人魚を釣り上げたので世話する事にした   作:ちゅーに菌

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やあ、みんな。待たせたな!(震え声)

いやぁ……10月中ぐらいには投稿しようとしていたのですが、なんでも亜種特異点Ⅳはセイレムでクトゥルーだという前情報を聞いてからこの小説設定吹き飛ぶんじゃね…?と戦々恐々しつつシナリオが配信されるまで待ってから投稿した次第です、はい。
いやー、TRPGリプレイでも見ているようで楽しかったですね。設定的にも幼女がイブさんの上司(ネタバレにつき検問)が問題と言えば問題ですが、寧ろ良いですね。降臨者(フォーリナー)は素晴らしいクラスですね。FGO始まりましたわ。
今後は更新速度は戻ると思いますので、まだこの小説を読んでいられる方がいらっしゃたのならよろしくお願いいたします。

それと、私のFGOのフレンド枠に大分空きがあるのでマイページからのメール機能で私にメールを下されば、誰でも承認させていただきますよ(感想欄に感想以外の事は載せるのは規約違反なのでそちらにお願いします)。後、LOVA開始に作っただけの見る専用なので放置アカに近いですが、"ちゅーに病魔"という名前のツイッターアカウントも私のものなのでそちらでも結構です(ただツイッターの使い方が未だによくわからないので前者の方が嬉しいです)。
待ってろゲーティア!や待ってろエレシュちゃん!等の終章や7章まで走り抜ける意気込みの方がいましたら、一応FGOの配信からずっとやっており、そこそこ課金しているアカウントなので多少マシなサーヴァントはサポート枠に出していますから是非使ってやってください。

ああ、後、ミコラーシュ…ミドラーシュのキャスターとアビーは無料分でギリギリ引けました。

長くなりましたが、本編をどうぞ。



受付嬢と邪神

 

 

さつきとイブ・ツトゥルは戦闘をしていた。

 

 

 

 

 

「なかから おとが きこえてくる! もうすぐ うまれそう!」

 

「そうだな」

 

『Aaaaa――』

 

「イブちゃんと人魚ちゃんのタマゴなんて6Vはもちろん、570族(ウルトラビースト)……いや! 680族(パケ伝)はかたいね!」

 

「それは褒めてるのか…?」

 

『Aaaaa――?』

 

「モチのロンだよー!」

 

(なにこれ……)

 

 筈であったが、現在エントランスの長椅子に厚手のタオルを敷いた上に置かれた"青いタマゴ"を長椅子の前でイブ・ツトゥルと角の生えた女性とフランチェスカ・プレラーティがしゃがんで眺めているのをさつきが遠巻きから眺めているという、戦っているよりも奇っ怪な光景が繰り広げられていた。

 

「人魚さんに似て可愛い子だといいなぁ」

 

『Aaaa…uuu……』

 

「私はクトゥルフチックなにょろにょろした子がいいなー」

 

「絶対イヤです」

 

「ちょ……邪神が全否定するの!? だいたい、イブちゃんの元の姿も大概だよね!?」

 

「はんッ…本体は太古の昔に人間の美的センスに基づく造形に改編済みだ。乳房がふたつしないから夜鬼(ナイトゴーント)達にはたいへん不評だけどな!」

 

「そこは譲らないでおこうよイブちゃん……あ、でもイブちゃんの搾乳ならちょっと見てみ……ドゴォ!?」

 

 フランチェスカ・プレラーティはイブ・ツトゥルに片手で首根っこを掴まれて宙を舞った。

 

(ええ……)

 

 綺麗な4回転半のジャンプを決めさせられながら頭から硬い床に落ちていくフランチェスカ・プレラーティを見ながら、さつきはその光景をどんな心構えで迎えたらいいかわからず、ただ唖然として目を丸くするばかりだ。

 

「どうしたらいいの……?」

 

 さつきの呟きに答えるものは何も居なかった。

 

 事の発端は少し前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 イブ・ツトゥルと弓塚さつきが交戦してから数分しか経過していないにも関わらず、エントランスの天井は所々から崩落が始まり、壁には無数の穴と巨大な獣の爪痕のような亀裂が走り、さらに床の大理石は精密爆撃でも受けたかのように原形を留めていなかった。

