インペリアルマーズ   作:逸環

9 / 73
聖書の一説をぶち込んでみました。
原作とは、使い方が違いますが。


God 合流

人類が初めて手にした火は、自然から得られたものだった。

火山の噴火、山火事、落雷にあった樹木。

それらから残り火を得たのだ。

その(のち)、人類は摩擦を利用して火を起こす方法を編み出した。

いつでも火を獲得できる。

それはとても大きな意味があった。

火で炙られた肉は生肉よりも柔らかく、そして美味かった。

肉を食べて、体調を崩す仲間もいなくなった。

火のある夜は、恐ろしい猛獣も近寄ってこなかった。

 

火を扱うこと。

それが、人類と他の生物を決定的に分けた線の一つ。

 

 

 

 

「…『バグズ1号』と『バグズ2号』。加えてそれ以前の無人機に積まれていたもので、今ゴキブリ達が手にしている物」

 

 

ピラミッドの内部。

ロシア三班班長、『シルヴェスター・アシモフ』は班員たちに語る。

 

 

「それは、『銃』、『乗り物』、『繊維』、『薬品』。そして…」

 

 

緊張した面持ちで自身の話を聞く隊員たちの前で。

 

 

「地球へ帰るための燃料装置」

 

 

大事な物が欠けた、最初に消失した無人探査機、『グレイトカープ三号』の前で。

 

 

 

 

 

その時火は、放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『わたしが来たのは、地上に火を投ずるためである。(ルカによる福音書)』

 

 

聖書の有名な一説には、こうある。

『イエス・キリスト』が、人々に告げた言葉だ。

もちろん、この言葉には直接的な意味はなく、様々な解釈がされている。

信仰の火を人々に灯す。

この世の終末を語る。

 

だが今まさに、日米合同一班のいる地点に火は投じられた。

 

 

「うぉぉっっ!?焼ける!カニの姿焼きになる!!」

 

「マルコス!?三条さん!?」

 

「こっちが使えないからって、いい気になりやがって!!」

 

 

『グレートカープ三号』より取り外されていた燃料装置。

人類に恩恵を与えるはずだったそれが、炎の海となって人類を襲っていた。

テラフォーマーたちは、賢い。

それがどういうものなのか、数度の経験で理解する。

おそらく、何度も調べたのだろう。

そして手に入れたのだ。

火を、そして大量破壊兵器を。

 

落下地点から、多少離れたところにいた小町、鬼塚、幸嶋の三人は火に巻かれずにすんだ。

しかし、炎は容赦なく脱出艇と仲間たちがいた地点を燃やす、見えなくする。

仲間たちも、そして敵も。

そして、

 

 

ボゴォォッッ!!!!

 

「「「なにっ?!」」」

 

 

自分たちも。

三人は爆発の衝撃で生まれた大空洞に、落下していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブハッ!!」

 

 

『ジャレッド・アンダーソン』が、地面から二人の仲間と共に出てきた。

地面に掘られた穴の上に、『対テラフォーマー用蟲取り網』を射出し土で覆う。

こうすることで、火から逃れたのだ。

彼は『網』の使い方が上手い。

テラフォーマーを捕まえることもそうだが、網の砲身を使い敵を叩くことも、そして今のような応用もこなす。

 

 

「ハアッ!…()ダヨ、これは!?」

 

 

周囲を見渡すと、辺り一面は火の海。

両脇にいた二人しか守れなかったことを悔やむが、その直後に戦っていた二人のことを思い出した。

 

 

「マルコス!加奈子!!」

 

「俺らは無事だ!たぶん外したぜ、ヤツら!!」

 

 

戦っていた二人は、無事だった。

ジャレッドの声に、マルコスが答える。

しかし周囲は依然火の海。

そして、絶望はそれだけではない。

 

 

「…嘘だろッ!?」

 

 

徐々に人間のそれへと戻っていく手。

周囲を火とテラフォーマーに囲まれ窮地の中、薬の効果が切れたのだ。

薬も既に、尽きている。

 

最悪のタイミングだ。

 

 

「ジャレッド!変身が----」

 

 

ジャレッドが助けた内の片方が、変身が解けたことに声を上げようとするも、途切れる。

 

 

「グアァッ!!」

 

 

全身を炎の明かりで眩ませる、玉虫色の甲皮を持ったテラフォーマー。

『ニジイロクワガタ』での『バグズ手術』を施されたテラフォーマーが炎に溶け込んで近寄り、背後から急襲。

仲間の頭部とジャレッドの足を、蹴りで切り落とした。

 

 

「…大勢で来てくれたのは嬉しいんだけど、生憎薬が切れててさ」

 

 

マルコスの周囲には、十体ほどのテラフォーマーたちが地面から現れ包囲していた。

そのうちの一体は、手が異様に発達し、羽も大きい。

 

 

「クソッ…。一昨日来やがれ」

 

 

日米合同第一班は、窮地に陥っていた。

 

 

 

 

 

しかし、捨てる神がいれば、拾う神はいる。

火星にはいなくても、地球にはいる。

 

 

空より落ちる、幾枚かの羽毛。

それと、球と、人。

 

 

 

 

ゴバッ!!

 

 

「…メジャーリーガー」

 

 

突如飛来した球が、マルコスに拳を向けたテラフォーマーを刺殺する。

 

 

「…何やってんだ、あのバカは」

 

 

球を投げたのは、メジャーリーガーを志す青年。

『アレックス・カンドリ・スチュワート』。

 

 

スタッ

 

「マルコス!大丈夫か!」

 

 

空から降り立ってマルコスの前に立ち、構えるのは『膝丸 燈』。

 

 

「おい、大丈夫か。お前ら」

 

 

巨大な空洞。

その穴を見下ろして声をかけるのは、『ミッシェル・K・デイヴス』。

 

 

 

ドズンッ!

 

「あたしのイケメンにぃぃぃッッ!!手を出してんじゃねぇぇぇッッ!!!」

 

「じょうっ?!」

 

 

突如空より来て、その四肢をニジイロクワガタに巻きつかせて拘束したのは牧野。

 

 

 

「「「「今助けるぞ」」」」

 

 

 

日米合同第一班、二班。

合流。

 

 

 

 

 

 




ヤシガニとペルビアンジャイアントオオムカデが合流しました。
片方は穴の底ですが。

…さて、四班の話を書かないと。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。