そんな今日この頃です。(
では、どうぞ!
ライサ・アバーエフは考えていた。
今、この状況はどこまで最悪であり、どうすれば切り抜けられるのかを。
結論から言えば、
「…ほとんど不可能、ってところかしら…?」
仮に。
そう、仮に自身の能力で触れるもの皆殺めることができようとも、この状況は切り抜けることができない。
なぜか。
死体を殺すことはできないから。
これだけの数を殺すことができたとしても、その死体を盾にでも利用されてしまえば圧殺される。
そうでなくても、投擲攻撃でもされれば殺される。
では、味方の能力では?
答えは簡単。
数に押されて殺されてしまう。
なら、
それも、ほとんど駄目だろう。
テラフォーマーたちが、速度特化型が牽制しているのだから。
この状況を切り抜けられる確率は、客観的に見れば0。
しかし、彼女は
なぜか。
「…でも、諦める気なんてさらさらないのよね」
諦めなければ、ごく細く、頼りない道でも活路は拓けるから。
人の意思は、こんなところで負けるわけがないと信じているから。
だからこその、ほとんど。
狙いを定めて、スリング・ショットのゴムを引く。
「人間は!こんなところでは敗れない!!」
「じょがっ!?」
「はい、次ぃ。…あ、いないのか」
幼体を殴り砕き、蹴り砕き、踏み砕く。
幸嶋に向かってきた三体の幼体たちは、瞬く間に絶命させられた。
幸嶋からすれば、一対一ないし一対複数程度は問題にはならない。
さらに言うならば、力も弱い幼体程度なら猶更。
だが、
「…しかしまあ、これは拙いだろ……」
紫煙を吐きながら上を見上げると、空を覆い尽くすテラフォーマーたち。
アネックスを見れば、テラフォーマーたちに覆われて最早黒い塊にしか見えない。
一対複数なら問題にはならない。
だが、軍が相手となると話は別。
数に押されて、潰されるのがオチ。
今は幼体たちの教育が目的だから上の連中は攻めては来ない。
しかし、それが終わってしまえば?
テラフォーマーたちは、総力を持ってして自分たちを殺しに来るだろう。
「…まあ、うん」
足をある所へ向ける。
ひとまず自分がやることは。
いや、やりたいことは。
「右腕もってかれた借り…、返すぞオラァッ!!」
強い奴と戦うこと。
それが幸嶋の
だが、二人の覚悟はすぐになんの意味もないものになった。
なぜか。
幸嶋が速度特化型に歩み寄った際に、見えた。
いや、全員が見たそれ。
それは、ボロボロとアネックスから落ちていくテラフォーマーたち。
みるみる内に上部から
何が起きているのかは分からない。
ただ、窮地なのは変わらないであろうことは確か。
そして、ロシア班班長のアシモフが、見てしまった。
テラフォーマーに覆われたアネックス、その内部にいる中国班を。
混戦の間にアネックスへと辿り着いた、中国班を。
正確には、その装いを。
それはまるで、細菌実験等で使用される防護服の様な作りをしていた。
しかし、それとは明らかに違う。
全身の動きを邪魔しない、ぴっちりとした形状。
急所を守るかの様な、プロテクター。
それは、全区域救助及び戦闘用防御甲冑。
『マン・イン・ザ・シェル』
「総員撤退!!」
残り0.2秒で固まったアシモフの撤退するという決意が、更に瞬時にまで縮まった。
アシモフは知っていた。
その可能性を。
「『細菌型』だ!!」
劉は言った。
対人を想定していると、勝てる。
たとえそれがどれほど、『非人道的』であろうとも。
「…アネックスは、渡さん」
対人を想定していれば、勝てるのだ。
ところで、原作の細菌型ベースは品種改良された物ですが、その改良されたベースはなんなんでしょうね?
気になります。