fateの世界で頑張る俺   作:AKIRA@お豆腐メンタル

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はい、今回は番外編……の予定だったのですがほとんど本編になってしまった。
何を言っているのか(ry
時間帯としては、今現在の本編の次の週の土曜日頃でしょうか……今回は番外編って事で軽く流す予定だったのに……
本編は次の週の土曜まで行ってませんがそこには触れないでくだせぇ…

そして、今回は賛否両論の回となってしまう……
こんなの美綴じゃねぇよと思う方もいるかと思いますが、作者の妄想として軽く流して欲しいです。
そんなのはどうしても無理だ。って人は見なくても大丈夫だと思います……

眠たい中、勢いで書いたのでおかしな表現があるかもです。あまり気にしないで欲しいです…

大分あとの方が番外編になるかと思います。
お気に入り登録数が100件を越えたのでそれを記念して作ってみました。もう既に164件になりました。すごく嬉しいです。ありがとうございますm(_ _)m

それではどうぞ!



本編の後 番外編 いつかの休日

今日は土曜である。時刻は午前6時。現在、俺は士郎の家にお世話になっている。

 

つまり、何が言いたいのかというと……

 

 

部活の朝練があるのである。

 

 

おい、今、溜めて言う必要はないだろうよって思っただろ? それと、つまりじゃねぇよ、と。

まぁ、そうなんだがな?

 

 

俺は、前にも言ったと思うが弓道部なんだ。

それがどうしたよ。と思うだろうが今の俺には結構重大な事なんだ。

 

 

それは、眠たいのだ。とてつもなく眠たいのだ。

至極どうでもいい事だと思っただろう。確かにそのと、おり………はっ!?二度寝するところだった……

 

部活が始まるのは確か7時だったと思う。

そしてもうそろそろ起きてご飯を食べなければ間に合わなくなってしまう。

後、後5分……はぁ…だめか。

 

起きようか……

 

 

さて、着替えて顔洗って……

 

そして俺は居間に来た。

士郎がご飯を作っているところだな。本当にありがたい。朝が強い訳じゃない俺は本当に助かる。

 

「あ、おはよう。神楽……今日って確か朝練だったよな?早くご飯食べて行かなければ遅刻するぞ?」

 

毎度思うが何でそんなおせっかい焼きなんだ?

だからオカンなんて呼ばれるんだよ。オカン。

 

「あぁおはよう。はぁ、眠てぇな……」

 

さて、士郎のご飯の支度の手伝いを───

 

「神楽?大丈夫ですか?」

 

セイバーさんが眠気で倒れそうな所を支えてくれた。

 

「あ〜セイバーさんや。いつも済まないねぇ」

 

「いえ、このくらい、礼を言われるまでもありません。それより大丈夫ですか?」

 

いや、なんかごめん。やっぱこのネタ分からないか。

と言うより心配されちまったよ。

 

「あぁ、大丈夫だ。さてと、士郎を手伝うか」

 

俺は一つ伸びをして士郎の料理を手伝った。

 

 

今朝のおかずは玉子焼きとのワカメの味噌汁、それと俺が作った白菜の漬物だ。

白菜の漬物は洗って切った白菜を容器に入れ、塩をまぶして揉んで重石をしておき一晩くらいおく、それを朝少し濯いで水気をきったら終了だ。お手軽に出来て美味しい。自分の中ではご飯のお供に欠かせない存在である。

 

「神楽、この白菜の漬物美味しいな」

 

「えぇ、この白菜の漬物…しっかり味が効いていて、よくご飯が進みます」

 

いや、本当に嬉しい限りだ。こんな簡単な物でよろこんでくれるなんて。よし、これからも何かしら喜んでくれそうなものを作るとしよう!

