東方一年郷   作:トーレ

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ども! トーレです! XBOX360にはまりまくりなトーレです!
いやー、いいね! 特にHALOいいね! 友達と一作品を一夜で協力して全クリしたときは感動したね! ありがとう我が友よ!

さてということで、もっと早く更新できるかと思ったのですが、いかんせんなかなかペンが進まず、プロットが決まらず……というような感じでした
そんなこんなで書き上げた今話、読者様がいいものだと受け入れてくださると幸いでござる

あ、あと前回も話していた特別号と本編の折り合いですが、「本編を先にまとめて投稿してからのほうがいいのでは?」という声が多数寄せられました。答えてくださり、ありがとうございます。
ということですので、先に、本編の紅魔館編を終わらせてから特別号を書かせていただくことにしました!
特別号をお待ちしている方、大変申し訳ありません。でも絶対書きますので!

……このごろシリアス分が多くてはっちゃけ白滝がかけていない…でも今のこの話はとても大切なので頑張りました!笑

ではどうぞ! 生暖かい目でゆっくり見て行ってね!





第二十一話 ~全ての理由~

 

 

 

 

 

「お姉様……元気にしてるのかな…」

 

 フランが、そうぽつりと呟いたのを耳にした。その声はすごく寂しげで、そんなフランを慰めたくて俺はフランにかける言葉を探した。……だが、結局その言葉は見つかることはなく、俺はただフランの頭をなでることしかできなかった。

 

 ……言えるわけがなかった。フランがそんなにも恋しがっている姉が、フランの存在さえ知らない、なんて。その事実を知ったフランの表情なんて想像したくもなかった。まして、まだ精神的にも不安が残る今の状態であったならばどうなるか……。そう考えると、伝えてあげたくても、会わせてあげたくても、できなかった。

 

 だからいつか、まだ先かもしれないけれど、フランが落ち着いて、俺がレミリア様ともう一度ゆっくり話して、フランがレミリア様の妹として向かい入れてもらえるまで……今はこのままフランに愛情を注いでいよう、そう思った。

 

 

 だがその考えも、昨日服屋の主人から聞いた話によって、崩れさろうといていた。

 

「まさか……いくらなんでも唐突すぎる。なんてこったいだよほんと」

 

 俺はそう悪態をつきながら廊下を早歩きで進んでいった。服屋の主人の話、赤い霧が発生しているという事件。それもどんどんその赤い霧は拡散範囲を増やしているらしい……どっからどう考えても紅霧異変だろおい。

 

 紅霧異変……紅魔館主レミリア・スカーレットが、日光に触れると気化してしまうその吸血鬼の特性を防ぐためにおこした異変だ……ったと記憶している。確かこれが公式に設定だったと思うんだが違ってたらごめんね、てへりんちょ♪

 そしてまぁ…それに付け加えて、俺が好きな二次創作のネタが「実はそれは、今まで地下やら館内にずっと閉じ込めてしまっていた妹フランを外に出させてあげるため」というなんとも姉妹愛あふれるものだったりする。なので密かに心の中で願っていたそれが、もろく崩れ去ったわけで……ま、まぁそれはいい。それは俺の勝手な願望だから仕方がない。

 俺が言いたいのは、もしもこれが本当に紅霧異変だったら、それは公式通りレミリア様が自分のために行っているものとなる。そうなると……少々おかしな点がある。

 

 まず、なぜこのタイミングなのだろうか。……レミリア様は少なからず、フランドールというものがこの世界に存在したことは確認したはずだ。だがレミリア様はフランを突き放した。見捨てろ…と言われたわけではないが、あれはそんな感じのニュアンスだったろう。そのフランのこともあるし、俺も執事をやめた。さすがのレミリア様も動揺は生じるだろう。そんなごたごたがあったのに、たった一週間ほどたって突然異変を起こすだろうか。

 なにしろ、俺が執事を務めている間、そんな異変を起こすような吉兆はなかったのだ。美鈴とかからも話さえ聞いたことはない。だからこそおかしい。つまりレミリア様は俺が執事をやめ、フランと住み始めて今に至るたった1週間で異変を起こすに至ったのだ。……おかしくないか?

