東方一年郷   作:トーレ

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ども! トーレです!
新生活ということで、アパートに住むことが決定したトーレです!
大学二年生からのアパートという良くわからなさww

お待たせしましたね! 投稿が遅れてしまいました。自分でもこんなに小説を書かなかったことめずらしいっす!
でも新生活のごたごたはもう何とかなりましたし、これからは元のペースをなるべく維持しようと思ってます。
でも期待はしないでくださいね!w

さて今回は、フラン編の続編ということで、フランのことが分かる話となっておりますな。
あとなにかしらの動きが幻想郷に……?

ではどうぞ! 温かい目で見て行ってね!





第二十話 ~始動、不穏~

 

 

 てれれれってーてーてっててー

 

 白滝は、紅魔館執事からジョブチェンジして、ただの外来人くそ野郎になった!

 

 まさかのランクダウンだねおい! あれか! 女剣士が踊り子にジョブチェンした感じか! なんかそういうエロいアニメかゲームあったな!

 

 ということで俺は、先ほどをもって、紅魔館執事を辞職したのだった。

 前にも言った気がするが、後悔がないと言えばうそになる。もう少し何かやり方があったんじゃないかとも思うが……いかんせん思いつかなかった。

 そして、ああいう形にはなってしまったが、別にレミリア様に失望したわけじゃない。いやまぁ…正直少しはしたけど、嫌いになるほどじゃない。……きっと、レミリア様だって何かの考えや思いがあったに違いない。俺はそう思う。そうじゃなかったら、「権力を振り回して、人に言うことを聞かせる」なんて、レミリア様らしくないと俺は思う。原作は知らないけど、この世界でのレミリア様はそんな人だ。きっと、何かあるのだろう。紅魔館当主としての責任とか威厳維持とか。

 だからまぁ……このごたごたが終わったら、土下座…もといDO☆GE☆ZAでもして精神誠意あやまろう。執事にもう一度してくれ、とかっていうことじゃなくて、普通に謝ろう。

 

 さてそれで、フランの隠し場所とかなんだが……前に言った、あのトイレも風呂もなぜかあったあの部屋をそのまま使うことにした。レミリア様に追い出される危険やらがあったが、俺は……レミリア様の良心を信じることにした。だってこんないい部屋なかなかないぜ!? まぁ立ち退き勧告がきたらきたで、それはその時に考えよう、うん。

 食糧についても何とかなりそうだ。何気にお給金はもらっていたからな。それなりの額はもっている。また人里にでも買い物にいこう。もしも、ほんとに困ったことがあったら、美鈴を頼ることになるかもしれない。……また恩返しは考えておこう。

 

 さて、現実逃避のためにここまで今の状況を振り返ってみたが……ネタが尽きた。もはや現実と向き合うしかないのだろう。

 ……なぜこの俺が、こんなにも現実から目を背けようとしているのかというとだな――

 

いま俺の目の前にはフランがいて――

 

「お兄さん……一緒にお風呂はいろ?」

 

 俺は、誘惑されているのだった。

 

 何故こうなったかを説明するとだなぁ…

 まず帰ってきたら、まだフランは寝ていたんだよ。んでその寝顔をよく見ていたら、体とかところどころが泥やら砂で汚いことに気づいたんだ。まぁでもそりゃそうだよな。いままでずっと洞窟で閉じ込められていたんだから。

 いやまぁご飯食べるとか、おしゃべりをするとか、いろいやりたいことはあるんだけど、このままではフランが不快なのではと思った行動だ。

 だから俺はまずフランをさっぱりさせてあげようと思って、風呂を沸かし始めたんだ。発見当初は蜘蛛の巣かかっててそりゃ汚いバスタブだったけど、執事の仕事の合間に掃除してたら結構きれいになったんだよね。なぜか、赤い印のついた蛇口をひねるとお湯が出てくるし……正直俺の元の世界の風呂と変わらん感じだった。これあれなの? 河童さんががんばったの?

 そんでフランが起きたからさぁ、フランに「お風呂はいって、さっぱりしようか」って言ったら、こんな誘惑を受けました。……これは狙っているのか? それとも幼さからくる発言なのか? それともただの寝ぼけ?

