諸行有常記   作:sakeu

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第11話 お仕事探しの日の青年

ーチュンチュン

 

「うーん…今何時だ?まだ7時か…」

 

スヤー

 

「勇人さん!朝ですよ!」

「今日、部活無いから早起きしなくていいの…」

「何言ってるんですか?今日、人里に行くんですよ」

 

あぁ、そうか…だが今の優先順位は睡眠だ…もう少し夢の世界へ…

ガバッ

 

「うぉっ!寒っ!」

「はいはい、起きてください」

「んー、分かったよ…」

 

もう少し寝てもいいじゃぁ無いか。

文句言っても仕方ないので、井戸に行って水を汲む。そして、顔を洗ってやっと、目が覚める。

 

「ふぁぁ…うん…ん…」

 

少し伸びをする。俺もここに慣れてきたな…最初の頃は驚いたもんだった。電気もねぇ、水道もねぇと今まで当たり前だったものが、ここではほとんど無かったからだ。井戸で水を汲むなんて初めてだったな…

 

「朝ご飯、できましたよー」

「あぁ、今行く」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モグモグ…

 

「やっぱり、早苗は料理が上手いな」

 

本当にそう思う。俺と年は変わらなさそうなのに…俺のいた学校には頭でっかちの女ばっかりだったからなぁ…勉強はできるのだが…家庭の調理実習の時とか、こっちがヒヤヒヤする様だったからな。俺は、たまに自炊はするのでできなくは無い。てか、母さんが一人暮らしになった時にできないといけないからって、無理矢理教えられたのだが。まぁ、無駄では無いだろう。

 

「だろう?うちの早苗は家事はどれもしっかりこなすからね」

 

貴女も手伝いなさいよ…俺は手伝ってるぞ。

 

「まぁ、勇人もここにすっかり馴染んできたからね…」

「もう、勇人をおむ「そうでした!今日は勇人さんと人里にいってきます!」

 

お、おう。珍しく早苗が声を張った。てか、諏訪子様はまた、爆弾を投下しようと…

 

「うむ、なんで行こうと?」

「それはですね、神奈子様。さすがにお世話になってるだけじゃいけないので、仕事を探して働こうかと」

 

ニートはダメだよ、ニートは。

 

「はぁ、お前も意外としっかりしたんだな」

 

意外って…どういうことですか…俺、そんなにちゃらんぽらんに見えるんですか?

 

「これで、あんたたちもふう「この卵焼き貰いますよ」あ!それは私のだ!」

 

ふぅ…油断も隙もない。

格好はどうするか…普段はカッターシャツと制服のズボンで過ごしているのだが…面接に行く訳だし、学ランも着て、正装で行くべきか。

 

「そういえば、あんた、格好はどうするんだい?」

 

考えている時にその話をするとは…さすが神奈子様。分かってらっしゃる。

 

「うちは女物の服しかないからねぇ」

 

え?なんで、服借りる前提なの?ありますよ!

 

「いや、だいじょ「確かに…でも、こいつは体はそんなに大きくないからなぁ、女物でも入るだろう」

 

体が大きくない…俺にはまだ希望があるはずだ170は越して欲しい(切実)って、そうじゃない。

 

「いや、ですから俺服もって「でも、案外似合うと思いますよ、勇人さん」

 

グホッ、やめてくれ…それって、俺が女っぽいってことじゃあないか。悪意が無いから余計に…

 

「なら、ちょっと試着させてみるか…」

「大丈夫ですから!俺、服持ってますから!」

「そうか…残念だ…」

 

どうしてです、神奈子様…

 

「ちぇっ、面白そうだったのになぁ」

 

何してくれようてしてんですか…諏訪子様

 

「似合うと思うのですが…」

 

なんで、早苗までがっかりしてんの?そんなに俺の女装が見たいか?男が女装しても気持ち悪いだけだ。中学校の頃、文化祭で生徒会の出し物から男女格好を入れ替えるということになった。女性陣は問題ない(蓮子に至っては女子からきゃっきゃっ言われてたなぁ)、問題は男性陣だ。あれはひどい。むさ苦しいったらありゃしない。そして、ノリノリだった。うぅ…思い出しただけでもキモい。ん?俺ってか?ふふ、俺はオープニングの映像とエンディングのスライド作りに専念して、舞台すら立ってないぜ。あの時は危なかった…男性陣より女性陣の目が怖かった。

