在りし日の幸嶋とイザベラの姿。
どうぞ!
これは、そう。
『アネックス一号』が火星へと向かう、数ヶ月前のこと。
「なー、イザベラー」
「あん?どうした?」
季節は冬。
寒さに身を震わせる季節に、二人は何時もの様に幸嶋の部屋でプロレス鑑賞をしていた。
「
水を入れたコーラの空き缶に煙草の灰を落としながら、幸嶋がふと気になったことを尋ねた。
なお、聞いた本人はU-NASAに来る前はストリートファイターのため、戦闘班である現在と大して変わりはなかったりする。
「アタシはあれだよ、実家近くのデカイ家でメイドやってた」
「メイド?メイドってあれか。アキバとかで有名なソフトなイメクラのやつか?」
それが過疎からギリギリ粘っている程度の田舎出身であり、対戦相手を求めて都会に出てからもその手の店に興味を持たなかった幸嶋の、メイドに対する酷すぎる偏見と認識だった。
まあ、あながち間違いとも言い切れないが。
「偏見酷すぎやしねえか、それ…?違う違う。ただのお手伝いさんってやつだよ」
「ああ、そういうのね。それがなんでまたこんなとこに?」
短くなった煙草を缶の中に落とし、新しい煙草を咥えながらイザベラの過去を聞いていく。
コーラの空き缶の中には、もうかなりの本数の吸い殻が落とされていた。
「…ビックリするくらいグイグイ聞いてくるね……。働いてた家のバカ息子がアタシを襲って来たから、殴ったらこの様だよ」
「…マジか」
イザベラの言葉に、思わず口に手を当て呟く幸嶋。
彼女が襲われたという事実が、ショックだったのか。
「そういうエロ本みたいなの本当にあるんだな…」
「おい?」
そういうわけではなかったらしい。
まあ、結果が結果だからだろうか。
「でもあれか。メイド服とか着てたのか?」
「あれ?
「ということは、メイド服を着たことがないと」
「まあね」
「なるほどなー……」
新しい煙草を咥え、火をつけて一息。
吐き出された紫煙が天井へと届くころ、幸嶋が口を開いた。
「よし、着てみるか?」
「………は?」
その瞬間、イザベラの思考は止まった。
「ちょっと待ってろ。今コスプレショップまでバイク飛ばすから」
「は!?」
「あ、いや待て。サイズが分からないか。後ろに乗れ、一緒に行くぞ」
「ハァァァァッッ!!?」
あっという間に決定して、イザベラの手を引いて駐輪場まで向かう幸嶋だが、イザベラはイザベラでパニックが止まらない。
なお、その晩幸嶋の部屋では、一人のメイドの撮影会が行われたらしい。
「メイドって良いな!」
「もう着ないからな!?」
はい、というわけで幸嶋がメイド萌えに目覚めました。(
なんでもない様なこんな一日一日が幸せだったのです。
次回は本編か、それともマッスルたちによる番外編か…(