正月小話part5です。
割と序盤で気づいてましたが、この話正月ほぼ関係ないですね(笑)
仕方がない、書きたかったんだから……
~注意事項~
・「東方一年郷」の世界観であり、また同作品の登場人物が出てきますが、この小話はIFストーリーです。誤解無きよう。
・本文の形式が小説型でなく「台本型」となっています。読んでいただければ分かります。抵抗のある方は、ごめんなさいです
・東方一年郷未登場のキャラが多数出ます。ですがあくまでIFなので、本編と同じキャラクター設定になるとは限りませんのであしからず。
ではどうぞ! 生暖かい目でみていってね!
第五章 ~騒動~ その二
場所は変わらず、博麗神社の一室。本に目を落とすアオイと白滝の姿。白滝は先ほどから来客の絶えないふすまの方を見ている。
白滝「さっきのは嵐のようだったな」
アオイ「いいことじゃないか。君が愛されている証拠だよ」
白滝「愛……されてるのかねぇ。心配はかけてるとは思うけど」
アオイ「……? まさか白滝、誰からのモノにも気づいてないの?」
白滝「んん? モノってなにさ?」
アオイ「いや、白滝に向かう矢印……というか、秘めたものというか」
白滝「矢印? いや、悪い。ちょっとよくわからんのだが」
アオイ「これはこれは……予想以上に鈍感だ。道理で僕の気持ちにも気づかないわけだよ」
白滝「?」
アオイ「何でもないよ。はぁ」
白滝「おいおい、自己完結しないでくれよ。こっちは何が何だか――」
その時。外から「ご主人様―!」という幼い可愛らしい声が聞こえてくる。それと同時に大きくなってくる足音。
アオイは分かっていない様子(当たり前ではあるが)だったが、白滝は誰なのか分かった様子である。
白滝「その声、響子ちゃんだn」
響子「ご主人様ぁ―!」
白滝「ぐふぁっ!」
障子をあらかじめ開けていたのが幸い(?)したのか、響子は姿を見せるなり白滝にダイブという名の抱き付きをかます。白滝は、腹部に鈍く重い衝撃を受けるが、なんとか受け止める。
響子「ご主人様ぁ! 明けましておめでとうございますぅ!」
白滝「あ……あけましておめでとう、響子ちゃん」
響子「えへへ、久しぶりの白滝さんの匂いだー。嬉しいなぁ」
白滝「そっか…命蓮寺にも全然いけてなかったからな……ごめんな」
響子「もぅ、ほんとですよ? 寂しかったんですからぁ」
白滝「ごめんごめん、今度からはもっと顔を出すようにするよ」
響子「はい、楽しみですぅ」
白滝、響子の頭を撫でる。すると、先ほどから振られっぱなしの尻尾の速度がさらに早まる。それに驚きの様子を見せたのはアオイ。
アオイ「……んと、これはどういう状況なのかな? 妙になついてる気がするんだけど」
白滝「あー、んーと、説明は難しいんだけど……」
アオイ「君、噂に聞く命蓮寺の山彦だよね?」
響子「はい!」
アオイ「白滝をご主人様って呼ぶってことは……白滝が飼い主なのかい?」
響子「そう言うわけじゃないんですけど、ご主人様はご主人様なんですぅ!」
アオイ「……白滝」
白滝「うん?」
アオイ「調教でもしたのかな?」
白滝「人聞きが悪すぎるだろ!? あとそれ言われたの二回目だよ!」
アオイ「僕も君がそんなことする人間だとは思いたくないけれど……ねぇ?」
白滝「いやまぁ、俺みたいなただの人間をここまで好いてくれるのは、俺としても驚きだけどね。俺として嬉しい限りだけど」
アオイ「みたいだね。さっきから撫でる手が止まってないから」
響子「わふぅ」
疑惑の目を向けるアオイと、なんとか誤解を解こうとする白滝。そして依然白滝に抱き付きながら気持ちよさそうに撫でられている響子という構図が出来上がっている中。不意に「白滝!」という怒号に近いような声が聞こえてきた。
声のする方、つまり外を見ると、スタッと着地する椛の姿。驚いたように白滝が声を上げる。
白滝「椛?」
椛「白滝、お前……白昼堂々女と抱き合っているとは……っ」
白滝「え? ああっ! いやぁこれはだな、その、なんというかだな」
あははーと笑ってごまかすが、誤魔化させるわけもなく椛は怒りの剣幕でどんどんと近づいてくる。
椛「言い訳無用! せっかく心配してきたというのに、お前というやつは!」
ついには部屋まで入ってきて、ぴしゃりと障子を閉めた後、ずいっとその怒り顔を白滝の顔に寄せる。白滝は何と言い訳しようかと悩んでいたが、あることに気づく。
白滝「え……心配、してくれたのか」
椛「……な、なな何を馬鹿な事を! ボクがそんな、お前を心配なんて……してない!」
白滝「ほんとに?」
椛「もっもちろんだ。ふしだらなお前の事なんか、心配してやるもんか」
