いやぁ……新章はなんというか…うん、コズミックですね(やけくそ)。
アビーの時ですらクトゥルーでびくびくしていましたが、今回は何かもうね、何かもうね(思考放棄)。とりあえず葛飾北斎の葛飾北斎じゃない方が可愛いので何でもいいです(哲学)。
とりあえず、FGOの設定の増加に合わせてこの小説設定も今後大改修されると思うのでそれでも良ければどうかお付き合いください…。お陰でSCPの設定やら諸々を捩じ込むタイミングが難しいですが、その辺りもどうにかしようと思います。
皆様、今年もよろしくお願いいたします。
ある場所と標高のせいでクソ寒いカルデアに遂に訪れた日の夜。フランチェスカに連れられてカルデアの施設を見学して回っていた。
というのも母さんが"カルデア側のトップに事情の説明に行く、戻るまで適当にしていろ"との事なので適当にしているのである。まあ、去り際に"理性さえ丸め込んでみせよう"等と何やら物騒な事を呟いていた気がするが、俺にはどうすることも出来ないのでなるようになれである。
という訳で探索中だったのだが……。
『Aaaaa――』
現在、藤色に近い銀髪をした眼鏡を掛けた白衣姿の気絶した少女を背中に背負い。人魚さんをお姫様抱っこしてカルデア内を移動していた。
「フォーウ」
更に何故か人魚さんは白っぽい獣を抱き締めているおまけ付きである。
いや……どうしてこうなった。
事の発端は10分程前に遡る。
◇◆◇◆◇◆◇
今日は既に母さん秘蔵っ子の弓塚さつきちゃんと戯れ、人魚さんと俺の娘のアクアが孵るという既にかなり充実した1日を送ったが、まだ1日は終わらないらしい。ジャックちゃんはいつ孵るのか気になるが、正直もう寝たいところである。
ああ、でも横になると人魚さんも必ず添い寝して来るんだよなぁ……いや、嫌というわけでは全くないんだが、人魚さんが寝返りをした時に角が俺に突き刺さることが結構あるのだ。一度人魚さんと相談した方がいいのかもしれない。言葉わかんないけど。
そういえば主に母さんが原因であるストレスの発散のせいで絨毯爆撃を受けたような有り様になったエントランスは、母さんの組織の人間が5分も掛からずに何事もなかったかのようにかつての姿を取り戻していた。魔術も行使していたとは言え、壊すよりも直す方が早いとは大したものだ。
何でも、母さんの組織は秘匿・隠蔽・処理・カバーストーリーをやらせれば神さえも舌を巻くとの事である。成る程、俺がもう感心しているので少なくとも事実になっただろう。
俺が中央、俺の右隣に人魚さんと抱いてるアクア、左隣にフランチェスカと霊体化しているリップちゃんを伴って向かっていると、曲がり角を曲がった瞬間、何かふわふわした柔らかいモノが足にぶつかった感触がした。
「ん?」
「フォ…フォーウ……」
見れば何やら子犬とキツネを合体させたような白っぽい奇妙な生き物が目を回していた。目を回しているのは俺のせいだとしても珍しい生き物である。
はて? 何かこの生き物を見ていると何やら引っ掛かるモノを感じる。と言うことは俺が過去に見たか、知っていた存在なのだろう。しかし、幾ら思い返してみてもそれらしい記憶は出て来なかった。
とすると単に
俺は全智者により全ての答えを知る者であるが、それはあくまでも全智者という分厚い辞典と外付けHDDが組合わさったモノが行っていただけであり、本体の俺は一応生物なのでその記憶にも限度があるのだ。
例えば半年前ぐらいまで食ったモノは全て覚えているが、数年前辺りから食事の記憶は怪しくなり、数十年前なぞ記念日に食事に行った訳でもなければ覚えてもいない。
そして、魂を揺さぶるような運命的な出会いをしたとしてもそのことを覚えているのは精々数万年程度であろう。人間は忘れる生き物等と屡々自嘲されるが、それは別に人間に限った話ではない。
どんな綺麗な思い出も、いつまでも心に留めておきたい素晴らしい光景も、笑って出会い泣いて別れた遥かな友の死も、いつか色褪せ全て忘れてしまう時が来る。今ならばそれが悲しい事だと思えるが、悲しかった事さえもいつか忘れてしまうのだ。
故に
どの異宇宙でも凍てつく寂しい宇宙では尚更のこと、
まあ、それとなく美化しておいて悪いが、邪神は基準やら欲望やらが皆狂っており、求める出会いは基本的に冒涜的で背徳的かつ一方的なモノばかりで害にしかならないので注意するように。結局のところ邪神はどこまでいっても邪神である。
例えば俺の
『Aaaaa――!』
