真・恋姫†無双 魏伝アフター   作:凍傷

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30:蜀/流れる時間、見極めたもの①

54/青の下、ただ賑やかに

 

 慣れっていう言葉がある。

 習慣って言葉も習って慣れるって文字が一つの言葉になっているように、自分はまさに習慣の中に居た。

 政務を手伝い工夫のおっちゃんたちを手伝い、時間があれば街に出て子供と遊んで。

 

「馬超さーん! 街の警邏のことで相談があるんだけどー!」

「ん……あー、なんだー?」

「あ、お兄様。もしかしてでぇとのお誘い?」

「いやいやいやっ、違うし、警邏のことでって言ったよね!? えっとさ、この通りの……」

「あ、それって“めも”ってやつ? うわー小さい……って、お兄様これなに?」

「なにって───地図を描いたメモだけど」

「え、ええぇっ!? 地図!? 地図なのっ!? これがーっ!?」

「……お前って、絵……下手くそなんだな」

「………」

 

 筆を動かし書簡を処理し、教鞭の代わりに指を振るって、教えてもらったり教えてみたり。

 思いついたことを案として出してみたり、ダメだしされたらされたで煮詰めつつも別の案を出してみたりと、自分自身の頭を回転させることも続けている。

 

「ちょっと凡夫さん? もっと強く揉んでくださる?」

「凡夫じゃなくて……いい加減名前覚えて欲しいんだけどなー……」

「あっはっはっは、そりゃ無理だぜアニキ。麗羽さまがそんな、男の名前を覚えるなんて」

「もぉ~ちろんですわ。下男の名を覚える必要が、ど・こ・に・ありまして?」

「肩揉むだけの下男かぁ……」

「ま、まあまあ一刀さん。麗羽さまも一応、肩を許すくらいは気を許しているみたいですから」

「許すっていうか、暇そうだったからツラ貸せって感じで連れ攫われたんだけど。文醜さんに」

「男が細かいこと気にすんなよー、アニキとあたいの仲じゃん」

「や、いいんだけどね……ありがと、文醜さん。そう言ってもらえると嬉しい。どんな仲なのかは解らないけど」

「んっ、ん~……そうそう、その調子ですわ。やれば出来るじゃありませんの」

(集中集中。氣を込めて揉めば、血のめぐりも良くなるだろうし、鍛錬だと思えば───)

「結構。今日この時より……凡夫さん? 貴方を肩揉み凡夫と名付けますわっ!」

「……ワーイ、ウレシイナー」

「なー斗詩ぃ……前は確か、お茶汲み下男だったよなぁ……」

「は……あはは……はぁ。すいません、一刀さん」

「いや……いいよ……どうせ次に会った時には凡夫さんに戻ってるだろうし……」

「なにか仰いまして?」

「イヤー、袁紹さんの髪って綺麗デスネー」

「……? 当然のことを褒められても嬉しくもなんともありませんわ。けど……そうですわね。訊くまでもありませんが、華琳さんと比べ、どちらがより高貴で美し───」

「華琳」

『あ゛』

「へ? ……あ───アーッ!!」

 

 頼まれれば走り、本当に嫌だと思わない限りはこれを受け取り、なんでもかんでも首を突っ込んでは自分に出来る何かで国に返していく。

 何処に立っていようと心変わらず、この国、この大陸、この世界で生きてきた自分の過去と、これからの未来のために、自分に出来ることを笑いながら続けている。

 時間のほぼが自分の時間として使えない日々ばかりだったけれど、住む場所と糧を提供してくれるだけでもありがたいというもので。

 

「んむむむ……公、孫、賛……こう、そん、さん……と。どーだ北郷っ! ちゃんと書けてるだろっ、なっ!?」

「……“三つフてんちん”になってるけど」

「みつふてんちん!? あ、あれぇ……? ちゃんとお前が書いた手本の通りにやったと思うんだけどなぁ……。よ、よしじゃあ真名だっ! 白蓮っ! これなら間違えないだろっ! ぱいれん、ぱ~い~れ~ん~っと。どうだっ!」

