IS/MS   作:ジャスティ―☆

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14話突入です!
本編へどうぞ!


特攻してくる野菜とMS

千冬達を部屋へ案内しようと彼女達を連れていたユウ艦長は突然鳴り響いた艦内警報に驚き通路の壁に設置されているインターフォンから受話器を取り耳に当てる。

 

「ベネズ中佐か?何があった!?」

 

<艦長!タチバナ少尉とファーミング大尉がMSを強制射出しました!その後直ぐにレーダーがこっちに向かってくる機影を捉えました>

 

ベネズ中佐の報告を聞いた途端、ユウ艦長は考え込む。

ゲンとフォード隊長がMSを強制射出。

そしてその後にレーダーでこっちに向かってくる機影を捉えた。

ゲンをよく知るユウ艦長はその答えを出した。

 

「(まさか・・・タチバナ少尉はそれを感じ取って動き出したのか?だとしたら・・・彼はニュータイプとして覚醒を始めている事になる。これで確定したな)」

 

<艦長?>

 

ベネズ中佐に呼び戻されたユウ艦長は考えるのをやめて直ぐに指示をする。

 

「第一戦闘配備だ!敵は?」

 

<数は1、艦の射程圏内に入りました!>

 

「MSは下手に出せない、タチバナ少尉とフォード大尉に任せる!艦の火器管制で対応だ!撃たれるまで撃つなよ!」

 

<了解!>

 

受話器を定位置に戻し、千冬達に向き直る。

 

「部屋に案内する前に艦橋へ向かう。すまないが君たちには同行してもらう」

 

「どういう事だ?この件でIS部隊は出さない事になっているはず・・・」

 

「敵は単機で突っ込んできているらしい、敵か味方かを君たちに確かめて貰いたい。時間がない、付いてきてくれ」

 

「分かった、行くぞ」

 

「「はいッ!!」」

 

ユウ艦長達は急いで艦橋へと走り出す。

 

 

 

太平洋上空。

雲の上に出たゲンとフォード隊長のスタークジェガン。

ベースジャバーが無い今、2機供海面に落下しないようスラスターを高出力のまま維持し辛うじて飛行している。

その為メインモニターに表示されている推進材の残量ゲージが通常よりも早く減少している。

レーダーはまだ敵を捉えていない。

しかしゲンはすぐ目の前に迫ってきている事を感じた。

 

「来た!!」

 

<どこだ?レーダーに反応はないが・・・>

 

「あれです!」

 

ゲンは操縦悍のスイッチを操作し、スタークジェガンは右手にビームライフルを装備。

銃口を向かってくる方向に向けた。

照準を手動で行い、マーキングをする。

 

<そこか!>

 

小さくて識別できなかったがそれが徐々に接近している。

やっとの事でレーダーが反応を感知し、天周囲モニターが機影をマーキングした。

照準を自動に切り替え、ズームして確認をしたゲンはその飛行物体を見て困惑した。

なぜならその飛行物体は・・・

 

「え・・・、人参?」

 

<おいゲン、俺達幻想でも見てるのか?ありゃ・・・人参だよな?>

 

「人参・・・ん?」

 

そこで気づく。

人参の頭からジェット噴射口が見えた。

形的には人参だが、どうしても挙動が・・・巡航ミサイルに見えてしまう。

 

<おいおい・・・ふざけてんのか?人参の形をしたミサイルだぁ!?>

 

ゲンはまたしても違和感を感じた。

人参の形をしたミサイルなら、なぜそこから人の気配を感じるのだろうか?

そんな事を考えていたその時、人参型のミサイルが急に方向を変えた。

方向を変えたそれは・・・明らかにゲンとフォード隊長の機体に狙いを定めていた。

 

「こいつ!?フォード隊長逃げて下さい!特攻して来ます!!」

 

<特攻!?人が乗ってるのかッ!!>

 

操縦悍を操作し、機体を急旋回。

向かってくる人参型ミサイルを避ける。

避けたはずのそれがまたこっちに向かってきた。

 

「やっぱり・・・人が乗っているのか!!」

 

すると突然ロックオン警報が鳴り響く。

人参型ミサイルから・・・ミサイルが発射されたのだ。

 

<嘘だろ!?こいつミサイルを生産しやがった!!>

 

「それ冗談にならないですよ!!攻撃を受けました、迎撃します!!」

 

接近してくるミサイルを頭部バルカンポッドで迎撃する。

迎撃されたミサイルはその場で爆発、爆煙から人参型ミサイルが出てきた。

 

<こいつ・・・しつこいな!?>

 

フォード隊長のスタークジェガンは3連装ミサイル・ポッドからミサイルを全弾発射。

放たれたミサイルは人参型ミサイルの前で爆散、散弾が飛び散る。

しかし命中することはなかった。

 

<避けやがった!?>

 

フォード隊長は空になった3連装ミサイル・ポッドを切り離さずに回避しビームライフルを撃ち込む。

ゲンは人参型ミサイルがフォード隊長に気を取られている間に後ろに回り込みミサイルを全弾発射する。

ミサイルが爆散し飛び散った散弾はやっとの事で人参型ミサイルに命中した。

操縦悍のスイッチを操作し、ビームライフルに切り替える。

ジェット噴射口から黒煙を吐いた人参型ミサイルはそのまま落下して爆発するかと思いきや・・・。

その場でミサイルが空中分解を起こし中から何かが出てきた。

出てきたのは・・・。

 

「なるほど・・・中にISが入ってたのか!!」

 

<つまりあれは移動用のオプションって事かよ・・・やられたぜ!>

 

ISの操縦者をメインカメラがはっきりと捉えていた。

彼女の目は・・・完全に獲物を捕らえる気満々の目だ。

すると突然ゲンの頭の中で声が響いた。

 

「ッ!!・・・なんだ?」

 

(こいつ、ビームを出した・・・完全に束さんの知らない技術がある!)

