インペリアルマーズ   作:逸環

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お久しぶりです!
一つ言わせていただきます!

生きてます!!


Kraken 大王鬼灯烏賊

『ミミックオクトパス』と呼ばれる、奇妙なタコがいる。

この生物の生態、いや特徴は甚だ『奇妙』。

このタコは、真似る。

ヒラメや海蛇、ミノカサゴ、クモヒトデ、アカエイ、クラゲ、イソギンチャク、貝等など。

その数なんと、40数種類。

全く違う生物のその姿を、真似る。

形も、動きも。

瞬時にその全てを真似る。

 

天敵である生物から、身を守るために。

天敵の、天敵となる。

 

 

 

 

 

 

 

「…さて、どうしたものかしらね」

 

 

彼女の視線の先には火の海と、テラフォーマーたちと交戦する日米合同第一斑と第二班。

自身はマーズランキングが低いからと、金属製のボールを投球してテラフォーマーを攻撃するアレックスと共に、第二班の脱出機にいる。

ここに来るテラフォーマーたちは、とても少ない。

先ほどアレックスに、その手術ベースである『オウギワシ』の170kgの握力を持って顔面を握りつぶされた個体が来ただけだ。

だから、ここは比較的安全ではある。

自身に危険が及ぶことは、まずない。

たとえ及ぶことがあっても、自分の能力を使う必要もない。

 

ゆえに、自身の目的も正体も、悟られることはない。

邪神の眷属ともいえる能力を、わざわざ使わなくて済む。

 

…それで、いいのだろうか。

『作戦』のために日米合同班に潜り込んでから、3ヶ月程。

それだけの期間をともにいれば、それなりに情も湧く。

その相手たちを危険に晒して、自分はココで安全をキープしているのは、心苦しい。

 

だが、自分の家族は『あの人たち』だ。

『仲間』と『家族』なら、自分は家族を取る。

 

ただ、それだけのこと。

 

 

彼女は、そう判断した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その場が、安全地帯のままでなら、そう判断できた。

 

 

ブブブブブブブブブブブブッッッッッッ!!!!!

 

 

「「「「「「「「ッッッ!!!????」」」」」」」」

 

 

脱出機の後方から響く、大量の羽ばたき音。

それは、数10体のテラフォーマーたちが、安全地帯を侵略せんと飛来してきた音だった。

 

安全地帯は失われた。

アレックスが鉄球を投げようとしているのが視界に映るが、それではあの数を相手に間に合うわけがない。

自分には、仲間を見捨てて安全に逃げられる『能力』がある。

同時に、自分の命のリスクがかかるが、仲間達を守れる『能力』もある。

 

『作戦』のためには、前者が明らかに都合がいい。

なぜなら、『作戦』にこの人たちは不要だから。

そうだ、自分には、『家族』には『作戦』がある。

 

だから。

だからだから。

だからだからだから。

 

 

「だからって、『仲間』を見殺しになんてできないわよぉッッ!!!」

 

 

激昂と共に、彼女の腸に仕掛けられた機械が作動、薬が放出された。

 

瞬間、彼女の身体は膨れ上がった。

腕も、足も急激に伸び、肥大化。

腰からは細長い『足』が6本生えて、身体を支える。

それぞれの長さは5mを越え、腕に至っては8m程だろうか。

その体は赤く彩られ、腕にも足にも無数の爪が並んでいる。

 

彼女の手術ベースは、『アオダイショウ』。

…ではもちろんない。

公式にはそう記録されているが、実際は違う。

そもそも、彼女のプロフィールからして、公式の物は嘘で塗り固められている。

 

『磯山 リース』

18歳 女性

国籍:日本国

日本人の父と、日系アメリカ人の母の元に生まれた。

幼少期より父の転勤のため土地を転々としていたため、特別親しい友人はいない。

父の勤めていた企業が倒産したことにより借金苦にあえぎ、今回の『アネックス計画』に参加。

 

 

…この全てが、嘘。

彼女の本名は『(ホワン) 静花(ジンファ)』。

日本国籍など持っていない、生まれながらの中国人。

 

彼女は、能力を2つ所持している。

なぜなら、彼女は『元二番目(セカンド)』。

公式には記録されていない、『親のM.O.手術の能力を、先天的に獲得した存在』だから。

『ミッシェル・K・デイヴス』の出生のニュースは、科学者達の耳に即座に届いた。

そして、各国は挙って『二番目』を生み出そうと躍起になった。

だがしかし、ベースが足りない。

親足り得る者たちは、2名を除いて火星で殉職している。

新たに生み出すにも、当時のバグズ手術の成功率は30%。

100人を手術して、上手くいって30人しか確保できないことになる。

だが、数年後に起きた『アドルフ・ラインハルト』の、世界初M.O.手術の成功によって、手術成功率は36%に上昇。

そして、昆虫だけではなくより多様なベースを使用できるようになったことにより、手術できる人数が増加した。

 