っと回想はここまでにして、

 

「服は準備してくれなくても大丈夫です!」

 

学ランで大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今、俺は空を飛んでる。横には早苗がいる。もう、空飛ぶのには慣れたなぁ。自転車の様だ。乗れるまでは大変だが、慣れるともう当たり前の様に乗れる。まぁ、着地は下手だし、未だに助走はいるが。

 

「あ、見えました、あそこです」

「あぁ、あれか」

 

確かに人里だ。そう、時代劇で見る様な感じだ。やはり、外界とは全然違うのか…タイムスリップした気分だ…

 

「あそこら辺に降りましょう」

「了解」

 

 

 

 

「で、とりあえず、どこに行くんだ?」

「それはですね、人里の守護者でもある慧音さんと、里の長に会いに行きましょう。多分、この時間は一緒にいらっしゃると思います」

「慧音?どんな人なんだ?」

「あぁ、そうでした。名前は上白沢慧音と言って、この村の守護者であり、ここで寺子屋を開いている先生でもあります」

「守護者って、その人強いのか?」

「えぇ、その人は半妖ですから。確か、ワーハクタクの半妖と聞いてます」

「そんな妖怪初めて聞いたな」

「中国の方に伝わる妖怪だそうです、って話してたら着きましたね」

 

確かにみんなが集まりそうな建物に着いた。

 

 

 

 

「すいませーん、ちょっと用事があるのですが」

「はい、って早苗じゃないかどうしたんだ?」

「あ!慧音さん、里長もいらっしゃいますか?」

「あぁ、いるよ、用事とは何なのかな?」

「はい、慧音さんと里長さんに紹介したい人が」

「ふむ、まぁとりあえず奥に上がってくれ」

「勇人さん、いいですって」

「おう」

 

 

 

 

 

「お前さんが早苗の紹介したい人か」

「あ、はい、名前は碓氷勇人と言います」

 

えっと、話しかけてきたのが多分、この里の長だろう。随分と年をとってる様だが長らしい思慮深さを感じる。

 

「ふむ、しっかりしている人の様だ」

「あ、ありがとうございます」

「私は上白沢慧音だ。ここで寺子屋を開いて、一応教師をしている」

 

不思議な帽子を被っていて、服は青を基調に…髪は白と青が、混ざっている…この世界の人は服装や髪の色が不思議な感じだなぁ。

あ、とりあえず、挨拶しないと。

 

「よろしくお願いします、上白沢さん」

「おいおい、そんなに固くなくていい、別に下の名前で呼んでもかまわないから」

「はぁ、では改めてよろしくお願いします、慧音さん」

「うん、よろしく頼むぞ、で、用事とは紹介だけでは無いのだろう」

「あ、はい。、実は…」

 

 

青年&少女説明中……

 

 

 

「ふむ、仕事を探しておると…じゃがのぅ、今はどの仕事も人手は足りておるからのぅ」

「そうですか…」

「お前さんは外の世界のお方じゃろう」

「えぇ、そうですが」

「生活はどうしておるのかね」

「あー、今は守谷神社に居候させて貰ってます、ですが、お世話になりっぱなしも悪いのでこうして、仕事を探してるのですが…」

「ふむ、どうかしてやりたいがのぅ」

「なら、私の寺子屋で働くか?」

「え!いいんですか?」

「うん、今は1人でやっていて、大変だからな、人手が増えるのは嬉しい。ところで君はどの様な勉学が得意かな」

「えっと…数学ですかね」

「数学?和算のことか?」

「まぁ、そういったところです」

「そうか!なら、丁度いい。是非、うちで働いてくれっとその前に一回、試験をさせてくれ」

「いいですよ」

「大丈夫ですか?勇人さん」

「安心しろ、多分解けないことは無い」

「少し問題を作るから待っていてくれ」

「分かりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どんな問題を作るのでしょうか」

「そんなに難しいのは出ないだろ、それより、やっと仕事だ!これで迷惑が少し減らせるぞ」

「だから、迷惑じゃありませんよ」

「はい、お茶ですよ」

「「ありがとうございます」」

 

