5話になります!
太平洋で始まった戦闘。
空を飛び回る女神達はペガサス・コーウェンを囲み集中攻撃。
それに抵抗し艦の上に待機していたすべてのMSが反撃、ペガサス・コーウェンも全ての武装を女神に照準を合わせ一斉射撃。
太平洋上空はビームと実弾、ミサイルなどが交錯する。
メガ粒子砲から放たれた高出力のビームが女神達の近くを横切る。
命中したのか、女神は手にしていたアサルトライフルを手放すと空中で爆散した。
<こちらデルタ1!艦の後方に敵が集中してきてる!おそらくメインスラスターを破壊する気だ!小さいし動きが早すぎて追い付かない!実弾系の武器を要請する!>
後方で迎撃をしているMSのパイロットから実弾系の武器を要請された。
ジェガンが持っているビールライフルは単発式で連射はできない。
またビームは実弾と違って素直に真っ直ぐ放たれる。
だが動きが早い相手だと攻撃などによる硬直を狙わない限り命中は難しい。
女神達は止まることなく常に飛び回っていて隙がない。
「後方の対空砲全てをメインスラスターに近づいてくる女神達に照準!ベネズ中佐」
インターフォンで会話をしていたベネズ中佐は受話器を定位置に戻し報告する。
「たった今確認が取れました。試験航行ルートにいた味方艦に渡す予定だったものがあるそうです。旧式ですがブルパップマシンガンが直ぐに出せるそうです」
ブルパップマシンガン、一年戦争でユウ・カジマがかつて乗っていたMS、RGMー79G ジム・コマンドに装備されていたマシンガンだ。
90mmの弾を連射する取り回しのいい武装だが、一年戦争時に使われた事もありかなり古い。
だが今はそんなことをいっている場合ではない、使えるものは全て使ってでも生き延びなければならない状態なのだから。
「弾はどれくらいある?」
「防衛戦が2回程行える程の量だと聞きました」
「よくそんな量がこの艦に入れたな・・・、直ぐに弾を装填して出してくれ」
「了解、・・・MSに通達!旧式の実弾兵器を出す、後方にいるMSに優先して回せ!メインスラスターを防御!足りなかったところは引き続きビームライフルによる迎撃!」
ベネズ中佐が通信オペレーターを通じてMSに指示を出す。
それぞれのカタパルトデッキからブルパップマシンガンとその弾を抱えたジェガンが出てきた。
抱えていた武器を迎撃を行っているジェガンに武器を渡していく。
それを受け取ったジェガンはビームライフルをシールドに格納し、ブルパップマシンガンを手にして即座に連射。
90mmの弾が一斉にばらまかれる。
「艦の状態はどうだ?」
「それが・・・不思議なことにほぼ無傷です。恐らく、敵が装備している武器の口径が小さすぎるからではないでしょうか?」
「・・・言われてみれば確かに、相手は人間より少し大きいくらいだ。それに対して俺たちは・・・」
「史上最大と言われている戦艦に、約20mのMSですね」
相手からみたらMSはただの巨人でしかないだろう。
正直出せるもの全てを出してまで迎撃することはないだろうと思うかもしれないが、油断はできない。
「それでも油断は禁物だ。あの小ささなら艦内に侵入されてもおかしくはない。それにMSを艦内で動かせるとしたらMSデッキくらいだ。となれば生身での白兵戦になるが、アレが相手じゃ勝ち目はないな」
「はい、戦闘中に敵を観測しておりますが、敵はIフィールドらしきものを持っているようです。ですが信じがたいことにビームだけでなく実弾を防いでいて・・・」
「俺達の知らない技術ってところだな・・・、とにかくこの艦には近づけさせるな!」
そう命令した直後、レーダーを見ていたクルーが新たな状況の変化を報告する。
「艦長!2時方向よりこちらに向かってくる機影があります!数は2、これは・・・IFFに応答あり、ノーベンバー1と3です!」
「帰ってきたか!」
偵察に出ていた2機のジェガンがやっとのことで帰ってきた。
偵察から急いで艦に急行したジェガン2機。
攻撃を受けているペガサス・コーウェンを見たゲン・タチバナは焦り始める。
「フォード隊長!艦が・・・!」
<分かっている、こちらノーベンバー1!たった今合流した!>
通信モニターに艦長であるユウ・カジマの顔が映る。
その顔はどこか安心したような感じだった。
<ユウ・カジマだ、よく戻ってきてくれた!状況は見ての通りだ。だが攻撃を受けているものの艦は無傷だ>
「無傷?集中攻撃を受けているのにですか?」
<あぁ、どうやら敵は持っている武装の口径が小さいようだ。おそらくだが、MS戦闘を想定したものじゃないことが考えられる>
<それじゃ俺達の出番はなさそうですね>
フォード隊長が残念といった感じでやれやれと言う。
