自分の行動を振り返って、あまりにの恥ずかしさに後悔する。
そういう経験は誰でもあるだろう。まだ、物を知らない時に悪意なく言ってしまった言葉とか酔っ払った勢いでの行動とか。
そういうのは大分経ってから突然フラッシュバックし、あまりにの恥ずかしさに悶絶するものである。
もちろん、俺にだってその様な経験はいくらでもある。大勢の目の前で転けたとか、ノリでふざけた事とか……………………文のインタビューで失言した事とか……………………
もう、不安しかねぇ。いくら機嫌がいいとはいえ、文の質問に馬鹿正直に答えるんじゃなかった…………
しかし、俺とて男だからそういうのに興味がないわけでは…………ああ、なんで言い訳をしてるんだ、俺は。
今日という日は、いい目覚めで始まり順調に進む物だと思っていたが…………そんな事はないらしい。ああ、明日の新聞が不安で仕方ない。
そんな事に絶賛後悔しながら、俺は寺子屋に到着していた。
戸を開け、部屋の中を見ればいつもは賑やかな教室がだれもいなかった。
「おや?なんでここに勇人がいるんだ?」
「うぉ!?」
後ろから急に慧音さんから声をかけられ上ずった声が出てしまった。とりあえず、落ち着いて俺は慧音さんと向かい合った。
「なんでって、今日は授業があるからですが…………」
「??天子からは外で授業があると聞いたぞ?」
「そんな事は…………」
ああ、成る程。昨日は授業をしないとか言ってたな。弾幕ごっこもやっていいんじゃないかという節の事を言ってたので、もしかしたら弾幕ごっこをしてるかもしれん。
「天子が、勝手なチルノ達を連れてどこかに行ったのでしょう」
慧音さんは、俺を見たが何も言わなかった。
「まぁ、今回は好きな事をやらせようと思ってましたし…………どこかに行ったか知ってますか?」
苦笑交じりに俺がそう言うと、
「霧の湖だそうだ。早く行ってやってくれ」
と言い、詮索もせず、苦笑交じりに言った。それに俺は会釈する事で感謝を示し、すぐさま霧の湖へと向かった。
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霧の湖に着くと、すぐにチルノ達がいるところが分かった。いくら、霧に包まれてると言えども、盛況に弾幕ごっこをしていれば嫌でも目に入る。
近づいて様子を見ると、どうやらチルノとフランがまた戦っているらしい。なんやかんやで仲がいいんだな。
と物思いに耽っていると、天子がこちらの姿確認し手招きしていた。
「遅いじゃない。とっくに始めさせてもらってるわよ」
「はぁ、確かに昨日は授業を休もうかと言ってはいたが勝手にしてもらっちゃ困る」
「細かい事はいいの。貴方だって久々なんだからうずうずしてるんじゃないの?」
「まさか。そんな戦闘狂じゃない」
と口では否定しつつ、ちゃっかり昨晩はしっかりと銃の手入れをしていたりする。
「ほんと、久しぶりねぇ。私の緋想の剣が泣いてるわ。前回はしてやられたけど、今回はそうはいかないわよ?」
「ハハ、負けても泣くなよ?」
「言っておきなさい。今までの私とは違うのよ!」
はいはい、と聞き流しつつ俺はもう一度銃の点検をした。
「「先生」」
チルノとフランがボロボロな状態で駆けつけてきた。
「私たちは終わったよ!」
「そうか。どっちが勝ったんだ?」
「私よ!」
とフランが誇らしげに言った。
「ちぇ…………今回は勝てると思ったのに…………」
「でも、惜しかったわよ?」
悔しがるチルノを天子は慰めた。すっかり、お姉さんポジを確立している。だが、天子の言うことも一理あり、フランにもダメージが及んでいるあたり、確実に強くなっていると言えるだろう。
フランの能力が脅威なのは言うまでもないが、チルノの能力だって脅威である。絶対零度まで下げられるもんなら、たまったもんじゃない。
「2人が終わったから次は私たちの番ね?」
「ああ、腕がなる」
と二丁の銃を持ち、天子と対峙する。
