東方一年郷   作:トーレ

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ども! トーレです! 艦これをいまさらながら始めたトーレです! 扶桑は僕の嫁!

HAHAHA! 待たせたな皆の衆!
(すみませんごめんなさい申し訳ないこんなに遅れてもう土下座して謝りますごめんなさい!)

さて、妹紅編ですよ! 
なんかもう書いてる途中から良くわかんなくなってきたんだ!
だから「これおかしくね?」って思っても、許容範囲だったら許してね?
これだけは許せん! ってのはご指摘ください。
ただし僕は豆腐メンタルです。

なんか…長くなっちゃたね。だらしねぇし!

ということで、ではどうぞ! 温かい目で見て行ってね!



誕生日特別号 ~藤原妹紅編~

 

 

藤原妹紅編

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

「おー、お帰り白滝」

 

 帰ってきた小屋の中。俺は荷物を置いてため息をついた。いやー今日も疲れた。

 今俺は、人里で、慧音先生の寺子屋の講師をしているのだった。まぁ講師といってもそんな大層なものじゃない。慧音先生のお手伝いアルバイトみたいなもんだなぁ。そのアルバイトを始めたのも、まぁいろいろな理由があるのだがまぁそれはおいおい。しかし慧音先生と一緒に働けるのは幸せなことだ。毎日が幸せ。

 

「ほれ、お茶だ」

 

「ありがとな」

 

 そっと横にお茶を出してくれた妹紅。俺はそのお茶をグイッと飲み干して一息ついた。

 

「どうだ? 寺子屋は大変か?」

 

 といって隣に妹紅は座る。いい香りがふわっと漂う。

 

「大変だけど…楽しいよ。やっぱり子どもって心が洗われる」

 

「……お前…まさか生徒に手出してないだろうな?」

 

「そんなに節操なしだとでも!?」

 

「初対面の私に『うわー! 髪の毛きれい! 触らせて!』とかいってきた奴は節操なしだ」

 

 そう言って俺のマネをしながら睨む妹紅に、俺は苦笑いを返した。

 

「それは普通だと思っているんだけど」

 

「普通じゃねぇよ」

 

 そう言ってため息をつかれてしまった。むぅ…

 おっと、そろそろ時間だな。

 

「さて、ご飯作るよ」

 

「おお、今日は白滝が当番の日かー」

 

「おうよ! 腕によりをかけるぜ」

 

「楽しみにしてるよ」

 

 そういってニコッと笑った妹紅に心が温かくなりながら、俺は台所に立ち、包丁を手に握った。

 

 さて、みんなも疑問であろうことを説明しようか。仕方がない。

 実は俺は、現世にいた時から料理が得意だったのだ! 今や妹紅と一日ごとにご飯当番を変ってやっているのだ!

 ……へ? そこじゃない? なんで妹紅と俺が一緒にいるかって? なんだそこのことか。これにはなー……深い深い、そうだな、例えるなら子ども用プールぐらいの深い深い理由があったりするんだな――

 

 

妹紅「白滝の小屋はここか。まったく、なんで私が白滝の忘れものを取りに行かなきゃなんないんだよ…。しかし…白滝の部屋か……なんだかドキドキするな……はっ! 何を考えてるんだ私は! よし、これ届けたら、白滝に夕飯でも作らせよっと」

 

輝夜「あら、妹紅じゃない」

 

妹「なっ!? 輝夜! なんでここに」

 

輝「私は白滝に用があっただけ。特に他意はないわ」

 

妹「今白滝は人里に行ってるからいねぇよ」

 

輝「あら…残念」

 

妹「……お前、白滝と交流があったのか」

 

輝「ええ。白滝とは良く遊ぶのよ。それにうさぎ達も白滝の事好きみたいだし」

 

妹「まったく…白滝もお人よしだな。こんな引きこもりに付き合うなんてさ」

 

輝「ほんとお人よしよね。あんたみたいな女性らしさのかけらもない女と、仲がいいなんて」

 

妹「はっ、さすが絶世の美女(笑)は言う事が違うなぁ」

 

輝「あんたこそ大した学もないくせに、良く私と会話ができるわね。ほめてあげるわ」

 

 

二人『…………』

 

 

輝「いいわ。今やってるゲームの攻略を聞きたかったんだけど。先にあんたとゲームをしてあげるわ」

 

妹「なんのゲームだ? 格ゲーか? レースゲーか?」

 

輝「それもいいけど。今回は……殺し合いという名のゲームよ」

 

妹「はっ! 上等!」

 

 

 

 

  小一時間

 

 

 

 

俺「おかしいな…こんなに時間かかるものじゃないと思ったんだけど。妹紅どうしたんだ? おーい、妹紅―! ……ってあれ? 道間違えた? ここで合ってるはずなんだけど…。あるのは……何かしらの瓦礫と…ボロボロの妹紅と…黒こげの輝夜……の死体か。南無」

 

妹・輝『勝手に殺すな!(ないで!)』

 

 ……といったわけで、俺の小屋は二人にぶっ壊されて、俺は妹紅の小屋に居候することとなったのだ! なんとも波乱万丈な! 俺の小屋は、空き小屋をもらったものだったから被害者は俺だけだったのだが……何とも言えない悲しみがこみ上げる。

 

「……白滝? なんか焦げてる匂いがするけど、大丈夫か?」

 

「はっ!? しまった!」

 

「なにやってんだよ…」

 

 その日の夕ご飯は、なんとも焦げ臭い料理となってしまった。

 だが、なんというか、妹紅と一緒に食べているということだけで、どんな料理でも美味しく感じれたのだった。

 妹紅は終始、苦そうな顔してたがな! ごめんねもこたん!

