ヒトとして生きる   作:sophiar

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錬士として生きる

 黒川良也がディル=リフィーナに来た理由はわからない。目が覚めた時には血まみれで、何処とも知れぬ草原に倒れていたのだ。なんの変哲もない日本の一般人だった彼の体はその時には赤髪で赤眼で、有角で有翼な竜人と呼ぶにふさわしいものだった。目が覚めた時は何も思い出せず、自分の名前もわからず彷徨うことしかできなかった。その内に人に出会った。何日経ったかわからないがその頃には何故か角も翼もなくなっていた。名前を聞かれ、とっさに思いついた単語、クロンとプレイアからクロン・プレイアと名乗った。

 

 クロン・プレイアは人間ではない。有角有翼その上、尾に爪まである人間などいてたまるか。じゃあ、竜族? なら、それら角や翼を失う時の姿をどう説明する。半人半竜。クロンは自身をそう結論づけた。最初の自分の姿はどのコミュニティからも拒絶されたが故の血まみれだったのではないか? その後なんの迎えも来ずにユイドラまで流れてしまったのも誰も探していないのならば当然だ。この体は半人半竜。もうそれでいいじゃないか。きっとそうなのだろう。暗闇に立つクロンの後ろから声が聞こえる。未だなお答えが出ぬ問いが投げかけられ続ける。落ち着いたからなのか、ユイドラに着く少し前にこのディル=リフィーナに来る前の黒川良也の記憶を思い出した。でも、クロン・プレイアと名乗り続けた。自信がないから。問いが聞こえる。これは夢で、後ろを振り向けば目が覚めることはわかっている。ならば、振り向けばいい。なのに、体はピクリとも動かない。この体に元々の持ち主はいたのだろうか? それとも今の自分は黒川良也の記憶を持った『それ』なのだろうか? いつも心の片隅で考え続けることが頭を巡る。

 

 ___俺は誰なんだろう?___

 

 

 

「だぁーくっそ」

 

 クロンは目を覚ますと、角のない頭を掻きむしりながら立ち上がる。

 

「俺は俺。結論なんて随分前に出てるっつーの! 柄にもなく哲学したわ」

 

 陰鬱な気分を吹き飛ばすために声を張り上げると、まだ鳴り始めない目覚まし時計をきる。なんの変哲もない丸い時計に台座が付き枕元に置けるようになっているだけの簡素な目覚まし時計だが、これで八代目。今まで七機が寝ぼけた竜の一撃によって殉職した。これ以上お金をかけるわけにもいかなくなってきたので最近は触れるのにも慎重になってきた。ぐっと全身を伸び上げると今日も一日を始めるべく二階にある寝室から一階の工房へと降りていく。クロンの家は二階建ての一軒家。土地自体が広いわけではないので二階建てでも広すぎるということはないが流石に持て余している感を拭えない。現に二階にある三つの部屋の内二つは効率の悪い物置と化している。一階は三つの部屋の内二つを工房として改造し、一つはリビングとして活躍中である。昨日ウィルフレドとレグナーに手伝ってもらいシセティカ湖から大量の素材を採取したのだ。今日はそれらの加工をしなければいけない。今回は魔法糸、魔法石、木の実、蔦、キノコ、緑草に加えバギルという巨大魚のヒレや牙。クロンに立ち向かわなかったグレイハウンド達の牙や皮や爪といった素材をかなりの数集めることができた。どれも珍しいと言えるものではないが贅沢は言えない。これらでしばらくの生活費などを賄わなければいけないのだから。

 

「まあ、これでしばらく採取しないでいいわけだ。レッツ、引きこもり!」

 