 

 だがまぁなんにせよ! さあどうする俺!? 今俺の選択できる行動はこれだ!

 

 

1、「よし、一緒に入ろうか。ぐへへ」

 

2、「ばっばか! そんなことできるか! …………最初に、どこ洗ってほしい? ごくり」

 

3、聞くまでもなく全裸待機

 

 

 ……俺の深層心理は思っている以上に変態だったようだ。あれ? 拒否するコマンドがないよ? てか全裸待機って? 俺今全裸なの?

 悩んでいる間にも、フランは俺を上目づかいで見つめ、「お兄さん…?」と俺に精神攻撃を加えてくる。たえろぉ…耐えろ俺ぇ……理性をしっかり持つんだぁ…

 だがフランはそんな俺の葛藤をしり目に、俺の袖をつかんでくる。もうめっちゃ可愛いんですけど!?

 

「一緒に洗いあいっこしようよー」

 

「いやいや、フラン。それは俺には無理だな…」

 

「どうして?」

 

「どうしてって……そんなことしたら俺の理性ががりがり削られるからであって――」

 

 

「フラン…一人でお風呂…寂しいな…」

 

 

 ……勝敗が決した。その様子がなんかもう、周りにロリコンだとか言われることもどうでもよくなって

 

 ……俺はため息をついて、白旗を上げざるを得なかった。

 頼む、俺の理性よ…っ。この小説をR18にしないで―メメタァ

 

 

 

 

 

 

「わぁ…あったかいねー!」

 

「そっそうだな」

 

 フランは無邪気に笑ってそう言った。…俺のこのドキドキなんかはわかるわけないよなぁ…

 一緒に湯船につかっているわけだけど、体を洗う用と拭く用のタオルしか用意できず、体を隠すタオルがない関係上、フランは俺と同じ方向を向くようにして、俺の脚の間に収まっている。……無論、目隠しなどを用意できているわけもなく……

 

 ……フランの小さい背中が、すぐ目の前にあるこの状況にもう心臓がやばいことになっていた。

 …風呂に入る前にも、フランがいきなり俺の前で服を脱ぎだすなどのハプニングがあったが、それはもう忘れる事にしよう。

 しかし、今も恥ずかしがっている様子もないし、そのハプニングもあったし……

 

「フラン」

 

「なぁに? お兄さん」

 

「フランはさ、俺に裸を見られて…恥ずかしとかは思わない?」

 

「? 全然思わないよ?」

 

「……そっか」

 

「どうしたの?」

 

「いや何でもない。気にしないでくれ」

 

「…? うんわかった」

 

 そういってフランは、気持ちよさそうに体をぶるるっと少し震わせて、湯船に深く浸かった。……へぇ、羽ってこういう風に生えてるんだね。初めて知ったよ――ってなんで俺はまじまじとフランの背中を見ているんだ!

 

 しかし……レミリア様と5つしか歳が違わないのに、この差はなんだ。前レミリア様の着替え中に間違えて部屋に入ってしまったとき、文字通り八つ裂きにされたんだぞ? だがフランはどうだ? 恥ずかしいと思わない。異性に対しての性意識がほとんどないということだ。それはつまり……ひどく精神的に幼いということだろうか。

 まぁ、5つしか違わないというのは俺の知識なだけであって、この世界のスカーレット姉妹はもっと年が離れているのかもしれないが…だとしても、幼すぎる気がする。

 だが…それも仕方がないような気がする。だって何十年、下手をしたら何百年という途方もない時間を、あんな狭くて暗い、洞穴の中で過ごしていたんだ。精神になにか異常をきたしていてもおかしくはない。

 そうなると…俺が思っている以上に、この問題を解消するのは難しいかもしれないな。

 ふとフランが、俺の顔を覗き込むように振り向いた。

 

「お兄さん…難しい顔をしてる」

 

「…そうだったか?」

 

「うん。なにかあったの? 大丈夫?」

 

「……大丈夫。ありがとう」

 

 そういって、不安そうな顔をするフランを撫でた。フランは気持ちよさそうに目を細めて、えへへと笑った。

 ……思いやりの心は持っているのだ。それに、幼さはあるが言動もしっかりしている。なんだか…不思議な感じだ。幼いような、でもしっかりしているような……ってフランがいつの間にか俺の背中のほうに回り込んでいた! なっなにごと!?