 

 ……そう言ったら、思いっきり殴られた。ふへへ、サーセン。しかし妹紅はかわいいなぁ。

 

 と、まぁこんな感じで、近頃は仲良く一緒に生活しているわけだ。

 へ、俺が恵まれてるからって嫉妬すんなよ、読者の皆さま?

 

 ……顔がキモいと言われて、妹紅に思いっきり殴られました。ふへへ、サーセン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 良く晴れた日の夕方。夕日がきれいに輝き、俺の気持ちを癒してくれる。今日は講師業はお休みだったので超絶のんびりしてたんだ。つまり喰っちゃ寝ごろごろぼけーっとしていた。妹紅も今日は人里に行くとかいって朝からいないし……いやはや、これがNEETの気持ちか、HAHAHA!

 ドゴンッ!!

 俺の高笑いと同調するように、爆音が俺の耳に響いた。外からだ。

 

「なっなんだぁ!?」

 

 布団にくるまった俺は跳び起き、外に飛び出た。目を凝らすと、煙が上がっている。意外と近い。俺はその煙に向かって走り出した。

 ……走りだしたんだけど、寝巻だったことに気づいて、慌てて戻っていった俺。だらしねぇし!

 

 

 爆音と煙の上がる場所には、妹紅と輝夜がいた。いたる所が焦土とかしているところをみると……あれだな。二次とかまぁ色々なところである…弾幕勝負(殺し合い)か。あっちなみ、実は俺、永遠亭とも交流があったりする。良く薬売りとかを一緒にやったりするんだよ。まぁ今はそんなこと関係ない。

 妹紅が動き出す。火の弾を発生させ放つ。輝夜はそれを踊るように避け、さらには弾幕を隙間隙間をぬって放つ。しかし妹紅はそれを動くことなく、炎の壁を作り、消し飛ばす。

 睨み合う二人。……俺の存在には気づいていないようだ。

 しかし…なんというか、魅せられた。二人の弾幕勝負は殺し合いだと言うのに、見惚れてしまったのだ。それほど二人の戦いは綺麗であった。うーぬ……どうしたものか。

 二人は空中でいったん静止している。なぜかと思い、目を凝らすと、なんだか言い争いをしているように見える。だが声までは聞こえない。俺は二人に気付かれないように、茂みに隠れながら、声が聞こえる距離まで近づいた。

 

 

 

「まったく、捨て去ったと思ったのに……まだしがみついているなんてね」

 

「黙れ。私がどうしようと、お前には関係ない!」

 

「そのセリフ、今まで何度聞いたことかしら。あんたも分かっているんでしょ?」

 

「……なにをだ」

 

「今のまま生きていたら…また泣くことになるって」

 

「っ…」

 

「あの人里の先生も、白滝も、みんなあんたを一人にする。あんたより早く死ぬ。それは事実よ」

 

「…そんなことは分かってるさ。でもあいつらは!」

 

「はぁ…このやりとりも何度目かしらね…」

 

「黙れ」

 

「学習しないわねあんた。いつまで失う悲しみを味わうつもりかしら。悲しみたくなければ…もっと頭を使えばいいのに」

 

「どういうことだ?」

 

「例えば、あんた自ら、人間と接触する事をやめるとか」

 

「っ……それは…無理だ」

 

「でしょうね。あんたは心は人間だから」

 

「……」

 

「それならもう一つやり方があるわ」

 

「なんだ?」

 

「蓬莱の薬を、あの先生か白滝に飲ませればいいじゃない」

 

「っ!?」

 

「そうすれば、永遠にあんたの一緒にいてくれる。どう? 理想的じゃない」

 

「……ざけるな…」

 

「なにかしら?」

 

「ふざけるなっ! 誰がそんなことさせるか! 誰が私と同じ苦しみを味あわせるか! 苦しいのは私だけで十分なんだ! 蓬莱の薬なんか――」

 

「なら、いつまで人間ごっこなんてしてるつもりかしら」

 

「! ……」

 

「あんたは蓬莱人なのよ、妹紅。たとえこの穢れた地にいたとしても、それは変わらない。たとえあんたがどれだけ人間と関係を持とうとも、どれだけ人間と同じ行為をしたとしても……変わらない」

 

「……」

 

「妹紅。あんたは、老いもしない。死ぬこともない。……人間じゃないのよ」

 

 

 

……というのが、俺が今聞いた会話のほとんどだ。……なんというか、俺は浅はかだったと思う。

 

俺にはやりたいことがあった。それは、妹紅と輝夜を仲良くさせること。今まで、いろいろな二次創作の主人公が、二人の間に入り、和解させる話を見てきた。そして俺もそれに憧れていた。だって、二人の笑顔が見たかったから。……でも、それは無理なんじゃないかという気持ちが芽生えてしまった。あきらめた…とは言いたくはないけれど……もう俺には、手を出せない、手が届かない領域まで、二人は行ってしまった、そんな気がした。

俺は泣きたくなり、拳を固く握りこむ。こんな感情が芽生えてしまった自分が、ひどく情けなく思った。こんな自分を殴りたかった。叱りたかった。でも…出来なかった。

俺は……妹紅の為に、なにかしてやれないんだろうか――

その時、

 

「ねぇ、あなたもそう思うでしょ? 白滝?」

 

「んな!?」

 

 急に名前を呼ばれた俺は、とっさに立ちあがってしまった。輝夜は笑い、妹紅は目を丸くしている。ってかバレてた!?