二人に気付かれず俺はひっそりとそう思うのだった。

 

さて、朝ご飯も食べたことだし、今の時間は…6時半…だと?……やばい…ゆっくりし過ぎた。

 

「士郎! 俺、部活行ってくるわ! それと、朝ご飯美味しかったぞ!」

 

そう言って俺は学校にすっ飛んで行った。

最後になにか聞こえた気がしたが気にせず走って行った。

 

________

 

 

今朝は神楽が漬けていた白菜の漬物を食べていた。

それは塩の分量やカットされているサイズ等、何もかも丁度良い物であった。俺は以前にどのくらいの塩の量を入れているのか聞いてみたのだが、『俺が作る料理は毎回目分量だからな。その時その時で味が薄かったり濃かったりする。まぁ、最近はそんなこともなくなってきたのだがな』と言って詳しくは教えてくれない。

彼がこの白菜の漬物を作る時を見てみたのだが毎回塩を入れる量が違うのだ。

……なるほど、白菜や塩の量等、濯ぎ方で味が毎回殆ど同じなのか。って、俺も同じような事をしてるじゃないか。今度俺も白菜の漬物を作ってみるとしようかな。

 

 

神楽の奴、テレビ観てるな……そんなにゆっくりしてると遅刻するぞ? まったく…お、ようやく気がついたみたいだな。

 

 

「士郎! 俺、部活行ってくるわ! それと、朝ご飯美味しかったぞ!」

 

藤ねぇみたいなことを言いながら神楽は急いで行った。

 

「気を付けてな!」

 

「士郎、神楽はもう家を出たようですが…」

 

あぁ、知っているさ。いつもの事だしな。

 

「まぁ、いつもの事だしな。心配ないだろう」

 

そして俺は皿洗いが終わり、片付けをしていた。

 

 

「ところでシロウ。今日のお昼は何ですか?」

 

はぁ……セイバー。さっき朝ご飯食べたばっかりだぞ?

もうお昼って早すぎないか?

 

「あの、セイバーさん?」

 

「……? 何ですか? シロウ」

 

可愛らしく首を傾げるセイバー。

 

「さっきご飯食べたよな?」

 

「はい。食べました。とても美味しかったです。……どうかしましたか?」

 

セイバーは凄く満足気に言ってくれる。料理をする者からしたらこう言われるのは嬉しいのだが……はぁ、こう言われてしまうと何も言えなくなってしまうな。

 

「いや、何でもない。それより、今日のお昼ご飯はな?───」

 

いつも美味しそうにご飯を食べるセイバー。

 

いつも遅刻ギリギリになる神楽。

 

いつも起きるのが遅い遠坂。

 

いつも騒がしい藤ねぇ。

 

いつも手伝いに来てくれる桜。

 

何一つ変わらぬ日常。

 

こんな、平和な生活が長く続けば良いのにな。

 

 

 

_________

 

 

 

さてと、今日は始まる10分前に着くことが出来た。

10分前ともなっているのに、部員は主将の美綴くらいなもので、藤村先生は恐らく職員室に居るのだろう。今日は朝御飯を一緒に食べていなかったのだが何かあったのだろうか。

 

美綴はもう既に準備を終えて道場を眺めていた。

 

「おはよう。神崎、今日は一段と早いな。いつも遅刻ギリギリなのにな」

 

ニヤニヤと俺をイジってくる美綴さん。

 

「お、おはよう。朝は苦手なんだよ…今日は偶然だよ」

 

「その偶然が何時も続けば良いのにな」

 

まだニヤニヤと言ってくるよ。ほんと、その偶然が続けばいいと思うよ。

 

そして俺は、前に教えてもらったように道着を着て準備をして始まるのを待っていた。

 

俺はちゃぶ台を挟むように美綴と反対側に座った。

2人ともに道場を眺めている。

 

始まるまで何もする事がない上に美綴と2人きりになってしまっていて……はっ!? 俺は何を期待しているんだ!? 煩悩よ、何処かへ行ってしまえぇ!