 

「いきなりどうしたフランっ」

 

「洗いあいっこ! 最初にフランが洗ってあげる!」

 

 そういってフランはタオルで泡立て、俺の背中をごしごしと洗い出した。……なんというか人に背中を洗ってもらうというのはひどく懐かしく感じ、すこしこそばゆく感じた。またフランも一生懸命洗ってくれて、その少し弱い力加減がまた何ともくすぐったかった。

 

「フランは、いつもレミ……お姉さんと洗いあいっこしてたの?」

 

「うん! フランが先にお姉さまをごしごしして、次にお姉様が洗ってくれるの!」

 

「そっか。だから洗いかたが上手なんだね。気持ちいいよ」

 

「そう? えへへ、よかった。でも、お兄さん、お姉様より背中大きいから大変」

 

「あははっ、無理はしなくていいからね」

 

「ううん、大丈夫」

 

 えへへ、ともう一回笑ってフランはまたごしごしと再開した。

 ……そうか。そうかもな。フランは幼いっていうより、幼いころのまま「純粋」なのかもしれない。幼い時の純粋な心のまま、ここまで来たのかもしれない。

 閉じ込められたあの時から、フランの中の時計は、針を止めてしまったのではないだろうか。外の世界から隔絶され、周囲の生物との関係もたたれた。閉じ込められている間、フランの中では一秒も時が過ぎていなかったのかもしれない。

 現実、時は立ってるのだから体は成長する。だが心は成長しない。

 なら俺が、やっと動き再開したフランの心に何をしてやれるだろうか。どうしたらよいのだろうか――

 そこまで考えたとき、俺の体に電撃のようなものが走った! なっなんだ!?

 俺はその電撃の発生源をみる。するとフランがいつの間にか俺ん前に来ていて、俺の――ってうわあぁぁぁぁぁっ!?

 

「なにやってんのフラン!?」

 

 俺はフランの肩をもって引きはがすように距離を取らせた。あっあぶねぇ…あと少しで、がちで薄い本になってた……マジ危なかった。

 だがフランは何が起こったかわからないようにきょとんとしていた。

 

「なにって…背中洗い終わったから、次は前かなって」

 

「……前は洗わなくていいよ」

 

「そうなの? でもお姉様の時は一緒にごしごししてたよ?」

 

「う、うーん…それはそうなのかもしれないけど。俺の時はいいってことにしよう。わかった?」

 

「うん、わかった!」

 

 そういってフランは、笑顔でうなずいてくれた。

 あっぶねぇ…あともう少しで俺の貞操がなのも知らない純粋な女の子に奪われるところだったぜぇ…

 

 だが、この時の俺は、知らなかった。

 

 ここからが、俺と、俺の理性との地獄の勝負の始まりなことを。

 

 フランが急に、俺に背中を向けた。?

 

「どうしたの、フラン?」

 

「次は、フランがごしごしされる番! はい、お兄さん」

 

「……え?」

 

「えへへ…お兄さん、早く早く」

 

 俺は……今になってやっと、これが「洗いあいっこ」だということを思い出したのだった。

 しっしまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! 忘れてたぁぁぁぁぁっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして俺の目の前にはフランの背中があった。今まであんな悲惨な生活だったのだ、フランの背中はところどころ傷がついていたり、荒れていたりしているところがあった。だが……なんというか、美肌の女の人の肌って、少し汚れていても「あ、この人肌きれいかも」って思ってしまうんだろうな。今まさにそんな感じ。フランのは背中はすごくきめ細やかな真っ白い肌だった。触れたらそれだけで傷つきそうだ、うん……って俺は何を冷静に眺めているんだ!?

 

「お兄さんどうしたの? 早く早く」

 

 フランがもどかしいように羽をバタバタさせて俺にせがむ。俺は「おっ、おう」とひどく緊張したかのような声を出した。

 ……どうしてもやらなくてはいけないのか? これ。でも今ここまで来て断ってフランの機嫌を損ねてもいけない。えぇい! 乗り掛かった舟だ! やってやる! そう思って俺はタオルを強く握りしめた。

 

「いっいくぞ、フラン」

 

「うん」

 

 フランは全く緊張していない。むしろまだかまだかと、足をばたばたさせているくらいだ。くぅぅ…人の気を知らないで!