「……“なじれん”になってる」

「えぇええっ!? そ、そんなぁ……どうして私はこうなんだぁああ……」

「がんばろ、公孫賛さん。今日は公孫賛さんだけみたいだし、付きっ切りで教えるから」

「北郷……お前……! あ、ああっ、よぅしやってやるぞーっ!」

「おーっ!」

「うん、よしっ、じゃあ早速“公孫伯珪”をひらがなに……えーと、五十音は習ったから~……こ、こー……わ、悪い北郷……“こ”ってどうだったっ───」

「北郷さん!? ちょっと北郷さんさっさと開けなさいっ! 部屋に居るのはわかっていましてよっ! 今日~こそはこのっ、わ・た・く・し・がっ! 華琳さんよりも高貴で美しいことを認めさせてくれますわっ!! さっさと出ていらっしゃいっ!!」

「───け……、……って───今の声、麗羽か? ……って北郷っ!? なんで泣いてるんだっ!?」

「いや……なんかもういろいろあってさ……。名前覚えてくれたのは嬉しいんだけど……」

 

 勉強も鍛錬も相変わらずだ。

 桃香も少しずつだけど慣れていっているし、俺も少しずつだけど独学で放出系の勉強をしている。

 ……加減が出来ずにぶっ倒れてばかりだから、出来るかどうかを試すのは毎回鍛錬終了間際になっている。

 

「ぬー……」

「…………」

「うー……」

「……え、えーとぉ……」

「んんんー……!」

「あのー、魏延さん? 桃香が“見て”って言ったのは、なにも四六時中凝視してろって意味じゃなくて───……どうせ街歩いてるんだから、一緒に歩かない?」

「黙れ。桃香様は貴様を見て、知る努力をしろと仰られたのだ。だからワタシはワタシのやり方で貴様を知る。貴様が勝手に思い描いた桃香様の言葉など知ったことかっ」

「見られてる張本人なのに、なんて救いのない……。じゃあいいよ、俺も魏延さんのこと見てるから」

「なぁっ!? み、見るな馬鹿っ! 貴様がワタシに見られて、無様を知られればそれで全てが終わることなんだ! 余計なことをするなっ!」

「余計じゃないっ! 俺が魏延さんを知りたいんだっ! だから見るなって言われたって知る努力は続ける!」

「強情なやつめ……! 貴様はひゃぅんっ!?」

「うわっとっ!? な、なななにっ!? 急にヘンな声……あ、犬───ってなんだこの数!!」

 

 ……あ。あと、なんか魏延さんが暇を見つけては俺を監視するようになった。

 物陰からこっそりと(のつもりらしい)、移動するたびにジワジワとにじり寄る感じに。

 それはまるで一昔前の恋する乙女のようで……ごめんなさい、不信人物にしか見えません。

 

「何故ワタシがこんなに走らなくては……! それもこれもっ……きききき貴様の所為だ貴様のぉおおおおっ!!」

「うぐっ……そりゃ最近なんだかやたらと動物に好かれてるけど、俺だけの所為じゃないだろこれっ! そもそも一番最初に足を舐められたのは魏延さんなんだから、あの犬たちは魏延さんを追って───って来た来た来たぁああーっ!!」

「うわわわわわぁああーっ!! 来るな来るな来るなぁあーっ!!」

「いったいこの街の何処にこれだけの犬が居るんだよぉおおっ!! って魏延さん!? もしかして以前もこうして犬に追われたりした!? 以前見させてもらった、朱里と雛里が起きた出来事をまとめた本にそれっぽいことが書いてあった気がするんだけどっ!!」

「………」

「なんでそこでそっぽ向くの!? 違うなら違うっていつもみたいにキッパリ言ってほしいんだけど!?」

「うぅうううるさいぃいいっ!! とにかくお前が悪いんだお前がっ!!」

 