 

 そしてもう一つ。だいぶ前のことなので忘れかけていたが、思い出してほしい。あの射命丸さん達が来た時だ。……レミリア様は、日中外に出ていたのだ。日光に弱いはずのレミリア様がなぜ外に出られたのか……それは、特殊魔術を施した日傘があったからだ。つまりレミリア様は、その日傘さえあれば外を出歩くことだって可能なのだ。つまり、わざわざこんな大規模の異変を起こす必要がないのだ。そりゃまぁ、あの日傘すごい用意するの大変らしいし、日傘さすのがめんどくさいとかっていう問題はあるだろうが、そんな些細なことで異変を起こすような人ではない。

 

 だから俺は、たとえ辞職した身であっても、レミリア様に聞かねばならないと思った。この異変の真意を。……ことによってはフランに大きな影響が出かねない。止めれるならば止めなくては。

 

 そんなことを今一度考えていたら、もうレミリア様の部屋の前であった。俺は扉の前に立ち止まり、深く呼吸をした。

そして、ノックをして、緊張の面持ちで扉をゆっくり開くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、白滝じゃない。いらっしゃい」

 

「……」

 

 …あれ? 思ってた反応と違う。もうちょっと「なぜあなたがここに!?」みたいな風になると思ってたんですがね!?

 俺が戸惑っていると、レミリア様がため息をついた。

 

「何をつったっているのよ。掛けていいわよ」

 

「えっと……ではお言葉に甘えて」

 

 俺は目の前にあるソファに座る。レミリア様はそれを確認してから紅茶を一口飲んだ。

 もはや俺の気勢は削がれてしまった。もうほとんど殴り込みに行くぐらいの覚悟をもってきていたのだが……完全にレミリア様ペースに持ってかれてしまった。

 なんというか…もう俺の負けだ。降参の意を表すとともに、素直に疑問を口にした。

 

「驚かないんですね。俺が来たこと」

 

「もはや部外者のはずの俺が…ってことかしら」

 

「はい」

 

「驚かないわ。わかっていたことだもの」

 

 そういってレミリア様は微笑んだ。わかっていた?

 

「…ここに来ることが、運命だったということですか?」

 

「そうよ。それに…あなたが私に聞くことも運命でわかっている」

 

 そう言ってレミリア様は椅子から降り、外の風景を見る。「門番がいない…あとでお仕置きね」とつぶやいていたが…まぁ今は関係ないことなのでスルー。

 しかし、そこまでわかられているとは、逆に話がしやすい。そう前向きに考えておこう。……運命最強説ここに来たり。原作でも運命を操る程度の能力ってあいまいな感じだったからどんなもんかと思ってたけど……未来予知とかずるくね?

 

「それなら話が早いです。……聞かせてもらえますか? 紅い霧のことを」

 

「ええ、いいわ」

 

 レミリア様はもう一度椅子に座り、紅茶を口に含んだ。

 

「まず初めに聞きたいのだけれど。その霧を発生源が、この紅魔館であるということは、どうして気づいたのかしら?」

 

「それはですね……元々、この赤い霧のことを知っているからです」

 

 一回、これを話そうかどうか悩んだ。ほら、簡単に言えば、タイムパラドックスを心配する未来人みたいな心境、今。このことを話すことによって、この幻想郷に大きな影響が出るのではないかと心配したけど……よく考えたら、フランとのいざこざでもはや俺の知ってる幻想郷じゃないしいっか! ということにした。まぁレミリア様のことだ、それを聞いてどうこうしようってことはないだろう。

 レミリア様は少し驚いたような表情をした。

 

「私たちのことを知っていたように、私がやったことも知っていたということね」

 

「はい。だからこそわからないんです。レミリア様がなぜ今こんなことをしているのか」

 

「なぜ? 昼間に外を散歩したいから…って理由じゃ不十分なのかしら?」

 