白滝「……」
椛「なっ、なんだ」
白滝「……」
椛「わふ!? むっ、無言で頭を撫でるなぁ! なんなんだいきなりぃ!」
白滝「あぁいや、可愛いと思ってつい」
椛「可愛いとかいうな! あとついって何だついって! ボクはそんなことじゃだまされな――」
白滝「椛」
椛「っ。……なんだ?」
白滝「せっかく心配してくれたのに、ごめん。確かに、あんな態度してちゃ怒るのも無理ないよな」
椛「……」
白滝「でも、椛が来てくれるなんて、驚いたけど嬉しかったよ。ありがとうな」
椛「……分かればいいんだ、分かれば」
白滝「……はは、ありがとう。椛」
椛「ふんっ」
そっぽを向く椛に苦笑いしながら白滝、椛の頭を再度撫でる。そっぽを向いた表情は変わらないが、そのしっぽは正直で、ぶんぶんと横に元気に振られていた。
響子「……むー」
白滝「どうした、響子ちゃん?」
響子「そこの人ばっかりずるいですぅ。私も撫でてください」
椛「……ずるいなんてことはない。先ほどまでお前がされていただろう?」
響子「もー、私のご主人様なのにぃ!」
椛「お前のだなんて誰が決めた。白滝はお前ひとりの人間じゃない」
響子「むー!」
白滝「響子ちゃんどうどう。椛もそんなに厳しく言うなよ。俺でよかったらいくらでも撫でるからさ。むしろ俺はそっちのがうれしいし! ほら、響子ちゃん」
響子「わふっ、えへへ……」
椛「……お前がそういう態度だから…」
白滝「ん?」
椛「何でもない」
そっぽをまた向いてしまう椛。それに苦笑いを浮かべつつ、しかし尻尾は依然元気なままなので安心する白滝。そしてそのまま、椛と響子、二人の髪と犬耳の感触を味わう(椛は狼だが)。
和やかな雰囲気が流れようとしたその時、再度障子が開かれた。立っていたのは早苗である。しかし、その早苗、今の白滝の光景を見るや否や固まってしまう。
早苗「……」
白滝「おお、早苗ちゃん! 早苗ちゃんも来てくれたのか」
早苗「……」
白滝「早苗ちゃん?」
早苗「……私が」
白滝「?」
早苗「私が……あのお二人に結局つかまって、おせちを作らされている間に、何いい雰囲気作ってるんですかぁぁぁー!」
白滝「ええ!?」
早苗「そんな悪い白滝さんには、お説教です! そこになおってください! 正座!」
白滝「えっと、早苗ちゃん。一回落ち着こう? そして話を――」
早苗「せ・い・ざ!」
白滝「は、はい……」
その後、怒りの剣幕の早苗に、小一時間ほど説教を喰らった、白滝であった。
白滝「一体何だってんだ、いきなり」
アオイ「いや、あれは白滝の自業自得な気もするよ」
白滝「ええー、俺の悪いことした?」
アオイ「別に悪いわけじゃない、ちょっと目には余ったかな」
白滝「そっか……後でもう一度早苗に話しに行くか」
アオイ「そうした方が良いと思うよ」
説教が終わったのち。早苗は「今日はこれくらいにしといてあげます」とまだ怒りが収まらぬ様子で、椛と響子を無理やり連れ、部屋を後にしていた。(早苗の出番これだけ? とかいっちゃいけない)
アオイ「さてと、ちょっと外に行ってくるよ」
白滝「おお」
アオイ「すぐに戻るけど、くれぐれもこの部屋から出ないでよ。白滝がいなくなったら、捜すのは僕なんだからね」
白滝「分かってるよ。いってらっしゃい」
そう言ってアオイ退室。白滝、一人になった途端、少しの寂しさを感じる。
白滝「ふむ、こうなってみると、少し寂しいものがあるな」
?「寂しいの?」
白滝「ああ、まぁちょっと恥ずかしいけどな」
?「ふうん。私がここにいるのに寂しいの?」
白滝「いや、今はもう君とこうして話せてるから、寂しくはないよ――って君って誰だよ」
?「あはは、白滝さん自分で自分に突っ込んでる。おもしろーい」
白滝「いや、割とマジで俺誰と会話してんの?」
?「じゃーん、私でしたー」
白滝「おおう!? こいしちゃん!?」
こいし「白滝さん驚きすぎー」
白滝「しまった。またしてやられたか」
こいし「えへへー」
いきなり膝の上に現れたこいし。驚きつつも白滝はこいしの頭をポンポンとなでる。
白滝「こいしも霊夢たちに呼ばれて?」
こいし「んー、そういうわけじゃないんだけど、いつの間にか白滝さんのところにきちゃってた。なんでだろうね」
白滝「……そっか。ありがとうね」
こいし「ん? どうしてお礼なんか言うの?」
白滝「いや……何となくかな」
こいし「えー、変なのー」
白滝「はは、確かにな。こいし、さとりさん達、元気にやってるか?」
こいし「うん、元気だよ。お姉ちゃんは今、鬼さん達のお酒の相手をしてるんじゃないかなぁ」
