諸行有常記   作:sakeu

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第12話 初陣の日の青年

「待ちなさい」

 

後ろから声をかけられた。

何だ何だ、ここに人がいるのか?恐る恐る振り返ると…

 

「は?」

 

何の冗談だ?格好は上半身が白を基調とし、下は黒と赤を基調としたスカートを着ている。頭には頭襟と言うんだっけ?とりあえず、山伏が被っていそうなものを身につけている。ここまでなら何とか理解できる。俺が理解できないのは、頭にある耳だ。犬耳だろうか?あ、尻尾もある。酔狂なコスプレか?俺はあまりそういう人と関わりたく無い。というわけで、俺は

 

スタスタスタ………

 

「ま、待ちなさい!」

「何だ?コスプレの勧誘ならお断りだ」

「…?何を言ってるのですか?……そんなことよりここは、妖怪の山、人間は立ち入り禁止です!」

「と言われても今から帰るだけだし…」

「なら、さっさと立ち去りなさい!」

「へいへい…」

「って、どこへ行ってるんですか!?」

「だーかーら、帰ってるの!」

「だから、立ち入り禁止といっているでしょう!」

 

埒があかない。

 

「あ!あそこにも侵入者が!」

「え?本当に?」

 

振り返った、チャーンス!

 

「よし、ここに隠れれば…」

「どこにいくんですか?」

「ウェイッ!」

 

なんで?

 

「私は千里先まで見通せます。あなたがどこに行こうが丸見えです」

 

これまた、厄介な能力を…でも、こいつ自体は馬鹿真面目な性格のようだ。

 

「そうか…なら、自力で通らせてもらうぜ!」

 

俺は自動拳銃を片方のみ取り出し、撃った。

 

「きゃっ!?」

 

さすがに不意打ちだったろう、怯んだな、

 

「いくぜ!」

「….っく!」

 

必殺!

 

「逃げるんだよ〜」

「え?」

 

今は戦いたいという気分じゃ無い。てか、さっさと帰りたい。ので、逃げさせてもらいます。ビビりだって?戦略的撤退というやつだよ。あの星の痣をもつ血筋の人達だってそうしてただろう?

 

「もう、怒りました!」

 

後ろから気配が…振り返ると

 

「うわっ!」

 

まじか!剣を取り出したぞ!危なかった…

 

「もう、貴方を排除させてもらいます!」

 

殺る気まんまんじゃないですかーやだー。

 

「そうか…あまり戦いたくないが、目的の為なら戦わざるおえないな…」

 

俺はもう1つ銃を取り出して構えた。

 

「覚悟!」

「うっしゃー!バチこーい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえり、って勇人は?」

「勇人さんは用事があるそうです」

「一緒に帰らなかったのかい?」

「はい…」

 

あら?早苗がご機嫌斜めだ。勇人と何かあったのだろうか?

 

「あいつ、仕事見つかったのか?」

「えぇ、無事見つかりましたよ」

「へぇ〜、どんな仕事かい?」

「寺子屋の先生をやるそうです」

「あいつが先生ねぇ…」

 

ちょっと、思いつかないな。あいつが仕事始めたらからかってみるか。

 

「勇人は何の用事があるんだい?」

「知りません」

「そ、そうかい…」

 

本当、どうしたんだ?

 

「諏訪子、早苗機嫌悪くないか?」

 

小声で神奈子が聞いてきた。

 

「さぁ、私にも分からない。勇人が原因かもしれないが」

あいつは何をしたんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「のわっ!うわっ!」

 

現在、回避中である。何なの、この娘?人間ではないことは分かった。前に、早苗から妖怪の山を管理しているのは天狗っていう話を聞いた。多分、この娘は監視役かなんかだろう。妖怪の下っ端だとしても、人間の俺には十分脅威で、

 

「危なっ!」

 

防戦一方である。

 

「すばしっこいやつですね!これで終わりです!」

「!?」

 

弾幕撃ってきやがった!

 

「くそっ!」

 

もう、いい!相手が飽きるまでと思ったが、こっちの方が面倒だ。こっちからも行かせてもらう!

 

「ほらよ!」

 

パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ

 

牽制がてらに6発。

 

「!?」

 

ふんっ、怯んだな、隙ができた。普通の弾幕よりはるかに速く撃てるからな。

「おらぁ!」

 

急接近して、脇腹へ蹴りを1発。霊力も込めてある。これで脚が折れることはない。が、

 

ガシッ!

 

「なめないでください」

 

掴まれた!やばい!

 

「グググ…」

 

人間と妖怪じゃあ、力勝負では妖怪の方が圧倒的に有利だ。

 

パンッ!パンッ!

 

「もうそれは読み切ってます!」

 

カンッ!カンッ!

