IS/MS   作:ジャスティ―☆

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大変お待たせいたしました!
遅くなりましたが13話突入です!
では本編をどうぞ!


感じた瞬間豪雨の中を駆ける

艦長室で千冬達と会談を進めている最中、机のインターフォンがなる。

ユウ艦長は席を立ち受話器を取る。

相手は艦橋のクルーからだった。

 

「艦長だ、何があった?」

 

<艦長、会談中すみません。巡回に出ていたシエラ小隊から報告があります>

 

「敵か?」

 

<いえ、気象の変化です。ひどく荒れるらしく、巡回に支障が出るため機体の保護も兼ねて帰還させています>

 

「分かった、艦のカタパルトデッキをすべて閉鎖してくれ。あと揺れによる被害対策を艦内全てに促してくれ。気象が荒れている間は巡回を中断する」

 

<了解しました>

 

受話器を定位置に戻し、千冬達の元に戻る。

気になったベネズ中佐がユウ艦長に訪ねる。

 

「艦長、どうかしましたか?」

 

「気象の変化だ。荒れるらしいから巡回に出ているシエラ小隊を帰還させている、あと揺れの被害対策を促すよう指示したところだ」

 

すると艦内のスピーカーから放送が流れる。

 

<艦内の全乗組員及び待機中のパイロット等に通達。現在、巡回している小隊からの報告で艦が浮上している海域の気象が変化したとのこと。暫く気象が荒れるため巡回は中断、全乗組員及び待機中のパイロットは揺れによる被害対策を実施せよ。また、MSに関してはすべて格納せよ。繰り返すー>

 

放送が終わると部屋の外が騒がしくなる。

全ての乗組員と待機していたパイロット達が一斉に動きだし、被害対策を始める。

MSデッキでは機体が格納され動かないよう固定される。

整備員は置かれている物品すべてを倉庫に格納したりワイヤー等で壁に固定したりする。

居住区画では手空きの人員が荷物をロッカーに押し込む等慌ただしく動いている。

 

「では念の為私は艦内を見て回ります。終わり次第艦橋にいますので」

 

「すまない、任せる」

 

ベネズ中佐はユウ艦長に敬礼をし、退室した。

それに続きバルト中佐も座っていたソファーから立ち上がる。

 

「艦長、私も失礼します。巡回がなければ、隊員を休ませます」

 

「そうしてくれ、そのうち特殊任務があるかもしれないしな」

 

「了解」

 

バルト中佐は敬礼して直ぐに退室した。

その後バルト中佐がエコーズの隊員に休みだと告げると隊員達は歓喜の声をあげたとか。

こうして艦長室に残ったのはユウ艦長とゲン、千冬達だけとなった。

 

「さて、聞いての通りだ。気象が荒れて外は危険だが・・・君達はどうする?」

 

千冬と山田先生は困ったなと溜め息をついた。

 

「出きれば今すぐに委員会に報告したいところだ。・・・すまないが送り迎えを頼めないか?」

 

彼女達はそれでも帰ろうとしていることに対しゲンは無理だと伝える。

 

「そんな無茶な、外は嵐ですよ?」

 

「タチバナ少尉のいう通りだ、それに我々は揺れによる被害対策で機体は全て格納しているので出せないんだ」

 

ゲンのスタークジェガンもすでに格納、固定されている。

艦長がモニターで外の状況を表示すると、外は豪雨に見舞われていた。

空は雷が鳴り響いていた。

 

「これじゃ雷に当たって機体はブラックアウト、最悪墜落ですね」

 

「ISにはシールドエネルギーがあるし、絶対防御というものがある。が・・・さすがにこの嵐の中を突っ切る気がしないな」

 

千冬は暫く落ち着くまでここに残るしかないかと考え込む。

そこでユウ艦長はある提案をした。

 

「我々としては、さすがにこの状況で帰れなんて鬼のような事は言わないさ。落ち着くまでこの艦にいるといい。部屋を用意するからそこで休んでくれ」

 

「助かる、また世話になる」

 

「あぁ、気にすることはない。のんびり過ごしてくれ」

 

「いいんですか艦長」

 

「大丈夫だ、対策はすでにしてある」

 

ユウ艦長はインターフォンの受話器を手にして耳に当てる。

相手は恐らくベネズ中佐だろうか?