 

 俺はタオルで泡立て、フランの背中にそっと触れる。タオル越しではあるが、フランの柔らかさが伝わってくる。そのたびに俺はドキドキしてしまうわけだが。

 さてこのままでもいけない。ごしごしと両手で上下に動かす。するとフランが「あうっ」ともらした。

 

「お兄さん、ちょっと痛いよぉ」

 

「そっそうか。悪い」

 

 …これでも弱く、いたわってやっていたつもりだったのだが、やはり力加減が難しい。ギャルゲやらエロゲやらでこういうシーンがよくあって「○○、痛いよ」っていうシチュエーションが何度も出てたから、そんな風にはならない! と気を付けたんだが……うぬぬ。

 俺は先ほどよりもやさしく、なでるように洗う。するとフランが、えへへと笑った。

 

「ちょっとくすぐったいけど、気持ちいいよ」

 

「ならよかった」

 

 俺は安どのため息をこぼす。なるほど、力加減がわかってきた。……なんだか、フランの背中って小さいよな……って、そう感じるだけだからな!? 別に誰かほかの女の子の裸の背中を比べたわけじゃねえから! 今はリア充チックだけど、ほんとはリア充じゃねぇから! お前の席ねぇから!

 

 よしっ洗い終わった。……なんか、慣れてきた。いや語弊があるな、ドキドキはしっぱなしなんだけど、理性をしっかり保てるようになってきた。

 洗い終わって、シャワーを出そうかと思った俺の目に映ったのは、パタパタとうごくフランの羽だった。なんというか…本当にフランの立ち絵のまんまなんだね、クリスタルみたいな。……汚れてるし、これも洗ったほうがいいかな。羽って汚れたまりやすそうだし、少し強くしたほうがいいか。んじゃ根元から。

 

「フラン、次、羽あらうなー」

 

「ふへ? 待ってお兄さん、羽はね、優しくして――」

 

 ごしごし

 

「あっ、ひあぁぁんっ!」

 

「えええっ!?」

 

 いきなりフランが甲高い、艶っぽい声を上げた。俺は、今驚きすぎて両手をお手上げの状態にしている。なっなんだ!?

 フランが顔を真っ赤にしながら、すこし俺のほうを振り向いた。

 

「羽は…強くされるとビクビクってなっちゃうから…優しく……」

 

「わっわかった」

 

 なんというか……すごくエロい。なんかもう今心臓がはじけたぐらいバックンバックンしていますね。どうする!?

 そうなるとフランが自分で洗うのはどうだ――とも思ったが、背中の羽を洗うって難しくね? という結論に達したため、やっぱり俺が細心の注意を払い、ほとんど力を入れてるか入れてないかぐらいで洗うことにしたのだった。

 

そして、なんとか洗い終わった。これでミッションコンプリートだな。……さすがに前は自分で洗ってもらったぞ? 駄々は少々こねられたが、こればっかりは…さすがに…なぁ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 風呂から上がった後、フランには俺のシャツを着せた。もちろん洗い立てな。いつまでもあのぼろぼろの服でいてもらうわけにもいかんからなぁ。

 だがまぁいかんせん、サイズがてんで違うもんだから、フランが着ると、ひどくぶかぶかである。ワンピースみたいになってしまった。

 

「ぶかぶかでごめんな」

 

「ううん。…暖かくて…いいにおいがする。えへへ」

 

 フランがそう笑ってくれたのでよしとしよう。でもなるべく早くしっかりした服を買ってやらないとな。下着に関しては……明日早急に買ってこよう、うん。買うのが恥ずかしいとか言ってられない。このままフランがノーパンで生活するほうが、よっぽど俺には毒だ。理性的な意味で。

 そうだな…人里で仲良くなった服屋の店主がいるからその人に頼もう。もしかしてオーダーメイドで、原作通りのフランの服が作れるかもしれない。

 ふと気づくと、フランがちょこんっと俺の胡坐をかいている足の上に座ってきた。

 

