なんだよ!Aルートで希望見せつけやがって!なんだよ、Bルートで「おっ、これいいじゃん!スクエニはやはりまどマギとは違う!」なんて思ってたけど、お前そりゃないんじゃなの!?なんかもう『見よ、これが絶望だ』状態だよ・・・・・・あーあー、ストーリーは深いし、キャラもかわいいし、考えさせられるいいゲームだと思う。戦うシーンほかっこいいし、ただ単にミッションこなすだけじゃなくてサブクエも頭を使うものから殲滅系、収集系など数も豊富。BGMや景色も綺麗。なのにお前・・・・・・ほんと辛いよぉ・・・・・・誰か2Bを、9Sを、A2を助けてください。
俺の手元の愛phoneの画面には母親の名前である文字が並んでいる。いつもなら、ワンコールで取っているのだが、正直に言えば今は出る気は無い。その後、未だに鳴るコールもすぐに止んだ。愛phoneをポケットにしまい、震える手と足を無理矢理に抑えつけて何とか立ち上がって自転車を家まで転がすが足元は覚束無い。
そこでもう一度、ポケットにしまった愛phoneからコール音が鳴り響く。やはり、先ほどと変わらず画面には姶良優海の文字が並んでいる。いつも取っているはずのコールで取らなかったからだろうか。出る気は無かったが、出ないとまた掛かってきそうだと判断する。多分あのお袋のことだ、色々と面倒なことになるのは目に見えている。不安を掛けないように、取り敢えずいつも通りを心掛けよう。
「もしもし、お袋?また何かあったのか?」
『もしもし、珍しいわね。ソラがすぐに出ないなんて』
「あー、今回のテストで自分が把握してる間違った場所の見直ししてたら途中で落ちたんだよ。んで、今のコール音で起きたんだわ」
『そう』
「それと、今回のテストはたぶん一位だと思う。かなり自信あるからな」
取り敢えず、ゴミ虫の借金のことは触れられない内にこちらの近況を報告し終えなければならない。それで、向こうが電話を切るように仕向ければいい。後は、お袋のところに迷惑が掛からないように縁を切るだけ。
出るつもりがなかったんだがなと思いながらも、俺は最後になるであろうお袋との会話を迅速に終わらせようとする。最後がこんな形になってしまうのはとても残念ではあるが、お袋の今の幸せな生活を壊したくないのだ。
『良かったわね』
「それで?お袋の方はどうしたんだよ」
誇らしげに励ます声が聞こえてくる。それに俺がさっさと俺の話から帰るために閑話休題した時に声の質が変わった。
『・・・・・・ねぇ、何かあるんでしょ?』
俺の焦りを見透かしたかのようなタイミングで心配した声を投げかける。嘘は見逃さない。そう言いたげな雰囲気が、電話を介しているはずなのに伝わってきている。
俺は何処でそれを悟られたのかと頭を回しながら、何もない
「ん、何か?そう言われてもな・・・・・・ホントにこっちは何もな『嘘』・・・・・・」
『嘘ね。お母さんは分かってるわ。あなたが何かを隠そうしていること。・・・・・・ホントのこと、言ってちょうだい』
「・・・・・・」
『私は、あの人といる苦しみからあなたも置いて逃げてしまった。あの人が働かないだろうと知っている上で。私はあなたからも逃げたの。・・・・・・今更だけど、ごめんね?あなたに、母親らしいことが何一つ、出来なかったから。・・・・・・私が、あなたを救いたいの。自己満足でもいいの。だって、私がソラの母親なんだから』
耳元から聞こえる、涙混じりのお袋の声。それは、過去の自分の行動を悔いる言葉で謝りながら今でも俺のことを息子であると想ってくれていた。ただ嬉しかった。起きた時にいなかった母親を探したあの日から、多くの年月が経ちこうやって想い合っていることがわかったのだ。
その一字一句は心に響き渡り、先ほどの不安と絶望に押しつぶされそうであった俺に対するそれを緩和してくれた。気づけば、俺の頬には目からこぼれてい涙の筋が出来ていた。