二丁拳銃のメリットは言うまでもなく一丁の拳銃よりも単純に2倍の速射となる事。つまりは下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる理論だ。
まぁ、実際問題としては装填時に一度片方を仕舞わないといけないとか、片手では狙いをつけにくいとか…………etc。
だがしかし!俺の自動拳銃は何も本物の弾丸を使ってはいない!俺の霊力を使っているのだ!だから、リロードはグリップに霊力を込めればいいのでいちいちしまう必要はなし。反動も軽減されるので狙いもブレにくい!(とは言っても左の命中率は悪い)
つまりはデメリットは控えめなのだ!だから、俺は二丁拳銃なのだ。まぁ、本当の理由はかっこいいからだけど。
「その飛び道具で私に勝てるかしら?」
「前回の敗北した奴が言うか、天子」
「ふふ、その余裕はいつまでもつかしら?チルノ!合図をして頂戴!」
「え?よ、よーい…………ドン!」
チルノの気が抜ける合図と共に天子は地を蹴り、こちらに近づいていた。
咄嗟に銃を構え、1発ずつ発砲する。序盤は基本様子見だろう。そう考え、控えめに撃った。
「ふんっ!」
2発の弾は真っ直ぐに天子へと高速で迫るが、天子が2発を軽くなぎ払った。
「なっ!?」
俺は思わず驚きの声を出す。弾丸が弾かれた事ではない。牽制の発砲があったのに、構わずこちらに直進してきたのだ。
すぐさま、銃を乱射するが天子は全て剣で弾いた。
「ッ!?」
今度は弾丸が弾かれた事に驚く。距離が近くなっているはずなのに超高速で進む弾丸を簡単に弾き飛ばした。
「前は私が油断したけど…………今回は貴方が油断したわね?」
俺は来るであろう攻撃に備え、腕を十字に組みガード態勢をとった。
「天符『天道是非の剣』!!」
天子は剣を上方からではなく下方から突き出し、
「うぐっ!?」
腹へと突き立て、そのまま上空へと突き上げた。
俺は上空へ飛ばされ、軽く意識が飛びかける。
「まだまだよ!地符『不譲土壌の剣』!」
と天子は声高くスペルカードを宣言する。そして、剣を地に突き刺す。
ドゴォ!
重力に従い、落ちる俺の目の前にはその落下地点が突如隆起していた。
隆起した地面にど突かれ、もう一度飛ばされる。しかし、隆起は一ヵ所ではなく、数ヵ所起こり、連続して攻撃を食らう。
「あーはっはっは!その程度かしら?」
高らかに笑う天子の声が響く。
「あー…………いってぇ…………」
「ん?まだ、立てるのね?勝負はまだまだよ?」
最初の攻撃が腹に決まって、相当痛い。一瞬息ができなかったぞ。それ以降は霊力で肉体を強化してどうにかダメージを和らげた。
しっかし…………慢心しすぎたなぁ。気をしっかり引き締めていかないと。
「よし、こちらからも行くぞ!弾痕『バレットホウル』!」
装填された弾を全て撃つ。その弾は普通の弾丸よりも遅い。
「その飛び道具の性能はもう分かってるのよ!」
と、横に避ける。しかし、弾丸はその動きについて行くように方向を変えた。
「え!?」
1つの銃につき15発、それが二丁なので計30発の弾丸全てが自動追尾弾だ。いくら、遅いと言えど比較的なので、避けるのは難しいだろう。
「きゃあ!!」
真っ直ぐにしか進まないと思っていたのか、天子はまともにガードも出来ず、弾丸を喰らう。
が、天界の桃のお陰がそれ程ダメージになっていないらしい。本当にあのドーピング桃はどんだけすごいんだよ。
「ちょっと驚いたわ。でも、やっぱり大して痛くないわね」
「そうかい、ならもう一度喰らうか?」
「嫌よ。そんな攻撃くらって喜ぶタチでもないし」
「なら、せいぜい避けるんだな」
霊力を込め、装填したところで再び引き金を引く。
「天気『緋想天促』」
すると、天子の両手から赤い弾幕が展開された。
「お前、弾幕撃てたのか?」
「あったりまえじゃない!」
ずっと、近距離で攻撃して来るもんだから出来ないかと…………