白滝「勇儀さん達か。はは、正月早々大変そうだな、さとりさん」
ははは、と笑う白滝。こいしは不思議そうにそれを眺めていたが、つられたようにえへへと笑う。
不意に遠くから声が聞こえてくる。
?「こっちこっち! こっちに白滝さんの気配がするよ!」
?「気配って、なんなのさあんたのそれは」
?「勘!」
?「自信満々にいうことじゃないよ! まったく、間違ってたらどう責任取るんだい」
?「結婚する?」
?「その責任じゃないよ……はぁ、ここまで勝手に入っていくなんて、あの巫女に見つかったら絶対どやされるね」
そんな会話が聞こえてくる。こいしと白滝は顔を見合わせくすくすと笑いをこぼす。
こいし「あの二人も来たんだ」
白滝「あの二人も元気そうでよかったよ」
こいし「うん、元気だよ。いっつもあんな掛け合いばっかり」
白滝「仲がいい証拠だ。おーい! お燐! お空! この部屋だよー!」
お空「! 白滝さんの声だ! おーい!」
お燐「おお、合ってたんだね。お空の勘もバカにならないね」
お空「えっへん! 白滝さーん!」
障子が開く。開いた先にはお燐とお空の姿。
白滝「おー二人とも! 明けましておめでとう。わざわざ来てくれてありがとうね」
お空「あけおめ!」
お燐「こらお空。新年の挨拶なんだからもうちょっとしっかりしなさいよ。あけましておめでとう白滝さん。思ったより元気そうだね」
白滝「どういう風にみんなに伝わってたかは知らないけど……こうして元気にしてるよ」
お空「よかったー!」
お燐「あれ! こいし様、ここにいらっしゃったんですか」
こいし「あらら、見つかっちゃったー」
お空「さとり様の言う通りだー」
こいし「やっぱりお姉ちゃんにはかなわないなぁ」
お燐「そのさとり様が心配されてましたよ。急にいなくなるのは心配になりますから」
こいし「えへへー、ごめんね」
白滝「しっかし、二人とも久しぶりだな。1か月くらいか?」
お燐「だね。顔くらい見せてくれてもよかったと思うよ。さとり様も勇儀さんもパルスィさんも会いたいって言ってたし」
お空「ヤマメとキスメも言ってたよ! 白滝さんはもっと地霊殿にくるべき!」
白滝「あはは、そうだな。正月すぎて落ち着いたら、行くことにするよ」
お空「そのまま住んじゃうってのは?」
お燐「お空、無茶なこと言わないの」
お空「ええー、私、白滝さんとずっと一緒が良いなぁ」
こいし「私もお空に賛成かなー」
お燐「こいし様まで……まったくもう」
白滝「あははは。そうしたいのは山々なんだけどね」
お空「……」
白滝「お空、どうした?」
お空「白滝さん」
白滝「うん?」
お空「ぎゅー」
白滝「おふ!?」
白滝、いきなり空に抱き付かれる。その豊満な二つの山が白滝の顔を包む。
燐が顔を真っ赤にして引きはがそうとする。
お燐「なっなにやってんのさお空!」
お空「なんか白滝さん見てたらやりたくなっちゃってー」
お燐「だとしてもそんな簡単にやっていいことじゃないよ、はしたない!」
お空「ええー」
空、渋々といった感じで白滝から離れる。
燐ため息。
お燐「まったくもー、いきなり何をやりだすのやら」
お空「だって、こいし様が抱き付いてるのずるいなぁって」
こいし「えへへー、いいでしょー」
お燐「お空が抱き付くのはいろいろ問題がね」
白滝「……」
お燐「ほら、白滝さんだって困ってる」
お空「うにゅ……ごめんね白滝さん」
白滝「……」
お燐「白滝さん?」
白滝、なにやら厳しい顔をしている。不思議そうにするこいし、お空、お燐。
白滝が重々しく口を開く。
白滝「今の感触……なんだ? どこかで味わったような? いやしかし、最近の俺にそんなラッキースケベ的なものはなかった……なぜだ?」
こいし「おーい、白滝さん」
白滝「……は!」
こいし「わわ! びっくりした! もう、どうしたの白滝さん」
白滝「思い出した。思い出したんだよ!」
急な白滝の様子に驚く三人。お燐がおずおずと白滝に聞く。
お燐「思い出したってなにをさ?」
白滝「なにって……俺が今朝気絶していた原因をさ!」
白滝の発見。それは「どうして白滝は気絶していたのか」という『どうして』の部分。
果たしてその発見は、この事件を解決に向かわせるのだろうか――
最終章・第五章に続く
お疲れ様でした。そして見てくださってありがとうございます!
最終章に続く、第四章その二をお送りしました。
椛の性格迷走回。
いやぁなんかもうよくわからんくなっちゃいましたね!(笑)
あと今回の白滝、なんかたらしっぽい! 朴念仁!
さて予定では次が最終章となります。
期待をせずに待っててください!
それでは次回!