「・・・・・・分かった。正直、お袋には言いたくなかったけど、今の話聞いて言うことにした」
『うん。・・・・・・うん』
お袋は未だに泣いているらしい。取り敢えず、向こうが落ち着くまではそっとしておいてあげよう。
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「ごめんね。収まったわ」
『みたいだな』
どうやら、私の息子は見ない間に立派になっていたようだ。私が落ち着くまで話さずに私を慰めるかのように気まずくない無言の時間を作り出していた。その証拠に、今私の前にある家の玄関の姿見に泣き腫らしたあとは残りつつもいつも通りの微笑みが映っている。
それと同時に、きっとそれだけ大事な話なのだと思うとキュッと引き締まる思いがする。
『あー、言い難いんだが・・・・・・その、親父が一千万の借金をしたんだ。そんで、その連帯保証人の欄に俺の名前と印が押された』
「・・・・・・え?」
『今までは何とかバイトで貯めてた金があったから生活できてたんだ。・・・・・・けど、もう無理なんだ』
私は唖然とするしかなかった。しかし、その事を理解すると同時に大きな後悔と罪悪感が襲う。何故、あの時にソラを一緒に連れていかなかったのか。そんな問が私の心の中に浮かび上がり、様々な思いが吹き荒れる。
『もう、どうしようもないんだ。・・・・・・は、はは、はははは』
絶望に苛まれ、なんの希望も持っていないと分かるその声を聞いた時に憶測ではあるが、何故ソラが隠そうとしたのかが分かった。きっと、私に・・・・・・。いや、私の新しい家族に迷惑を掛けたくなかったのだろう。優しい私の息子のことだ。きっとそうなのだろう。
しかし、思い返す。そもそも、私があの男から逃げる時にソラも一緒に連れていけばよかったのだ。そうすれば、今のようにソラの苦しむ姿を聞いたり見たりすることは無かったのかもしれない。
『・・・・・・俺は、お袋には迷惑を掛けたくないんだ。お袋がずっと我慢して望んでいた幸せな家庭を得たって聞いた時、嬉しかったんだ。だから、これで・・・・・・最後にしよう。ケータイを解約しないと、生活費が浮かないし』
何故、私の息子まであの男に苦しまなければならないのだろう。
大きな理由の一つに、自分があの家から逃げたことが挙げられることも理解している。しかし、これは余りにも酷ではないだろうか。一介の高校生が背負う運命ではないだろう。
『だから、さよ───』
ソラが何を言いたいのかが分かった。これで最後の意味は関係を断ち切るのだろう。
どうして私は息子が苦しんでいるのに無視できようか。いや、できるはずがない。例えそれが、今の生活を壊すものであったとしても、今の家族に否定されようともソラだって私の子供なのだ。私はもう、逃げることなんてしないと決めたのだからソラを救うんだ。
「言わせないわ」
『・・・・・・何で?』
ソラの声が震えている。きっと、断られることを覚悟していたのだろう。勿論、そう言うと思ったからこそ自分から言い出そうとしたのだ。
けれど、私の返答を聞いて声が震えたのだ。きっと、何処か自分の言ったことに肯定して欲しくなったのだろう。そして、私の返答を聞いて少しだけど安心したからではないだろうか。
『何で、だよ・・・・・・。だって、迷惑に・・・・・・』
「理由なんてないわよ。だって、貴方も私の子供なんだから」
耳に当てていた通話口の向こうからは、嬉しさや安堵といった感情のこもった泣き声が響いてきた。
ここからは私の勝負だ。絶対に、ソラを助けてみせる。例え、拒否されようとも。
すいません。前書きで書いたようにゲームに没頭してしました。ISもちょこちょこ進めてます。