「不十分です。だって、レミリア様にはあのパチュリーさんお手製の日傘があるじゃないですか。それに……こんな少しごたごたしたすぐに、やることではないと思ったんです」

 

 そのごたごたをもたらした原因がまぎれもなく俺なだけに少し申し訳ない気がしたが、それでも聞かねばなるまい。

 俺のその言葉を目を閉じながら聞いていたレミリア様は、両肘を机につき(某ゲンドウさんを思い出した)まっすぐな目で俺を見てきた。

 

「だからこそなのよ、白滝」

 

「……? どういうことですか?」

 

 理解ができず素直に聞き返した俺に、レミリア様はこう返した。

 その返答は、思いもよらないものだった。

 

 

「あの赤い霧は、フランドール・スカーレットの為のものだもの」

 

 

「……へ?」

 

 ……訳が分からないよ。そういうこと?

 俺の困惑した表情を読み取ってか、レミリア様は説明する。

 

「だから、これはフランドールが日中外に出られるようにするために起こしたものなのよ」

 

 だがその説明を聞いても全くわからんかった!

 

「まっ待ってください! 理解が追い付かない……いったい、どうして?」

 

「フランドールは妹だから、かしら」

 

「妹って……レミリア様はフランに対して否定的だったじゃないですか!」

 

「そもそもそれがあなたとの誤解よ」

 

「誤解?」

 

 誤解って…でも俺にはフランを保護することは無理だって…

 俺が抗議の目を向けるとレミリア様はため息をついた。

 

「私がフランの保護を申し出ようとしたらあなたが急に執事をやめたんじゃない」

 

 …へ? 保護? マジで?

 思い返してみよう。確かあの時、俺はレミリア様に主従関係のことを持ち出されて落胆してて―

 

「だから、フランドールの保護は、あなたでなく私が――」

「分かりました。なら俺は、紅魔館の執事をやめます」

「……え?」

 

 ……確かにレミリア様なにか言い出そうとしてた気がする!! ってことは――

 

「なんと!? わちきの勘違いと申すか!?」

 

「急にキャラがぶれたわね。まぁでもそういうことよ」

 

 なんだってー!? ……なんということだ。では俺の辞職は全くの無意味だというのかっ! レミリア様へのあの失望も! むしろレミリア様はフランのことを考えてくれていたのか……

 

「……はぁ、すみませんでした。レミリア様」

 

「…なぜ謝るのかしら?」

 

「俺…勝手に、レミリア様は冷たい人だと…すみません」

 

 俺は拳を強く握りしめた。ひどく申し訳ない。勝手な俺の勘違いで思い込みをしてしまうなど。こんなの、今レミリア様に怒られても仕方がない。

 だがレミリア様は怒った様子もなく

 

「まぁ…この誤解に関しては咲夜にも言われたし……別に気にしないことにするわ」

 

 そういってレミリア様は少し笑みを浮かべた。なんという寛大な心を持っているんだレミリア様はっ! あと、十六夜さんがなにか言ってくれたのだろうか、あとでお礼を言っておこう。

 ……てかあれ? 今更だけど、妹? おかしくないか? そういえば前にもこんな風に感じたことあった。そっかそういえばあれも妹って言ってたもんな。だから変だったんだ。

 

「レミリア様」

 

「なにかしら?」

 

「レミリア様は、つい前までフランの存在さえ知らなかったはずです。それなのに…なんで急に妹だと? まさか…思い出したとか?」

 

 そうなのだ、レミリア様はフランのことを知らなかった。スカーレットの名を持つものは自分だけだといった。それなのに、今はフランのことを妹だと認めている。フランが本当に存在したと分かっても、幾らなんでもその存在が自分の妹だと信じるには早すぎる。だからもしかして忘れていただけで、思い出したのかと思った。

 レミリア様は、俺のその問いに答えなかった。だが返答の代わりに、俺の前に本棚から出した、一冊の本を差し出してきた。その本は見るからに古びている。……「Diary」? つまり誰かの日記? なっ失礼な! 日記ぐらいわかるわい! 大学生を舐めるでねぇってやんでぃ!

