諸行有常記   作:sakeu

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今回は敵側、すなわち裏側の話だと思って読むといいかもです。、


第69話 5F(高貴なる吸血鬼)の日の青年 前編

「くそッ!!まさか………このDIOがッ!!こんな無様な姿を晒すなんぞッ!!!」

「こんな所で何をされておられるのかな?」

「くっ!!……ソネか……貴様!!あのガキ共を始末しろ!!俺は体を休めて!!「ザクッ」グボァ!!?」

「何を世迷い言を。ただの実験台の癖に、よくもまぁ言えますね。負けたのに……まぁ、これで実験は終わりました。この【魔王の魂】は返してもらいますね」

「ガフッ!!ガアァァァ…………」

「………こんな骨1つでも、良いデータが採れました。後は魔王復活を行うのみ………」

 

 

 

 

「ソネ!…………何だ終わっていたのか」

「この男、人間どもと戦って随分と弱ってましたからね。『魔王の魂』は回収しました」

「決して無能ではなかったが魔王候補となると魔物達に対してのカリスマに致命的に欠けていたからな。もっとも、人間に対しては絶大なカリスマがあるようだがな。で、こいつ食ってもいいか?」

「貴女もゲテモノ好きですねぇ…………」

 

「しかし、もうじき人間が来ますよ。さっさと上に行きましょう」

「ハキムはどうした?」

「彼ならもう先に行きましたよ…………ところで貴女はやはり決めてないんですか?」

「いや…………今さっき決めた」

「そうですか…………なら、上にて発表するとしましょう」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「フンッ、ようやく来たか」

「すいませんね、少し遅くなって」

「そのぐらい我慢しろ、ハキム」

「ああ!?文句あるのか?」

「…………これだから、低知能は」

「聞こえてるぞ!」

 

「(どうして、人間であるこの源地震太郎がこの魔物達の輪に呼ばれてるんだ?は……!まさか、お、俺の強さに……!)」

 

「まぁ、まぁ、落ち着いて、早く本題に入らないと」

「あ、その聞きたい事がある……」

「なんだよ、人間が如きが」

「ヒィ……!(や、やっぱり怖い!)」

「いいじゃありませんか、ハキムさん。何か質問でも?」

「あ、あのDIOとか言う奴はあんたらのリーダーじゃなかったのか?」

「元々は人間から吸血鬼となった者です。まぁ、守護霊の様な面白い能力も持っていた様です。この『魔王の魂』を入れる事でより強大な力を得ていたのです」

「へぇ…………」

「『魔王の魂』の働きを調べるための実験台だったんですが予想以上に強くなってしまったので、リーダーに祭り上げて従うふりをしていたのです」

「(ふむふむ…………ところでなんだ?『魔王の魂』って?)」

「さて、『魔王の魂』は回収しました。次は誰に使うか、ですね」

 

「DIOの一件により、魔王にはそれ相当のカリスマが必要だ。それに、DIOは"元人間"であり、純粋な魔族じゃ無い」

「ほう……それではハキムさんは魔王になるには純粋な魔族の出身者である者が相応しいと?」

「ああ。よって吸血鬼が相応しい」

「(え?吸血鬼ってDIOもじゃん)」

 

 

「ふむ、私はハキムと反対の意見だな。私はあえて"人間"を推薦する」

「はぁ!?お前、前まで推薦する奴なんかいねぇとか言ってたじゃないか!しかも、よりによって人間だと!?馬鹿言うんじゃねぇ!」

「(人間って…………まさか俺!?)」

「私が推薦する者は真面目な奴と見ている。上に立つ者として規律を守る様な奴がいいだろう。それにそいつは誰よりも力を欲している。そんな"飢え"も必要だろう」

「俺は反対だ!」

「どうせ魔王になれば強大な力が身に備わるのだ。しかも、私の推薦する人間は只者じゃない。元が人間だとしても問題無い」

「だがな、強大な魔力を操った経験があると無いでは大違いだ」

 