そのことが、人口の増加により飽和状態の世界の、中でも最も人口が多く、都市部とそれ以外の地域で貧富の差が著しく激しい中国には都合が良かった。

 

【わが国には、手術対象(モルモット)はいくらでもいる。】

 

それが、当時の国家の判断だった。

手術の被験者は、男性を中心に選ばれた。

なぜなら、男性ならば一度に複数の女性を妊娠させることができるから。

鋼鉄の子宮を利用するにしても、精細胞の方が安定して利用できるから。

彼女の父は、そうして手術を施された被験者の一人だった。

ベースは『ミミックオクトパス』。

たまたま、それだけが適合した。

 

そして彼女は出生した。

絶対に公表できない、『二番目』として。

彼女は父の66番目の子供だった。

奇しくもそれは、『アドルフ・ラインハルト』の実験成功から6年後のこと。

並んだ3つの6に、当時の科学者達は驚いた。

666。

それは、聖書に記された『獣の数字』だから。

ただの偶然。

そのはずなのに、何らかの意思を感じてしまう。

彼女は、実験の成功体として以上の待遇を受けて育てられた。

 

それから約10年後、アネックス計画の開始に伴い彼女も政府の意向により参加。

遺伝したM.O.能力、ミミックオクトパスの能力で姿を変え続け、偽造された国籍、戸籍、プロフィール全てを偽っての参加だった。

 

そんな彼女が、手術ベースとして選んだ生物。

それは、

 

 

バキッ…、ミシ…ッ、ゾリィ…

 

 

10本の赤い手足を存分に使い、テラフォーマーたちを叩き潰し、捻り潰し、抉り、削ぎ落とす。

その巨躯と巨腕を前に、数10のテラフォーマーが蹂躙される。

 

彼女の手術ベースは、『ダイオウホオズキイカ』。

深海に生息する世界最大のイカであり、足には吸盤の代わりに爪が生えている。

時にクジラとも交戦するこの生物は、もちろん希少種。

サンプルの入手事態が、極めて困難な生物だった。

生い立ちゆえに、ほぼ確実に手術が成功する彼女でなければ、できない手術だった。

 

『作戦』を本当に第一に考えることができれば、彼女はココでテラフォーマーたちと交戦などしなかっただろう。

大人であれば、交戦などしなかっただろう。

だが、彼女は大人ではなく、13歳の子供だった。

『仲間』を見捨てることなど、できなかった。

 

仮に、巨大なタコを『邪神』とするならば、巨大なイカは何であるか。

 

 

「私が皆を!護るッッ!!」

 

 

邪悪なる海魔(ダイオウホオズキイカ)』が、捕食を開始する。

 

 

 

 

 

(ホワン) 静花(ジンファ)

13歳 女性 中国

日米合同第二班 非戦闘員・中国第四班 間諜

手術ベース:ダイオウホオズキイカ

マーズ・ランキング:92位

瞳の色:黒

血液型:B型

誕生日:6月6日(ふたご座)

好きなもの:家族(四班のメンバー)・仲間(アネックスメンバー)

嫌いなもの:タコの活け作り(それ以外のたこ料理は食べられる)

 

 

先天性M.O.としてミミックオクトパス。

M.O.手術でダイオウホオズキイカ。

 

中国で秘密裏に生み出された『元二人目(セカンド)』にして『三人目(サード)』。

アドルフの手術成功を切欠に生み出された初期のM.O.手術被験者が父親。

世界最大の人口を誇る中国らしく、被験者(特に男性)を集めて大掛かりに行われた人工的に奇跡を起こす計画を立て、その66番目にして最初の成功体として生まれた。

13歳だが、タコやイカの特徴で急成長し18歳ほどの見た目。

ミミックオクトパスの能力で擬態し、日米合同第二班に潜入していた。

大切に育てられたため結構な箱入り娘であり、男どもの下ネタトークと女子会での恋愛話には全く付いていけなかった。

周囲の人間は研究員ばかりであったため、大切に育てられたといってもそれは研究者と被験者との関係だった。

そのため、初めて会ったそれ以外の人間である四班のメンバーを家族と認識している。

一度U-NASA内で公衆の面前で劉を『パパ』と呼んでしまい、騒動を起こしたことがある。

Bカップ。

 

 

 

 




タイトルのクラーケンはそのまま。
海を航行する船を蹂躙する、頭足類の大海魔です。
タコっぽいのかイカっぽいのかは、割りとどっちもどっちな感じですが今回はイカにしました。
だってタコが『邪神そのもの』ですもの。

というわけで、四班スパイの静花ちゃんでした!

まさかの『三人目』がスパイ役。
一体誰が想像できただろうかとほくそ笑む私ですが、次回の更新もまた遠くなりそうです。
実習がまだまだ続きますので…。

それでは、次回の更新を、お楽しみに!
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