えっちゃんのサポートの為にスカディ姉貴当てました。ボイス可愛いからみんなも引け。ワルキューレもいいぞ。
そして、何と言っても英霊旅装。神の采配によってえっちゃん新規絵です。アヴァロンはここにあったのだ──みんなも当然えっちゃんを選んだよね?(オメメグルグル)
そんな感じで始めていきます。
やってるこっちが申し訳なくなるくらいにもう一人のイリヤちゃんをボッコボコのボコにした後、俺は彼女を連れて家へと帰宅した。
「えっちゃん、ただいまー!」
「おかえりなさい、マスターさん。おや……なるほど。少女誘拐とは、マスターさんもなかなかの
扉を開けた先で、本を読んで帰りを待っていたえっちゃんが何処か誇らしげに放った第一声だった。
「ち、違う! えっちゃん違うんだ! 浮気じゃない! 信じてくれええええ!!」
……えっちゃんにそんな誤解をさせてしまうなんて。
涙が止まらない。俺は自分の迂闊さを恥じた。
五体投地で赦しを乞う。
「うわあ……」
隣でイリヤちゃんがドン引きしていたが、気にしない事にした。
「う〜。ゴメンね、えっちゃん〜」
「はいはい。マスターさん私なら大丈夫、だよー」
えっちゃんを抱きかかえるようにして座る。えっちゃんはこちらを振り向いて俺の頭をポンポンと撫でていた。
「ねえ、わたし帰っていい? 魔力も随分使っちゃったし補充しないといけないのだけれど」
テーブルを挟んだ先では、イリヤちゃんが出されたオレンジジュースをストローで飲みながら、半眼でこちらを見ていた。
「……ん、ああ、そういえば魔力が必要なんだった。ほいっと」
指を振る。やり方はわかっていたからその動作だけで思惑通りに魔力が流れていく。供給先はもちろんイリヤちゃんだ。
「魔力が流れて……何をしたの?」
「簡易的なパスを繋いだ。えっちゃんの現界の維持でコツは掴んでるからね。魔力を送るだけならできる。粘液接触してないから効率が悪いけど、俺の魔力は有り余ってるしこれでいいでしょ」
「……もう一々ツッコまない事にするわ」
怪訝そうな顔だったが、イリヤちゃんは深く追求する事はなかった。
もう細かい事は気にしない事にしたのだろう。その代わりに彼女はこう言う。
「……で、さっきも似たような事言ったけれど、貴方の目的はなんなの? もうとっくに気付いてるんでしょ、私の正体。わたしを倒さない理由なんてないわよ」
「……まあ、凛ちゃんからなんにも話聞いてないけど、なんとなくわかるよ。そのカードとも直接戦ったからね。でも、それは置いといてイリヤちゃんはイリヤちゃんでしょ? なら、傷つけたりなんかしないよ。見知った女の子を『倒さなきゃいけないから倒した』先で掴んだ未来なんてきっと綺麗じゃないよ、うん」
クラスカード『アーチャー』を核にしてイレギュラーで生まれたイリヤちゃんの封印された人格。それこそが目の前の少女の正体。
凛ちゃんから聞くまでもなく、目の前のイリヤちゃんがどうやって生まれたのかは知っているけれど、一応こう言っておく。
正直、俺にとって大事なのはクラスカードじゃないからこの辺りの事情はどうでもいい。クラスカードはどうせこの後の展開が進めば無くなるんだろうし、カード回収に精を出す必要も無い。
目の前の少女は平穏な日常を生きてきた普通の女の子のイリヤちゃんではないかもしれないけれど、それでも彼女はイリヤちゃんだ。ハッピーエンドを目指す身として、一人で戦う女の子を放っておくというのは余りにも忍びない。
「ていうか、その『イリヤちゃん』っていうのやめて。あのイリヤと一緒にされてるみたいでなんかイヤ」
「えー、自分からイリヤって言ったんじゃ……あっ、ハイ、ナンデモナイデス」
無言でギロリと睨まれたので口を噤む。