 

「えっと……輝夜? もしかして、俺がいること分かってた?」

 

「もちろん、気付かないと思って? まぁそこの人は気付いてなかったみたいだけど」

 

 そう言って輝夜は袖で口を隠す。笑っているのか?

 しかし……なんというか気まずい。隠れて見ていたなど…情けない。

 そんなことを考えていたら、妹紅が「白滝!」と叫んだ。

 

「妹紅?」

 

「なんでここにいるんだ! 下がってろ!」

 

「でっでも」

 

「でももなにもない! 早くかえ――」

 

「隙だらけよ? 妹紅」

 

 いつの間にか輝夜が妹紅の懐に入り込み、妹紅の胸倉をつかんだ。

そしてそのまま思いっきり――

 

上着を引き裂いた。

 

「ふぇ?」

 

妹紅のきれいな白い肌が…露わになった。白くて透き通るような肌で……さらしごしに分かる控え目に膨らんだ二つの山も……って俺は何を見てんだぁぁぁぁぁあぁぁ! みてないよ! 見てないよもこたん! うわぁあああぁぁぁぁぁあ!

 

「きゃああぁぁぁぁあ!」

 妹紅が悲鳴を上げながら、手で胸を隠し、落ちてくる。っておい! 危ねぇ!

 俺は走った。そして、滑り込んでなんとか妹紅を受け止めた。ふぅー、危なかった。

 妹紅は顔を真っ赤にしながらうつむいて、何も言わない。まぁそれも仕方ないな。男に裸を見られちまったんだから。……でもなんだろう、この違和感は。なにか…いつもの妹紅と違うような…

 そう思いながら、俺は妹紅に上着をかけ、輝夜に叫ぶ。

 

「輝夜! さすがにやりすぎだ!」

 

 だが輝夜は、俺の言葉に謝罪を返すわけでもなく、ただため息をついた。

 

「やり過ぎ? はぁ…私は今妹紅に失望したところよ」

 

「どうして!?」

 

「服を取った時の私…隙だらけだったでしょ? 体勢も崩れてる、両手には服をつかんでいる…絶好の攻撃チャンスだったはずよ。……いつもの妹紅なら、殺していたでしょうね」

 

「あっ…」

 

 輝夜の言った言葉、俺はそれで気がついた。さっきの違和感はそれだったのだ。

 妹紅なら…「てめぇ! なにしやがる!」とか言って、輝夜を殴り飛ばす――くらいのことはしたんじゃないだろうか。偏見とかじゃなく、二次創作と、俺が実際に妹紅と生活してみての考えなんだが……俺の知っている妹紅ならそうしたはずだ。ならどうして。

 

「でも妹紅は私を殺すより、隠す方を優先した。それはなぜかしら?」

 

「……どうしてだ?」

 

「あなたがいたからよ、白滝。あなたに見られることが恥ずかしかったから隠した。そういうことよ。なんとも…人間みたいね」

 

 妹紅は何も言わない。ただ俺の腕の中で、俺の服の袖をつまんで震えているだけだった。

 その様子をみた輝夜はため息をついて、踵を返す。

 

 俺は何も言えなかった。普通なら、あんな行動許されるものじゃない。でも…

 もう、俺にはたどり着くことができない所から発せられた言葉ではないように思われたのだ。もう俺が何を言っても、届かない…そんな気がした。そして……輝夜のあの言葉は、悪意とか、そんな悪い気持ちだけではない、そう思ったのだ。理由は無い、でも…。

 俺は、震える妹紅を抱きしめ、ただ帰っていく輝夜の背中を見つめることしかできなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめん」

 

 小屋に着くなり、妹紅はひどく落ち込んだ声でそう言った。最初は俺にもたれかかりながら一歩、一歩と歩いていた妹紅だったが、途中からは一人で歩いて帰ってきた。とはいえ、ずっと一言も話さなかったから、俺は少し驚いた。でもまぁ、関係ないか。

 俺は妹紅を座らせて、温かいお茶を入れながらなるべく笑顔で言った。

 

「謝る必要なんてないさ。俺は別段何もしてないし、妹紅も俺に謝るような事もしてない。だろ?」

 

 そういって俺は妹紅にお茶を出し、自分も隣に座る。妹紅は「そう…だな…」と小さく呟いて、お茶を受け取った。…その手は少し震えていた。さすがの俺でもわかる。原因はきっと、あの輝夜の言葉だろう。

 

「いつまで人間ごっこなんてしてるつもりかしら」

「あんたは、老いもしない。死ぬこともない。……人間じゃないのよ」

 

 ……正直、俺にはその言葉の本当の意味がよく分からない。いや、少し語弊があるか。正確には、理解できないってところだな。俺は、妹紅は不老不死でも、ただの女の子であり…人間だと、思う。それに、自分が人間だと思えば、その人は人間だろうとも思う。

 でも……きっとそうじゃないんだろうな。そんな軽い考えじゃないんだろうな。

もう妹紅は、何年も、何十年も、何百年も、独りで生きてきたんだ。たとえ、親しいものがいても、自分よりずっと早く死んでいく。そんな経験を一体どれだけしてきたんだろう。いったい何回愛する人を失ったのだろう。いったい何回涙を流したのだろう……

そう考えただけでも、胸が締め付けられる思いがする。でもきっと、俺が思っているよりも、もっともっとつらいものなのだろう。妹紅が、ひどく小さく見えた。

 俺は、妹紅に頭を下げた。

 