 

 

……はぁ、はぁ。俺は、チラリと美綴の方を見たが、美綴はこちらを気にするまでもなくぼんやりと道場を眺めていた。はぁ…独り問答している所を見られなくてよかった。美綴にこんな姿を見られると恐らく俺は部活には当分来れそうにない。

 

 

部には丁度休憩が出来るようにちゃぶ台や急須、茶葉等取り揃えられていた。何でも士郎が居た頃はいつも皆に振舞っていたそうで、取り揃えたのは藤村先生だと他の部員から聞いた。藤村先生ェ……

 

まぁいい、今はこの何も言えない雰囲気を打開するべく話し掛けようとした。

 

「な、なぁ。美綴?」

 

「ど、どうした?神崎」

 

「喉、渇かないか?」

 

「なんだ?お茶でも淹れてくれるのか?」

 

「あぁ、丁度喉が渇いてな。一緒にどうだ?」

 

「じゃあ、お願いするとしようか」

 

よし、この雰囲気から逃れられる。

俺は士郎から習ったお茶の淹れ方通りに淹れた。

 

ふむ、良い感じだ。

湯呑みを2つに淹れてと、よし。

 

「お茶が入ったぞ」

 

「悪いな、神崎」

 

「いや、気にしないでいいよ」

 

「なぁ、神崎。今日暇か?」

 

「ん? どうした?」

 

「いや、この間の借りを返そうと思ってな」

 

「フッフッフ、俺に勝つなどまだまだ早い!」

 

「今度こそ勝ってやるからな!」

 

何の事かと思えば…以前にゲームセンターで格ゲーをしている時にバッタリと出会ってしまい、勝負を挑まれて俺の勝ち越しとなっていたのだ。

 

制限時間は無しで縛りも無し、体力がゼロになった方の負けというルールだ。実力が物を言う世界。

 

一人100円ずつ入れ、一回試合が出来るという仕様。

その日の昼頃から始め、勝敗は10戦中6勝4敗だった。いつの間にか周りには人集りが出来ていて俺と美綴の試合を観戦していたようだ。

 

俺は昔からゲームが好きだった。幼い時に1度だけ格ゲーをした事はあったが小学、中学となってくる頃にはどの店舗でも格ゲーの筐体は殆ど取り扱われてなくてこの世界で見つけた時どれ程嬉しかったことか…

 

その戦いの再戦を挑まれた様だ。

よし、その勝負、今日も勝ってやろうじゃないか。

 

「よし、その勝負、今日も俺の勝ち越しで決まりな?」

 

すると美綴は悔しそうに言う。

 

「うぅ…悔しい。絶対に今日こそは勝ってやるからな!」

 

フフン。今日も勝たせてもらうもんねー。

 

「よし、じゃあ勝負に勝てたら『何でも一つだけ命令が出来る』ってのはどうだ?」

 

ほう、じゃあ何をお願いするとしますかねぇ。

 

 

_________

 

 

よし、着替えたし準備も出来たし、後は部員が来るだけか…

おっと? 今日は一段と早く神崎の奴が部活に来ているな。

 

「おはよう。神崎、今日は一段と早いな。いつも遅刻ギリギリなのにな」

 

 

「お、おはよう。朝は苦手なんだよ…今日は偶然だよ」

 

早寝早起きはきちんとしてるのか?まったく……

練習とかしたらどうなんだ?いつも遅刻ギリギリだしな。

 

「その偶然が何時も続けば良いのにな」

 

そして神崎の奴も準備を終えてちゃぶ台を挟んで隣にいる。

 

 

……よく考えたら今は神崎と2人きり……今日、買い物に誘ったら来てくれるかな……って、何を考えてるんだ私は! いや、何もやましいことなんてない。ただ、買い物に誘うだけだ……そう、買い物に……

 

 

「な、なぁ。美綴?」

 

「ど、どうした?神崎」

 

今の声、変じゃなかったよな?甲高い声じゃない…よな?