 

「…これは?」

 

「前の図書館爆発事件の時、偶然パチェが発見したものよ。読んでみなさい。そうすればわかるから」

 

 そういってレミリア様は、静かに息を吐いた。それから目をつぶって紅茶を租借し始めたので、俺はその本の厚い表紙をめくり、一ページ目を読み始めた。

 そこには、こう書いてあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『今日は最高の一日となった。なぜかというと、この日記も、また新しい本となったこと。よくもここまで続けてきたものだ。そしてもう一つ、わがスカーレット一族に、新たな家族が加わったからだ。

大きなクリクリとした目は妻似だろうか。レミリアの目の形は私に似たのだからこれで平等か。髪の色も妻に似てしまった。少し残念だが、これまたレミリアは私と同じ色なのだから、平等ではあるが。しかし……レミリアに負けず劣らずなんともかわいらしい。

 散々迷ったが、私と妻は、このかわいい我が二人目の娘を、フランドールと名づけることにした。レミリアも自分の妹に興味津々だ。きっと仲のいい姉妹となるだろう。将来の姿を早くも見たいと感じてしまった今日この頃だ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……これって。

 

「レミリア様とフランのお父さん?」

 

 その俺の一言を聞いて、レミリア様は目を開いた。

 

「そうよ。私たちの父親にして、前紅魔館当主。そして……フランドールを、封印させた張本人」

 

「! それって!」

 

「それに関しては……この巻を読めばわかるわ」

 

 また一冊、俺の前に本を出してきた。それもまた同じように古びている。

 ……前紅魔館当主の日記。つまりフランのことが詳しく書かれているかもしれない。いや、レミリア様が出してきたということは詳しく書かれているのだろう。俺は決意というか、覚悟のようなものを決めて、本を読み始めようとした。でも……どこにあるかわっかんね! 俺にはそんな速読とかいうスキルはないからな! こんなハリー・○ッターみたいに厚い本の中から、ちょうど書かれているページを探すのは無理ゲーだろ。

 そんな感じで困ってたら、レミリア様がため息をついて「134ページ」と言ってくれた。さっすがレミリア様!

 俺は134ページを開き、ゆっくりとそこに記されている文章を読み始めた――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私は、信じがたいものを見てしまった。今でも思い返すと冷や汗が出てくる。

 我が娘フランが……異形の力を発現させてしまったのだ。ありとあらゆるものを破壊する程度の能力。フランは嬉々としているが、私は恐怖を禁じ得ない。あれはそんな生易しい能力ではないのだ

 私はその能力を知っていた。なぜなら…我が兄はその力を持っていたからである。

 兄は、とても強かった。模擬戦や組手では兄に一度も勝てたことはない。それほど兄は強く、そしてその異形の力を持っていたために、周囲の者どもから一目置かれていた。

 だが兄は、素行が悪かった。特にその異形の力を発現させてからはひどいものだった。力無き者に暴力をふるい、気に入らないものがあれば、その力そして能力を使い破壊していった。

 それを見かねた父は、私にこう言ったのだ。「次当主は、兄ではない。お前だ」と。兄の素行を知っていれば、誰もが頷くことだった。私も…申し訳ないが、兄より私のほうが適任だと思った。……だが、兄は違ったのだ。兄は、自分が森羅万象において頂点に立つべき存在であると信じてやまなかったのだ。

 だから兄は……私が当主に父より告げられた時……父を殺した。父を殺し、無理やり自らが当主だと宣言した。そして……もはや邪魔者でしかない、実の弟である私さえも手にかけようとした。

 ……私は、兄を自らの手で殺すしかなかった。いつも模擬戦や組手をしてきた兄だったから癖や弱点はわかっていたし、欲望にとらわれていた兄の攻撃は単調でしかなかった。……あの兄が、力を持ってしまったがために、ここまで落ちつぶれるのかと、私は何とも言えない感情を覚え、そして――恐怖した。

 レミリアやフラン、そして妻……それだけじゃないスカーレット一族に関わるすべての者はこの惨劇を知らない。このスカーレット一族最大の汚名を、私は消さねばならなかったのだ。私の力……「触れたことのある者の記憶を操作する程度の能力」で。残酷だが……こうせねば、スカーレット一族は社会から居場所を失うであろうことは目に見えている。狂人の弟である私が当主の一族など、誰が認めてくれよう?