「先に謝っておくよ。ごめん」

 

「…なんでお前が謝るんだ」

 

「俺には、妹紅の気持ちが分からないから。妹紅に心が分からないから」

 

「白滝…」

 

 妹紅は一度こちらに顔を向けたが、うつむいてしまった。……正直、幻滅されてもしかたないよな。だって……俺は今、妹紅を独りにした…それに値する言葉を口にしたから。分からない、それは妹紅にとって、理解できないと言われるのと同じだ。俺は…最低だ。最低だけど……今ここで適当な嘘をついて、適当な言葉を並べて慰める方が、あとで絶対に後悔すると思ったから。

 頬でも一発叩かれるかと思っていたが、その痛みはいつまでたっても来なかった。

 代わりに、妹紅がゆっくりと口を開く。

 

「おかしいやつだな、お前」

 

「……なんでだ?」

 

「分からないなんて……正直に言われたことなんてなかった」

 

「俺はきっと、そこまで優しくないんだよ。この時だけを慰める嘘は…つきたくないんだ」

 

「…はっ、なにが優しくないだ」

 

 お前は優しすぎるんだよ。そう妹紅は呟いた。その言葉には、苦しみや悲しみや…憎悪とかの感情が感じられる気がした。……ごめん。

 

 

 少しの時間の間が空いた。ずっと静かで重い空気が漂っていた。

 妹紅はすぐ隣で座っているのに、手が届かない。そんな気がした。

 

「私は……」

 

 ぽつりと妹紅が呟く。その声は震えていた。

 

「もう……人間じゃないのか?」

 

 震える声で、やっとのことで絞り出す。

 

「もう、人間じゃいられないのか?」

 

 言葉が強くなる。

 

「もうっ…人間でいてはいけないのかっ?」

 

 手が震えていた。妹紅は、自分の気持ち全てをはきだすように叫んだ。

 

「もうっ、人間を好きになってはいけないのかっ!?」

 

 叫んだ。

 

「私はぁっ!……」

 

 妹紅の体がひどく震えていた。その背中は、小さかった。

 ……正直、見ていられない。その体は…もう折れてしまいそうで。

 

「妹紅…」

 

 俺は、すこしでもその体を支えられたらと思って、無意識に手を伸ばした。でも

 

「!?……」

 

 その手は、届くことはなかった。妹紅の手に弾かれてしまったから。驚いたのはきっと俺だけじゃない。妹紅も自分がとった行動が信じられないというような驚いた顔をしていた。そして、俺はさらに驚いた。

 彼女は泣いていたからだ。目からボロボロと涙が落ちていく。

 俺は、こんなに弱い妹紅を見たことが無かった。

 

「……ごめん。私先に休む」

 

「あっ、おい! 妹紅!」

 

 妹紅はうつむきながら、俺に涙を見せないように、俺の制止を聞くことをなく、自分の部屋に行ってしまった。その手は、血が滴りそうなほど、強く握られていた。

 俺は、その妹紅の背中に、手を伸ばすことはできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「妹紅…」

 

 俺は自分の布団に寝転びながらそう呟いた。あの悲しそうな顔が、涙が、頭から離れなかった。

 

「なにか…できることはないかな…」

 

 少しでも妹紅の苦しみを和らげてあげたい。そう俺はずっと考えていた。実際…輝夜の言っていたように、俺たちが妹紅の前から消えれば…俺たちとの関係を断てば……大切な人を亡くす悲しみは無くなるだろう。でも……大切な人がいなくなる悲しみは変わらない。それは嫌だった。わがままなのは分かっていたが、それは嫌だった。そうなると、俺ができることは――

 

「はぁ…」

 

 思いつかなかった。どの考えも、いつかは無くなってしまう、永遠ではないものだからだ。最後には……妹紅を悲しませることになってしまう。どうすれば……

 

「あっ…」

 

 一つだけ、方法があった。決してなくならない、永遠に繋がる方法が。でも……これは、きっと妹紅が一番嫌いなことかもしれない。というかきっとじゃなくて、絶対、だな。さっき自分で言ってたし。でも…この方法なら、妹紅の永遠の苦しみを取り除くことができる。

 輝夜の言葉を思い出す。きっとこれが、妹紅にしてやれる唯一のことだ。

 きっと妹紅に凄く怒られるだろう。いやきっと妹紅だけじゃない、霊夢にも、紫様にも怒られてあきれられるだろう。でもきっと俺は後悔しないだろう。妹紅も最後には笑ってくれるだろう。なら俺は喜んでこれをする。妹紅に一生連れ添おうじゃないか。

 

 そこまで考えてふと思った。いや気づいた。

 

「うわぁ……そっか」

 

 俺は自分の顔が赤くなるのを感じた。それも強烈に。だが勘づいてみれば確かに納得! だから俺はこんなにも妹紅の為に体張れるんだな…。そうだよなぁ…こんな気持ち、妹紅が初めてだもんな……

 そっかそっか……

 

 

「俺、妹紅のこと、好きなんだ」

 

 顔が赤くなるのを感じながら、俺は決意の心も込めたその言葉を、口にした――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから、私と白滝の関係はぎくしゃくし始めた。……いや、きっと私が白滝のことを無意識に避けてしまっているのだろう。そう感じる。