里長の奥さんだろうか、お茶を出してくれた、ありがたく飲む。

 

「礼儀正しいねぇ、この子がここに来ても問題なさそうじゃが」

「いえ、大丈夫ですよ、私たち守谷神社がお世話しているので」

 

情けない話である。女の子に養われてる男なんてヒモ男じゃねぇか。やはり、仕事が見つかって良かった。

 

「おやおや、この子は早苗ちゃんの彼氏かね」

「「!?」」

「ゴホッ、ゲホッゲホッ…」

 

なんだ、このデジャヴ。何を聞いてくれるんですか、この奥様は。

 

「おう、そうじゃったな、お主らの関係を聞いておらんかったわい、で、お主らは付き合ってあるのか?」

「い、い、いやややや、まだそんな関係じゃじゃ、無いですよよ!」

 

おい!その言い方は!

 

「まだですって、じいさんや」

「ホッホッホ、若いのぅ」

 

 

 

しばらく、2人は顔真っ赤にして互いを見れなかった。

 

 

 

 

「よし、待たせたな、問題ができたぞ。って、どうしたんだ、2人とも顔が赤いぞ」

「あ、あ、だ、大丈夫です。早く問題を解きましょう!」

「…?そうだな、はい、解けたら持ってきてくれ」

「はい」

 

 

 

 

青年回答中……

 

 

 

 

 

 

「うん、できた」

「…!早いな、どれどれ…」

 

問題はそこまで難しくなく、すぐ解けたし、見直しもしてどこも問題無いはずだ。しかし、こう丸つけされるのは、なかなか緊張するんだよなぁ。もしかして、間違ってるのかも。

 

「素晴らしい、全問正解だ!」

「よしっ!」

「さすがです!勇人さん!」

「だが、この文字がよくわからんのだが…数字が合ってるからいいのだが、これは何だ?」

 

あぁ、XとYか。この世界では使われてないのか。

 

「えっと、それはですねぇ…」

 

 

 

 

青年説明中……

 

 

 

 

 

 

「なるほど、これは解きやすくなるな!是非、これも子供達に教えてやってくれ!」

「ということは…」

「あぁ、君を採用させてもらうよ、時間は追い追い伝える」

「やったー!これで仕事ができる!」

「良かったですね、勇人さん!」

「あぁ、早苗のお陰だよ!」

 

つい、興奮してしまい、早苗の手を握った。

 

「……!あ、ありがとうございます//」

「あらあら…」

「ほほう…」

「そういうことか…」

「……!?あ!ご、ごめん、つ、つい…」

「だ、大丈夫です、それより本当に良かったですね」

「あぁ」

「とりあえず、三日後からたのめるか?」

「もちろんです」

「じゃあ、用事も済んだのでこれで…」

「あぁ、これから頼むぞ、勇人君」

「よろしくお願いします、里長さん、慧音さん」

「あぁ、よろしく」

 

こうして、人里を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは帰りましょうか」

「あぁ、そうだな」

 

そういえば、この辺の地理をよく知って無いな。

 

「やっぱ、先に帰ってくれ、ちょっとやりたいことがある」

「一緒に帰った方がいいとおもいますが…」

「ごめん、どうしてもやりたいんだ」

「そうですか、遅くならないようにしてくださいね」

「安心しろ、一応銃は持ってきてる」

 

俺はできたばかりの自動拳銃をみせた。

 

「だとしても、です」

「分かった、分かった。じゃあ、後でな」

「はい、気をつけてくださいね…」

 

 

 

 

青年探索中……

 

 

 

 

「はぁー…」

 

意外と守谷神社のある山は広い。空を飛び続けると、すぐに霊力が空になるので、なるべく歩いてる。一応、銃もリロード済みだ。

「それにしても、静か過ぎるな…ま、いいか。探索はこのぐらいにして、帰るか」

 

と、帰ろうとしたら、

 

「待ちなさい」

 

と後ろから呼ばれた。




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