そこまで繁々と考えながらそろそろこの白っぽい獣を助け起こそうと考え始めていると、人魚さんが俺に出てアクアを渡してきた。何故かちょっと興奮した様子である。元からしいたけみたいな目を更にしいたけのようにしている。
とりあえずアクアを受け取ると、人魚さんは白っぽい獣の近くまで行き、しゃがみ込んで白っぽい獣を介抱していた。子供以外には近所の野良猫にも人見知りの非常に激しい人魚さんにしては大変積極的な行動である。
それにしても……。
「Aaaa――、あー」
「やっぱりアクアちゃんは人魚ちゃんにそっくりだねー」
フランチェスカの言う通り、アクアは角が無くなり全体的に人間らしくなった人魚さんといった出で立ちである。瞳は人魚さんの星のような瞳とも、俺の濃い蒼色とも違い、薄い金の瞳をしているがな。
「うー、Aaaa――」
「よしよしいい子だな」
撫でると人魚さんのように目を細めて喜ぶのでとても可愛らしい。
それにしても――。
『Aaa――?』
「フォウ?」
『Aaaa――Aaaa――』
「フォーウ、フォ~ウ」
『Aaaaa――?』
「フォウ、キューン」
「フォ~? フォウフォフォ~ フォフォフォウ?」
『Aa――Aaa――Aaaaa――――』
なんか会話してねぇかアレ…?
「君のお母さんはいったい何をしているんですかね…?」
「あー?」
「見ているだけで脳みそが蕩けそうな光景だねー」
野良猫に話し掛けているようなモノだろうか。はて、人魚さんはそんなに社交的な娘では無かったハズだが。
『Aaaaa――』
「フォーウ」
白っぽい獣との対話が終わったらしく、戻ってきた人魚さん。その頭には何故か白っぽい獣が乗っていた。幻想的な女性にファンシーな物体が乗っている光景は人魚さんの可愛らしさを引き立てていると言えよう。見ようによっては毛皮の帽子に見えなくもない。
「フォウッ!」
『Aaaaa――Aaaaa――♪』
人魚さんの頭に乗ったこの白っぽい獣は我が物顔である。しかし、人魚さんは気にした様子は無く、寧ろ鼻唄を始めるぐらい気分がいいらしい。意外と人魚さんは子供以外にも小さいものには優しいのだろうか。
今更であるが、人魚さんの着ている"人 類 悪 顕 現"と文字の書かれたTシャツはいったい何なのだろうか…? 何故か家から頑なに脱ごうとせずに、脱がそうとすると俺の母乳パッドを抜こうとまでして抵抗してくるので仕方なくそのまま着せてカルデアにやって来たが謎だ……。
そんなこんなで人魚さんに乗った白っぽい獣をお供に加えつつカルデアの探索に戻る。フランチェスカの奴、腐っても頭は良いのでブラックリストに入ってもカルデア内の施設を覚えているらしく、役に立つのがなんか癪である。
あ、レクリエーションルームは良さそうだな。箱ワンなんか家に無いから楽しみである。
「なんで箱ワン買ってないのー?」
「だって海外ソフトってほとんどPCで出るし」
「そう言えばイブちゃんのパソコン…ゲームやることしか考えていないような頭の悪いパソコンだったね…」
「人のPCをゲテモノみたいに言うな」
「あっ! フォウさんそんなところに!」
ゲテモノじゃん等と言うフランチェスカにチョップを入れていると真後ろから声が響いた。
声の質から察するに十代程であろうが聞き覚えの無い声。そちらの方へ目を向けると短髪で眼鏡を掛けた白衣姿の少女が居た。驚いた表情で白っぽい獣を見ているのでコレの飼い主だろうか。
「すみません! フォウさんこちらに!」
「フォウ…」
「フォウさん!? おりてください!どうしたんですかいつもは来てくださるのに!」
白っぽい獣はフォウさんと言うらしい。ふむ……なんだかフォウさんよりもフォウくんな気がするのだが何故だろうか。
「わ、私なにかお気に触ることをしてしまいましたか!?」
「フォーウ……」
『Aaaaa……』
フォウくんは若干眼鏡の娘に後ろ髪引かれているように見えるが、頑なに人魚さんから降りようとしない。
そして、眼鏡の娘がにじり寄ると人魚さんは下がる。寄ると磁石の同じ極を近付けたように下がる。寄るとじりじり下がる。
なんだこの面白い光景。
「マシュちゃーん! 久しぶりー」
「え…? フ、フランチェスカさん…!?」
何故か隣に居たにも関わらず、眼鏡の娘が現れてから俺の背後に一度隠れ、ぬるりと出てきたフランチェスカ。
するとマシュちゃんとやらはフランチェスカを見ると真っ先に眼鏡を両手で押さえた。明らかに普通の反応ではない。
「お前、前来たときにこの娘に何したんだ?」
「マシュちゃんがあんまりに可愛いから眼鏡を預かってちょっと追いかけっこしたんだよー」
バカヤロウお前! 眼鏡っ娘から眼鏡奪うとか南極条約違反に並ぶ重罪だぞ!