 このごろ白滝は、寺子屋が忙しいのか、夜遅くに帰ってくることが多くなった。一緒にいる時も食事の時ぐらいしか無くなってしまった。そして、私は……そのことに便乗して、なるべくなるべく白滝と顔を合わせないようにしてしまったのだ。疲れているから先に寝てしまった、とか、急な道案内が入ったとか適当な嘘をついて、なるべく白滝と会わないようにしてしまった。気持ちはいくらか楽だった。だがその代償に……私は謝る機会を無くしてしまったのだ。あの喚き散らしてしまったことを。手を払いのけてしまったことを。

 

 私にとって、ああやって喚き散らしてしまうことは初めてではない。いや、むしろよくあることだ。輝夜に言葉攻めされるのが主な理由だが…ああやって慧音や白滝や、親しい関係のものを出されると、つい我を忘れて……結果、後からああいう状態になってしまうのだ。だから、変な話、私としてはもはやそういう流れができてしまっているのである。事実、今の私は精神的にも安定している、とは言い切れないが、落ち着いている。

 ではなぜ今回はこんなにも後腐れしてしまっているのかというと……明確な理由は私にも分からないが…きっと、あの時隣にいてくれたのが、白滝だったからだと思う。いつもは慧音だったから…。もしかしたら、白滝は私にとって一番弱みを見せたくない人間なのかもしれない。

 

 ……謝りたかった。無性に今は謝りたかった。でも…謝るいい機会を逃した今になっては……非常に言い出しにくくなってしまったのだ。なんと情けないことか……いつもなら、一日も経てば、心も落ち着いて、慧音に謝れたのだが…

 なぜ私は白滝を前にすると落ち着いていられなくなるのだろう。それはこの出来事よりももっと前から思っていたことだ。白滝を前にするとなぜか顔が赤くなって、脈も速くなる。ひどい時には顔が真っ赤になって、目も合わせれなくなる。時々自分でも分からなくなる。白滝は……ただ仲の良い人間だと思っていたんだが…。あぁ、もうよくわかんない。

 私はため息をつきながら、帰りの竹林の道を歩いて行ったのだった。

 

 

 

 

 「白滝……どこだ…」

 

 私は幻想郷中のいたる所を飛び回っていた。目的は1つ。白滝を見つけること。白滝を見つけなければ…なにか……なにか取り返しのつかないことが起こってしまう、そんな気持ちに私は駆り立てられているのだ。

 ことの発端は、今朝机の上にあった置き手紙である。…先に行っておくが、置き手紙自体はさほど珍しくない。白滝は家を早く出るとき、私を起こしたくないとか言って、置き手紙を書いておいていることが時々あるのだ。……なんというか、ほんとにあいつは優しすぎるんだ、まったく。まぁそんなことはいいとして、問題は内容だ。

 

『今日は寺子屋が早いので行ってきます♪ 朝ごはん、昼ごはんは用意してあるから食べておいてね♪ もこたん♪』

 

 ……なんかもういろいろおかしいけど! 最後の奴なんかは殴りたくなったけど! 今回の問題はそこではないから置いておく。でも帰ってきたら殴る。

 問題は……今日は寺子屋が「休み」であるということだ。

 基本的に私は寺子屋の事情は知らない。なんというか……あんまり人里には近づきたくないというか…知っても意味が無いからなんだが。ではなぜ今日は休みであることを知っているかというと、昨日永遠亭まで案内した人間の娘が、寺子屋に通っていたからだ。世間話をしていたら、明日は休みだという情報を得た、つまりはそういうわけだ。

 だから、今日は寺子屋は休み。白滝に仕事は無いはず。つまり……ここに書かれていることは嘘なわけだ。

 …正直、白滝に嘘をつかれたのは初めてかもしれない。まぁいつも言っていることが真実かは立証しようすがないけれど、きっと初めてだろう。

 嘘をつかれたことはショックではあるけど、失望というほどではない。嘘をつくことはだれでもあることだ。

 だが……その置き手紙を読んだ時、胸騒ぎがした。寒気がした。嫌な予感がした。

 確証はない、でも白滝を探さずにはいられなくなった私は、急いで家を飛び出したのだった。

 

 人里にはいなかった。博麗神社にも、紅魔館にも、妖怪の山にもいなかった。私の焦りと不安は次第に大きいものになっていった。私は…押しつぶされそうになっていた。

 

「どこにいるんだよ……白滝…っ」

 

 日が落ちる頃になった。朝から何も食べていない空腹に負けた私は、いったん家に帰り、食事をとることにした。

 

「はぁ…」

 

 もう何度目か分からないため息。体も重く感じる。だが止まるわけもなく、私は迷いの竹林まで戻ってきた。

 竹林の中をゆっくり足を進める。するとふと、目に見覚えのある姿が写った。

 

「!…………はぁ、永遠亭のところのうさぎか」

 

 それは薬売りを終えた様子の鈴仙だった。一瞬白滝だと思ってしまったせいか少し落ち込んでしまった。もしかして…もう見つからないのでは…そう思ってしまう自分もいた。

だがふと気付くと、ふと不思議な事が目の前で起こっていたのだ。

 

「夜~に~と~び出して~月と~踊ろ~♪」

 

 ……鈴仙が、歌っていたのだ。それも笑顔で。…なんだが選曲にミスがあるような気がするが気のせいであるし、なんとも珍しい光景である。いつも薬売りの後となると、疲れたような、げんなりした顔であることが常である。なのに、今日は歌っている、しかも笑顔で。珍しいというか……初めて見た。

 

 胸騒ぎがした。なんの根拠もないが、とてつもない不安にまた襲われたのだ。私は、鈴仙には気づかれないようにそっと後ろについて、問いかけた。

 

「お前が歌とは…珍しいな」

 

「はい、今日はいいことがありましたから!」

 

「ほう、そのいいこととは?」

 

「それはですねー、今永遠亭に白滝さんが来てるんですよー! しっかりもてなして好感度アップです!」

 

「っ! 白滝が」

 

「それはそうと、どなたですか――って妹紅さん!?」

 

 鈴仙の目が私をとらえて見開いた。そしてわなわなと震えだす。「師匠に怒られる…師匠に怒られる…師匠に怒られる…」と呟くばかりである。だがそんなことは今は関係ない。

 

 白滝が、永遠亭にいる!?

