昔から続いてるパラレルの一つを変えちまうってことなんだから……自分の思う通りにするのは並大抵のことじゃないってこと。世界を変える気で挑まないと、叶うものも叶わないってことだろう。
そんなものを一介の学生に望むのは……そりゃ、大変なことだ。大変なことだけど…………ははっ、仕方ないよなぁ。見たいって、俺が思っちゃったんだから。
「な、思春」
「……なんだ」
また右手を見ていた思春に語りかける。
返ってくる言葉が解っている分、そこからどんな話に持っていくのかを予想してみるのも……うん。これで案外、俺は楽しかったようだ。
先日、あ、モンハンXXの話でごめんなさいですけど、先日ようやっと村のバルファルクさんと戦いました。
新モンスター! しかも古龍種ですよ! きっと無印のリオレウス、2ndGのナルガほどの緊張感と怖さを与えてくれるに違いないのです!
といっても乱入自体はグラビモスさんをコロがしたあとにされて、見事にゴシャーと逃げられたわけですが。
乱入の時の緊張感は凄かったです。try要素が組み込まれてからというもの、新モンスターはどうにもトリッキーというか、勘弁してくださいって挙動が増えた気がしますので、絶対にこやつも戦いづらいに違いない……! と土器王記、もといドキドキ。
見事に予測の範疇を越えた動きでボッコボコでした。
構わんハンターの基本はごり押しor様子見だ! とばかりに突撃、粉砕、撃退。
あの、空を見上げたあとにジェット噴射で飛んで行く様がステキでした。
のちに再戦。
様々なお方は即座に仲間とG級制覇を目指すのでしょうが、ソロプレイヤーな僕はまずは村制覇。
そしてバルファルクが~───来た!
ようし準備万端だ! 翼からのエネルギーショットで、龍属性やられ受けたからウチケシは……あ、属性武器じゃないから別にいいか。
というわけでライトヴォウガン! 最近ライトに心奪われている凍傷です。
ああ緊張する! ムービーの終わりから見るに、遺跡の天辺のあそこにおるのよね!
ようしあそこまでひたすら走ってゲェーーーッ!! いきなり目の前から!? やだもうやめてこういうの! 心臓に悪いから!
そんなこんなでバトル開始。
見慣れない攻撃にあたふたしながらもバトル、バトル、バトル。
相手の挙動に集中して、この格好をしたらこのタイミングでジャスト回避! ……⇒追撃で大ダメージ。翼を槍みたいに二回伸ばしてくるの、ジャスト回避後を的確に狙われてほんと困ります。
しかしXMENはくじけない! Xメン関係ないけど!
勝利条件は討伐か撃退ってなってたと思うし、きっと新モンスターだからって体力とかめっちゃ多めに設定されてるに違いねぇぜ~~~っ!
ならば多少無茶でも攻撃出来る時に攻撃を重ねる! 相手の挙動が頭に入ってきてからはきちんとタイミングを見計らう!
そして───やがて、バルさんがゴドシャアア……と倒れた。
「オッ───……あれ? え?」
討伐完了。え? 死んだふりとかじゃなくて?
……いやいやいや、まぁさか嘘でしょう!
だって、え、えー……? あ、そっか、集中してたから、実はめっちゃ時間かかってるとか!
と、クエスト確認でクエスト状況を確認。
残り時間───43:24
(゚Д゚)
じょっ……上位だからネ! うん! 上位だしネ!
上位で村だから! うん! 仕方ないよトニー! 誰だトニー!
うん、でも、調合分と持ち込み分、閃光玉投げて貫通弾撃ってただけでほぼ終わった気がします。
大体、プロの方々ならこげな強敵だろうと5分以内で倒せるに違いない。
というわけで本日、村アルバトリオンを倒してまいりました。
村制覇! と思ったら村人の依頼がまだぽろぽろ残ってるっぽいです。
いやー、しかしですよ。クエストでなにが一番苦しかったって、卵運びが一番怖かった!
砂漠で二個目の卵を運んでいる時、「蟹さんたら僕に気づいてないよキャワイイのぅウフフ」とか思いつつ、えっちらおっちら走っていると、エリアチェンジの境目あたりで急にヌウっとイビルジョーが出現。
リアルで「ホワァォア!?」ってヘンな声出ました。
端っこ歩いていたお陰で気づかれることもなく素通りだったわけですが、真っ直ぐ行ってたらあの強靭な顎タックルで【竜の卵が!】になるところでした。
ジョーさんはあの、『人を発見したらまず顎でタックルしたくなる病』をなんとかしてほしいです。
や、でもやっぱりモンハン楽しいです。
リゼロのデスオアキスも、復活のベルディアもまだてんでクリアできてませんが、面白いです。だだ大丈夫! SSの編集もちゃんとしてますよ!?
と言うわけで、別に読まんでも平気な日常でした。
さ、次はG級ですぞ~!