 街中を犬に追われること数回。

 処理するべき騒ぎの件を自分で増やしていれば世話がない。

 それでも笑って処理出来るのは、迷惑から来る騒ぎじゃなく、町人たちも笑っていられる騒ぎだからなのだろう。

 

「いやっ! いいって俺はっ! ほんとにいいからっ!」

「だめですっ! これは結盟した者として目を通す必要があるものなんですからっ! 逃げないでくださいっ!」

「ぐおおすげぇパワーだ……! オラの十倍ぇはありそうだ……! じゃなくて朱里っ!? 普段か弱いのにどこにそんな握力隠してるんだっ!? ととととにかく俺はいいからっ! 見るなら二人でっ……!」

「だ、だめです……! か、かか、一刀さんもその、一緒に……!」

「勘弁してくれ雛里っ! 俺、これでも随分いっぱいいっぱいの生活送ってるんだっ! そこにきて艶本なんて見せられたら……!」

「ど、どどっ、どうなっちゃうんですかっ!?」

「え……そ、それはもちろん、俺のアレがナニして……はっ!? どっ……どうにもなりたくないから離してくれぇええーっ!!」

 

 禁欲のほうも相変わらずだ。

 何故かいつかのようにコソコソとする朱里と雛里に連れられ、武器庫の裏にやってきてみれば、ご開帳の結盟の秘宝書。

 頭が一気に沸騰しかけた俺はすぐさま逃走を図ったのだが、あっさり捕まった。

 強引に振り払うわけにもいかず、説得に入るのだが……逆に言葉巧みに丸め込まれてゆく自分。……蜀の軍師に恐怖を抱いた瞬間だけがそこにはあった。

 

「それで逃げてきたの? 情けないわねー……」

「え、詠ちゃん、理由を訊ねておいてそれはないよ……」

「賈駆さんも腕引っ張られて武器庫裏に引きずり込まれて、そこで女性に! 女性に艶本見せられるなんて状況になってみればいい! 絶対に逃げるって! ……はっ!? ……あ、ああうん、落ち着け俺……落ち着くんだ……。冷静な自分でいるって誓っただろ……? ……ん、んんっ、ごほっ! ……でさ、それをしようとしてるのが蜀の軍師だよ? 逃げたくもなるよ……」

「うっ……まあ、確かに普段のあの二人を見ていれば、あんな本を隠し持ってるなんて普通は思えないし……わからなくも、ないかもだけど……」

「贅沢は言わないから、少しでも解ってくれればそれでいいよ……ありがと、賈駆さん」

「……~、なんか……姓名で呼ばれるとこそばゆいわね……。桃香のところに来てからずっと、真名で呼ばれるのに慣れちゃってたし」

「あ、ごめん……やっぱり文和さんの方がいいよな。董卓さんも仲穎(ちゅうえい)さんって呼んだほうが───」

「ボクのことは賈駆でいいわよ。でも月のことは───“様付け”で呼びなさいっ!」

「なっ……!?」

「へぅっ!? え、ぇええ、詠ちゃぁあんっ!!? そそそんなっ……一刀さんに迷惑かけるようなこと……! か、一刀さんからも断ってください、こんな───」

「よろしく董卓様!」

「へぅううーっ!? へぅ、え、あ、う、うぅ~……」

「あっ……ちょっと! 月を困らせるんじゃないわよ!」

「どうしろと!?」

 

 ……そう、結局は習慣って言葉に落ち着く。

 初めてやることでもいつしか習慣に出来るように、この世界で生きることを普通と思えるようなった時のように。

 置き去りにしてきてしまったものもたくさんあるが、夢中だったとはいえ手を伸ばしたかった世界はどちらだと言われれば、いつだって自分はこちらの世界を選ぶのだろう。

 ……いつか、自分がこの世界に返すものが無くなるまで。

 

