依咲里からの助言で二穂はあるものを作ることに決め・・・?
後悔はしていません!!
ビスケットシリウスの中で華賀利と楓だけ登場が少ないのですが申し訳ありません・・・。
ってあれ、よく見たら雪枝もあんまりしゃべっていない・・・?
「アイディアが浮かばーーーーん!!!!」
広いビスケットシリウスのチームハウスの中に、可愛らしい声が響き渡る。
エテルノと呼ばれる五稜館学園に酷似した空間の中であるため、外の人に迷惑がかかるという心配もないのだが、声の主である少女、緋ノ宮二穂は普段から叫ぶような性格ではなかった。
声に驚いたのかチームハウスの階段をすごいスピードで二穂のいる居間に駆け下りてくる足音が聞こえてくる。
「二穂様?どうなされたのですか??」
「依咲里か・・・いや、実はだな・・・」
二穂の自慢の輝くような金髪もこころなしかぐったりとしている。
二穂の声に驚いてやってきたのは二穂の幼少のころからの召使いであり、双子の姉の灰島依咲里だった。
金髪をくるくるとドリルのようにサイドテールにまとめ、金色と青のオッドアイが特徴の少女である。
二穂は机に突っ伏した状態からむくっと顔だけ起こすとゆっくりと話し出した。
「そろそろ雪枝の誕生日であることはわかっているな?」
「もちろんでございます。2月6日ですので・・」
言いながら依咲里は壁にかかっているカレンダーを眺めた。今日は2月の3日。あと3日で雪枝の誕生日だった。
件の雪枝と呼ばれているのは、蒼井雪枝。二穂の幼馴染で親友であり、同じビスケットシリウスのメンバーだ。
二穂と雪枝は幼いころからの親友で、毎年雪枝の誕生日には、二穂がなにかしらのサプライズをするのが恒例だった。エテルノに来てからは全員でパーティーをするくらいのものになっていたが、今年は必ず何かやろうと二穂は心に決めてきたのだった。
そしてその日はあと3日というところまで迫っている。
「だが・・・肝心のアイディアが浮かばんのだ・・・!」
そう。二穂は何かをして雪枝を驚かせたいのだが、そのアイディアが浮かばなかった。
なまじ今まで盛大なお祝いをしていることもあり、どれも見劣りしてしまう。
「そんな大きなことをしなくてもきっと雪枝様なら喜んでくれると思いますが・・・?」
「うむ。そうであろう。そうであるからこそダメなのだ!雪枝は喜んでくれるとは思うが、私が納得できるところまではやるのだ!」
雪枝は優しい性格だ。二穂もそれをわかっているからこそ、そのことに甘えたくないと思っている。
「でしたら・・・あ、二穂様が何かを作るのはどうでしょう?」
今までのお祝いでたくさんのことをやってきた二穂だったが、二穂自ら手作りのものを送るということは無かった。
「手作り・・?だが雪枝は本当にそんなもので喜ぶのか?」
「当然ですわ!二穂様お手製のモノなどどんなものであってもうれしいに決まっています!想像しただけでもう・・・!」
依咲里はそう言い放つと恍惚とした表情で固まってしまった。
いつものことなので二穂はもう驚かないが、初めて見る人は普段の彼女からは想像もできない表情に驚くことは間違いないだろう。
「手作り・・・手作りか・・・そうと決まれば何を作るか考えなくてはいけないな!助かったぞ依咲里!」
「はい!お役に立てたならなによりですわ」
方針がきまった二穂はすぐに作業に取り掛かろうと、自分の部屋に戻っていった。
「な、なにを作ればいいのだ・・・」
二穂に二度目の危機が訪れていた。
手作りの何かしらをすれば良いのはわかったのだが、肝心の何を作るのかが決まらない。
これが決まらなければなにも作業することはできない。
「装飾品・・?だがあまりにもベタだ・・・」
うーんと頭を悩ませて早くも2時間が経とうとしていた。
「ええい!悩んでも答えが出ないぞ!」
半ばやけになりながら二穂は自分の携帯端末であるパトリを開いた。
そこでは同じフィフスフォースのメンバーで、アルタイルトルテというチームがアニメに出ているシーンが写されていた。
「ぐぬぬ・・・私たちも出演したとはいえ、やはり羨ましいな・・・」
アニメには二穂や雪枝も含むビスケットシリウスのメンバーも出演はしたのだが、アルタイルトルテのメンバーがやはりメインであり、それが二穂には悔しかったのだ。
「私だってメインで映りたいぞ!!」
そうしてアニメに出ているシーンから一転、今度は最近アニメ放送日に行われている、予告の映像が流れていた。
そこには、アルタイルトルテのメンバーが模されたパペット人形が話しているところが映し出されている。
「だいたい、これだってアルタイルトルテのメンバーにだけあるのは・・・」
と、そこまで言いかけたところで、ふと二穂の動きが止まる。二穂はつい先日にこの予告を雪枝とみていた時のことを思い出していた。