 

「通信?いや違う、これは・・・」

 

(機体は無理そうかなぁ・・・ビームを出す銃本体なら行ける!)

 

するとISがこっちに真っ直ぐ突っ込んできた。

狙いは・・・スタークジェガンが手にしているビームライフルだ。

 

「殺意がない?鹵獲することが目的か!!フォード隊長ッ」

 

<絶対に鹵獲されるな、最悪破壊しろ!>

 

「了解!!」

 

狙いを定めてビームライフルを発射する。

しかし相手は小さい故速すぎる為に放ったビームを避けられてしまう。

 

「落ち着け・・・動きが早いならそれに合わせて・・・」

 

照準を手動に切り替える。

 

「そこだッ!!」

 

操縦悍のトリガーを素早く引いた。

銃口から放たれたビームは敵に命中したが・・・健在だった。

 

「これがシールドエネルギーってやつか!」

 

<ゲン!一旦離れろ!!>

 

フォード隊長のスタークジェガンは頭部バルカンポッドで敵を牽制する。

ゲンは機体を敵から離す。

 

(今ッ!!)

 

「!?」

 

離れた敵から複数のワイヤーが射出され、ビームライフルに巻き付いた。

ISは小さい癖にパワーが異常で機体ごとに引っ張られてしまう。

ゲンはすぐにビームライフルを手放し頭部バルカンポッドで攻撃。

もろに弾を浴びたビームライフルはその場で爆散した。

 

(破壊されちゃった!?技術は渡さないってことかな!)

 

「さっきから何なんだ!」

 

即座に武器を切り替える。

前腕部追加装甲からビームサーベル本体が射出されそれを装備する。

本体からビームの剣が出現し構える。

 

<援護する!>

 

フォード隊長のスタークジェガンがビームライフルの銃口を敵に向けて発射しようとしたその時・・・。

 

<待てッ、戦闘を停止せよ!>

 

サイドモニターが通信モニターに切り替わりユウ艦長の顔が映しだされる。

 

「艦長!」

 

<二人とも無事のようだな、そのISを攻撃しないでくれ>

 

<艦長、我々はこのISとやらに無茶苦茶な攻撃を受けたんですが?>

 

特攻使用の人参型ミサイルにそこから放たれた複数のミサイル。

そしてISによるビームライフルの鹵獲。

殺意はなかったとしても攻撃してきた事に変わりはない。

それに相手はビームライフルを鹵獲して技術を手に入れようとした。

完全に攻撃対象だった。

 

<実はな・・・彼女はISの創設者、篠ノ野束本人で千冬の親友らしい>

 

戦闘は記録され常時ペガサス・コーウェンに送信されるよう設定されていたのでその記録を見て戦っていた相手が千冬の親友だと識別できたのだろう。

しかもその相手はこの世界に存在しているISの創設者である篠ノ野束本人。

彼女を撃ったら世界は黙っていない。

この世界では超が付くほどの最重要人物なのだから。

ちなみにフォード隊長はこの世界の知識をゲンから聞き出していた為状況をすぐに理解していた。

 

<あっぶね!?俺達危うく世界の敵になるところでしたね・・・>

 

「間一髪ってところですね・・・了解、武装を解除します」

 

ゲンとフォード隊長は操縦悍のスイッチとメインモニターを操作して武装を解除する。

機体の点検をすると推進材が残り僅かとなっている事に気づく。

 

「フォード隊長、そろそろ限界です」

 

<了解。艦長、この者はどうします?>

 

<すまないが連れてきてくれ>

 

<了解>

 

「でもフォード隊長、雲の下は嵐ですよ?」

 

雲の下は未だに豪雨で雷が鳴り響いている。

このまま彼女を飛行させるのは危険だ。

 

<ガキのころ飛び回る蝶を捕まえて手の中に包んだことないか?>

 

「あー・・・なんとなく記憶はあります。でも兎ですよ?」

 

<違いねぇ、やってみな>

 

「了解です」

 

通信設定を変えて彼女に呼び掛ける。

 

「すみません、ご同行願います」

 

<・・・キミ、何で私の動きが分かったの?>

 

「は?」

 

<私の動きが全部読まれてるように感じた、何で?>

 

なぜか彼女は物凄く不機嫌だった。

それもそうだ、彼女の欲しがっていた技術の固まりであるビームライフルが目の前で破壊されたのだから。

 

「何でって言われてもなぁ・・・」

 

すると警告音が鳴り響く。

メインモニターに目を向けると推進材が空になった事を知らせてきていた。

 

「ヤバッ!?フォード隊長!」

 

<俺もヤバイぜ!降りるぞ>

 

「了解!すみません、荒くなりますけど貴女を連行します!」

 

機体の手の平に彼女を乗せてもう片方の手で落ちないようにそっと包み込む。

 

<ちょ、何するのさ!?束さんはデリケートなんだぞ!!>

 

急にプンプン怒りだす彼女。

どう反応したらいいのか分からずゲンは苦笑い。

徐々に高度が落ちていき、機体は雲の中に突入した。

 

<んじゃ帰ろうか。ノーベンバー1、帰還する>

 

「ノーベンバー3、帰還します」

 

艦に帰還の連絡をした後、ゲンとフォード隊長のスタークジェガンは篠ノ野束を連れて艦に無事帰還した。

その後整備班からの報告で出撃した2機は推進材が完全に空になっていたらしく、よく墜落しなかったなと感心したゲンとフォード隊長は二度とあんな無茶はしないとお互いに誓ったらしい。




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