 

「…うぅ……!!」

 

 さながら戦場後のような光景を想起させる中、イブ・ツトゥルの黒鍵と爪を交え続けていた弓塚さつきの身体が吹き飛ばされ、壁に背中から激突して短い悲鳴を上げた。

 

「うーん……能力は遥かに人間を超越しているが、技量の方はそうでもないなぁ。まあ、今後に期待ってところか」

 

 肩で息をしているさつきに対し、イブ・ツトゥルは首を鳴らしながらそんな言葉を投げ掛ける。その表情は非常に晴れやかで、何か微笑ましいモノを見守るといった風体であり、汗の一滴すら流している様子はない。

 

「そら、当たると痛いぞ」

 

 イブ・ツトゥルは両手の黒鍵を逆手に構え、人差し指をさつきに向ける。その直後、指先に馬鹿げた量と質から練られた魔力が灯る。

 

 それを見たさつきは焦燥を覚えながら再び身体を動かしてエントランスを駆けた。

 

 さつきとほぼ同時に、小気味よい発砲音のような音と共に百数十発はあろうかという呪弾が同時に発射された。見れば一発一発がフィンの一撃を鼻で笑える程の物理ダメージを持つガンドであることがわかる。

 

 ガンドは本来体調を悪くさせる程度の呪いの一種であるが、高い魔力を持った者が行えば物理的な威力を持つため、無論イブ・ツトゥルのガンドはさつきが避けた先の壁や床を当たり前のように爆散させた。

 

 左右合わせて秒間12発という壮烈な発射間隔から同時に放たれる無数のガンドは最早、形容するのならアサルトショットガン辺りが妥当であろう。少なくともあんなもの当たれば、さつきの身体はスイカ割りの的よりも酷い惨状になるのは目に見えている。その程度で死徒は死ねないとは言え、痛いことは凄く痛いのである。

 

(わかっていたけど化け物だよこの人!)

 

 ガンドの嵐を掻い潜りながらさつきはそう心の中で叫ばずにはいられなかった。

 

 これだけの戦闘をしながらイブ・ツトゥルは一歩たりともその場から動いておらず、さつきの攻撃を防ぐ、逸らす、そして肉体で受けて再生するといった行動のみで対応している。寧ろ、イブ・ツトゥルの方が非常に死徒的な戦法であり、さつきが人間でイブ・ツトゥルが死徒と言われた方が余程にしっくり来る始末だ。

 

(完全に死徒()の土俵で戦ってるよね……あの人)

 

 要は向こうからすればじゃれついている程度なのだろう。手加減どころか相手にすら見られていないということだ。

 さつきは()()()()()ならば死徒27祖と呼ばれる存在と同格の死徒を親とする存在であり、この世界においてもそれ相応の経歴を持つ。そして、SCP財団に収容されてから精神・肉体共に死なぬようにナイア・ルラトホテップ博士によって日々調整され、SCP財団最高戦力のひとつとして今こうしてここに存在している。

 

 無論、さつき自身も自分が死徒という化け物であり、謙遜でも何でもなくこの時代の生物で上から数えた方が遥かに高い実力者である事を自覚している。

 

 故にこの数分で聖堂教会の最終兵器とまで呼ばれるだけの存在であり、自分より遥か格上の相手であることは痛いほど彼女自身が理解していた。

 

「うん、身のこなしは中々やるじゃないか。お姉さん感心だ」

 

 イブ・ツトゥルは思い立ったようにガンドを止め、黒鍵を投げ捨ててから小さく拍手を送る。その音は度重なるガンドで破壊し尽くされたあまりに虚空で殺風景なエントランスに大きく響いた。

 

 奇妙な行動にさつきが内心戸惑っていると、イブ・ツトゥルの影が自然現象としてはあり得ない蠢きと様相を見せている事に気が付く。

 

 塗り潰されたように黒以外を映さない異様な影は、イブ・ツトゥルの半径6m程まで広がると、イブ・ツトゥルを中心に右回りにゆっくりと影自体が回転している事が見て取れた。

 