『ええー!二穂見てこれ!かわいいね!アルタイルトルテの人たちってすぐわかるし・・・いいよね!』
「これだあああああああ!!!!!」
2月5日の深夜、いつもなら寝室にみなが行っていてもおかしくない時間だったが、ビスケットシリウスのチームハウスだけは煌々と明かりがついていた。
皆が集まる居間で、ビスケットシリウスの5人のメンバーは一堂に会していた。
そして、2月6日へと日付が変わる。
「「「「「お誕生日おめでとう!!!」」」」」
「みんな・・・ありがとう・・・!」
黒髪を肩にかかるぐらいのショートにした可憐な少女、蒼井雪枝は、メンバーからの誕生日の祝福に涙を浮かべながら喜んでいた。
そこで依咲里が雪枝に一歩歩み寄って声をかける。
「雪枝様、まだ泣かれるのは早いですわ。本日は二穂様から素敵がプレゼントがありますの」
「えっ?!二穂そうなの?」
「う、うむ、だ、だが決して期待はするなよ?!そんな良いものではないからな?!」
二穂は照れたように頬を赤く染めながらソファーの後ろに置いてあったプレゼントを取り出す。
「うわあ!二穂ありがとう!開けてもいい?」
段ボール箱くらいの大きさで、きれいに装飾されたそれを、雪枝は器用に開いていく。
「ええっ!?これって・・!」
その箱から姿を現したのは、雪枝によく似た人形、パペット人形だった。
「いや、そのだな、本来なら我々ビスケットシリウスのメンバー全員を作りたかったのだが・・手際が悪くてな」
そういって照れくさそうに頭に手をやった二穂の右手には、何枚のも絆創膏が貼られていた。
二穂がどれだけ頑張って雪枝パペット人形を作ったのかは想像に難くないだろう。
「二穂・・・!本当にありがとう・・・!」
雪枝は大事そうにパペット人形を抱えて嬉しそうにはにかんだ。
すると、依咲里がなぜか右手を背中にしながら雪枝に話を切り出した。
「雪枝様、実は私と華賀利からもプレゼントがございますの」
「む?!聞いてないぞ!本当なのか華賀利!」
「はい♡楓様にも手伝っていただきまして、作りましたの」
そう言って答えたのは依咲里の双子の妹で銀髪をサイドテールにまとめた灰島華賀利だった。
「ちょっとてこずったけど・・面白いのができたわよ」
もう一人のメンバーで全員の姉的存在である山吹楓も楽しそうに指を立てた。
「こちらですわ!!」
ばーーーん!と効果音がつきそうなほど勢いよく右腕を前に突き出すと、そこには二穂によく似た、パペット人形が嵌められていた。
「なっ・・・!」
「えええ?!今度は二穂!?」
二穂は驚きのあまり目を見開いて固まり、雪枝は嬉しそうにそのパペット人形をまじまじと見つめていた。
「わ、私の人形なぞもらってもうれしくないだろう!?」
「そんなことないよ二穂!すごく嬉しい!!」
「嘘だ嘘だ!納得いかん!!」
突然の自分の人形の登場に混乱している二穂を置いて、雪枝はその人形をうけとると、早速右手にはめていた。
「雪枝ちゃん、実はその人形にはちょっと面白い細工をしておいたの」
「え、そうなんですか・・・?」
楓が心底楽しそうに雪枝の隣に行く。
「雪枝ちゃん、試しに、『出さないよ』って言ってから二穂の人形の中にあるボタンを押してみて?」
「ボタン・・・?あ、これですか・・・?」
雪枝は不思議そうな表情をしながらボタンを見つけ、その言葉をいう。
「え、ええーっと・・・出さないよ。」
ポチっ
『出さんのか!!!』
パペット人形から、二穂の驚いた表情の声から出てきた。
パペット人形から。
静寂。
「えええええええええ!??!」
「なんだこれわああああああ!!」
二穂と雪枝の声がまたもチームハウスに響き渡る。
これはいつかのイベント中に行われた2人の会話を抜き取った音声を、依咲里が大事に保管しておいたものを取り付けたのだ。
「なにこれ!二穂の声が聞こえる!面白いよ二穂!」
「い、依咲里・・こんなものをどこから持ってきたのだ・・・」
「二穂様の周りの情報を管理するのは、わたくしたちの大事な役割ですわ♡」
あまりのことに二穂はソファーに寄りかかり天を仰いだ。
「雪枝・・・そんなものでよいのか?」
「そんなものじゃないよ!めちゃくちゃうれしいよ!大切にするね!!」
普段はおとなしい雪枝がこんなにも興奮しているのを見て、流石に二穂も諦めて、ま、良いか・・・とひとりごちる。
『出さんのか!!』『出さんのか!!』『出さんのか!!』
「連呼させるでなああーーーい!!!やめてくれええええ!!」
二穂の絶叫がエテルノ全体に響き渡る。
こうして雪枝の誕生祭は楽しく幕を閉じたのだった。
「納得いかーーーーーん!!!」
ありがとうございました!
雪枝と二穂が二人でパペットで遊んでいるところなんか見れたら最高ですよね・・・!
雪枝がかわいくてしかたない今日この頃です。
改めまして、雪枝、誕生日おめでとう!!!