 

「喉、渇かないか?」

 

ん? 喉? うーん、少し乾いたかな。

 

「なんだ?お茶でも淹れてくれるのか?」

 

お茶なら美味しいのを頼みたい…と言っても、こいつのお茶は士郎直伝の技術だからな。心配はいらない。驚く程に美味しいのを淹れてくれるしな。

 

「あぁ、丁度喉が渇いてな。一緒にどうだ?」

 

やった♪ 神崎のお茶だ! って何をお茶だけで喜んでるんだ私は!

 

「じゃあ、お願いするとしようか」

 

 

それから暫くして神崎がお茶を淹れてきた。

 

 

「お茶が入ったぞ」

 

「悪いな、神崎」

 

「いや、気にしないでいいよ」

 

「なぁ、神崎。今日暇か?」

 

暇なら…か、買い物に……無理だ。どうして言えないんだ…

 

「ん? どうした?」

 

よ、よし……あれなら…

 

「いや、この間の借りを返そうと思ってな」

 

丁度いいな。

格ゲーで負けて悔しいしな。4勝6敗ってのは本当に悔しい。後少しの体力……後、少しだったのに。

 

「フッフッフ、俺に勝つなどまだまだ早い!」

 

くぅ……絶対に勝ってやる!

 

「今度こそ勝ってやるからな!」

 

「よし、その勝負、今日も俺の勝ち越しで決まりな?」

 

悔しい…物凄く悔しい。特にあの『──ついて来れるか』的な感じの雰囲気で言ってくる感じ。ついて来れるかじゃない。神崎の方こそ私について来い。

 

「うぅ…悔しい。絶対に今日こそは勝ってやるからな!」

 

「よし、じゃあ勝負に勝てたら『何でも一つだけ命令が出来る』ってのはどうだ?」

 

我ながら呆れるような賭けだ。ただ買い物に誘う為だけにこの賭けをしている。普通に言えない自分がおかしいのだろうか。きっとおかしいのだ。

 

さてと、今日こそは絶対に勝ってやる。

 

_________

 

 

部活が終わって一度家に帰り、着替えてから再び美綴と会った。

 

 

「えーっと? よし、きちんと財布持ってるな……忘れ物…無い…よな?」

 

目的地についた後から確認する俺……アホ過ぎる……

まぁいい、それより美綴は……あ、いたいた。

 

俺は美綴の姿に見蕩れていた。

 

───いつもは制服姿か道着姿のどちらかで、私服などは見たことがなかった。

 

普段学校生活の服装でも美綴は着こなしていて凄く様になっており、いつ見ても凛々しい。しかし、この私服姿は滅多に見られない、それが惜しい。

 

 

 

つまり、一言で言い表すなら……

 

『めっちゃ可愛い』

 

いや、もう何? 普段着ない様な服ってここまでインパクトあるの? ギャップ萌えってやつ? マジやばいっすわ。

 

 

「あ、あの…だな。そんなに見られると恥ずかしいんだが……その、似合ってる…か?」

 

 

 

顔を赤くして上目遣い……

 

ゴフッ! 破壊力抜群ですわ。ごちそうさまです。

 

フリフリのスカートに……えっと? ブラウス? カーディガン? そこら辺詳しくないからわからないけどさ……ごちそうさまです。

 

もう何言ってるのかよくわかんねぇや……

 

「な、何か言えよ……やっぱり、似合ってないのか?」

 

「ハッ! す、すまん。似合ってないものか、物凄く似合ってるさ! むしろ、ドストライク! ごちそうさまです!」

 

うわぁぁぁあ!! 何を言ってるんだァ!!

 

しかもガッツポーズまでしちゃってるし!!

 

うわぁ…絶対引かれた。俺の社会的地位が……あれ?もとよりあったのか? そもそも地位? もう本当になに言ってるのかよくわからんわ。

よし、1回落ち着こう……『すぅ、ひぁ』……

 

『ひぁ』って何ぞ……

 

とりあえず落ち着く事は出来たが恐る恐る美綴を見てみる。

 

物凄く顔を赤くしている美綴さん。

 

あれ? 引いてない? 嫌がってない? 大丈夫? 俺大丈夫?