 影は意思を持つかのように蠢いて影の外円を囲むように黒々とした影とも触手とも見て取れる物体が無数に生える。その触手の表面は金属のような鈍い光沢を帯びており、更に先端は巨大なコンパスの先のように鋭利で一点を突く形状をしている。

 

「さあ…」

 

 ゆっくりとイブ・ツトゥルが片手を掲げると、それに応えるように無数の触手は一本一本が十数m以上伸び、寄生虫の大群のように触手同士で捻れて絡まりながらも全ての先端がさつきの方を向いていた。

「簡単に潰れてくれるなよ?」

 

 その言葉と共に、それまでの小動物と戯れているような比較的和やかな態度と表情から目を細めてやや鋭い眼光に変わった。その瞳には相変わらず、深海を船の上から覗き込んだような深く暗い蒼に染まっている。

 

 さつきは見つめられているだけで不安と恐怖に駆られたが、ここは自分の居場所であると強く念じ、一本も引かずに対峙する。

 

 イブ・ツトゥルは嬉しそうに口の端を歪ませ、掲げた腕を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

『Aaaaa――Aaaaa――! Aaaaaaaaa――!』

 

 

 

 

 

 

 謳のように優しげでありながら艶やかさを含み、人間離れして広く深く響き渡る美声により、イブ・ツトゥルは振り下ろしたままの体勢で動きを止めた。

 

「うん? どうした人魚さんや」

 

 イブ・ツトゥルは構えを解くと、さつきに背を向けて声の主である角の生えた女性の方へ歩いて行った。

 

『Aaaaa――!! Aaaaa――!!』

 

「おおう? どうどう人魚さん」

 

 一直線に何かを胸に抱きながら小走りで走ってきた角の生えた女性を、イブ・ツトゥルは優しく抱き止めた。

 

 その直後に影は跡形もなく霧散し、イブ・ツトゥルの影は自然なモノへと戻ったが、イブ・ツトゥルの影があった場所は滑らかな表面になるまで研磨でもされたかのように削り取られ、ボロボロだった大理石は多少高さを失いながらも平面となっていた。

 

 その光景からあの触手を当てられれば痛いじゃ済まなかったんだろうなと戦々恐々としながらも、その光景に付いていけずに唖然とするさつきを他所に、角の生えた女性はイブ・ツトゥルの顔の高さまで抱き抱えていたモノを掲げる。

 

 それは"青いタマゴ"だった。まるで恐竜の卵とでも言わんばかりの無骨で大きな卵である。

 

「ん? それがどうし……」

 

「遊んでる暇じゃないよイブちゃん!」

 

 いつの間にかイブ・ツトゥルと角の生えた女性の隣に移動していたフランチェスカ・プレラーティはタマゴを指差して更に口を開いた。

 

(かえる)よ!」

 

 イブ・ツトゥルは驚きに目を見開くとひび割れが始まり、少しづつ亀裂が入るタマゴを、やや震える手で角の生えた女性から受け取った。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

「イブちゃんの愛が重い……」

 

「それで良ければ何度でもくれてやるぞ?」

 

「きょ、今日はもう遠慮しておこうかなっ!」

 

 そして、タンコブを作りながら戻ってきたフランチェスカと、瓦礫の破片をフランチェスカの頭に見立てて握り潰して見せたイブ・ツトゥルを挟みつつ冒頭に戻る。

 

(うーん……どうしたらいいんだろうなぁ…隊の皆も全然来る気配な……い………し……?)

 

 さつきは暫くこれまでの事を振り替り、現在の状況を省みてから意識を3人に戻すとそこには少しだけ違う光景が広がっていた。

「わぁ……産まれるんですね!」

 

「ねーねー、リップちゃんはイブちゃんみたいに母乳出な……ドゴォ!?」

 

「で、出ませんよ!」

 

 

『Aaaaa――Aaaaa――』

 

「ふむふむ、卵を産んだ順で決まる為、こっちの青い方が妹で、こっちの灰色の方が姉なのか」

 

『Aaaaa――』

 

 

 なんか2人増えていた。片方は巨大な金の爪を持った女性で、照れ隠しの固そうな裏拳によりフランチェスカが吹っ飛んでいくのが見える。もう片方は非常にさつきにとって見覚えのある外見をした人物であった。

 