「あの、フランチェスカさん。その……そちらの方々は…?」
「でっかい方がナイアさんの実子のイブ・ツトゥルで、そっちの海産物っぽい娘が人魚ちゃんだよ」
「誰がデカい方やねん」
「イブ・ツトゥルさん……?」
それを聞いた瞬間、何故かマシュちゃんの目の色が変わる。受付嬢の時のようなものではなく、どちらかと言えばご飯を前にした人魚さんのような瞳だろうか。
「ナイア博士から沢山お話を聞きました! あなたがあのイブさんなんですね!」
「あー……まあ、そのイブさんだろうな」
あの母さんからの話で聞いた…? 十中八九話に尾ひれどころか進化して海から陸にあがった生物の過程を終えたレベルの紆余曲折した悪名だろ…。
「ナイア博士よりも少し後にこの地球にやって来たナイア博士の娘さんと聞いています! ナイア博士には日頃から良くして貰っているので感激です!」
「お、おう…?」
戦々恐々としていると以外と普通の内容で呆けてしまった。寧ろ母さんごとかなり好印象なように思える。
「業務スーパーという激安商業施設で売っていて、妙に安く聞いたことのない販売元の缶ジュースを買って不味いと感想を述べる事が好きなんですよね! それはどのようなものなのでしょうか!?」
「相変わらずイブちゃんミーハーで草」
暫く歩きながら会話をすることにしたが、知っても知らなくてもよい俺の日常生活の無駄知識が出ること出ること。ここはトリビアの泉なのだろうか。
どうしてマシュちゃんにこんな下らない知識を教えたのかは謎であるが……なんだたまには母さんもマトモな親らしく――。
「実年齢は――」
「それ以上いけない」
俺はマシュちゃんの口を塞ぎ、そのまま後頭部に手を振り下ろす。接触した瞬間に海馬を中心に魔術を掛け、最大の禁忌についてのみの知識を跡形もなく消滅させた。
クソがあのイカれ野郎覚えてやがれ、いつか再生しなくなるまで分割して、エビ粉と小麦粉と合わせて練り餌に纏めてからガーストの餌にしてやる…。
「恐ろしく速い手刀、私では見逃しちゃうね」
「生存フラグかな?」
動体視力がショボいフランチェスカは置いておき、気絶してしまったマシュちゃんをどうするか考える。
「残念もうちょっとでイブちゃんの年齢聞けたのになー」
「貴様が耳にしたのならば魂ごとこの世からご退場願おう……」
「マシュちゃんに比べて私だけ酷くね!?」
30分は確実に起きないように仕掛けたのでしばらく起きることはないだろ。気付け魔術をすれば起きる事は起きるが、脳に魔術に魔術を重ねるとたまに脳が物理的にパーンするので止めておく。
「よっと」
仕方なくマシュちゃんをお姫様抱っこして運ぶ事にしよう。
そんな会話をしていると腕を掴まれる。そちらの方を向くと真顔でフォウくんを頭に乗せた人魚さんがいた。
「ん…? どったの人魚さん?」
『40G…?』
何か呟いているが相変わらずその言葉の意味はわからない。しかしながら何故か凄みだけは非常に伝わってくる為、ややたじろぐ。
『40G?』
「いや、ちょ……力強っ」
何故かと思えば人魚さんの目のハイライトが消えているのがわかった。キラキラしたしいたけお目目が見る影もない。
『4 0 G ?』
む、むう……。
◇◆◇◆◇◆
『Aaaaa――』
そして、お姫様抱っこされるのにご満悦な人魚さんがここにいて現在に至る。
思い返しても全く大した事じゃなかったな。
「モテるねー、憎いねー、ひゅーひゅー」
「お前、アクアになんかしたら南極の氷の下に沈めるからな?」
「手伝ってるのにあまりに酷い!?」
アクアは今はフランチェスカが抱いているが、なにかしでかしたら本当に沈めてやるので大丈夫だろう。ちなみに俺は言ったことは基本的に本当にやるタイプである。
「人間も製造しているのかカルデアは?」
「んー? 昔はね。今はこの娘ひとりだそうだよ」
「造るならせめて中身をもう少し精巧にしてやるべきだったな」
「なんで?」
少しマシュちゃんに意識を向けたが、起きる気配は無い。聞かれている心配もないだろう。