 

大丈夫だ。問題ない。

 

 

いや、問題大有りだよ。特に思考回路が。

 

………ふぅ。

 

「え、えっと……美綴? とりあえず、ゲーセン行くか?」

 

「あ、あぁそうだな。そうしよう」

 

俺と美綴はその後ゲーセンに着くまで無言だった。

それは、お互いに話しかけづらいからだった。

 

_________

 

 

今現在、隣には神崎の奴がいる。

 

ちょっと服装を気にしてみたのだが。いつもより冒険をしてしまった。

 

この服は似合っているかだろうか……

 

私には着こなせていないのではないだろうか……

 

そんな思いでいっぱいだったが神崎は、

 

似合っていると、むしろ、ドストライクだと。その言葉で私はさっきまでの心配事が嘘のように吹き飛んだ。

 

それどころか今では恥ずかしいような、嬉しいようなそんな気持ちが渦巻いている。

 

恐らく顔が赤くなっていることだろう。

 

ここまで冷静に分析してはいるが先程からほとんど固まっている。

 

神崎がゲーセンに行こうと言ってそれに返事をしただけだ。

 

何も話すことがない…ではなく、話すことが出来ない。何故なのだろうか。

理由は分かっている。これはもう認めるしかないのだろうか。神崎の奴は分かってないかもしれないが私は、きっと、彼の事が好きになってしまったのだろう。

 

いつも部活や、身の回り、日常生活等で困っている人がいたら助けて回っている。まぁ、無償という訳でわなく、いつも何かしら貰ったり、お茶に呼ばれたりしているが、この街の人気者だ。

 

文武は両道という訳ではないが勉強はそこそこは出来るようだ。そしてスポーツ等は何をやらせても上位に名が挙がる。

 

学校では彼の事を狙っている女子達もいる。ファンクラブまであるみたいだ。私は入ってはいないが…

 

 

誰に対しても平等。

 

それは神崎自身にも言えた事であった。

 

そして、私に対してもだった。

 

何時しか彼の事が気になり始めた。

きっかけは、正直何だったか覚えてはいない。

 

思いつくことは、凄く優しくしてもらえた事だろうか。男子や女子達に優しく接する事はあるが優しくしてもらう事は無かった。

 

他には、勉強で私がわからない所を先生よりわかりやすく自分の解釈も入れて説明してくれたりした事だっただろうか。

本人曰くたまたま分かるところだった、とは言っているが勉強に関しては何処か手を抜いているような気がする。今度本気で勝負しようと持ち掛けてみようか。

 

私は、心のどこかで彼を振り向かせたいと思う様になっていた。

 

_________

(番外編)

 

 

ゲーセンにようやく着いた。いつもよりゲーセンに行くまでの時間が長かったような気がするが気にしない………

 

 

ん?何やら格ゲーコーナーが騒がしいな……

 

「なぁ、美綴。格ゲーの所が何か騒がしくないか?」

 

すると、数秒遅れて美綴が反応する。

 

「……え? あぁ……本当だな」

 

 

俺と美綴は騒がしくなっている中心地へと行ってみることにした。

 

 

 

「………」

 

 

……え? なぁにコレ。

 

アーチャーとランサーが格ゲーをしている…だと?

 

2人は必死にコンボを繋げようとしているが、どちらも攻防が優れていて制限時間ギリギリの戦闘だ。

 

「汚れ等成果で洗い流せる! そんな余分なプライドは、そこいらの犬にでも食わせてしまえ! ランサー!!」

 

「犬と言ったなぁ! アーチャー!!」

 

「英雄としての誇りなど今のうちに捨てておけェ!!」

 

「よく言ったァ! ならばお前が先に逝けェ!!」

 

 

※2人は格ゲーをしているだけです。

 

 

お前ら……それ、名台詞だよな? 何しちゃってんだよ……

 

……ん? よく見たらキャラが普通の格ゲーのキャラじゃないだと?