 クロンは採取が苦手だった。力の加減がうまくいかない上、竜人の姿の時はどうにも好戦的になりがちなのである。攻撃されると体が勝手に反撃していることなど珍しくもない。オートカウンターと言えば聞こえはいいが、融通が効かないことこの上ない。ひどい時はオートナックルである。採掘しようとしたらツルハシが破砕、それならばと素手でやってみればなぜかクレーターになっていたり、木の実を取ろうと手を伸ばせば勝手に大炎上したりともはや苦手という表現すら生ぬるいありさまであった。事実昨日の友人二人との採取もほとんど彼は獣避け程度にしか使われなかった。ならば竜人ではない状態で戦えばいいのかもしれないが、それも特に意味はない。竜人化していない彼の身体能力は竜人の時とほとんど変わらない上、攻撃を受けたり興奮したりビックリした拍子に竜人化してしまう。それじゃあ日常生活に支障があるのではないかとよくウィルフレドやレグナーに心配されるがまったくもってその通りで、目覚まし時計に始まり沢山の物を破壊しまくり自身を破産一歩手前に追い込むほどである。

 

 そもそもクロンはディル=リフィーナに来てわずか二年。工匠になって十二ヶ月。ディルリフィーナでは一年が十四ヶ月なのでもうじき一年になる。ユイドラにくるまで大体三、四ヶ月費やした。つまり下積み期間は一年にも満たないのである。訓練学校も通わず師事もしないで工匠になったというととんでもない天才のように聞こえるが、彼が工匠になれたのにはいくつか特別な理由があった。工匠において必要とされるものはいくつかある。戦闘力、知識、工房である。無論器用さや人脈、度胸など他にも優秀な工匠になるのに必要なものはあるが、なるだけで考えればこの三つさえあれば十分なのである。戦闘力は必要以上にあり、当時、ユイドラにたどり着くまでのゴタゴタで工房を手に入れるのには十分な金はあった。残るは工匠としての知識だが、これにしても真っ当ではない。ディル=リフィーナの竜族は高度な知性と長年受け継がれた膨大な知識を持つ。それらはクロンの体にも半竜とはいえちゃんと断片的に残されているらしく、その知識を土台とすることであり得ざるショートカットを成功させた。その上工匠会は竜族を受け入れることに何らかの思惑があるらしく試験のレベルも今になって考えると低かったように思えた。当然そんなツギハギだらけのハリボテの工匠ではボロが出るのも早く、同期のレグナーが一つ上の匠士の位に昇ったのに対してやっと錬士。しかも技術が追いつかず工房存続の危機に立たされている現状である。

 

「やっぱ、錬士にならなきゃよかったかなあ」

 

 工房にて加工のための道具を引っ張り出しながら今の自体を引き起こした事件を思い起こす。匠巣として落ち着いてきたもののまだ錬士に上がるには技術が足りなく、猛勉強中の時だった。まだ組合費の半額だった上最初の貯金も残ってたので工房の運営にも生活にも勉強にもかなり余裕があった時期だ。あのころはよかったなどと思いながらも当時の自分の迂闊さに歯噛みする。

 

 

 

 

 

 匠巣に解放されている場所はシセティカ湖とエルフ領域の森だけである。それ以外の工匠会が管理している場所となると危険度、手に入る物の加工難易度などから許されていない。特に危険度の面では最初の二箇所はうってつけの場所である。出てくるのはせいぜい日本の動物を少々凶暴にしたような輩ばかりなのでこれから工匠として戦闘力は上げるのにも便利なのである。その上、この二箇所とユイドラ鉱脈の資源は駆け出しとして基本的な技術を定着させるのにふさわしいものばかりだった。

 

 クロンは同期のレグナーが匠士に上がったのを聞いても特に焦る気持ちはなかった。積み重ねてきたものが違う。差が出て当たり前、そもそもクロンはさほど工匠の階級などには興味がなかった。無論いづれは色々な素材を扱えるようにするためにある程度には上がらなければいけないのはわかっているのだが、まだまだ技術を磨く段階だった。だから、今日も今日とてシセティカ湖に踏み入っていた。未だに魔物からの素材取得率は二割を割る奇跡の効率だったが零だった頃を考えれば十分望みがある。

 

「そーと、そーと」

 

 魔物に気づかれないように注意しながら翼を畳み木の実や草花を探す。来る前に図鑑と睨めっこした上、幾度となくこなした工程。見事青いキノコを視界に収めほくそ笑む。キノコ類は加工がしやすく染料や香料に使え粘着剤にも使えたりと何かと便利なのだ。何より彼の目的には染料は不可欠とも言えるもの。

