「待ちなさい」
後ろから声をかけられた。
何だ何だ、ここに人がいるのか?恐る恐る振り返ると…
「は?」
何の冗談だ?格好は上半身が白を基調とし、下は黒と赤を基調としたスカートを着ている。頭には頭襟と言うんだっけ?とりあえず、山伏が被っていそうなものを身につけている。ここまでなら何とか理解できる。俺が理解できないのは、頭にある耳だ。犬耳だろうか?あ、尻尾もある。酔狂なコスプレか?俺はあまりそういう人と関わりたく無い。というわけで、俺は
スタスタスタ………
「ま、待ちなさい!」
「何だ?コスプレの勧誘ならお断りだ」
「…?何を言ってるのですか?……そんなことよりここは、妖怪の山、人間は立ち入り禁止です!」
「と言われても今から帰るだけだし…」
「なら、さっさと立ち去りなさい!」
「へいへい…」
「って、どこへ行ってるんですか!?」
「だーかーら、帰ってるの!」
「だから、立ち入り禁止といっているでしょう!」
埒があかない。
「あ!あそこにも侵入者が!」
「え?本当に?」
振り返った、チャーンス!
「よし、ここに隠れれば…」
「どこにいくんですか?」
「ウェイッ!」
なんで?
「私は千里先まで見通せます。あなたがどこに行こうが丸見えです」
これまた、厄介な能力を…でも、こいつ自体は馬鹿真面目な性格のようだ。
「そうか…なら、自力で通らせてもらうぜ!」
俺は自動拳銃を片方のみ取り出し、撃った。
「きゃっ!?」
さすがに不意打ちだったろう、怯んだな、
「いくぜ!」
「….っく!」
必殺!
「逃げるんだよ〜」
「え?」
今は戦いたいという気分じゃ無い。てか、さっさと帰りたい。ので、逃げさせてもらいます。ビビりだって?戦略的撤退というやつだよ。あの星の痣をもつ血筋の人達だってそうしてただろう?
「もう、怒りました!」
後ろから気配が…振り返ると
「うわっ!」
まじか!剣を取り出したぞ!危なかった…
「もう、貴方を排除させてもらいます!」
殺る気まんまんじゃないですかーやだー。
「そうか…あまり戦いたくないが、目的の為なら戦わざるおえないな…」
俺はもう1つ銃を取り出して構えた。
「覚悟!」
「うっしゃー!バチこーい!」
「おかえり、って勇人は?」
「勇人さんは用事があるそうです」
「一緒に帰らなかったのかい?」
「はい…」
あら?早苗がご機嫌斜めだ。勇人と何かあったのだろうか?
「あいつ、仕事見つかったのか?」
「えぇ、無事見つかりましたよ」
「へぇ〜、どんな仕事かい?」
「寺子屋の先生をやるそうです」
「あいつが先生ねぇ…」
ちょっと、思いつかないな。あいつが仕事始めたらからかってみるか。
「勇人は何の用事があるんだい?」
「知りません」
「そ、そうかい…」
本当、どうしたんだ?
「諏訪子、早苗機嫌悪くないか?」
小声で神奈子が聞いてきた。
「さぁ、私にも分からない。勇人が原因かもしれないが」
あいつは何をしたんだ?
「のわっ!うわっ!」
現在、回避中である。何なの、この娘?人間ではないことは分かった。前に、早苗から妖怪の山を管理しているのは天狗っていう話を聞いた。多分、この娘は監視役かなんかだろう。妖怪の下っ端だとしても、人間の俺には十分脅威で、
「危なっ!」
防戦一方である。
「すばしっこいやつですね!これで終わりです!」
「!?」
弾幕撃ってきやがった!
「くそっ!」
もう、いい!相手が飽きるまでと思ったが、こっちの方が面倒だ。こっちからも行かせてもらう!
「ほらよ!」
パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ
牽制がてらに6発。
「!?」
ふんっ、怯んだな、隙ができた。普通の弾幕よりはるかに速く撃てるからな。
「おらぁ!」
急接近して、脇腹へ蹴りを1発。霊力も込めてある。これで脚が折れることはない。が、
ガシッ!
「なめないでください」
掴まれた!やばい!
「グググ…」
人間と妖怪じゃあ、力勝負では妖怪の方が圧倒的に有利だ。
パンッ!パンッ!
「もうそれは読み切ってます!」
カンッ!カンッ!
