諸行有常記   作:sakeu

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第77話 宴楽の日の青年

 

〜あれから一週間後〜

 

光陰矢の如しーーー『ヘブン・クラウド』の件からもう一週間も経ったと言うのだからこの言葉を実感させられる。

 

ヘブン・クラウドを出てからは兎に角、死んだ様に眠った。日付感覚が狂いそうなぐらいヘブン・クラウドの中にいたのだからしょうがないと思う。

しかし、いつまでも眠っているわけにはいかないだろうと後処理を手伝おうとしたのだが慧音さんに引き止められてしまった。

 

 

「気分転換でもしてきたらどうだ?」

 

 

と言われ、その言葉通りに眠っていようと思ったのだが…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんじゃあ皆さん!!乾ぱーい!!!」

 

『乾ぱーい!!!』

 

 

この有様である。

 

別にみんなでガヤガヤするのが嫌いなのではない。事前に言ってくれればちゃんと楽しむ。しかしだな、急にスキマ送りはよろしくない。とても心臓に悪いのですよ。とか文句を垂れてもしょうがないのでここは素直に楽しもう。

 

あ、因みにじいちゃんと妖夢、早苗、鈴仙はきちんと招待されて紅魔館に来たらしい。俺もそうしてくれ…………

 

 

グラスとグラスがぶつかり、響く音。俺は何故か赤ワインを注がれていた。京谷は日本酒の様だ。未成年飲酒は………………と突っ込むのは幻想郷においては無意味なのでしない。

 

 

京谷の方の幻想郷では思った程の違いは無いらしい。みんな、賑やかで明るい幻想郷らしい雰囲気だ。

 

 

俺も俺らしくゆっくりと楽しむか…………

 

 

 

 

 

 

 

と出来たら本当に良かった。やはり、同じだと言う事では無いらしい。

 

先ずはあのシャーベットとか言う美味しそうな名前の奴は京谷から話を聞いた途端暴れ始め、ブロウとか言う喋る鳥は妖夢や早苗、鈴仙を罵倒するわと中々濃い面子であった。

 

そうそう、京谷が父だと紹介してきた人物があの『エンリコ・プッチ』でかなり驚いた。

 

しかし、これも超える衝撃だったのはこちらでは凄腕マッド薬師の永琳さんが物凄い勢いで京谷に飛びつき、簡単に躱され地面に衝突していた事だったな、うん。もうあれは衝撃的過ぎて一瞬ポカンとしてしまった。

 

さらにお酒が入ればみんなのボルテージはうなぎ登り上がっていくわけでして…………う、頭が…………

 

もう、みんな酔ってたんだ。だから、しょうがない、ね?俺を揉みくちゃにしようが殴りかかろうがお酒のせい、ね?

 

そんな最中、急に浮遊感を覚えたかと思えば

 

 

「イテッ!!」

 

「うひゃあ!!」

 

「ぐえっ!!」

 

 

例の如く、スキマにより屋上まで運ばれた様だ。妖夢が俺の上に落ちてきたので少々涙目になってしまったのはご愛嬌。

 

 

「おーい、御二人さん平気か?」

 

「な、何とか……ってあれ?これは……」

 

「痛たぁ……あれ?この感じは……」

 

 

そうです。俺の上に落ちてますよ。

 

それに気づいた妖夢はギギっと音が鳴りそうな感じで首を動かす。

 

目と目が合うーーーあー、こう言うシチュエーションってあるよな。恋愛ものだとだいたいこれか恋愛に発展するよな(錯乱

 

いつまでも妖夢は俺の上にいるわけでもなくすぐに飛び退く。

 

 

「全くよぉ……紫さん、一言言ってくれりゃあ良いのに」

 

「やっぱか……でも、何で俺たちだけ?」

 

「色々と活躍した者たち代表だったりして♪」

 

「それだとお祖父さんェ……んまぁ、紫さんが設けてくれた場所でのんびり話しますか」

 

「それも……そうですね」

 

「あら妖夢、まだ顔赤いわよ?まだ勇人の温もりが忘れられないのかしら?♪」

 

「「んなっ!!?」」

 

 

こ、この御仁は何を仰っているのか?

 

京谷は少し溜息をついた後、

 

 

「なぁお前ら」

 

「?どうしたよ京谷」

 

「何でしょうか?」

 

「どーしたのっかなぁ~?♪」

 

「……こんな事言うのも不謹慎だけどさ、楽しかったな」

 

「あぁ……あの時のか。……確かに、何か楽しいって感情しか沸き上がってこないや」

 

「楽しい……ですか。あの出来事があったのに楽しいって思えてるんですね、2人とも」

 

「それは私も同意よ。でもやっぱり京谷と一緒の方がどんな事よりも楽しい♪」

 

「それは俺も同じ気持ちさ。咲夜」

 

「きょーや……」

 

「咲夜……」

 

 

あー、はいはい、ごちそうさんごちそうさん。これ程接吻を交わすのを間近で見せられるのはそう多くあるまい。

 

「あー……御二人さん?楽しむのは良いけどよ、流石に人の目が入る場所ではしないでくれるか?」

 

「おっと、ここでヘタレ属性が出てきたぞぉ」

 

「誰がヘタレだ!?」

 

「勇人、アンタはヘタレよ。あんなに女の子に囲まれているのに1人に絞れないなんてヘタレ以外の何者でも無いわ」

 

 

し、しかし、教師である以上子供達の教育に良くない事はしてはいけなのでして…………

 

 

「どーせなら妖夢にキスしてみれば?それで吹っ切れる筈だからさ」

 

「京谷!?お、オオオおまっ!!何を言って!?」

 

「わ……私なら……その……構いませんよ?」

 

「What !?」

 

「「そーれキース!!キース!!キース!!キース!!」」

 

「お前らなぁ!!!」

 

 

ま、全くもってけしからん!そ、そんな簡単にキスなんかして言い訳がないじゃろが!

 

しかし、何故かな京谷達が笑うのを見ると自然とこちらも笑ってしまう。こう言うのも悪くないな…………

 

 

「ハハハハッ!!!はぁ……さて、お前ら」

 

「「「???」」」

 

「少しあれだがよ」

 

 

と京谷は立ち上がり、日本酒の入った杯を月に向けて腕を伸ばす。

 

 

「この1杯に誓おう。俺たちはもう仲間だ。俺たちは互いに支えあって生きていこう。辛く苦しい時も、楽しい日々も全部体験して。そして願おう、お互いの幸せを」

 

 

京谷は杯に入っていた日本酒をイッキ飲みし、夜空に向かって叫んだ。

 

 

「俺たちに幸あれ!!HAIL TO US!!」

 

 

 

 

 

こうして、終宴を迎えた。

 

今回の出来事は人知れず去っていった者たちがいる。

 

しかし、俺らは真っ直ぐにまだ見ぬ世界へと歩を進めるしかない。

 

 

 

 

 

過去よりも未来を

 

 

 




はい、今回にてコラボ企画終了でございます。

コラボしてくださった鬼の半妖さん、またここまで見てくださった方々ありがとうございました。



あ、これからも"諸行有常記"は続きます。次回もお楽しみに。
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