 

アーチャーが使っているキャラは……赤い外套に夫妻剣。

 

ランサーが使っているキャラは……全身青タイツに赤い槍。

 

 

………え? ほんとに何これ。

 

なんでお前らキャラとして参戦してんだ?

 

ゲームのキャラと同じ服装な為、周りの観戦している人等は何かのイベントかと立ち止まって見物してるし……

 

あ、2人のゲージ溜まったな。

 

 

「我が必中の槍を受けてみろォ!!」

 

「来るがいい! 正面から受けきってみせる!!」

 

 

ランサーのキャラがいきなりジャンプしだした。

 

必殺技が発動したようだ。

 

突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)!!」

 

うわぁ投げボルクだ。威力高そう(小並感)

 

それに対するアーチャーは……やっぱりそう来ますよねー。

 

I am the bone of my sword(体は剣で出来ている)……熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)!!」

 

あれ、何だか2人の闘気のようなものが見える。

 

その所為か画面がハッキリ見えない。

 

防いだか? ……いや、時間切れ…だと? 二人の体力は同じに見える。だが数ドット分アーチャーが少ない。勝敗は……ランサーの勝ちか。

 

「ふぅ……先程の非礼を詫びよう。ランサー」

「ふん、別にいいさ。この格ゲーにおいては気分が乗るセリフだったしな」

 

おぉ、2人は握手をしているみたいだな。仲直りか? それとも認め合い? ……ん? よく見ると握手してる風で指相撲してる……そして二人の表情は……張り付いた笑顔……うわぁ、お前らもう少し仲良くしろよ……

 

「よし、神崎。あれやるぞ」

 

「ファッ!?」

 

え? やった事ない初めてのやつやるの? マジで?

 

やばい……俺は常に何となくのガチャコンなのだが初めてのゲームはガチャコンで技を発動するのはかなり難しい。

 

こうなったらプレイ中にコツを掴むしかない。

 

「よし、やるか」

 

ゲームの名前は…おっふ。PS2のfateの格ゲーに似たり寄ったりな名前だな。明確には言わないでおこう。

 

さてと、キャラクター選択か…どんなキャラがいるかなー?っと……いろんなキャラがいるなー。あ、これなんて美綴に似てるな。

 

お? これは士郎か? そしてこっちは遠坂かな? そしてこれは……おぉう、マーボー神父。

 

他には……ん?…コレ、アーチャーの2Pカラー?

青い外套の白髪混じり黒髪? 誰これ?

そうは思ったが何故か俺はこのキャラが無性に使いたくなった。

 

よし、始まるな。

 

フッやっぱり美綴は自分に似ているキャラを使うようだな。

 

 

俺が使おうとしているこのキャラがどんな攻撃方法なのかはわからない。

 

だって、ほかのキャラ立ち絵に自分が使う武器持ってるけどこのキャラ持ってないんだよ! まさかの無手!? 美綴に似たキャラだって薙刀もってるし。

 

『3.2.1…戦闘開始』

 

 

 

結論から言おう。俺の圧勝だった。

 

凄く驚いたことにガチャコンなのにガチャコンの動きをしていないと言ったらわかるだろうか。洗練された動きの様にコンボが繋がる繋がる。

 

絶対このゲーム初心者ですって言っても誰も信じてはくれないだろう。

 

しかも遠距離も近距離も全てにおいて強いキャラだ。

ゲームバランス大丈夫か?