……まあ、言葉には決してしないが、気になることを気軽に話せる程度にはフランチェスカの事は信頼している。
「見てくれだけは取り繕っているが、中身は見るに耐えん。これは後5年も持たんぞ」
「…………相変わらず魔術関連は一目でそこまで見抜くんだねー。マシュちゃんを愁いでるの?」
「まさか。ただ、魔術師や魔術以前に根本原理として被造物は創造主を愛すもの。故に創造主も被造物を愛して然るべきだ。俺はそうであって欲しいと信じている」
子を愛さない親は居よう、しかし親を愛さない幼子というものは存在しないのだ。誇りも責任も無い者の行いは何であれ俺の忌諱に触れる。
「"魔術師らしい魔術師"に求めることではないねー」
「今では考えられないだろうが、俺が崇められた時代の
「大いなる力には、大いなる責任が伴うって奴だね」
「そんな大層な理念じゃない。プライドを持てという話だ。責任なんてそれに付随してくる。人の形をして人の心を持ったモノに人間の寿命程度も再現出来ず、更にその先に手を出そうとした結果がアレだ。何が魔術師か、それ以前に研究者としての誇りも無かろう。身の程を弁えろ、反吐が出る」
「相変わらず、真面目な委員長タイプだねー、カチンコチンだねー」
「そうは言うが、この星に来る前の俺に比べたら遥かにマシになっ――」
そこまで言ってハッとして口を紡ぐ。見ればフランチェスカは元より、人魚さんや、リップちゃんまで聞き入っていた。揃いも揃って目を輝かせているおまけ付きである。
「…………この星に来る前の話は絶対しません」
『Eeeeeeeeee――』
『ええっ!?』
「ぶーぶー、イブちゃんの黒歴史聞きたーい!」
「黒歴史だとして聞くな抉るな」
リップちゃんも念話でええっ!?じゃない。
「ところでマシュちゃんの口振りだとナイアさんはマシュちゃんには優しいみたいだね。珍しいねー、誰にでもヘイト稼ぐのが生き甲斐みたいな人なのに」
「いいや、優しくなんてしちゃいない。彼女に極力人間らしい人生と幸福を味合わせ、しかして他の者より遥かに早く死ぬ彼女が死ぬ間際に何を思うのか見たい。どうせそんなところだ」
「わー。相変わらず、悪趣味だねー」
「そりゃ悪の権化だからな。母さんも俺も」
「それならイブちゃんの本音は?」
「マシュちゃん身体はガタガタだけど中々のイケ魂だから見ててつらい。後、やっぱり可愛いじゃん? 可愛い娘を贔屓するのは世の摂理だな」
「ワカルフォーウ」
「やっぱり邪神じゃないかっ!」
そんな下らない会話をしていると俺は足を止めた。それというのも今歩いている廊下の先にとある人物を見付けたからである。俺がトニーに聞いて一方的に知っているだけであるが、今は重要なことではない。
「どうしたのイブちゃん?」
「ああ……ちょっと少し待っていてくれないか」
俺は人魚さんを下ろし、マシュちゃんを廊下の壁を背に座らせておく。
更に聖書の頁と黒鍵の柄で黒鍵を3本錬成し、3本の右手の黒鍵を母指と示指以外の全ての指の間に挟んでから奴の元へと走る。
「こんばんは」
「へ…?」
追い付いた瞬間に奴の胸ぐらを掴み上げ、近くの壁に叩き付けるように追い詰め、黒鍵を顔の横の壁に突き立てた。
「やあ、"ロマニ・アーキマン"。お初にお目に掛かるな」
そう、コイツこそが全ての発端である。
別にコイツが元凶ではないので、責めたところで何が生まれるわけでも消えるわけでもないのだが、それはそれ、これはこれ。
とりあえず脅し文句と憎まれ口のひとつぐらい言っても何も罰は当たらないだろう。
すると、飄々とした優男であるロマニは眼前の黒鍵の恐怖感からかやや頰を引きつらせながらも、乾いた笑みを浮かべて言葉を吐いた。
「あははは……始めての壁ドンがこれかー。弱ったなぁ…」
………………やっぱり、一発殴らせて貰おうか。
ああ、そう言えば福袋はアラフィフとサラスヴァティー、呼符3枚で葛飾北斎を引いてしまったため、課金石(1万分)含めて300個程聖晶石が余ってしまいました、皆様も良いガチャを(爆弾投下)。