「では『イリヤ・オルタ』なんてどうでしょう。黒いですし。私と一緒にオルタ道、駆けあがってみませんか?」
「ちょっと待って、オルタってなに」
「オルタ、すなわちオルタナティブ。ここでは反転体だとか別側面を意味する言葉さ。……って、えっちゃん、俺を差し置いて他の人をスカウトするなんて酷くない?」
「マスターさんは私という優秀なオルタ・サーヴァントのマスター、です。これはもうオルタ道を極めたオルタマスター。もうとっくに私の唯一無二のパートナー、なのです」
「マジか、すげーな、俺」
「うーん、それだとわたしがイリヤのコンパチみたいになるからヤダ」
「しょぼん」
えっちゃんの提案は拒否された。俺はいいと思ったんだけどなあ……
さっきのお返しに、スカウト失敗で落ち込むえっちゃんの頭を撫でる。
それなら原作通りでいっか。
「じゃあ、『クロ』ってのはどう?」
「わたしは猫か……」
「いやー。凛ちゃんだったらこんな感じで安直に名前を決めると思うよ。もし違っていたら木の下に埋めてもらっても構わないよ!」
「確かにリンならそうしそうだけど……まあ、それでいいわよ」
という訳でもう一人のイリヤちゃんはこの世界でもクロと呼ばれる事になった。
「じゃあ、クロちゃん」
「ちゃん付けもやめて。子ども扱いされてるみたいだわ」
「じゃあ、クロ。これからの事なんだけど、君はどうしたい?」
「どうしたいって、そんなの……」
俺の問いに、クロは少しの逡巡の後に答える。
「……わたしは、
「うんうん、それで?」
「……え?」
「いや、だってそれはマイナスをゼロに戻すだけの、いわば前に進むための前提条件じゃないか。君にとって重要なのはその先だろう」
「その先、か。そんなもの考えた事もなかった」
クロは呆然としたまま言葉を紡ぐ。
「だって、わたしは今ここにいる事が奇跡みたいなもので、いつ消えちゃうかわからなくて、そんな短い時間じゃイリヤへの復讐くらいしか……ああ、そっか。これってただの八つ当たりだったんだ」
「復讐、八つ当たり、
「そっか。そうよね……」
えっちゃんのありがたいお言葉を聞いてクロは吹っ切れたような笑顔でこう答えた。
「──わたしは、わたしの居場所が欲しい。カードの事とか、魔力の事とか問題は山積みだけど、普通の女の子じゃなくてもいいから、わたしはわたしの思うように生きたい。ちゃんとゼロに戻って、そこから歩き出したい。……あっ、でもわたしを押しのけてのほほんと生きてきたイリヤの事はやっぱりムカつくから一回ちゃんと決着つけておきたい!」
「えらい! 流石にこの流れでやっぱりイリヤちゃんを殺したいなんて言われた時にはどうしようかと考えたけど、杞憂でよかった。姉妹喧嘩なら大歓迎さ!」
彼女がだした答え。それは最初の願望と違い、未来を希望するものだった。
素晴らしい。彼女は今、自分の気持ちと向かい合って、自分が本当に望んでいるものを見つけ出したのだ。これだから女の子ってのは強くてカッコいいんだ。やっぱり小学生は最高だぜ。
「ここまで言わせたからには、ちゃんと責任は取ってくれるのよね、明日望おにーさん♪」
「もちろんですとも! 向こうには凛ちゃんとルヴィアさんがいるんだ。なら、俺はクロの居場所を作る手助けをしよう」
「私も微力ながら力になりましょう。といっても大人げないので戦闘はノーセンキュー、です。……あれ? これ、私、何の役に立つのでしょうか?」
「えっちゃんはそこに居るだけで癒し効果があるからそんな事気にしなくていいんだよー」
「……前から思っていたけど貴方、自分のサーヴァントに甘すぎない?」
クロの最後の言葉は聞かなかったことにする。マスターにはサーヴァントを甘やかす義務があるのだ。
「──それじゃあ、明日、宣戦布告といこうか」