 

「いつもならこの辺で……」

 

 キノコを確保すると辺りを見渡す。竜というものは魔物から見ても目立つらしくクロンは魔物に寄ってこられやすい。流石に力の差はわかっているからか特攻してくるものは少ないが、それでも包囲されるのは気分が悪い上に数少ない蛮勇によって傷ついてしまうのは良くない。もし、特攻の拍子に戦闘のスイッチが入って暴走してしまっては目もあてられない。そんなことになれば集めた素材も高確率でなくなってしまうのだ。まだ、魔物に気づかれていないからか、なにも寄ってきていないことを把握すると次の素材を求めて視線を落としながら歩く。蔦や木の実を採取しながらも出来るだけ道の端を通る。木の実はそれぞれ違った効能がありその効果も凄まじいの一言に尽きる代物だった。なぜなら木の実を潰して液体にしたようなものでも、かつての世界の栄養ドリンクなど裸足で逃げ出すような効能なのだ。初めて飲んだ時はこの世界と元の世界のギャップに驚いたものだ。

 

「これあれば、睡眠とか休憩とか必要ないんじゃないかと本気で思ったもんなあ、必要だったけど」

 

 ユイドラにたどり着く前の放浪期間を思い出して身震いする。木の実と一緒に採った蔦はよく弓の弦に使われるらしく武器をメインに据えた工匠はよく集めている。弦に使われる『らしい』というのはクロンが武器をほとんど制作していないことに起因する。工匠の収入はかなり作成した武器の売買によるところが大きいので、その部分を完全に捨てているところも彼が資金繰りに苦労している理由である。

 

「ありゃりゃ?」

 

 翼と尾を目立たぬように丸めながらこそこそと草刈に勤しんでいると、なんとなく違和感を覚え翼を広げ立ち上がる。辺りを見渡せばまだ魔物が自分の周りに一匹たりともいない。今まではなかったことだった。その上、全身がピリピリと緊張するような次の瞬間に飛びかかるために力を蓄えているような異様な感覚をクロンは自分の体内から覚える。

 

「あぎゃあああああぁぁぁぁぁ」

 

 奥地。クロンの居る場所よりずっと奥の湖がある場所から何かに驚愕するような大声がきこえる。クロンは異常事態だとは思ったもののまるでオバケ屋敷みたいだなどと的外れの感想を抱いた。もしかしたら、誰か命の危険なのかもしれない。にもかかわらず、奥へと進む歩みは一向に速くはならない。

 

「はぁ、工匠なら自分の身ぐらい自分で守れよなあ。ましてこんなところで、チッ」

 

 不満を口に出してみるがどうにもスッキリしない。どうやら自分が気に入らないのはそこではないらしいとクロンは自分のことながらよくわからない心に舌打ちする。さっきまでの違和感も続くなか何故か重くなる体を理性で奥地へと引きずっていく。

 

「な!? そんな……」

 

 湖のある広場に無造作に入ると女性の何かに絶望するような力が抜けていく声が聞こえる。中央に視線を向けると片手を失ったのか夥しい血を流す一人の男性とその血を止めようと必死に止血し、薬を飲ませる女性が見える。しかし、何故かクロンを見て二人共顔が青ざめている。さらに一人剣を持ってこの状況の元凶と思われるものと戦う男がいる。既に満身創痍、剣を持つ逆の手は既に動いていないようだ。あれが足だったら今頃死体に変わっていただろう。

 

 体が沸き立つ……。

 

「ふむ……なんで、あんなのがこんなとこに居るのよ?」

 

 湖の前には暗い緑色をした巨大なトカゲがいた。トカゲというのはクロンの目から見た感想であり、実際は違う。全てを砕く牙に獲物を切り裂く爪、大空を駆る翼こそ無いが紛れもない竜種、リムドラ。幻獣の中でも下位の存在だが間違ってもシセティカ湖のような場所にいる存在ではないし、工匠のひよっこである匠巣にどうにかできる相手ではなかった。しかもそれが三匹。一匹は剣を持つ男に腕や尾を振るい、一匹は呑気に湖で水を飲んでいた。最後の一匹は隻腕の男と看病する女性を見つめ今にも噛み付こうという様子だった。