 

槍に持ち替えたり、双剣に持ち替えたり、弓に持ち替えたり、はたまた刀に持ち替えたりと忙しいキャラだったが本当に自分に合う。

 

試しに美綴も二戦目にこのキャラを使ってみたのだが全然と言っていい程に使えていない様子だった。

 

他の人が使っているのを見てみたのだが誰も使いこなせていない。逆に俺が使いこなせているのがおかしいっていうレベルだ。

 

俺の動きを見て学ぼうとしてる人が先程いたが、なにせ俺はガチャコンな為に見てもお手本とはならないだろう。その人は落ち込んでた……

 

使いこなせるとすごい強いキャラだと俺は思った。

何人か俺に教えてくれと言われたがガチャコンだから教えられないと答えると凄く驚いた表情をされた。

 

ごめん、待って、驚いてるのは俺もだから。

 

なんなのさ。初めてのこのゲーム、初めて使うキャラ。それで無双を誇るって怖いよ。

 

 

 

それより勝負に勝ったのだが一つ言うことを聞いてもらうっていう内容だったよな?

 

恐らく何かしらお願い事があったからこんな事を言ったのだろう。彼女の気質のようなものから人にお願いごとをする事は滅多にないだろう。頼み事をするのに慣れていないのは苦労をするな。

 

よし、ここは一つからかって見るか。

 

 

_________

 

 

負けた。

 

今度は全敗だ。さっきの事が引きずられてなんてことは無い。何なんだ? あの動き。このゲーム、アイツ初めてだよな? このゲームって最近出たらしいんだが……到底初めてにはできない動きをしていたぞ? キャンセル入れてコンボ繋げるとか、コンボ終わりに必殺技使うとか。ガチャコンで出来る範疇を超えていると思うぞ?

 

一度彼の使っている青い外套のキャラを使ってみたのだが一言で言おう。物凄く使いづらい。どうしてあそこまでこのキャラで使えるのかわからない。本当におかしい。こう、何処か自分の体を動かしているみたいに滑らかな動きなのだ。

 

一つ何でも言うことを聞く……彼の事なら変な要望は無いだろうが心しておいた方が良いだろうか……ただ、買い物に付き合って欲しかっただけなのにな…

 

私は傍から見てもわかる程落ち込んでいた。

 

 

_________

 

 

よおし、からかって……いや、無理だー。

あんなにものすごく落ち込んでたらからかうなんて無理だ。今にも『ずぅぅぅうん』って聞こえてきそうなほど暗いオーラが出ている。

 

はぁ、よっぽど聞いてほしい頼み事があったんだろうな。

 

機嫌を直してもらいたいな……

 

よし、クレーンゲームがあるな……

 

お? ウサギの可愛らしいぬいぐるみがあるではありませんか……よし、これ取ろう。

 

 

「なぁ? 美綴。ちょっと待ってろよ?」

 

「……ん?……どうしたんだ? 神崎…一つ何でも言えよ……」

 

いや、言える訳ないやん? そんなに落ち込まれると言える訳ないやん? そこまでして何か言うなんてこと俺には出来ないわ。

 

まぁ、待ってなって。

 

「まぁ、待ってろ?」

 

1プレイ100円か。500円で6プレイ……よし、500円投入。目標は……よしアームから一番近い奴にするとしよう。

 

アームの強度とかどこまで動くとかアームがどれほど開くかとか見てみる必要があるな……

 

 

それで2プレイ潰してしまった……いくらかかっても取るつも……いや、思うのは辞めておこう。いつ何がフラグになるのかわからん。

 

気を取り直して3プレイ目、取りにかかる。

腕に引っかかったのだがアームが弱い。いや、弱くはないが、強くもない。あと2回……あそこに持っていくと…ああいうふうに動くから……こう動かして…よし、イメトレはOK。いざ、参る! おっふ。惜しい。

非常に惜しい。

 

あと少しで取れるところだった。落とす時角にひっかかり、また元に戻された。

 

くぅ……悔しい。よしあと1回……今度は少し冒険して……会社名が載ってる部分の輪っかを狙ってみるとしよう。

 

うー……お? あー………またもや同じ動きだ。

落とす時に角にひっかかり、元に戻る。

 

 

はぁ、ダメ元でやってみるか………

 