盾でガードされた!貫通力はあるが破壊力は無いのか。
「こうなったら!」
俺は上に飛んだ。
「え!?」
空を飛べるとは思わなかっただろう。あいつの拘束から逃れた。こっからどうするか…あの盾が邪魔だ…
「人間ごときが妖怪に勝てません!力でも知能でも!今、貴方はこの盾を外す方法でも考えているのでしょう!」
「!?」
「動揺しましたね!つまり、その通りなのでしょう」
「だ、だから何だ!」
パンッ、パンッ、パンッ、パンッ
「無駄です!」
カンッ、カンッ、カンッ、カンッ
盾でガードしたところを狙って俺は盾を蹴り飛ばそうとした。
「オラァ!」
「やはり、そうきましたか!」
スッ
「避けられた!」
「隙あり!」
ガンッ!
「うぐっ!」
盾で殴られた、かろうじて腕でガードできたが、相当痛い。霊力込めてなきゃ、折れてたな。
「…チィ!」
一旦、距離を置こう。
「戦いというのは、将棋です!一手二手読んだくらいじゃあ勝てません!相手の数手先まで読まなくては勝てません!」
「そうかい!なら、これはどうだ!」
「…っ、接近しても無駄です!近距離なら銃より剣が強いです!」
「それはどうかな?」
俺は銃のグリップに霊力を大きく込めた、そして、
ダァンッ!ダァンッ!
「きゃっ!」
装填された弾を全て1発にしてまとめて撃った。至近距離だ盾だけでは衝撃を防ぎきれまい。
「ソラァッ!」
盾を蹴り上げ、
グリップに霊力を込めリロード、スライドを引いて、
パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ
盾に向け発砲し、盾は空方へ飛んだ。
「ほらほら、どうした?」
「っく、はぁぁぁぁぁ!」
突っ込んできた!
「ヤケクソか?これでもくらえ!」
パッパッパッパッパッパッパッパッパッパンッ!
「ふん!」
カキンッ!カキンッ!カキンッ!カキンッ!
剣で弾いた!?やばい、接近された。
「ウォォォォォ!」
「っく!」
ガキンッ!
「…っ、クゥ…!」
腕にすごい衝撃が!
「せいっ!」
カキンッ、カキンッ
「しまった!」
銃を手から離された!
「これで終わりです」
「……フフ」
「何笑ってるのです!」
「あんたは、戦いは数手先読んだ方が勝ちと言ったな」
「えぇ、そうです、今こうして私が貴方が撃つことを予期し、剣でさばき、それに驚く貴方に剣で斬りつけ、銃を離させた。私が完全に読み切った上での勝ちです」
「どうやら、読み切れてないことがあるようだが?」
「無駄な、悪あがきをやめなさい。貴方の負けです」
「7、6、「聞いてるのです!?貴方の負けです!」3、2、1…」
「…0」
ヒュー…
「ん?上から…」
ガンッ!
「きゃっ!」
バタッ
「上から盾が落ちてくるのは読めなかったようだなっと、言っても気絶してるから聞こえないか」
あの妖怪は完全に気絶したようだ。まぁ、あれだけの高さから、落ちてきた盾を頭に受けて気絶で済むのは、さすが妖怪といったところか。
「どうするかなぁ…この娘」
守谷神社に、連れて行くか。ここに置いておくのも悪い。
「よいっしょと、あんまり、重くないのな」
どっから、力湧いてんだ?