 だが、使用者の私は記憶を消すことはできなかった。唯一憶えている存在になったのだ。今でも思い出すとその恐怖が蘇ってくる。今も、この当主の椅子に兄の血が染みついていると想像すると恐怖に心がとらわれてしまいそうになる。

 そして今日、その力を、兄を豹変させてしまったその力を、フランが得意げに私に見せてきたのだ。……親であるとか娘であるとかそんなものをかなぐり捨てて、私は、恐怖した。

 ……事実、次当主の座はレミリアに譲ろうと考えている。だがもしフランに兄のような野心が芽生えてしまったら……

 私は……どうすればいいのだろう。無論、フランのことは今でも愛している。だがフランを見るたびに、死んだ父の姿、そして私が殺した兄の顔が…否が応でも脳裏によみがえってしまうのだ。もしも…もしもまた、私と兄のようにレミリアとフランがなってしまったら……私は…私はっ…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は本を閉じた。もう、十分だった。十分すぎた。

 なぜフランが封印されなければいけなかったのか、なぜ封印したのが父親だったのか、なぜレミリア様や、それに関係する人がフランのことを知らなかったのか。俺が疑問に思っていたことがほとんどわかってしまった。

 

俺はため息をついた。なんというか、ほんとにため息しか出なかった。誰も悪いわけではなかったのだ。俺は勝手に前当主を、フランの父親を恨んでいた。どうしてあんなことをしたのかと問い詰めてやりたかった。でも、違ったのだ。フランの父親にはその人なりの苦しみがあったのだ。……今思い返せば当たり前のことじゃないか。どんな親が好き好んで娘を封印するだろうか。たとえ異形の力を持っていたとしても。

 

「わかったかしら? 事の真相が」

 

 レミリア様はいつの間にやら俺の前に立っていた。その目や表情は、少し寂しそうに見えた。俺は黙ってうなずいた。レミリア様は「そう」といって、外の景色を見る。

 

「あなた、私に否定的だった…って言ってたわよね」

 

「う…すみません」

 

「謝らなくていいわ。事実、私は否定的だったもの」

 

 そういってレミリア様は少しうつむいた。

 

「……今まで、私は一人でスカーレットの名を、そして血を、背負ってきたのだと信じていたわ。それは…私にとって誇りだった。だから……いきなりスカーレットの名を持つ者がいて、しかもそれが妹だなんて、信じれるはずもなかった。嫌気さえ感じたわ。でもそれも……」

 

「この日記を読むまでは、ですか」

 

「ええ。この何冊もある日記には、しっかりと私の妹、フランドールの名前が刻まれていたわ。この本に書かれている姉妹は本当に仲良しで、いつも幸せそうだった。でも、私にはそんな記憶はない。なぜなら、私たちの父親が、私からフランの記憶を消してしまっていたから。もう私は、こんなにも楽しそうで、楽しかった思い出を思い出すことはできない」

 

「レミリア様……」

 

 …レミリア様も悩んでいたんだ。そりゃ、誰だって驚くし戸惑うだろうな。実は兄弟姉妹がいて、お前はその記憶がないだけだったんだ! って言われても、俺だったら「はぁ?」としか言えないものな。

 不意にレミリア様が顔を上げ、俺に顔を見てきた。

 

「だから、あなたには感謝しているのよ、白滝」

 

「へ?」

 

 なん…だと…? レミリア様が俺ごときに感謝だと?