 

 不安が的中した。もしかしたらと思っていた事が当たってしまった。そしてその不安が恐怖に変った。

 私はいてもたってもいられなくなり、ぺらぺらと話してくれた鈴仙を放っておきながら、永遠亭に向かって走り出した。胸騒ぎも、不安も、どんどん大きくなっている。

 

「白滝……あれを飲むのだけはやめてくれ…っ」

 

 ありえない……だけどもしかして…そう思っていた事が今や起ころうとしている。あれはこの穢れが多い場所では作れない。そのはずだ。……でも

 白滝なら……あの優しすぎる白滝なら……そんなありえないことも、やってしまいかねないのではないか―?

 やめてくれ…私と同じ道をたどらないでくれ……苦しみを味あわないでくれ……、私の心はそう叫んでいる。だが……

 

「どうしてだ…どうして……私は少し、嬉しいと思っている…!?」

 

 どうして…一番望んでいない事だと言うのに……なぜ私は嬉しいんだ…

 自分でも訳が分からなかった。否定しても否定しても…、心の奥底で嬉しさが浮かび上がってくる。心の奥底…? まさか…

 

 私は…こうなることを……白滝が私とずっと一緒にいてくれることを望んでいるのか?

 

 そう思ったとたん、私は、自分のとある感情に気がついた。今まで絶対に持つことを許されないと思っていた感情。白滝への…想い。

 

「私は……白滝のことが――」

 

 そこまで言って、自分で口をふさぐ。今は、まだその言葉を言う時ではない。

そして…

 

たとえ、私が望んでいたとしても、あんなことはしちゃダメなんだ。止めなきゃ――

 

 私は歯を食いしばり、竹林を駆けあがっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に、いいのかしら?」

 

「はい、お願いします。永琳先生」

 

「…決意は、固いのね。まったく、姫様のせいですよ」

 

 そう呟いて永琳先生は奥へ消えていった。

 俺は今、永遠亭にいる。理由は、前の夜に決意したことを果たすためだ。いろいろ心の準備とかしていたら、こんなにも遅れてしまった。いやはや面目ない。

 

「まったく…いきなり押しかけてくるわ、あんな無茶なこと願い出るわ…びっくりしちゃうわ」

 

 そう言って、隣に立っている輝夜がため息をつく。それに俺は苦笑いで返した。

 

「はは、ごめんな」

 

「謝らなくてもいいわよ。……でも、まさかホントに、私の言ったことをやろうなんてね」

 

「ああ……もう、これしかないと思ったから」

 

 俺がそう答えると、輝夜は俺の後ろに回りこんで…

 

「かっ、輝夜!?」

 

 後ろから抱きついてきた。なっなんぞ!?

 女性らしい甘い香りが俺の鼻腔をくすぐって、くらっとしてしまう。サラサラの髪が俺の頬を撫でて、なんともこそばゆい。

 うっうれしい……うれしいけど! どしたの輝夜!? そう思い、俺の右肩に乗せられた輝夜の顔を見る。

 輝夜はなぜか…悲しそうな顔をしていた。

 

「ねぇ白滝。その決意は、私のため? それとも…妹紅のため?」

 

 俺の胸がはねた。全てを見透かすようなそんな声色で訪ねてくる。

 輝夜のことを考えなかったわけではない。輝夜も、永久を生きる……妹紅と同じ、悲しき人だ。……でも、俺の心はもっと自分の欲望に忠実で。

 俺の答えは、もう決まっていた。

 

「妹紅のためだ」

 

「…それはどうして?」

 

「俺は、妹紅が好きだからだ。ずっと一緒にいたいからだ」

 

 その言葉に、輝夜はほんの少し驚いた顔をしたが…なぜか結果が分かっていたかのように「そう」とだけ呟いて、俺から離れた。

 

「それは……鈴仙が悲しむわね。…それに、私も」

 

「ああ…」

 

 そこまで言われて気付かないほど、俺は馬鹿ではなかった。向けられた好意には答えたい。…でも、俺は妹紅が好きなんだ。その気持ちは変わらない。

 そして、輝夜は身を引いてくれた。俺から何も言わずに離れたのは、その気持ちの表れだろう。…なんというか、きっと輝夜も、なんだかんだいって妹紅に幸せになってもらいたのだろうか? 良く分からないが……輝夜の気持ちは、すごく嬉しかった。

 輝夜……ごめん。でも

 

「ありがとう」

 

「へ? いきなりどうしたの?」

 

「いや、なんとなくだよ」

 

「へんなの」

 

 そう言って輝夜は笑う。その笑顔に悲しさが混じっていたことが見て分かった。……少しの罪悪感はある。でも……俺はもう決意したんだ。

 

 奥から永琳先生が戻ってくる。その手には、厳かな壺があった。これが…

 

「蓬莱の薬…」

 