「吸血鬼の上位者ともなれば権謀術数にも長けているはず」

「私は別の候補を考えてますね。他人を引っ張るには何よりも欲望がなくては」

「なら、私の推薦する人間がいいだろう」

「いえ、その人間はまだ己の欲求に忠実とまではいかないんでしょう?私の推薦する者は実はライカン(狼男)なんですが、なかなか面白い魔族でしてね」

 

「……ちょっと待てよ。なんで俺を呼んだんだ?」

「私達3人じゃ、いくら話し合っても結論が出ないんですよ。それで、ここは古代共和国の流儀にのっとり、投票で決めようかと」

「え……?それじゃあ、俺の一票で決まっちまうじゃねぇか」

「あ、それも面白くありませんね。やっぱり、個人で差をつけましょう。私は1000年以上は生きてますので1000票と言う事で」

「それなら、私は1万回殺されても死なないから1万票だな」

「そんなの言った者勝ちじゃぁねぇか!俺だってスカベラなんだから足が6本にかけて6000票は貰うぞ!」

「む!私が1番少ないじゃないですか!それにハキム、6000票では私と貴方の票をあわせてもシアンに負けてしまいますよ!そこはハッタリで6万票と言わないと」

「あの…………俺の票は?」

「「「1票」」」

「(古代共和国が滅んだのってこれじゃね?)」

 

「もう勝手にやれ!どうせなら3人とも魔王にしちまえばいいだろ!」

「「!!」」

 

「おお、それはいい意見ですね。まさしく、ナイスアイデア」

「(どこまでマジなんだ?)」

 

 

「そうと決まれば、さっさと魔王にしてしまいましょう。誰から行きます?」

「なら、吸血鬼の『ジオット』からで構わんだろう?もう、既にこの城に入ってもらっている。後は交渉のみだ」

「それではお願いします、ハキムさん」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

〜ヘブン・クラウド 5F〜

 

「やぁ、随分と待たせるんだね。詳しく話も聞かせないで…………」

と言う、彼は彫りの深い顔に、男にしては女性の様に艶やかな髪を少々長めに切り揃えている。しかし、目は赤く、肌は死人の様に白い。

 

「ああ、すまない…………」

「ところでこの服どう?」

 

と彼の着ている服は現代のスーツ一式である。

 

「これまた、奇妙な服を…………」

「スーツとネクタイとワイシャツと言うらしいね。少しこの城の外を回ってきたんだけど、その時に面白い人間がいてね、そいつから記憶を吸い取って、再構成してみたんだ」

「城の外に?なるべく騒ぎは起こしたくないのだが…………」

「その点は安心していいよ。ここら辺に住む吸血鬼と会って、その帰り道に迷っていた人間を捕まえただけだからね。彼はどうやら異世界の人だったらしくなかなか面白い話をしてくれたよ」

「それでは今もいるのか?」

「いいや、飽きたから殺したよ。それより、今日は話があるんだろ?」

「ああ。単刀直入に言う。魔王になってくれ」

「……………………」

「どうだ?」

「はぁ…………、そういうの困るんだよなぁ。吸血鬼といのはさ、何事も本気でやると馬鹿にされるわけ」

 

 

「わかる?世界征服だとか魔王だとか言いだしたらボクの個人的な評価がガタ落ちだよ」

「はぁ…………」

「だいたいね。どうしてあんた達の誰かが魔王にならないわけ?最後まで責任とりなさいよ」

「いや、それがですね…………」

 

 

〜5年前〜

 

 

「これが『魔王の魂』か」

「伝承通り存在しましたね。次はこの城を浮かばせるだけですね」

「それなら、誰が使うか決めねーと」

「それならソネだろう。1番年長だし、経験も豊富だ」

「やめてくださいよ。私は側近の立場が落ち着くんです。気楽に意見できますからね。それよりも貴女ならどうです?そもそもこの魔王の計画には貴女が1番熱心じゃないですか」