「どうした?」

 

「んー…えへへ、なんとなく」

 

「そっか」

 

「ねね、お兄さん」

 

「なんだ?」

 

「もういっかいフランの頭なでなでして?」

 

「それはいいけど…急にどうしたんだ?」

 

「だってお兄さんに頭なでなでされたら、なんだか胸があったかくなって、気持ちよかったんだもん」

 

「…そっか。それじゃあ」

 

 俺はフランの要望通り、頭を優しくなでてやる、フランは「んー」と気持ちよさげな顔をして、それからまた、えへへと笑って、俺にもたれかかってきた。

 ……なにこのかわいい生物。一家に一人ほしいわぁ……そしたらずっと愛でれるのに!

 

 しかし……ほぼ初対面の相手に、ここまでなついてくれるものなのだろうか。そりゃあうれしいけどさ。逆立てで地球一周できるくらいうれしいけどさ。幼いというならばむしろ、他人には警戒を示すのが普通な気がする。

 ……まさか。いやでも…あー、そう考えれば合点はいくな、確かに。

 

 もしかしたら、フランは「愛情」を求めているのではないだろうか。

あの洞窟に封印されていた年月、与えられるはずだった愛情を、本能的に欲しているんじゃないだろうか。

そう考えれば、納得できないこともない。その愛情は誰からのものでもいいのか? とか聞かれるとよくわからないけども、フランがこんなになついてくれているのには、そんな理由もあるのではないだろうか。

 

もしそうだとするならば……うん。俺のフランの教育方針の1つが決まった。

 

「フランに愛情をこれでもかと注ぐこと」

 

 得られるべきときに得られなかった愛情を、心の温かさを、フランに教えよう。それは俺とフランの交友関係形成にもつながるし、これからのフランにとって必要なことだと考えた。もしかしてうまくいったら、フランの精神状態も安定して、目標である、あの洞窟の中で見たような狂気はなくすことにもつながるかもしれない。いっぱい愛でたろう!

 

 

 

 着替え終わった後、その体制のまま、軽くご飯を食べながら話をすることにした。できれば、降りてほしかったが「このままがいい…」と上目づかいで言われてしまったため、拒否できず! がんばれ俺の足!

 話しながら、フランに封印される前の生活の話、紅魔館での話を聞いてみた。あまり進んで聞きたくはなかったが…これも必要なことだと考えた。

 意外……というと少し寂しいものがあるが、意外にも、フランは鮮明に紅魔館での日々を覚えているようだった。フランドール・スカーレットという自分の名前や、家族関係、姉がレミリア様であることなど。ここで姉妹なんていない、なんて言われた日には相当なショックを受けると予想ができていたから、「東方project」の世界観を覆すようなこのとになっていなくて一安心だ。

 だが、それと同時に、レミリア様のあの発言が思い出される。

 

「今、私以外にスカーレットの名を背負っているものはいないわ」

 

 何故…レミリア様は、フランの存在を知らないのだろうか。今ここで、レミリア様の妹は存在し、それがフランであるということが確証のものとなった。だがレミリア様は、思い出せない……というより、まったく知らないという。どういうことなのだろうか。

 ……まぁでも、今考えても結論は出そうにない。まずは目の前のことに集中しよう。

 

さて、ここで、ぜひとも聞いておきたいことがあったんだ。でも……なんというか、質問しにくいことだったりする。だが…これからフランを狂気から救うためにも必要なことだ。聞いておこう。

 

「なぁフラン」

 

「なに? お兄さん」

 

「言いたくなかったら…答えなくてもいいからね」

 

「…? うん」

 

 フランは俺の顔を覗き込む。その顔は、ほんとにただの女の子だった。

 

「フランにとってさ。あの…なんでも壊すことができちゃうあの能力は…どんなものなのかな?」

 

「……」

 

俺の質問を聞いたフランは、少しうつむいて自分の手のひらをじっと見つめた。

次の返答で、大体のことがわかる。そりゃ俺は心理学とかよくわかんないけどさ。それでも、わかるんじゃないかな。ほらあれだよ、ギャルゲでさ、相手の前のセリフから気持ち汲み取って選択し選ぶ感じ? あれの応用だよ。