千冬達の部屋を用意するように伝えると通話を終える。

 

「すまないが部屋を用意するのに少し時間がいる、暫くここで待っていてくれ」

 

「いえ、用意してくださるだけでもありがたいです」

 

となれば自分の役目はもうない。

ゲンは艦長室を退室することにする。

 

「艦長、自分はこれで失礼します」

 

「MSの調整か?」

 

「はい」

 

「少しは休んだらどうだタチバナ少尉?」

 

「しかし・・・」

 

「それ以上リミッターを外せば機体が耐えられない。・・・また追い付けなくなってきたのか?」

 

「はい・・・。艦長、やっぱり自分は」

 

「それでも君は人間だ、そう考えるのは良くないと言っただろう。・・・機体に関してはこちらでまた考えよう、だから君も休むんだ。いいか?」

 

「ありがとうございます、では」

 

ゲンはユウ艦長に敬礼し艦長室を退室した。

 

 

 

太平洋上空。

雲の上を一本の筋を引いて飛行している物体がいた。

その飛行物体は真っ直ぐとペガサス・コーウェンが浮上している海域へと向かっている。

その飛行物体の中で投影型のキーボードを高速で打ちながら機械を操作している者がいた。

メインモニターに表示されているのは、ハッキングしたGPSから撮影した太平洋上に浮上している巨大戦艦ペガサス・コーウェン。

兎耳を頭につけ特殊な格好をした女性は表示されているペガサス・コーウェンを真剣に見つめている。

艦の上にはISを1機消滅させたMSが何機か立っていた。

 

「ISを消滅させる程の巨人、出来たら捕獲したいなぁ。・・・・最悪の場合、破壊すれば問題ないよね?」

 

そんな彼女は笑っているが目だけは笑っていなかった。

その目が、彼女の作ったISのコアを消滅されたことによる怒りなのか、或いは今までに無い技術を前にしての喜びか恐怖の目なのか。

それを理解するものは誰もいない。

 

 

 

「ッ!?」

 

自室に戻ろうとしたゲンは何かを感じた。

これが何なのかは彼自身にもよく分からない。

だが、彼の本性がこう告げている。

・・・・何かがこっちに来ると。

ゲンはMSデッキに格納されている自分の機体へと全速力で走る。

そんなゲンを見かけた整備員が突然どうしたんだと声を書けるが彼はそれを無視して走る。

通路を歩いていたフォード隊長がゲンを見つける。

 

「ん?おいゲン、どうしたんだ?深刻な顔しながら走って、何かあったのか?」

 

「何かがこっちに来る!急がないと・・・!!」

 

ゲンはフォード隊長を避けて走り続けた。

避けられた彼はゲンの後を追いかける。

 

「おい待てゲン!お前・・・何かを感じたのか?」

 

「はい、でもこれが何なのか分からないんです!・・・はっきりわかるのは、それが近づいてきてるって事です!!」

 

「ッ!!」

 

フォード隊長は思い出した。

こんな事が前にもあった、こうなった時のゲンは・・・敵がいる事を感じた時だ。

 

「(最初は信じちゃいなかったが、これで確信した。艦長の言う通りだ、まさかゲンがニュータイプだとはな・・・)」

 

MSデッキに到着したゲンとフォード隊長。

ゲンはそのまま自分の機体に乗りスタークジェガンを起動させる。

いきなりの事で下で作業をしていた整備員が混乱していた。

 

「ゲンと俺の機体を起動する!!すまんが急いでるんだ、MSの拘束具を強制解除した後カタパルトデッキを手動で開けてくれ!!」

 

それを聞いた整備員はいう通りに動く。

機体の拘束具が強制解除される。

起動を完了したゲンとフォード隊長のスタークジェガンは武器格納庫からビームライフルを装備しそのままカタパルトデッキに向かう。

カタパルトデッキが開かれ豪雨がMSデッキに入って床を濡らす。

ゲンは機体の機能点検を終えると機体の足を電磁カタパルトに固定する。

サイドモニターが通信モードになりフォード隊長の顔が映る。

 

<突然の事なんだ、ベースジャバーは直ぐには出せない。推進材を大量に消費する覚悟はあるか?>

 

「呑気な事いってる場合じゃないですよ!このまま行きます!」

 

<だな、お前から行け!俺は後から行く、何かあったら直ぐに言えよ!>

 

「了解!!・・・ゲン・タチバナ、ノーベンバー3、行きます!!強制射出ッ!!!」

 

足のペダルを一気に踏み込み操縦悍を操作すると機体が強制射出される。

強烈なGがゲンの体を襲う。

スラスターを全開にしたスタークジェガンは飛び上がった。

それに続きフォード隊長機のスタークジェガンも強制射出、ゲンのスタークジェガンを追いかけた。

豪雨の中、2機のスタークジェガンはベースジャバーなしで雲の上まで上昇した。

徐々に艦に向かっている飛行物体と2機のスタークジェガンの距離が縮んでいく。

またしても緊迫した事態となってしまった・・・。




読んでくれてありがとうございます!
ついにISの創設者であるあの方が接近してきましたね!
評価・意見等お待ちしてます!!

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