「ええ。そうよ」

 

 俺は永琳先生からそれを受け取る。なんというか、非常に緊張するね。これから…不老不死になると考えると。

 

「? 意外と無臭なんですね」

 

「どんな匂いだと思ってたのよ」

 

「いやー、ものごっつい、薬っ! ッて感じの匂いだと…」

 

「そんな匂いがしたら、私が飲んだわけないでしょ」

 

 俺の言葉に、輝夜はあきれ、永琳先生は笑っていた。なんというか…これから俺が不老不死、蓬莱人になるとは思えない雰囲気だ。まぁ確かに…この二人からしてみれば普通のことなわけだしな。さっ、早く飲んで、妹紅に会いに行こう。妹紅に会って、自分の気持ちを伝えよう。

 しかし…なんだ。

 

「これ、飲んだら死ぬほど痛いとか、副作用的なものは?」

 

「そんな副作用はありませんわよ」

 

「ただ、体がすごく熱くなるわよね…あれだけやめてほしいわ」

 

 そかそかよかった。死ぬほど痛いと言われて飲むのは、非常に抵抗があるからな。

 俺は壺の中を覗き込む。ふむ。なんか感慨深い。人間全てが憧れた不老不死の力、それを与える蓬莱の薬が俺の手の内にあるのだ。

不安はあるさ。永遠に生き続けなければならないんだから。でも…そうだとしても…

俺の隣には、妹紅がいてくれる。それだけで、大丈夫だ。

しかしまぁ考えただけでも手が震えるね! 落としてしまいそうだよ!

 

「落としたら怒りますよ? 貴重なものですから」

 

「心読まないでよ、えりーん先生!」

 

「伸ばすところおかしくないかしら?」

 

 気にしちゃ駄目だぜ輝夜よ。あれだ、コーンポタージュから「ン、タ、ジュ、二つ目のー」を取り除いた名前の作者様のネタです。あのはちゃめちゃさ、最高です。

 

さ、そろそろ飲むとしますか! あんまり遅くなると妹紅に怒られちゃうからな。

 

「飲むぜよ!」

 

「そんなテンションはいいから、さっさとのみなさい」

 

「……うす」

 

 出鼻挫くなぁもう。まぁいいや。さぁさぁいくぜよ

 俺は、震える手を抑え、壺を口元に持っていく。

 

 これから――俺は、不老不死になるのだ。永遠に、妹紅と、生き続けるのだ。

 

 その時、

 

「白滝ぃぃぃぃっ!!」

 

 そう叫ぶ、愛しのあの人の叫ぶ声が聞こえて――

 

 俺の目の前を、バカでかい炎の弾が通過していった。

 

 ……WHAT!? えっなに!? あぁ!

 

「蓬莱の薬が!」

 

 驚いて落としてしまった! 床にはわれた壺と、中の液体が流れ出ていた。んなばかなぁ…

 

 土煙が上がる。永遠亭の壁には大穴があき、室内であるはずのここから、外が見えた。その煙の中から出てきたのは…やはり妹紅だった。輝夜は驚きを隠せないような表情をし、永琳先生は困ったように「あらあら」と呟いている。

 

「妹紅?」

 

 俺の問いかけに、妹紅は何も答えなった。ただただ俺に近づいてくる。やべ怒ってる!?これはあれか、頬を叩かれるフラグか!? そう思っていたのだが、

 

「ふへ?」

 

 妹紅は俺の手をとって、永遠亭の外に歩き出した。後ろを振り向きもしないで歩く。俺は引きずられている状態なので表情とかは良く見えないが…怒ってる?

 俺は輝夜と永琳先生に「蓬莱の薬は弁償しますからぁ」と頭を下げ、妹紅にしっかりついて行くことにした。なんて謝ろうかな…と考えながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 永遠亭が見えなくなって、少し歩いた場所で、妹紅は立ち止まった。俺は不思議に思い、妹紅の顔を覗き込むようにする。と、

 

「ぐぱぁ!」

 

 いきなり顔を殴られた。いきなりすぎて理解が追い付かない。やっぱり怒ってるんだな妹紅……

 俺はやっぱり謝ることにした。そして頭を下げようとした時、

 

「…ばか」

 

 妹紅がそう呟くのを聞いた。妹紅の体は震えていた。

 

「ばか…ばか…っ、ばか! ばか! ばか!」

 

 妹紅は俺の胸倉をつかむ。

 その顔は、俺の目をまっすぐ見つめてきて…怒ってる見幕で……そして

 泣いていた。

 

「なんであんなの飲もうとしたんだ! あれがどんなものか分かってんだろ!?」

 

「妹紅…」

 

「なんで…なんでだよ! どうして自分を苦しめるようなことをしたんだよ!」

 

「それは…妹紅の為だ。妹紅の苦しみを少しでも――」

 

「苦しむのは私だけでいいんだ! お前は関係ない!」

 

 妹紅は、そう叫んだ。…きっと、俺を思ってくれて…そんなことを言ったんだと予想ができる。でも……それは違う。妹紅の気持ちはわかる。でも…そんな悲しいことは嫌なんだ。

 

「それは違う! 俺は…妹紅を支えたいんだ! お前とずっと一緒にいたいんだ! だから!」

 

「私だってずっと一緒にいたいさっ!!」

 

「それならっ!」

 

「でも! …でも…」

 

 そう言って妹紅は俺の胸倉を離して、俺の胸に頭をとんとぶつけた。

 

「私はぁ……お前のことが…好きなんだよぉ…」

 

「!」

 

 妹紅が……俺のことを、好き?