フランは、うつむいたまま、ゆっくり口を開いた。

 

「……嫌い…だと思う」

 

「嫌い?」

 

 それは、予想外の言葉だった。少なくとも、あの能力を使ってこそ狂気となっている人がいう言葉じゃない。

 俺はフランに、次の言葉を促す。

 

「…どうして?」

 

「だって……この力をお父様に見せた時から、お父様は変わっちゃったんだもん。フランの姿を見るたびに、怖がるみたいにして……この力のせいで、お父様は……フランの前から消えちゃったから…」

 

「……そっか」

 

 今、俺の中で、辻褄が合ったような、一本の筋がでいたような、そんな気がした。それは、フランが封印されたことに関することだ。

フランの「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」。その能力を見たフランの父親が、何を思ったか知らないが、フランを封印した。つまりはこういうことなのだろう。霊夢からフランを封印したのは「父親からの依頼」だということを聞かされが、正直信じれなかった。だって、実の父親が娘にそんなことするわけないと思ったから。でも、事実は違ったんだ。俺は、何とも言えぬ気持ち悪さを感じたが、ぐっとこらえた。今はそのことを考える時ではない。それはあとでいい。まずはフランだ。

 

フランの言葉はさっきも思ったが、意外なものだった。フランにとってあの能力は「嫌い」なものだったのだ。俺は、フランには悪いが、フランの狂気はこの能力からくる狂気だと思っていた。この能力を使うことを何もいとわず、なにも不安に思っていない。そんな存在だと思っていた。でも実際は違ったのだ。

……ではどうして、俺との初対面の時、あの能力を使ったのだろうか。あの状態のフランが狂気でないとしたら、それがわからない。いったいなぜ――

そこまで考えていた俺の思考は、フランのつぶやきによって途切れた。

 

「この力って……そんなに駄目なものなのかな…」

 

「…どういうこと?」

 

俺は素直にその言葉を返す。フランは、うつむいたまま、震えるような声を漏らした。

 

「だってお姉様は……お姉様はほめてくれたんだもん。お姉様だけは…この力を見せても頭を撫でてくれたんだもん。この力を使って遊んでくれたんだもん! だから……フラン、この力…嫌いなのに…嫌いになれなくって……嫌いになったら、お姉様まで……」

 

フランの目から、涙がこぼれた。これが…フランの本音なんだ。

……俺はバカだった。俺は、フランをわかったつもりでいたんだ。でもそれは…ほんとに「つもり」なだけで、本質は何もわかっていなかったんだ。

フランは、狂気なんかじゃない。ましてや狂ってなどいない。フランは……ただ、家族を…父親を…レミリア様を…好きでいるだけだったのだ。

きっと……俺と初対面の時、力を使ったのは、「遊びたかったから」なのだろう。レミリア様と遊んだ日々を追い求めた行動だったのだろう。事実、今のフランはむやみのあの力を使っていない。使おうともしていない。

それを俺は…勝手に東方projectのフランと重ね合わせて、勝手な人間像を作ってしまったんだ。

……逆に、これでよかった。この俺の愚かな勘違いを、今気づけたんだ。もしこのままフランには狂気があると決めつけたまま接していたら、いつか絶対フランを傷つけるこのになっていただろう。……正直に話してくれたフランには、感謝しないと。

 

声を殺しつつ、泣き出したフランを、俺は優しく抱きしめた。

 

「ごめんなフラン。いやなこと思い出させて」

 

「……お兄さんは悪くないの…ぐすっ…」

 

 こんな時にも、俺を気遣ってくれる。……確かにフランは、幼い。でもきっと、誰よりも純粋なのだ。俺はそんなフランをすごくいとおしく思った。俺は、頭をなでる。この子を、ずっと支えていこうと、そう思いながら。

 しばらく泣いていたフランだったが、落ち着いたようで、泣き声は聞こえなくなった。まぁ、その右手は、俺の服をぎゅっと握っているままだったがな。

 

「……お兄さんも、頭、撫でてくれるよね」

 

「いやだったか?」

 