「ん……朝───かぁあっ!!?」

「すぅー……ん……んにゃにゃあ……」

「え、え!? 孟獲!? なんで人のベッ……寝台に!? うわぁっ!? なにっ!? 背中になにかホワァッ!? 孟獲だけじゃない!? 似たようなのがゴロゴロと……!」

「んにー……いい匂い……するにゃああ~……」

「あいっだぁああーっ!?」

「えふぁにゃぁあ~……いのふぃふぃにゃ~っ……」

「寝惚けてまで人をエサ扱いでイノシシ扱いかっ! ちょっ……離せ離せ痛い痛い痛いってまだ右腕はマズイ! 思春さん!? 見てないで剥がすの手伝っ……アノー、ナゼ、ユックリ得物、抜イテマスカ……?」

「それが遺言か、確かに聞いた。───蓮華さま、どうかこの見境の無い男を屠ることをお許しください」

「なんで俺の生殺与奪が蓮華に託されてるのかわからないけどやめて!? 誤解です! 誤解ですから! 俺なんにもしてないぞ!?」

「もはや貴様の存在全てが有害だ。このよくわからん苛立ち……貴様を血抜きして吊るせば晴れる気がする」

「それってつまり死ねってことだよね!? ははは話し合いをっ……平和的な解決をさせ───」

「一刀さんっ!? ちょっと一刀さんっ! さっさと出てきなさいっ!? 起きているのはわかっていますわっ! 今日こそこのわ・た・く・し・がっ! 華琳さんより高貴で美しく背も高くて胸も大きいことを───ってちょっと猪々子さん!? 急に引っ張らないでくださるっ!?」

「あーはいはいはいはい麗羽さまー? 朝っぱらから妙なこと叫んでないで、さっさと食べに行きましょーよ」

「妙なこととはなんですのっ!? わたくしはあの解らず屋の男にわたくしの美しさをっ……! は、離しなさい猪々子さんっ! はなっ……あーれー!!」

「………」

「………」

「───……て、ほしい、な……と……」

「……いつから名で呼ばれる仲になった」

「ヒィッ!? あぁあああああ、あれは袁紹さんが華琳に対抗意識を燃やしているだけであって、おぉおお俺もなにがなにやらいつの間にかそう呼ばれててべべべ別に嫌じゃなかったからそのぅ!」

「……刻むにはいい言葉だ。少々長いが、貴様の辞世の句として頭に刻んでおこう」

「たすけてぇええええーっ!!」

 

 賑やかな世界に居る。

 それは元の世界でもきっと変わることのない事実で、平和を手に入れられたからこそ心から大切に思える世界と、乱世を知ったからこそ自分が生きてきた平和を噛み締められる世界を、俺は知ることが出来た。

 どちらも大切で、どちらにも大切な人が居る。

 いつかこの世界で満足を得て、大手を振って元の時代に帰れる時が来たなら……その時に、まだ自分が外見から“北郷一刀”として認められる歳であったなら、必ずみんなに恩返しをしよう。

 父さんや母さん、及川や早坂といった友人や、剣道部でお世話になった不動先輩にも。そして、じいちゃんにも。

 いつになるかわからないし、そもそも帰りたいと思ったとして、帰れるかもわからない今があるのも確かだけど……そう、いつかは。

 

「あーのー……どーしてこんなことになってるのかな」

「んん? それは御遣い殿が紫苑に頭を撫でられたからだろう」

「厳顔さん、それ。俺が頭撫でられたことがきっかけで、どーして俺が厳顔さんと黄忠さんに膝枕をすることになるのかなーって訊いてるんだけど」

「お主はあまり畏まらず、自然体で接してくれおるからなぁ。なに、たまには男に無防備な姿を見せるのも悪くなかろう? しかし兵どもでは頼りない。ならばお主しかおらんだろうに」

「……黄忠さん、この人もう酔っ払ってる」

「ふふっ……貴方がここに来る前まで、そこの東屋で飲んでいたから。はぁ~……♪ 風が気持ちいい……」

「……いいですけどね、もう。眠たくなったら寝ちゃってください。起きるまでこうしてますよ」

「む、むうう……この頭を撫でられる感触はどうにも慣れん……こぞばゆい……」

「あらあら、ふふっ……私はくすぐったくて嬉しいけれど」

「膝枕をする条件が頭を撫で返すことの許可だったんだから、文句は聞きませんよ厳顔さん。こっちだってまさか、あんなに即答で“どんとこいっ”て言われるなんて思わなかったんだから。……むしろ断ってほしかったのに」