「ですが油断はできませんよフォード隊長、もし艦に入られでもしたら・・・」
<タチバナ少尉の言うとおりだ、艦でMSを動かせるとしたらMSデッキだけに制限される。相手はあの小ささだ、容易く艦内に侵入される可能性が大きい。それに生身で戦えるような相手じゃない。・・・ともかく、直ぐに迎撃に当たってくれ!>
<そうなったらヤバイですな、了解!ノーベンバー1、迎撃する!>
フォード隊長機のジェガンが敵に向かって突撃を開始した。
「ノーベンバー3、迎撃します!」
サイドモニターを操作し、通信モードから武装表示に切り替える。
ビームライフルを再度装備したのを確認し、足のペダルを踏み込む。
スラスターの出力が上がり、敵との距離が一気に縮む。
前方の敵がこっちに気づき、艦に向けていたアサルトライフルをこっちに向ける。
「遅い!!」
操縦悍の発射トリガーを押す。
ジェガンが手にしているビームライフルの銃口からビームが放たれ、敵に命中した。
だが・・・
「なッ・・・ビームが弾かれた!?」
敵は防御する素振りを見せずビームを受け止めた。
まるで見えない壁に守られているかのような感じ。
ゲン・タチバナはひとつの可能性を考えた。
「Iフィールドか!・・・ならッ!!」
操縦悍のスイッチを操作し、武装を切り替える。
シールド内蔵の2連式ミサイルランチャーを発射。
再び武装を切り替え、頭部バルカンポッドが作動する。
ミサイルが敵に命中したのを確認し、発射トリガーを引く。
ジェガンの頭部に装着されているバルカンポッドが火を噴いた。
発射された弾は全て敵に命中する。
「どうだ・・・?」
しかし敵はまだ健在していた。
直撃はしていなかったようだが、何かとボロボロになっているのが確認できた。
すると敵は手にしていたアサルトライフルを投げ捨てた。
暫くするとアサルトライフルは空中で爆散した。
どうやらアサルトライフルに弾が命中したようだ。
「MSより小さいのに何て防御力だ・・・!」
敵が急に上昇すると、どこから出したのか不明だが手にブレードが握られる。
なんと相手は20.4mもあるこのジェガンに格闘戦で挑もうとしているのだ。
一瞬何かを感じ取ったゲン・タチバナは直ぐに反応してジェガンが左腕に装備しているシールドで防御態勢をとる。
「あいつ・・・頭かコックピットを狙う気か・・・!」
人は巨大な敵と遭遇すればどこを攻撃すればよいか、弱点はどこかを即座に考える。
巨大な敵が人型だとしよう。
巨大な敵が生物なら心臓などの急所を狙えば一撃だ。
なら機械なら?
頭と考えるのが普通かもしれない。
ロボットは大抵重要なものが頭部につまれていることが多い。
その頭部を破壊されるなどして失われれば機能することはできない。
つまり敵は・・・この考えで来るのかも知れない。
だがそれとは別に、ゲン・タチバナは何かを感じていた。
これが殺気なのかは分からない、だが敵はコックピットを狙っているような気がしているのだ。
敵は真っ直ぐこっちに突っ込んでくる。
手にしているブレードを大きく振り上げ・・・そして振り下ろす。
ブレードは盾にしていたシールドに当たり弾かれる。
その衝撃がコックピットまでに伝わってきた。
「何なんだこれ!?小さいのに一撃が重い!!」
下手すればいずれやられそうな感じがした。
だがそんな小さなブレードでチタン合金セラミック複合材を切り裂くことはできるのか?
いや、できないはずだ。
何せそのブレード自体が小さすぎるからだ。
しかし切れはしないがその一撃が重く、衝撃が強い。
いわば打撃武器だ。
何回も打撃を食らえば衝撃でMSの機能が故障する可能性がある。
ならやられる前に墜とすしかない。
小さい相手に対して容赦ないとは思うが、これも今後生きていく為だ。
「・・・・悪く思うなよ!」
操縦悍のスイッチを操作し、武器をビームサーベルに切り替える。
それを見た相手の表情がカメラ越しでよく見えた。
あれは完全に怯えている顔だ。
何せ巨大な敵が巨大な剣を出してきたのだ。
しかもジェガンが手にしているものは実体剣ではなくビームの剣。
MSなら切られたように見えるが実際は熔かして切断、人間なら確実に焼き消される。
それも骨すら残さずに。
「戦場では・・・死ぬか生き残るかの2択なんだよ!!」
足のペダルを踏み込みスラスターの出力を全開にする。
ジェガンは速度を増して敵に急接近。
操縦悍を操作するゲン・タチバナ。
ジェガンは振り上げたビームサーベルを・・・・敵に振り下ろした。
敵の断末魔の叫びが一瞬だけ聞こえた気がした。
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