「ううん! 違うの! お兄さんも…フランのこの力を見ても…怖がらないから」

 

「なんだ、そんなこと」

 

 俺は、抱きしめる力を少し強くした。

 

「そんなことで態度が変わってたら…救えるもんも、救えないさ」

 

「……よくわかんない」

 

「はははっ、そっか」

 

「でも…お兄さんにこうしてもらってるの…すごく好き。ずっとこうしててほしい」

 

 そういってフランは、自分から俺の胸に顔をうずめた。……フラン、それはすごくうれしいんだけど、俺の理性がりがりすごい勢いで削ってるからね? 俺の発泡スチロールという名の理性が、フランの岩という名のかわいらしさでがりがりされてる感じ。まさにそれ。てか俺の理性よわ! しかし、ほんとになついてくれている。逆に不安になるくらいだ。

 俺はフランの髪をさらさらと触りながら考えた。

 

 ……きっとフランは「変化」を恐れているのだ。自分と交流があるものが、自分に対する態度が変わる――自分の父親のようになる――ことに、恐怖とは違うかもしれないかもしれないが、それに近い負の感情を抱いているに違いない。

 だからこそ、フランは、あの祠からでなかったのかもしれない。あの場所に独りでいることを選択したのかもしれない。そうすれば、交流を持つことはなくなり、根本として態度が変わる人自身がいなくなるからな。あれだよ、「裏切りが怖いから、仲間をつくらない理論」ってことだ。

でも……それじゃあ寂しいだろ。だからこそ、あの祠からでたフランに愛情ってのは必要なのさ。まぁ、ここまで考えてもあくまでも俺の想像だけどな!

ふとフランが、俺の顔をじっと見つめていることに気が付いた。なんだ?

理由を聞いてみると

 

「お兄さんって…お兄様みたい」

 

「へっ!?」

 

 おっ…お兄様ぁ!?

 

「フランにお兄様がいたら……お兄さんみたいだったのかなぁ」

 

 そういってフランは「えへへ」と笑ったあと、また俺に抱き付いてくる。

 ……これはもしや、頼んだらお兄様って呼んでくれるチャンスってやつか!? グヘヘグヘヘゲヘヘゲヘヘ。

 ……なんて思ったが、まぁでも、やめておこう。まだ今の俺には、そう呼んでもらう資格はない。こんな中途半端な関係で、お兄様って呼ばれると、きっとどこかで罪悪感やら後悔やらにさいなまれる気がした。だから今は…やめておこう。

 

「フラン」

 

「ん?」

 

「俺の名前は、白滝っていうんだ」

 

「白滝……?」

 

「そう白滝。これからはそう呼んでくれ」

 

「……なんだかおいしそう」

 

「はははっ…実際おいしいけどね」

 

「ふぇ? 白滝さんおいしいの?」

 

「いやいや、俺じゃないよ? いや、名前的には俺なのか? いやいやでもなぁ…」

 

「…?」

 

「……なんでもないよ」

 

 そういってもう一度頭をなでる。フランはやっぱり気持ちよさそうに、えへへ、と言って笑ってくれる。

 うん、指針も決まってきた。フランも…確かに情緒不安定というか、精神が安定できていないところもあるが、狂気ってほどじゃない。だから指針は――

 

1、 フランに愛情を注ぐこと

 

2、 精神の安定を保つこと

 

 ……こんな感じになるのかな。愛情って言っても、俺の一方通行な愛情じゃないぞ? フランが求める、フランに必要な愛情ってやつだ。

 2、については、正直いらない気もするが……いままで長い間ずっと独りだったのだ。どこか心の中に綻びがあっても不思議ではない。だが今は俺がいる。俺が楽しいことは一緒に楽しみ、悲しい時は一緒にそばにいてやろう。そうすれば、落ち着いてくるのではないかという予想だ。

 

 あとの問題は…あの力の制御だが、まだそれは先の話だ。今無理になにか講じても、俺とフランはまだ交友も薄いし、信頼関係もまだまだだ。目に余るようだったらなにか対策を考えなくてはいけないが、今はまず↑の1と2が先決だ。それがなんとか落ち着いてきたら考えよう。

 

 よしっ! 計画が固まった! 決意もついでに固まった!