「い、いや、あれは紫苑の頭をという意味でだなぁ……」

「言い訳は聞きません」

「むぅ……男に言いくるめられるなどどれくらいぶりか……───紫苑、何を笑っておる」

「ふふっ、うふふふふっ……! ごめんなさい桔梗、あんまりに可愛らしく言いくるめられているものだから……」

「む、むうう……」

「それで、一刀さんはなにをあんなに慌てていたのでしょうか……? よかったら、相談に乗りますけど───」

「……朱の君(あかのきみ)に殺されそうになったんです」

「……?」

 

 やがて学校の建築もジワジワと完成に向かう中で、俺は今日も日常の中で現状維持の一歩先を目指し……いや、いろいろな物事に巻き込まれて現状維持なんて出来やしない日々を送っていた。

 誰かが騒げば誰かに伝染するように、騒がしさが広がり賑やかになれる国がここにある。

 蜀は本当に賑やかで暖かく、笑顔が絶えない国だって認識できた。

 

「うりゃりゃりゃりゃりゃぁあーっ!!」

「うおおおおおおおおって無理無理無理ぃいいいっ!! 鈴々っ!? かげっ……加減をギャアアーッ!!」

「一刀殿っ!? こら鈴々っ! 長柄の部分とはいえ、相手が飛ぶほど殴るやつがあるかっ!」

「わわわぁあーっ!? お兄さんが空飛んだぁーっ!!」

(嗚呼……空が青い……。仕事に明け暮れる毎日に、空がこんなにも青───おや?)

「……受け止めた。……えらい?」

「恋…………助かったけど、男相手にお姫様抱っこはどうかな……」

「……? 一刀、お姫様……?」

「断じて違うぞっ!?」

「簡単に弾き飛ばされたです。きっと体はお姫様なみに軽いのですよ」

「よし。俺はそれを友達に対する挑戦と受け取った。恋、下ろしてくれ。陳宮をお姫様抱っこする」

「なっ……なにを言いだすですかおまえーっ! れ、恋殿、下ろさなくていいのです! 一生そのまま───それでは恋殿に迷惑がかかってしまうですか!? な、ならばこの陳宮、恋殿のために苦汁を飲んでこの男の毒牙にぃいい~っ……!」

「いつからお姫様抱っこって毒牙になったんだ!? 抱きかかえるだけであって、毒牙として喩えられるようなことなんて全然やらないって!」

「お兄ちゃん、遊んでないで続きをするのだっ!」

「お兄さんっ、ほら早く降りてっ、鍛錬の続きしよっ!?」

「一刀殿、桃香さまの言う通りです。恋も、いつまでも男子を抱きかかえるものではないぞ。ほら、一刀殿を下ろして───」

「……一刀、お姫様は守るものだって言ってた。だから一刀は恋が守る」

「やっ! だからお姫様じゃないって! しかもそれ授業中の雑談でした超配管大工兄弟の話であって、俺とはなんの関係もないから!」

 

 認識できた───はいいんだけど、賑やか=生傷が絶えないってことにも繋がっていて、これはこれでひどい目にも遭っていると言えるわけでもあり。

 何故か誰かと仲良くなるにつれ、時折思春に模擬戦を挑まれたり思春に鈴音片手に追い掛け回されたり思春に思春に思春に……!!

 理由を訊いてみても「もやもやするからだ」だそうで。

 “俺の命 < もやもや解消”って答えにフと意識が遠退きかけた。

 でも───そうさ。そんなことさえ笑い話に出来る今がある。

 そんな世界で、そんな世界に至ってくれたこの三国で、俺達は……地に足をついて、今日も賑やかさの中を生きていた。


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