 灰色のタマゴを撫でており、薄く赤みがかった銀髪に金の瞳をした見覚えのある女性にさつきの目は釘付けになった。

 

「ななな、ナイア博士! な、なに、何をしているんですかぁ!?」

 

 彼女こそ、さつきがナイア博士と呼び、このセクターカルデアを統括する存在。毒舌家かつ享楽主義者のナイア・ルラトホテップ博士その人であった。

 

「やあ、さつき君。そんなに慌ててどうかしたのかね? 君の只でさえ凡百な顔がそれ以下の酷い事になっているではないか」

 

「は、他の隊員のみんなは!?」

 

「ああ、その事だが誤報ということになった」

 

「へ…?」

 

 さつきは顔を引きつらせながら目を丸くする。そして、意地の悪い笑みを浮かべているナイア・ルラトホテップ博士と、タマゴから落ちた殻をその都度熱心に取り除いているイブ・ツトゥルを交互に何度か見る。最後に頭にいくつものハテナを浮かべながら首を傾げた。

 

「先の警報は誤報だといったのだ」

 

「ご、誤報…? イブ・ツトゥル(あの人)は今ここに…」

 

「私が誤報だといったら誤報なのだ。故にΩ-7´は全員待機させている。カルデア側にも連絡もしてある。こちらで既に対処済みかつ結果として誤報になったとな」

 

 要はナイア博士は遠回しにこう言いたいのだろう。財団の権力を持って今回の件を握り潰したと。

 

 ナイア博士は晴れやかな笑みを浮かべながらさつきの頭に手を乗せて撫でた。

 

「それと中々良い戦闘データが取れたぞ。なに、最初から我が子(フォーリナー)にさつき君が勝てるなど微塵も思ってなどいない。健闘した方だろう」

 

「…子……あ………ああ!」

 

 さつきの中でイブ・ツトゥルが母親に会いに来たと、受付で話していたことが思い出される。

 

「ナイア博士の娘さんですか!?」

 

『0qd0ckzj』

 

 何故かナイア博士の隣に立っている角の生えた女性が呟いた。その表情はどこか誇らしげである。

 

「なんだその私に子どころか配偶者が存在した事に驚いているような顔は? 半世紀も生きていない君のような初心者マーク付きの死徒とは年期も経験も違うのだよ」

 

「そっか……何千年かに一度ぐらいならナイア博士を好きになってくれる男の人だっているよね……」

 

「おい、小娘もう一度大きな声でゆっくりと言ってみろ」

 

 笑顔に青筋を浮かべながらナイア博士がさつきへにじり寄る。さつきは失言をした事に気付いたが、既に手遅れであり、いつの間にか角の生えた女性もどこかに行ってしまっていた。

 

 さつきピンチである。ナイア博士の前で年齢、恋人、ぼっちに関係する言葉は禁句であった。

 

 するとナイア博士の肩に手が置かれ、ナイア博士の視線がそちらに移る。それによりさつきは安堵の声を上げた。

 

「おい、母さん」

 

(ひえっ……!?)

 

 だが、そこには先程までさつきと対峙していたイブ・ツトゥルであった。

 

 ほっとしたのもつかの間、さつきは今までの事を思い出して内心怯えていたが、イブ・ツトゥルには気にした様子もない。

 

 寧ろ、さつきと対峙していた時には見せなかった面倒そうで鬱陶しそうな表情でナイア博士を見ている気さえした。

 

「なんだ我が子よ? 再開の抱擁(ロダン)接吻(ベーゼ)もいつでも受け付けて――」

 

「違うわい。産まれたぞ」

 

「先に言えこの愚息が」

 

 そう吐き捨てながらナイア博士はいつの間にかタマゴのあった場所に座っている角の生えた女性の元に行った。

 

 角の生えた女性は腕に彼女と同じ水色の髪をした赤子を抱いていた。タマゴから生まれた為なのか既に首が座っているように見える。

 

「ぐそくたんって言うと可愛いよねー」

 

「深海生物になっちまうけどな」

 

「そういえば赤ちゃんの名前はどうするのー?」

 

「もう決めてある」

 

「ほほう、何にしたの?」

 

「"アクア"だ。人魚さんの子供っぽい名前だろ?」

 