 

盾でガードされた!貫通力はあるが破壊力は無いのか。

 

「こうなったら!」

 

俺は上に飛んだ。

 

「え!?」

 

空を飛べるとは思わなかっただろう。あいつの拘束から逃れた。こっからどうするか…あの盾が邪魔だ…

 

「人間ごときが妖怪に勝てません!力でも知能でも!今、貴方はこの盾を外す方法でも考えているのでしょう!」

「!?」

「動揺しましたね!つまり、その通りなのでしょう」

「だ、だから何だ!」

 

パンッ、パンッ、パンッ、パンッ

 

「無駄です!」

 

カンッ、カンッ、カンッ、カンッ

 

盾でガードしたところを狙って俺は盾を蹴り飛ばそうとした。

 

「オラァ!」

「やはり、そうきましたか!」

 

スッ

 

「避けられた!」

「隙あり!」

 

ガンッ!

 

「うぐっ!」

 

盾で殴られた、かろうじて腕でガードできたが、相当痛い。霊力込めてなきゃ、折れてたな。

 

「…チィ!」

 

一旦、距離を置こう。

 

「戦いというのは、将棋です!一手二手読んだくらいじゃあ勝てません!相手の数手先まで読まなくては勝てません!」

「そうかい!なら、これはどうだ!」

「…っ、接近しても無駄です!近距離なら銃より剣が強いです!」

「それはどうかな?」

 

俺は銃のグリップに霊力を大きく込めた、そして、

 

ダァンッ!ダァンッ!

 

「きゃっ!」

 

装填された弾を全て1発にしてまとめて撃った。至近距離だ盾だけでは衝撃を防ぎきれまい。

 

「ソラァッ!」

 

盾を蹴り上げ、

グリップに霊力を込めリロード、スライドを引いて、

 

パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ

 

盾に向け発砲し、盾は空方へ飛んだ。

 

「ほらほら、どうした?」

「っく、はぁぁぁぁぁ!」

 

突っ込んできた!

 

「ヤケクソか?これでもくらえ!」

 

パッパッパッパッパッパッパッパッパッパンッ!

 

「ふん!」

 

カキンッ!カキンッ!カキンッ!カキンッ!

 

剣で弾いた!?やばい、接近された。

 

「ウォォォォォ!」

「っく!」

 

ガキンッ!

 

「…っ、クゥ…!」

 

腕にすごい衝撃が!

 

「せいっ!」

 

カキンッ、カキンッ

 

「しまった!」

 

銃を手から離された!

 

「これで終わりです」

「……フフ」

「何笑ってるのです!」

「あんたは、戦いは数手先読んだ方が勝ちと言ったな」

「えぇ、そうです、今こうして私が貴方が撃つことを予期し、剣でさばき、それに驚く貴方に剣で斬りつけ、銃を離させた。私が完全に読み切った上での勝ちです」

「どうやら、読み切れてないことがあるようだが?」

「無駄な、悪あがきをやめなさい。貴方の負けです」

「7、6、「聞いてるのです!?貴方の負けです!」3、2、1…」

「…0」

 

ヒュー…

 

「ん?上から…」

 

ガンッ!

 

「きゃっ!」

 

バタッ

 

「上から盾が落ちてくるのは読めなかったようだなっと、言っても気絶してるから聞こえないか」

 

あの妖怪は完全に気絶したようだ。まぁ、あれだけの高さから、落ちてきた盾を頭に受けて気絶で済むのは、さすが妖怪といったところか。

 

「どうするかなぁ…この娘」

 

守谷神社に、連れて行くか。ここに置いておくのも悪い。

 

「よいっしょと、あんまり、重くないのな」

 

どっから、力湧いてんだ?

俺は妖怪を背負って守谷神社に戻った。

 

 

 

青年&少女(気絶中)移動中……

 

 

 

 

 

「ただいまー」

「おぅ、おかえり、勇人ってその娘は?まさか…」

「何を考えてるかは知りませんが、違います」

「って、椛じゃないか」

「知り合いですか?」

「まぁね、どうして、椛が気絶してるのかい?」

「えっと…実は…」

 

 

 

 

 

青年説明中……

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、そういうことか。そうだった、天狗の方にこいつのこと伝え忘れてた」

「頼みますよ〜、諏訪子様」

「まぁ、いいじゃないか、それにしても、やはり勇人はすごいな。下っ端とはいえ、妖怪にスペルカードルールなしで勝つなんて」

「まぁ、頭で負ける気はしませんからねぇ」

「結局のところ、あんたは早苗と一緒に帰るべきだったね」

「うっ、つい山の中を探索したくて…」

「勇人さん、帰ってきたんですか…は!何で女の子を背負って…まさか、勇人さん…」

「違います」

「実はね、早苗、かくかくしかじか…」

「……やっぱり、一緒に帰った方が良かったじゃないですか!」

「悪かったって…」

 

