原作とは、使い方が違いますが。
人類が初めて手にした火は、自然から得られたものだった。
火山の噴火、山火事、落雷にあった樹木。
それらから残り火を得たのだ。
その
いつでも火を獲得できる。
それはとても大きな意味があった。
火で炙られた肉は生肉よりも柔らかく、そして美味かった。
肉を食べて、体調を崩す仲間もいなくなった。
火のある夜は、恐ろしい猛獣も近寄ってこなかった。
火を扱うこと。
それが、人類と他の生物を決定的に分けた線の一つ。
「…『バグズ1号』と『バグズ2号』。加えてそれ以前の無人機に積まれていたもので、今ゴキブリ達が手にしている物」
ピラミッドの内部。
ロシア三班班長、『シルヴェスター・アシモフ』は班員たちに語る。
「それは、『銃』、『乗り物』、『繊維』、『薬品』。そして…」
緊張した面持ちで自身の話を聞く隊員たちの前で。
「地球へ帰るための燃料装置」
大事な物が欠けた、最初に消失した無人探査機、『グレイトカープ三号』の前で。
その時火は、放たれた。
『わたしが来たのは、地上に火を投ずるためである。(ルカによる福音書)』
聖書の有名な一説には、こうある。
『イエス・キリスト』が、人々に告げた言葉だ。
もちろん、この言葉には直接的な意味はなく、様々な解釈がされている。
信仰の火を人々に灯す。
この世の終末を語る。
だが今まさに、日米合同一班のいる地点に火は投じられた。
「うぉぉっっ!?焼ける!カニの姿焼きになる!!」
「マルコス!?三条さん!?」
「こっちが使えないからって、いい気になりやがって!!」
『グレートカープ三号』より取り外されていた燃料装置。
人類に恩恵を与えるはずだったそれが、炎の海となって人類を襲っていた。
テラフォーマーたちは、賢い。
それがどういうものなのか、数度の経験で理解する。
おそらく、何度も調べたのだろう。
そして手に入れたのだ。
火を、そして大量破壊兵器を。
落下地点から、多少離れたところにいた小町、鬼塚、幸嶋の三人は火に巻かれずにすんだ。
しかし、炎は容赦なく脱出艇と仲間たちがいた地点を燃やす、見えなくする。
仲間たちも、そして敵も。
そして、
ボゴォォッッ!!!!
「「「なにっ?!」」」
自分たちも。
三人は爆発の衝撃で生まれた大空洞に、落下していった。
「ブハッ!!」
『ジャレッド・アンダーソン』が、地面から二人の仲間と共に出てきた。
地面に掘られた穴の上に、『対テラフォーマー用蟲取り網』を射出し土で覆う。
こうすることで、火から逃れたのだ。
彼は『網』の使い方が上手い。
テラフォーマーを捕まえることもそうだが、網の砲身を使い敵を叩くことも、そして今のような応用もこなす。
「ハアッ!…
周囲を見渡すと、辺り一面は火の海。
両脇にいた二人しか守れなかったことを悔やむが、その直後に戦っていた二人のことを思い出した。
「マルコス!加奈子!!」
「俺らは無事だ!たぶん外したぜ、ヤツら!!」
戦っていた二人は、無事だった。
ジャレッドの声に、マルコスが答える。
しかし周囲は依然火の海。
そして、絶望はそれだけではない。
「…嘘だろッ!?」
徐々に人間のそれへと戻っていく手。
周囲を火とテラフォーマーに囲まれ窮地の中、薬の効果が切れたのだ。
薬も既に、尽きている。
最悪のタイミングだ。
「ジャレッド!変身が----」
ジャレッドが助けた内の片方が、変身が解けたことに声を上げようとするも、途切れる。
「グアァッ!!」
全身を炎の明かりで眩ませる、玉虫色の甲皮を持ったテラフォーマー。
『ニジイロクワガタ』での『バグズ手術』を施されたテラフォーマーが炎に溶け込んで近寄り、背後から急襲。
仲間の頭部とジャレッドの足を、蹴りで切り落とした。
「…大勢で来てくれたのは嬉しいんだけど、生憎薬が切れててさ」
マルコスの周囲には、十体ほどのテラフォーマーたちが地面から現れ包囲していた。
そのうちの一体は、手が異様に発達し、羽も大きい。
「クソッ…。一昨日来やがれ」
日米合同第一班は、窮地に陥っていた。
しかし、捨てる神がいれば、拾う神はいる。
火星にはいなくても、地球にはいる。
空より落ちる、幾枚かの羽毛。
それと、球と、人。
ゴバッ!!
「…メジャーリーガー」
突如飛来した球が、マルコスに拳を向けたテラフォーマーを刺殺する。
「…何やってんだ、あのバカは」
球を投げたのは、メジャーリーガーを志す青年。
『アレックス・カンドリ・スチュワート』。
スタッ
「マルコス!大丈夫か!」
空から降り立ってマルコスの前に立ち、構えるのは『膝丸 燈』。
「おい、大丈夫か。お前ら」
巨大な空洞。
その穴を見下ろして声をかけるのは、『ミッシェル・K・デイヴス』。
ドズンッ!
「あたしのイケメンにぃぃぃッッ!!手を出してんじゃねぇぇぇッッ!!!」
「じょうっ?!」
突如空より来て、その四肢をニジイロクワガタに巻きつかせて拘束したのは牧野。
「「「「今助けるぞ」」」」
日米合同第一班、二班。
合流。
ヤシガニとペルビアンジャイアントオオムカデが合流しました。
片方は穴の底ですが。
…さて、四班の話を書かないと。