 

 理性が溶ける……。

 

「迷い込んだにしては多くね? 家族旅行? もしかして」

 

 吐き出した言葉に実は伴っていない。今クロンの頭を巡るのは敵をどう屠るか、その方法だけが頭を駆け巡る。

 

「ギャオ!」

 

 リムドラは目の前の男にその豪腕を振るう。

 

「邪魔だよ、あんちゃん」

 

 クロンは地を蹴る力と、飛行の推進力を合わせて男とリムドラの間に滑空すると両者の腕を掴む。そして、男を後方に放り投げると空いた手で拳を握る。

 

「純粋な竜も大したことねえなあ、おい」

 

 腕を握られ動けないリムドラにクロンは笑いかけると、顎に拳を叩き込む。常識外の推進力を一瞬で得たリムドラは湖に向けて吹き飛ぶ。水柱をあげて沈むリムドラを眺めながらまたクロンは笑った。

 

「手握ってれば離れないと思ったのに、脆いなあお前」

 

 クロンの元に残されたとめどなく血が溢れるリムドラの片腕を放り投げると他の二人を視姦しているリムドラに向けて飛びかかる。それを察知し、向かってくるクロンにリムドラは腕をカウンター気味に振るうが、クロンは慣性を無視して直角に僅かに上昇することで回避する。

 

「羨ましいか? なら一名様ごあんなーいってねえ」

 

 クロンが回避したことで外れ、勢いがなくなったリムドラの腕を掴むとクロンはリムドラを持ち上げ、縦に振り回す。そしてその遠心力を使い遥か上空に放り投げる。翼を持たぬリムドラではあとは大地に衝突するだけだろう。

 

「さてさて」 

「ガアアァァ」

 

 水を飲み終えたからか異変に気づいたからか最後の一匹がクロンに向かい今更のように威嚇する。

 

「ハハッ愉快だなお前、爆ぜろよ」

 

 握った拳が発熱しいつしか燃え上がる。それを空中からまっすぐ突き落とす。拳がリムドラに突き刺さるとその炎は瞬時にリムドラを覆い、拳の与えた推進力でその巨体は湖の反対側に飛び立つ。しかし、反対側に到達する頃には炎の中には何も残っていない。空中で炎が掻き消えるのを見届けると、クロンは空を見上げる。

 

「もうちょい、時間かかりそうだな。迎えいくか」

 

 地を蹴り、先ほど放り投げたリムドラに向けて飛び立つ。落下するリムドラの真下に位置を取ると大きく息を吸い込む。

 

 竜族の一番の武器は牙でも爪でもましてやその膂力でもない。災害にまで例えられる竜族の本懐はブレス。その一撃は地形すら変えうるほどの竜の絶対の武器だった。その一撃を空へとクロンは解き放った。

 

 竜にも属性があり、使う魔法やブレスはその属性に依存することになる。クロンの属性は炎。無限に広がり、触れるもの全てを消し去るその属性はどこまでも工匠には不釣り合いなもの。天へと昇る豪炎はリムドラを難なく消し去り果てしなく伸び上がっていく。それと同時にクロンの頭も体も急速に冷めていった。その行方を数瞬、ぼんやりと眺めていたクロンは我に返ると慌てて大地に降り立つ。

 

「戦闘になるとどうしてこう抑えがきかないんだ」

 

 さっきまでの自分のハイテンションぶりに頭を抱える。いつまでも自己嫌悪に襲われているわけにはいかない。そう思い直し、クロンは大怪我をしている男を探す。

 

「重傷なそこのあんた、掴まれ」

 

 呆然と湖を眺める三人組に近寄ると後ろを向きおんぶするような格好をする。一瞬そこまでする必要があるのかという考えがクロンの頭をよぎるが、今回は僅かにある正義感やら良心やらが勝った。しかし、