助けを求め、諏訪子様を見る。

 

「私はちょっと天狗たちに連絡してくる」

 

あぁ、待ってくれぇ…

 

「せっかく、2人きりになったというのに…って聞いてますか!?」

「んぁ?あ、あぁ、聞いてるよ。でも、まずこの椛っていう娘を降ろさせてくれ」

「…分かりました」

「ん…うん…………はっ!」

「おっ、目覚めたか」

「…!貴方は!ってここは」

「大丈夫ですか?椛さん?」

「貴女は…早苗さん!?ということはここは守谷神社!?どいうことですか!」

「あぁ、そうだな。だけど、手を離してくれないかな?降ろせん」

「……!は、はい!」

「どこか痛むところはありませんか?」

「いえ、大丈夫です。それよりもなぜ、ここに彼が?」

「それはだな…」

 

 

 

 

 

青年説明中……

 

 

 

 

 

 

 

「それでしたら、早く言って下さいよ…」

「すまない、だが、攻撃してくるのもどうかと…」

「しょうがないです!仕事ですから!」

「分かった、分かったから。次からはかまわんだろう?」

「いいですけど、あまり天狗の領域に入らないで下さいよ…」

「善処する、それよりも自己紹介させてくれ。俺の名前は碓氷勇人だ」

「私は犬走椛です」

「そういえばあんたの『戦いは将棋です』というセリフかっこよかったぜ〜」

「……//、忘れてください!」

 

椛は俺の胸を、ポカポカ叩いてきた。本気ではないようだから、痛くない。出されたら困るけど。

 

「いや、別にその通りだと思うぜ」

「え?」

 

俺は、脳筋プレイより、頭脳プレイが好みだ。

 

「まぁ、俺の方が数手先読めてたけどな」

「うっ…次は負けません!」

「はいはい」

 

ふと、早苗を見ると、なんか機嫌が悪そうだ。どうしたんだ?

 

「早苗?体調でも悪いのか?」

「全然大丈夫です」

「本当に?」

「本当です」

「そうか、なら良かった」

「お茶持ってきます」

 

スタスタスタ…

 

本当にどうしたのだろうか?

 

「そこは読めないんですね…」

「……?」

「勇人〜、椛〜、ちょっと来てくれ」

「何でしょう?」

「とりあえず、行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あやややや、このお方が例の彼ですか」

「そうだよー」

 

外に出ると、諏訪子様と知らない少女がいた。セミロングの髪型に椛と同じ頭襟を身に付け、白い半袖シャツに、黒いフリルがついたスカートを着ている。ただ、背中に黒い翼らしきものが…こっちの方が天狗っぽいと言われれば天狗っぽいかもしれない。

 

「初めまして、射命丸文と言います」

「どうも、碓氷勇人です」

 

なぜだろうか…椛の顔が若干凍りついてる。

 

「椛じゃないですか、聞きましたよ〜、彼に負けたんでしょう?」

「う、うるさい!あんたには関係無いだろう!」

「はいはい、ところで勇人さんに取材をさせていただきたいのですが…」

「取材?」

「はい、私、記者をやってまして、是非勇人さんのことについて記事を!」

「俺でいいのなら、構いませんよ」

「なら、早速ですがインタビューを!」

「お、おう…」

 

ものすごい、スピードだ…

こうして、俺は彼女のインタビューに答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…」

 

何でしょうか、今日の私は…

椛さんと話してる姿を見て、何故か苛立ちを覚えました…はぁ…何でしょうかねぇ…

 

「早苗ー」

 

ビクッ!

 

「か、神奈子様?」

「そこまで、驚かなくてもいいじゃ無いか」

「すいません…」

「どうしたのかい?」

 

神奈子様に全て言ってみましょうか。

「実は…

 

 

 

 

 

少女説明中……

 

 

 

 

 

 

 

「はっはっはー!そんなことか!」

「そんなことじゃないです!」

「簡単な答えだろ?好きなんだよ」

「す、好き!?」

「違うのかい?」

 

どう何でしょうか…嫌いではないです。ただ、じっくり考えたことも無いので…

 

「分かりません」

「まだ、分からんでいいさ、いつか分かるさ」

「はぁ…」

 

いつか、分かるのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…疲れた」

 

あの射命丸っていう天狗は遠慮が無いな。プライベートなことまで聞こうとするなんて、悪い奴じゃなさそうだが。明日の新聞の記事にするって言ってたな。仕事が早いことで。てか、あの天狗飛ぶスピードも半端じゃなかったなぁ。あぁ、今日はいろいろあり過ぎた、寝よう。

 

 

 

 

 

 

 

その新聞がまた、彼の生活を大きく変える。

 




これで、第1章は終了です!次の章も、是非読んでください!
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