 

「あなたがいなかったら、私はフランのことをずっと知らないままで、あの子をずっと孤独にさせてしまっていたかもしれない」

 

「そんな…俺がいなくたって」

 

「いいえ、きっとあなただから見つけられたのよ。それに、たとえこの日記を見つけていても、あのままの私なら、嘘の話だとほおっておいたかもしれない。すべて、あなたがフランを見つけてくれたおかげ。……本当にありがとう」

 

 レミリア様が、そう微笑みながら俺に感謝の言葉を言った。あのレミリア様が、だ。いやー驚いたね。ほんとびっくりした。だって感謝されることなんて何一つやってないと思ってたもん。だから、うれしかったし……それだけ、レミリア様が例え記憶はなくとも、フランのことを妹として認めてくれたことがうれしかった。

 つい口元がほころんでしまったようで、レミリア様にジト目で見られた。

 

「なによ。そんなに私が感謝するのはおかしいかしら?」

 

「いや、そうじゃなくって。やっぱりレミリア様は素敵な人だなって」

 

「ほっ褒めてもなにも出さないし、あなたの辞職も取り消さないわよ!」

 

「あらー、残念」

 

「全然残念そうに聞こえないわよっ」

 

 そういってお互い少し吹き出してしまった。……なんというか、執事やめてよかったかもしれない。だって、やめなかったらずっと主従関係のままなわけで、対等に話すことなんてできないだろうから。だから今こうやって、少しだけど、俺敬語だけどっ、こうやって笑いあって話ができたことはすごくうれしかった。まぁレミリア様からしてみたら失礼極まりないかもしれないがなっ!

 

 あ、そういえば

 

「話を戻しますが、この霧はフランの為っていうのは、やっぱり姉妹そろって外を歩きたいからですか?」

 

「ええ、まぁそうね。少し恥ずかしいけど、今まで一人にさせてしまった分、なにかあの子にしてあげたいと思ったのよ」

 

「……レミリア様、優しいっすね」

 

「え、ちょ、なんで泣きだしたの!?」

 

 この姉妹愛に、全俺が泣いた! いや全米が泣いた! 全米がま泣いた! あ、RJさんとか千早さんとかミクさんすみませんでした。あ?咲夜さんだと? はんっ! 聞いて驚くなよ? こっちの咲夜、もとい十六夜さんはな、普通にあるぞ!!

 

こんな素晴らしい姉妹愛に手を貸さない人間がいようか、いやいない! たとえそれが原作と異なる結果になろうとも!

俺は涙を拭いて、ゆっくりと椅子から立ち上がった。そして、握り拳を作り、高々と宣言した。

 

 

 

「レミリア様、俺もこの作戦、協力させてください! 巫女でも魔法使いでもどんとこいですよ!!」

 

 

 

 こうして、俺は、二次創作小説で前代未聞(?)、紅霧異変を、紅魔館側として、異変解決に来るであろう霊夢や魔理沙と、敵対することとなったのだった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レミリア様とあの後も少し話をした後、俺はあのままあの部屋に住んでいいことを正式に許可を取った。レミリア様がフランのことをもう普通に紅魔館に向かい入れてしまえばよくないか? と思ったのだが、レミリア様曰く

 

「博麗の巫女を倒して、この霧を確実なものにしたうえで、感動の再会の演出というか…プレゼントにしたいじゃない」

 

 とのことだった。つまり、この紅霧異変を成功させ、それからフランと感動のご対面をしたいってことだ。まぁ確かに、博麗の巫女をかっこよく倒す姉の姿をフランに見せたら、めちゃくちゃうれしいだろうな。ということで、俺もその意見に賛同した。ので、フランに対しては……すごく申し訳ないが、このまま秘密にしておいて、現状維持なわけだ。

 

 ということで無事帰宅! レミリア様のことが解決したことによって、俺の心はだいぶん軽くなっていた。これからは思う存分フランとイチャイチャげふんげふん、フランに愛情を注げるぞい!