俺は妖怪を背負って守谷神社に戻った。
青年&少女(気絶中)移動中……
「ただいまー」
「おぅ、おかえり、勇人ってその娘は?まさか…」
「何を考えてるかは知りませんが、違います」
「って、椛じゃないか」
「知り合いですか?」
「まぁね、どうして、椛が気絶してるのかい?」
「えっと…実は…」
青年説明中……
「ふむ、そういうことか。そうだった、天狗の方にこいつのこと伝え忘れてた」
「頼みますよ〜、諏訪子様」
「まぁ、いいじゃないか、それにしても、やはり勇人はすごいな。下っ端とはいえ、妖怪にスペルカードルールなしで勝つなんて」
「まぁ、頭で負ける気はしませんからねぇ」
「結局のところ、あんたは早苗と一緒に帰るべきだったね」
「うっ、つい山の中を探索したくて…」
「勇人さん、帰ってきたんですか…は!何で女の子を背負って…まさか、勇人さん…」
「違います」
「実はね、早苗、かくかくしかじか…」
「……やっぱり、一緒に帰った方が良かったじゃないですか!」
「悪かったって…」
助けを求め、諏訪子様を見る。
「私はちょっと天狗たちに連絡してくる」
あぁ、待ってくれぇ…
「せっかく、2人きりになったというのに…って聞いてますか!?」
「んぁ?あ、あぁ、聞いてるよ。でも、まずこの椛っていう娘を降ろさせてくれ」
「…分かりました」
「ん…うん…………はっ!」
「おっ、目覚めたか」
「…!貴方は!ってここは」
「大丈夫ですか?椛さん?」
「貴女は…早苗さん!?ということはここは守谷神社!?どいうことですか!」
「あぁ、そうだな。だけど、手を離してくれないかな?降ろせん」
「……!は、はい!」
「どこか痛むところはありませんか?」
「いえ、大丈夫です。それよりもなぜ、ここに彼が?」
「それはだな…」
青年説明中……
「それでしたら、早く言って下さいよ…」
「すまない、だが、攻撃してくるのもどうかと…」
「しょうがないです!仕事ですから!」
「分かった、分かったから。次からはかまわんだろう?」
「いいですけど、あまり天狗の領域に入らないで下さいよ…」
「善処する、それよりも自己紹介させてくれ。俺の名前は碓氷勇人だ」
「私は犬走椛です」
「そういえばあんたの『戦いは将棋です』というセリフかっこよかったぜ〜」
「……//、忘れてください!」
椛は俺の胸を、ポカポカ叩いてきた。本気ではないようだから、痛くない。出されたら困るけど。
「いや、別にその通りだと思うぜ」
「え?」
俺は、脳筋プレイより、頭脳プレイが好みだ。
「まぁ、俺の方が数手先読めてたけどな」
「うっ…次は負けません!」
「はいはい」
ふと、早苗を見ると、なんか機嫌が悪そうだ。どうしたんだ?
「早苗?体調でも悪いのか?」
「全然大丈夫です」
「本当に?」
「本当です」
「そうか、なら良かった」
「お茶持ってきます」
スタスタスタ…
本当にどうしたのだろうか?
「そこは読めないんですね…」
「……?」
「勇人〜、椛〜、ちょっと来てくれ」
「何でしょう?」
「とりあえず、行くか」
「あやややや、このお方が例の彼ですか」
「そうだよー」
外に出ると、諏訪子様と知らない少女がいた。セミロングの髪型に椛と同じ頭襟を身に付け、白い半袖シャツに、黒いフリルがついたスカートを着ている。ただ、背中に黒い翼らしきものが…こっちの方が天狗っぽいと言われれば天狗っぽいかもしれない。
「初めまして、射命丸文と言います」
「どうも、碓氷勇人です」
なぜだろうか…椛の顔が若干凍りついてる。
「椛じゃないですか、聞きましたよ〜、彼に負けたんでしょう?」
「う、うるさい!あんたには関係無いだろう!」
「はいはい、ところで勇人さんに取材をさせていただきたいのですが…」
「取材?」
「はい、私、記者をやってまして、是非勇人さんのことについて記事を!」
「俺でいいのなら、構いませんよ」
「なら、早速ですがインタビューを!」
「お、おう…」
ものすごい、スピードだ…
こうして、俺は彼女のインタビューに答えた。
「はぁ…」
何でしょうか、今日の私は…
椛さんと話してる姿を見て、何故か苛立ちを覚えました…はぁ…何でしょうかねぇ…
「早苗ー」
ビクッ!
「か、神奈子様?」
「そこまで、驚かなくてもいいじゃ無いか」
「すいません…」
「どうしたのかい?」
神奈子様に全て言ってみましょうか。
「実は…
少女説明中……
「はっはっはー!そんなことか!」
「そんなことじゃないです!」
「簡単な答えだろ?好きなんだよ」
「す、好き!?」
「違うのかい?」
どう何でしょうか…嫌いではないです。ただ、じっくり考えたことも無いので…
「分かりません」
「まだ、分からんでいいさ、いつか分かるさ」
「はぁ…」
いつか、分かるのでしょうか?
「はぁ…疲れた」
あの射命丸っていう天狗は遠慮が無いな。プライベートなことまで聞こうとするなんて、悪い奴じゃなさそうだが。明日の新聞の記事にするって言ってたな。仕事が早いことで。てか、あの天狗飛ぶスピードも半端じゃなかったなぁ。あぁ、今日はいろいろあり過ぎた、寝よう。
その新聞がまた、彼の生活を大きく変える。
これで、第1章は終了です!次の章も、是非読んでください!