「……"エア"ちゃんとかでよかったんじゃないかな…」

 

「なんかいったか?」

 

「んー? 良い名前だっていったんだよー」

 

「そうだろ、そうだろう?」

 

 いつの間にかイブ・ツトゥルの隣にフランチェスカ・プレラーティがいる。

 

 図らずもイブ・ツトゥルの隣に立つことになったさつきは冷や汗を流しながらイブ・ツトゥルの横顔をチラ見した。

 

「ん?」

 

 イブ・ツトゥルはノータイムでさつきと視線を交えた。スーパーモデル顔負けのスタイルと、女神の偶像でも見ているような異様に整った顔が目に入る。

 

(やっぱり綺麗……私と同じ人間じゃなくてどこか別の星からでも来たんじゃないかなぁ……)

 

 とさつきが自分と比べて若干の現実逃避をしていると、頭に何かが乗った感触がした事で現実に引き戻された。

 

「よしよし」

 

「へ…?」

 

 目を細めているイブ・ツトゥルに、何故か頭を撫でられているのであった。

 

 その手付きは酷く優しげで、さっきまで黒鍵とガントで暴れていた者と同一人物とは到底思えない程である。

 

「君も母さんに苦労しているんだなぁ…」

 

(ああ、この人もそうなんだ……)

 

 暫く居心地の悪い時間を過ごしていると、イブ・ツトゥルの口から妙に疲れきったような口調で呟かれたその言葉によりさつきは一気にイブ・ツトゥルへの親近感を覚えた。ナイア博士とイブ・ツトゥルは反面教師的に子が育つパターンらしい。

 

「ぺたり」

 

「ぴゃぁッ!?」

 

 突然、背後から頬に冷えきった手を当てられた事でさつきは飛び上がった。見ればさつきの背後に移動していたフランチェスカ・プレラーティがした事のようだ。

 

「前に来た時は見かけなくて知らなかったけど。いいねー、この娘。死徒だけど傲慢さも毒気もゼロだし好きになれそうだよ」

 

 どこか人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべながらそんな事を呟いている。

 

「あの……」

 

「ん?」

 

「なにー?」

 

「あなた方は本当は何のためにカルデアへ?」

 

 さつきは一番疑問に思っていた事をぶつけた。最も財団でO5評議会クラスの権力と、カルデアの半分の指揮権を握っているナイア博士が受け入れる気満々の為、さつきがどうこうできる問題でもないのだが。

 

 するとイブ・ツトゥルは考え込む様子を見せ、フランチェスカ・プレラーティは当然といった様子で胸を張っていた。

 

「私は人類の味方だからここにいるんだよっ!」

 

「胡散臭過ぎる」

 

「そう言うイブちゃんは何さ?」

 

「そうだな……うーん……とりあえずは地球防衛軍5とかRed Dead Redemption2とかアーマードコアの新作とかを無事に発売させるためか?」

 

「イブちゃんの方がよっぽど適当な理由じゃん」

 

「生きるのに大層な理由なんていらねぇよ」

 

「それもそうだねー」

 

 さつきには二人の言っている事の意味は全くわからなかったが、少なくとも今すぐに害になるような様子には見えなかった事に安堵した。

 

 まあ――。

 

「まあ、何はともあれ」

 

「これからよろしねー」

 

 このふたり(邪神と狂人)に対して何故か激しく不安を感じるさつきを誰が咎めれようか。

 

 

 

 

 






~その日の夜~


『Aaa__Aaa__(つんつん)』

「Aaa…」

「ん? どうした人魚さん、アクア。アクアを抱っこすればいいのか」

『Aaaaa__(こくこく)』

「Aa_Aa_」

「おお、よしよし可愛いなぁ…」

『Aaa!(すぽっ) Aaaa!(ぬがしっ)』

「こら、人魚さん。俺のシャツとブラ脱がさないの。というかどうやって脱がしたのさ?」

『Aaaaa__(さわさわ)』

「おいおい、俺の胸なんか弄ったって母乳ぐらいしか………………まさか、人魚さん俺に授乳しろって言ってる…?」

『…………(じぃー)』

「…………(じぃー)」

「ああもう、わかったわかった。アクアは母親似だな全く……」



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