 

「ど、どこに連れて行く気だ……」

 

 男の目に怯えが走る。近くの女性の顔は最初見た時より蒼白になっており、投げ飛ばした男は信じられないものでも見たかの様にクロンに向けて目を大きく見開いていた。それとともにクロンは全身の血が冷たくなるような感じがした。だが、クロン自身リムドラの討伐、素材獲得のために戦っただけだし、特に助けたいなどと思ったわけでもない。助ける気なら最初から相手に呼びかけるべきだったろうし自分は思いのまま戦っただけだ。それに考えようによっては獲物を横取りしたとも言える。そう考えるとクロンは頭を切り替えた。

 

「どこだろうなあ? まあ、もうどこにも連れて行かないから安心しろよ」

 

 クロンは立ち上がると集めた素材とリムドラの片腕を拾い、出口に向かって歩き出す。何故だか知らないがまだピリピリした感じは収まらない。どうやらリムドラが原因ではなかったようだ。クロンは周囲を警戒しながら早くその場を離れるべく歩みを早めた。

 

 クロンが立ち去った後、茂みにて笑う紫色の髪の少女の姿があった。目の部分に縦に赤く走る線やその奇妙な格好からピエロのような印象を受ける。サーカスで使われるようなカラフルな大玉に座って大きく二股に分かれた帽子の耳のような部分をゆすりながらクロンが立ち去った方向を見つめる。

 

「面白いもの見つけちゃったなー。一緒に遊んだらきっとすっごい愉しいだろうなあ」

 

 その顔には残虐な笑みが張り付いている。そして、視線を手元にある漆黒に輝く水晶のようなものに落とす。

 

「でも、今はこの新しいおもちゃで遊んでるしまた今度にしよう」

 

 水晶を手のひらの上で転がすとまた視線をクロンの進んだ方向に戻す。

 

「だから、このおもちゃに飽きたらミレーヌと遊んでねー」

 

 そう呟くと空間がぐにゃりと歪み、少女の姿はその場から消え去る。

 

 その後、リムドラのシセティカ湖の出現はユイドラで話題となり、クロンはその討伐が認められ錬士に昇格するための試験を受ける許可を得た。

 

 

 

 

 

「つまり、技術が認められて錬士になったわけじゃないんだよなあ。試験も本来なら手に入らないリムドラの素材で得点アップしてるし」

 

 工房にて大きくため息をつくと工房の巨大な本棚から技術書を引っ張り出す。すると、錬士昇格試験に提出した腕輪とグローブを見つけてこちらも手に取り眺めてみる。腕輪はコルシノ鋼と呼ばれる鉱石を腕輪状にしてシセティカ湖の魔法石を埋め込んだものにリムドラの血液を流し込み魔法作用を起こさせたもの。まだクロン自身原理を把握しきってないがどうやら微弱ながら平衡感覚を強化できるようだ。

 

「リムドラって地震起こすらしいしその影響だと思うんだけどなあ」

 

 頭を掻きながら腕輪を元あった場所に戻す。時間があれば原理解明をしなければいけないが今は他にやることがある。グローブはリムドラの皮と爪で作られたものだけありかなり頑丈な代物だった。リムドラの皮は意外に伸縮性が強く頑丈なのでグローブにするにはもってこいの材質だった。これがもっと大量にあれば衣服も作れるかもしれないと未来に思いを馳せる。

 

 

「腕輪の魔法発現は全くの偶然だったけど計算して作りましたみたいな何食わぬ顔で出したんだよな。あれ? これってもしかしなくても錬士昇格に俺の実力全く絡んでなくね?」

 

 驚愕の事実に背筋が一瞬寒くなるが、すぐに気を取り直してて素材の加工に入る。

 

「ワタシニンゲンチガウ。コマカイコトキニシナイ、うん」

 

 クロンは魔法糸をとりだし今日もまた布を織り始める。まずは明日生きる糧のために。

 

「とりあえずの目標は全身発火しても残る服の作成かなーいつになるやら」

 

 

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