 

「ただいまー」

 

 俺はそういって扉を開けた。いつものようにフランが笑顔で迎えてくれる。そう思っていた。

 だが、今のこの現状は、俺の予想はるか斜め上をいっていた。

 目の前にあるのは、二体の、ウサギとクマの人形だった。

 

クマ「ふぅー、今年もいいはちみつがたくさん取れた! ありがたいありがたい」

 

うさぎ「……」

 

クマ「おや、うさぎさん。どうしたんだい、そんな暗い顔して」

 

うさぎ「……昨晩、二丁目のジョン夫妻が……オオカミの餌食に…」

 

クマ「なにっ!? あぁ…なんてこった。これで今月10件目だぞ…」

 

うさぎ「……私たちも…いつ襲われるか…」

 

 

 

 ……まさか…これって…

 今世紀もっともだれうまだと俺が思ったタグ「死ぬ間際ファミリー」じゃないか!! まさかこれがリアルで見れるとは!! 俺の知ってるのと少し違うけどほとんど同じだ! すごい! わからない人はニコ動でタグ検索してみよう!

 ってか問題はそこじゃなくて!

 

「……美鈴、なにやってんだ?」

 

「あっ白滝さん! おかえりなさい」

 

「白滝さんだ! おかえりー!」

 

「うっうん、ただいま。フラン、美鈴。それで何この状況」

 

「フラン様とお人形ごっこしてたんですよ。ね?」

 

「うん! すっごく楽しいよ!」

 

「そっか、それはよかったねフラン」

 

「えへへー」

 

 

(……美鈴、どうしてここに?)

 

(フラン様の元気になった姿が見てみたくて、つい)

 

(あー、そうか。ずっと引きこもってたからな。美鈴には協力してもらったのに、悪い)

 

(そんな! 謝らないでください! 私は、この笑顔が見れただけで十分です)

 

(ありがとう。……それで、だな。ここが紅魔館だって、もうしかしてバラしちゃったりした?)

 

(大丈夫です! なにか訳ありかと思いましたので、私はただの通りすがりの者と名乗って、何も言っていませんよ)

 

(……)

 

(あわわっ、どうして頭をなでるんですかっ)

 

(いや、ほんと美鈴いいやつだと思って)

 

(あうぅぅぅ…恥ずかしいけど…うれしいです)

 

(なにか言ったか?)

 

(いえっ!なんでも!)

 

 

「あー! お姉さん白滝さんになでなでしてもらってるー! ずるいー!」

 

「あっ、いえこれはっ!」

 

「フランもなでなでしてー!」

 

「撫でてやるからそういじけるなって……えっと、美鈴さんはなぜに俺の手を放してくれないので?」

 

「…はっ!? あわわわっついついなんです! ごめんなさい!」

 

「そんな謝らなくても」

 

「白滝さん早くー」

 

「はいはい」

 

 そうして、慌ただしくも、すごく楽しくて幸せな時間は過ぎていった。

 だが、そんな日常もあと少しだろう。もうすぐ異変が本格化し、異変解決に霊夢や魔理沙が動きだすだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 決戦は、近い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ、ちなみに、先のレミリア様の発言からわかるように、美鈴はフランのところに遊びに行って門番を何の断りもなくサボったということで、咲夜さんにこっぴどく怒られたそうな。

ごめんよ美鈴。でも来てくれてうれしかった、ありがとう。

 

 

 




お疲れ様でした! そして見てくださりありがとうございます!

やっとこさ白滝とレミリアとのいざこざが解消されました! いやーよかった
はじめプロットは、全然この二人はすれ違ったまま異変に突入し、その中で理解をする風だったんですが……俺の力が足りないせいで…っ! なんかもうめちゃくちゃになってしまいました笑
なので急きょ変更、このような感じになりました。あと少し文才があれば!
これで読者様に受け入れてもらえるか心配です笑

さて、次からは本格的に異変に突入します。
はたして白滝は、あの人類最強霊夢、破天荒盗人魔理沙を倒すことはできるのか!!
瞬殺ですねわかります。
でも紅魔館編も終盤に近づいてまいりました!

感想、誤字脱字指摘、どしどし送ってください。待ってます
それらを書いてくれる人はトーレのマイエンジェル

あ、あと報告が!
この東方一年郷が、なんとお気に入り数300人を突破しました!! いやっほおおぉ!
これも支えてくださった読者の皆様のおかげです。ありがとうございます!!

次回! なるべく早く投稿できるように頑張ります!!
ではまたお会いしましょう、グッバー!
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