スマホの切ないストーリー。

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スマホの一生

 僕が目を覚ますと、一人の人間の男と目が合った。この人が今日から僕を相棒として使ってくれるようだ。大事に使ってくれたらいいなと思いつつ、僕は働き始める。

 

 そんな僕の人生を語ろう。

 

 僕が誕生したのは、意外と最近だったりする。僕たちは発売されてから尚今も進化を続けている。その名も、「スマートフォン」。僕らの分類だ。皆僕らを「スマホ」と呼ぶ。

 

 僕らの一つ前の代の「ガラパゴス携帯」またの名を「ガラケー」たちは今はあまり見ないようになってきた。ガラケーの画面は、今の僕らよりずっと割れにくい。だから、なかなか壊れる事がない。しかし僕たちスマホはカバーがない限り、画面は壊れやすく、ガラケーよりは長持ちはしにくい。だから、僕たちの人生は短いと言ってもいいだろう。

 だからこそ僕を高い所から落とさないようにしてほしいと思う。しかし人間は僕らを誤って落としてしまう事が多々ある。僕らの人生はその誤りで終わってしまう事もあるのだ。

 

 僕は人間の言葉が分かる。例えば人間が文字を打つ時に、人間が使いそうな言葉を候補として出す事ができるのも、その言葉がどのような意味を持っているのかも分かるからである。なぜこんなに言葉を知っているのかは僕にも分からない。僕は生まれつき、言葉を話せたからだ。…恐らく、僕を作った人が僕の知らない間に言葉を教えてくれたのだろう。そんなこんなで、今日から本格的に仕事を始めた。

 

 僕を今日から使う男は、まず初めに僕に自己紹介をした。男の名前は西倉竜飛(にしくら りゅうと)というらしい。生年月日も教えてくれた。19歳だそうだ。髪の色は茶色で、顔はまあイケメンと呼ばれる方だろう。優しい顔をしていた。

 

 

 

 

 あの日から一年が経った。

 

 相変わらず、竜飛は僕を毎日のように使ってくれる。今日はそんな竜飛の成人式だ。今の竜飛は黒髪になっている。僕はそんな竜飛を見て、少し大人になったなと思った。

 その日は、僕のデータファイルに様々な写真がどんどん保存されていった。竜飛の昔の友人との写真や、風景の写真、他にもたくさんある。

 

 これからもどんどん僕を使ってくれると嬉しく思う。僕と竜飛のアルバムが出来上がっていく。

 

 

 

 

 成人式から約三年が経った。竜飛はあれから恋人ができたようだ。その恋人との写真やメールが絶えず僕のデータフォルダに詰め込まれていく。

 今は就職活動をしているが、その姿はもう大人であった。僕はそんな竜飛の成長が嬉しいのと共に、楽しみもあった。これからもっと成長する姿を見たいな…。

 

 

 

 それから、竜飛と僕は何年間一緒だっただろうか。僕のデータもあと少しでいっぱいになりそうだ。僕のデータはパソコンという僕の友達にも預けたりしている。

 

 竜飛はもうすっかり大人だった。出会いや別れ、楽しさや悲しさ、時には僕を持って家出をした事もあった。僕はどんな時も竜飛と一緒だった。

 

 

 

 ある日、竜飛は高い階段を降りながら僕を操作していた。すると、竜飛の「あっ!」という声と同時に僕は空中に投げ出されてしまった。

 竜飛はそんな僕を高い場所から物凄く悲しそうな顔でこちらに手を伸ばしながら見ていた。

 

 僕は物凄い速さで落ちていった。

 

 

 

 

 そして、パリンという音とガツンという音とともに僕は永遠の眠りについた。

 




前回の「使い捨てカイロ」に続く、第二弾(?)みたいな物です!
最後まで読んで下さった方、ありがとうございます!

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