 

「フラン」

 

「なに? 白滝さん」

 

「これから、よろしくな」

 

「……えへへ、うん!」

 

 

 さぁて! はじめようか! 白滝塾の開講だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フランと住み始めて、一週間くらいたったかな? レミリア様からの退去勧告もなく、食料もなんとか確保できてるし、さして問題のない時が過ぎていた。……まぁ、フランの行動には時々ドキッとさせられるがなぁ。

 いくら注意しても俺の目の前で服を脱ぎだすし。

 風呂はいまだに一緒に入ってるし。

 ベッドがあったから布団を用意して別々に寝てても朝起きたら布団の中で俺の隣で寝てたり。

 なんてこともあるが……でも安定している。いい傾向だ。仲良くもなっていると思うし、いいんじゃないだろうか。

 そんなことを考えながら、俺はフランの服を頼みに人里に来ていた。前に下着を買いに行ったときに頼んだら、オーダーメイドで作ってくれるらしい。ありがたい。

 

「それじゃあ、こんな感じで」

 

「はいよ。……ははぁ、面白い意匠をかんがえるなぁ」

 

「ははっ、どもども」

 

「んじゃ、また何日かしたら来てくれや。こうも複雑だと、何日かかるかわかんねぇからな」

 

「どうもすみません」

 

「なに、いろいろな意匠に取り組むのも、いい練習ってもんさ」

 

「そう言ってくれると助かります」

 

 そういって俺と店主は笑いあった。年は離れているが、すごく気さくな人で、驚くことに一回俺のあのテンションについてきたのだ。びっくり。それからまぁ仲良くなって。

 そんな店主が、いきなりけわしい顔をして、声を潜めて「ところで…」と言ってきた。いったいどうしたんだろう。

 

「このごろ…妙なことが起こってるの…知ってるか?」

 

「妙なこと?」

 

「あぁ…俺も実際には見たことなんだけどさ」

 

「はい」

 

「なんでも……昼頃にな?人里はずれに、霧みたいなのがこの頃頻繁に発生してるらしいんだわ」

 

「霧…? でも霧ぐらいなら、別に妙でもないんじゃ?」

 

「いやそれがさ。ただの霧じゃねえって話だ」

 

 ただの霧じゃない? じゃあいったい…?

 疑問を解決するべく、そのまま店主の言葉を待った。

 そして店主の口から

 

 予想していなかった言葉が出てきたのだった――

 

「その霧……赤いらしいんだ。な? 妙だろ?」

 

「赤い…霧…」

 

 そんな……まさか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅霧異変……?」

 

 

 

 

 俺の中で、いやな胸騒ぎが広がった――

 





お疲れさまでした! そして見てくださってありがとうございます!

フランちゃん可愛いですよねぇ。見てる分についてはいいんですが、それを表現しようと思うと……ぐぬぬ。難しいものです

さて本編では白滝塾の指針も整い、新たな動きも起こり、激動に動く予感ですね…
しかもまさかのお風呂シーン…だとっ!? くそう白滝め! おいしい思いしやがって!
ここだけの話、あれ、フランにせがまれて白滝がフランの前も洗うシーンが最初にプロットにはあったんです
でもしだいに書いて行くうちに……この小説にR18をつけなくてはいけなくなった展開に…w
なので全消ししましたw
ということで次も頑張って書いて行きます!w
乞うご期待! はしないで待っててください!笑

いつもいつも感想ありがとうございます! 皆さんの感想で、このトーレ立っていられるのです!
逆にいえば皆さんが居なかったら立つこともできません。はい
感想、誤字脱字指摘、待ってます。

さて次なんですが……順当にいけば、特別編になるんですが
どうします?
実は「まず紅魔館編を終わらせてから、特別編をいっぺんになったら? そっちのが見やすいかも」
という意見をいただきまして、確かに…と思ったしだいです。
正直僕的にはどちらでもよいのですが、みなさんはどうでしょう?
何か意見があったら教えてくださいな!

では次は、そのことが決まり次第、なるべく早く投稿したいと思ってます!

では次回会いましょう! グッバー!
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