兎に角、俺は天子の弾幕を不変の空間で防御した。空間に衝突すると同時に弾幕は霧散した。
「ねぇ、貴方のその能力は何なのかしら?」
「ん?知りたいか?」
「ええ」
「教えてやってもいいけど…………勝負が終わったらな」
と全力で霊力を込め、弾丸を放つ。
それを天子は剣で弾く。う、うーん…………結構、力込めたつもりなんだが…………
「全然力が足りんな…………」
「人間が力勝負挑むのはアホだと思うけど?」
「いや…………まぁ、そうなんだけど…………」
と、ポツポツと雨が降ってきた。次第に雨脚が強くなったかと思えば、ザーッと大雨となった。
「あ!洗濯物とりこんでねぇ!」
「そんな事どうでもいいじゃない。ほら、さっさと来なさいよ!」
「どうでもいいわけないだろ!カッターシャツは2枚しかないんだぞ!?」
「あぁ!もう、うるさいわね!」
ともう一度、弾幕を放つ。それをガードする。その時、弾幕によって視界が塞がれるのだが…………視界が晴れた時には天子の姿はなかった。
どこに消えやがった…………
「…………!?」
「要石『天地開闢プレス』よッ!!」
「はぁぁぁあ!?」
なんと天子は空からどこから持って来たのか巨大な要石を抱えて落ちて来ていた。
「殺す気カァァ!!」
「ぶっつぶれなさい!!」
ドゴォォオン!
「や、やったわ…………わ、私が!」
ピシッ
「ん?」
ガゴォン!
「え!?要石が砕けた!?」
「全く…………流石にこれは死ぬかと思ったぞ」
「え!?な、なんで!?死んだはずじゃ…………」
「残念だったな。とr、ゲフンゲフン、能力を使ったのさ。ていうか、殺す気だったのか?」
本当に恐ろしい…………要石が迫った時は走馬灯のようなものが見えた。
「へへ…………やるじゃない。そうこなくっちゃ!」
と、攻撃を再開しようとする天子だが、自分の異変に気付いた。
「あ、あれ?動かない?体が動かない?これも貴方の能力?」
「イエス。俺の新しいスペルカードにしようかなと思っている技。名前はそうだなぁ…………不変『千古不易の才悩』なんてどうだ?」
不変『千古不易の才悩』ーー簡単に言えば近くの物体をその場所にあるという事象を不変化させる。そのことによって、"そこにある"という事以外の事象をさせなくする。つまりは動けなくなる。
「まぁ、後、10秒持つのがいいところだな。あとは分かるよな?どちらが先に仕留めるか。勝負だ」
「ふ、ふふ…………いいわ…………この天気の気質ならあれを出せるわ」
気質?まぁ、そんな事はいい。兎に角、精一杯の弾丸を放つだけだ。
「3…………2…………1…………今だ!」
効果が切れたと同時にありったけの霊力を銃に送り、止め処なく銃を乱射する。一方の天子は何も出来ずただ喰らうのみ。
この勝負もらった!
「はぁ…………はぁ、流石に効いただろ」
「くぅ…………やるじゃない。流石に痛いわ」
「は!?」
嘘だろ?あれだけの弾丸を…………そもそも、1つも貫通していない。
「気符『天啓気象の剣』」
剣に何かが集まり、赤く光る。
「さぁ、これで終わりよ!」
すると、その剣をそのまま投げた。人外の力で投げられた剣はまるで一筋の光の如く、俺を貫いた。
「…………ブフッ」
ま、マジかよ…………天子、俺、人間だって…………人間は…………脆いって…………言ったのはお前だろ…………
「…………あ」
腹部から止め処なく血が流れ、口からも血が漏れる。
も、もう、ダメだ…………おばあちゃん、今、行きますよ…………
バタッ
「ゆ、勇人ッ!?ご、ごめんなさい!」
「ち、チルノ!え、永遠亭はどこ!」
「え、あ、えっと…………」
「私知ってるよ!」
「ふ、フラン!なら、教えて!」
「わ、分かったわ。先生はどうしたの?倒れたけど…………」
「いいから、早く!」
「あ、ああ!どうしよう…………人間なのに…………私、ほ、本気でやるなんて…………」
「し、死んじゃ嫌よ!?」
「…………え?お、お腹の傷、塞がってる?」