そして俺は100円だけ入れてやって見ることにした。

 

あれ? 取れた? いや、これは無理だーと思ったら謎な動きをしやがった。言葉では言い表せない様なうごきだ。で、でもまぁ良かった。

 

これで美綴の機嫌が良くなってくれたらいいんだがな……

 

「おーい、美綴。取ってきたぞ。これ上げるよ」

 

すると美綴はキョトンとしている。

 

「え?…いいのか?…これ」

 

「あぁ、いいさ。美綴にプレゼントだ」

 

すると美綴はウサギのぬいぐるみを抱きしめて一言。

 

「あ、ありがとう…」

 

ゴフッ!(本日2回目)…ごちそうさまです。

 

 

「な、なぁ神崎? 一応一つ何か言ってくれ。賭けに負けたからな……何かしらは言うことを聞かなくちゃな」

 

はぁ、願い事ね。じゃあ……

 

「じゃあ、『美綴の願いを聞く』ってのが俺の要望だな」

 

「え? どうしてだ? 」

 

「どうして? ってそりゃ、なにか願い事があってこんな賭けをしたんだろ? いつもならしないような内容の賭けを……頼み事や願い事があるならさ叶えられる範囲で叶えてやるよ。だから遠慮せずにドンと言ってくれ!」

 

ヤベェ、大きい事言ったけどすごい叶えづらい内容だったらどうしようそれ無理だとか言ってキャンセルとかも出来ないし……

 

「な、ならさ……買い物に付き合ってくれないか?」

 

俺はその一言で気が抜けたのと無性に笑いたくなった。

 

「ククク、はぁ。なんだ、そんな事だったのか」

 

「そんな事とは何だよ…」

 

「そんくらいの簡単なお願い事ならいつでも叶えてやれるな…」

 

俺は微笑みながら言った。

 

すると美綴は、少し顔を赤くしてボソッと何か言ったが俺には聞こえなかった。

 

よし、じゃあ行くとするか。

 

「よし、行こうぜ?」

 

「あぁ、ありがとな…」

 

「どういたしまして」

 

俺と美綴は夕焼けの中、買い物に出掛けた。

 

 

_________

 

 

勝負に勝ったのに私に願い事を決めさせるなんて……あぁ、やっぱり優しいな神崎は。

 

 

「な、ならさ……買い物に付き合ってくれないか?」

 

すると神崎は一度キョトンとして笑った。

 

「ククク、はぁ。なんだ、そんな事だったのか」

 

私にとっては結構悩むことだったのにそんな事って……

 

「そんな事とは何だよ…」

 

「そんくらいの簡単なお願い事ならいつでも叶えてやれるな…」

 

神崎は微笑みながら言った。ずるいと思う。私が求めていたものをくれる。ほんと、優しくしてくれるのは嬉しいんだな。

 

「お前って奴は……ずるいよ…」

 

神崎に聞こえていなかったようだ。聞こえないように言ったから当然ではあるが……

 

「よし、行こうぜ?」

 

ほんと、神崎……ありがとな。

 

「あぁ、ありがとな…」

 

「どういたしまして」

 

私には神崎と一緒に歩くこの道程が今だけは凄く長く感じた。




賛否両論と言うのは今回の話で神崎君のヒロインが美綴さんに決定したことです。いや、ほんと美綴さん可愛い。

そして、
遅くなってしまい、すいません…
4月は急に忙しくなりました。もう5月ですけどほんとすいません。
寮生活や進学先で少しだけゴタゴタしてました。

他には、
大きな(BIG)缶コーヒー(BOSS)になって復讐を遂げたり、狼になって影の世界に行ったり、王国を救ったりしてました。

それと、
慣れない土地で体調を崩してしまいました…
ですが、復活致しましたので頑張って投稿していきたいと思います。
用事が増えて執筆時間がなかなか取れないので、まだ更新が遅いと思います。
ご了承くださいm(_ _)m

それでは、これらもよろしくお願いします!

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