 涙交じりの声で、妹紅は続ける。

 

「お前のこと考えたら…いてもいられなくなって……私…白滝のことが好きなんだなって…」

 

「妹紅…」

 

「だから! そんな大好きなお前に! ……こんな苦しみは…感じてほしくないんだよぉ…」

 

「っ! 妹紅!」

 

 俺は、妹紅を抱きしめた。妹紅の体は、細くて…柔らかくて…今にも折れてしまいそうで…。小さく震える妹紅を、俺は強く抱きしめた。

 

「ごめん…ごめん、妹紅……もう、あんなこといないから…」

 

 良かれと思ってやったこと、それがここまで妹紅を苦しめたのか、そんなことを考えると…胸が張り裂けそうになった。自分の愚かさを知った。あのまま妹紅が望まないまま俺は蓬莱人になっても…ずっと罪悪感に妹紅がさいなまれるのだ。それじゃ…何も変わらない。俺は…ほんとに大馬鹿ものだったわけだ。

 妹紅は、俺の胸の中で泣いている。きっと凄い勇気だっただろう。自分の思いのたけを叫ぶのに、どれだけ考えただろう。そう考えると、妹紅が、すごく愛おしく感じられた。

 正直、妹紅が俺のことを好きだとは思いもしなかった。てっきり、ただ親しい人間という認識だと思っていたんだが。……そうか。ははっ、もうそこから俺は間違っていたんだ。そう考えてる時点で、俺の計画は失敗してたんだ。バカだなぁ俺。

俺も、妹紅の気持ちに答えて、自分の気持ちを伝えなくてはな。

 

「妹紅、何も言わずに聞いてくれ」

 

「……」

 

「俺も妹紅が、好きだ」

 

「!」

 

 妹紅の体がぴくんと震えた。予想外の言葉だったようだ。まぁそんなことは気にせず、俺は続ける。

 

「この細い体も、サラサラの銀髪も、透き通るような紅い瞳も、声も、男勝りな性格も……全部、好きだ」

 

「……キザすぎだ…」

 

「ははっ」

 

 妹紅の言葉に、俺は笑って返す。確かに臭いセリフだったけど…俺の本心だ。偽りのない、本当の言葉だ。俺はそれを妹紅に伝えたかった。

そして俺は…

 

 

「妹紅、俺が死ぬまで……ずっと、一緒にいてくれるか?」

 

 

 俺の問い。それは、俺の為に、また苦しみを味わってくれるか? というのと等しい。非常に酷な問いだ。

 だが、妹紅は――

 

「うんっ」

 

 頭をこくん、と頷かせた。俺と妹紅の、心が通い合った瞬間だった。

 

 俺たちは、そのまま少しの間、抱きしめ合って、心を通わせあったのだった――

 

 

 

 

 

 

 

 なぁ最後に質問なんだけどさ。このあと小屋に戻ってから、もう一回妹紅に殴られたんだけど、なんでだと思う?

 これ、俺としては一生の迷宮入りになりそうなんだけど?

 

 まぁ、今が幸せだし、それでいっか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ「白滝が連れて行かれた後の、輝夜と永琳の会話」

 

「…連れて行かれたわね」

「連れていかれましたね…」

「まったく、まさかばれるなんてねぇ。災難ね、白滝も」

「でも、これで良かったのかもしれませんよ?」

「まぁね……てか永琳、なんで弓矢用意してんの?」

「これは、うさぎ狩りに行こうと思いまして」

「あぁ…いってらっしゃい。でも、ほどほどにしなさいよ? 家事炊事の担当がいなくなっちゃうわ」

「ええ、加減は致しますから」

「あっ、そう言えば」

「なんですか?」

「あの蓬莱の薬。嘘だって言わなくて良かったの?」

「あー…まぁ、良いじゃないですか? 飲みませんでしたし」

「まぁそうね。まったく、こんな穢れた地で蓬莱の薬なんか作れるわけないじゃない」

「そうですね…。ある意味、私たちの計画通りという事で」

「そうねー。はぁ、私疲れたからもう休むわ」

「はい、分かりました。では私も行ってきますね」

「ほんとに行くのね……。まぁいいわ、いってらっしゃい」

 

 後日、白滝が土下座をしながら、蓬莱の薬を作るために必要なものを聞いてきた時、二人は苦笑いを浮かべるのであった――

 

 

 

 




お疲れさまでした! そして見てくれてありがとうございます!

いやー、大変でした。何が大変って
「もこう」と変換すると「茂光」って人名になるし
「かぐや」と変換すると「家具や」って、二次創作のいじりネタになるし
「いもうとくれない」と打って、最初は変換してました(笑)
パソコンが古いんですかね…

さて今回の話は、2828できる話ではなかったと思います。
みなさんに少しでも、感動を…という風に書きましたが、どうなんだろうね!

あと、もう一度言っておきますが、これはIFストーリーだからね!
「もしも白滝と妹紅がお互いを好きであったら」というIFストーリーですから!
本編ではどうなるかわかりません、のでご了承ください。

感想、ご指摘待ってます! 元気が出ます!

あと、活動報告にコメントをくださった皆様、ホントに嬉しかったです!
「トーレのマイエンジェル」の称号を差し上げます! いらないとか言わないでね? 言わないよね?

さて次は、本編ですな。フランちゃんうふふ、きゅっとしてどかーん!
では次回も過度の期待をせず、待っていてください!

グッバー!
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