「自分が英雄ではない事は、何より私が理解している。それに私のような特異的な魔物だと魔力が増しても、魔王としての威厳が備わらないかもしれない」

「確かに、下手をすると操る虫の種類が増えるだけとかおかしな事になるかもしれませんね。じゃあ、ハキム、貴方は?」

「え?あ、いや……俺は……俺も性格的にだな……」

「ふむ……せっかく『魔王の魂』を手に入れたのにこれでは困りますね。とりあえず適当な者に使ってみてこいつの働きを確かめますか」

 

 

〜回想終了〜

 

 

「要するに、2人を差し置いて自分が魔王になる事に気が引けたと?」

「まぁ……そんな事になるな……」

「呆れた人達ですねぇ……そんな計画に乗ったら、ますます私が馬鹿みたいじゃないですか」

「……………………」

「というわけで、ボクは魔王になってあげても構いませんよ」

「え?」

「ボクは天邪鬼なんでね」

「そ、そうか…………あ、ありがとう。俺はあいつらに報告してくる」

 

 

 

 

 

 

「ジオット様。本当に魔王になられるおつもりで?」

「あの連中、どうやら全部をボクに言ってるわけじゃなさそうだ。面白いでしょ?このボクを騙すつもりなんだよ。このジオットをね」

 

「それに、色々と面白そうじゃない?厄介ごとは最高の遊びだよ…………」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

〜紅魔館〜

 

「…………」

「まだ、お考えですか。お嬢様」

「……いいえ、答えは決まってるわ」

「なのでしたら…………」

「だからこそ、考えてるのよ。なんせ、相手が悪すぎるのよ」

「『ジオット』…………ですか?」

 

 

〜半日前〜

 

「やぁ、初めまして。ボクは最近この辺に来たジオットだ」

「紅魔館の主、レミリアよ」

 

レミリアは2人の客を迎えていた。1人は同族のジオットと名乗る者。もう1人は護衛なのかただ、ジオットの近くに立つだけである。

 

「それで、ここに何の用かしら?」

「挨拶をしに来ただけさ。ところでボクの事を知ってる?」

「ええ、若手ながらも『カウンシル』の上位に立っている。かなりの評判のようね」

「嬉しいね、名が知れていて。どうだい?君も入ったら。君ならすぐに上位に入れると思うよ」

「光栄な事だけれども、生憎、そういうのには興味が無いわ」

「あら、残念。まぁ、そっちはどうでもいいんだけどね。挨拶をしに来ただけとか言ってたけど、本当は君を誘いに来たんだ」

「何にかしら?」

「今度ね、人間が来るのだけどそいつらを使って面白い事をしようと思ってるんだ。ボクの事を知っているなら『人間ドミノ』っていうの知ってよね?」

「!?」

「そう、2回目もやろうと思ってるんだ。どうだい?参加しないかい?」

「…………少し考えさせてもらえないかしら?」

「ああ。興味があるのなら是非あの空飛ぶ城に来てくれ。要件はそれだけ。じゃあね」

 

 

 

〜回想終了〜

 

「お嬢様、『ジオット』というのはどんな吸血鬼なのです?それに『カウンシル』とは?」

 

「彼は私よりも年下なのにもかかわらず、天性のカリスマを持ってるわ。それはヴァンパイア達への影響をもたらす程よ。彼自身もかなりの有能で人を見極める力は相当なモノって聞いてるわ。だから、彼の下には有能な者達ばかりと聞くわ。ただ、それと同時にさっき彼が私を誘った『人間ドミノ』という、人間を一方的に惨殺する、残虐極まりない宴を開くなどと非情で残忍かつ狂気に満ちた奴よ」

「そんな奴が…………」

「後は『カウンシル』ね。長過ぎる生に飽いた高位のヴァンパイアが貴族社会を模して暇潰し半分に立ち上げたものよ。ヴァンパイア達の階級別社会構造を表していると言える大規模な組織と言えるわね。普通なら年功序列で長く生きた者が上位に立つのだけど彼は例外的に上位に上がってるわ」

「何故幻想郷に…………」

「私には分からないわ。紫にでも聞かないと」

 

「それにあの城の事も…………」

 

夜の『ヘブン・クラウド』はより怪しく浮かんでいるのだった。

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