終章までのネタバレがあると思います。第一部のメインストーリーを全てクリアしてからお越しください。

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いくらかの捏造設定、もしくは剪定事象がありますが、話の大筋にないものは極力省いています。


ソロモンがカルデアに召喚されるだけのお話

 身体が解けていくようだ、と君は思った。

 足元から徐々に分解され、全てが還元される。

 

 なんて、空恐ろしいことだろう。

 なんて、物寂しいことだろう。

 

 寒さだけが残る、闇の中を。

 君は一人、沈む。

 君は一人、昇る。 

 

 どこまでも、深く、深く。

 どこまでも、高く、高く。

 

 これは、地に落ちているのか。

 それとも、天に昇っているのか。

 

 それさえも、今の君には、理解することができない。

 

 そんな、君だったが。

 

 ひとときの夢を見るように。

 世界はここに形作られる。

 

 

 

「ソロモン、君は……」

 

 声が聞こえる。

 男の声だ。君はその声の主を知っている。

 君の目の前に立つ、フードの男。

 君のマスターである、マリスビリー・アニムスフィアだ。

 彼が、君に言葉を投げかけていた。

 

「人間になったのかい」

 

 その言葉で、君は現状を認識する。

 ああ、そうだ、そうだとも。

 ここは、冬木市。君は、マスターともに、聖杯戦争の覇者となった。

 そして、願ったのだ。人間になるという、その願い。何一つ、自由意志を持たなかった君が、英霊になった今、唯一気づけた、一つの願い。

 君の願いは、今ここに叶った。

 

「ああ、そうみたいだ、マリスビリー……私は……」

 

 そこまでで、君は、思わず閉口する。

 君の心は、溢れんとばかりに、いくつもの感情で満たされていた。

 生前とも、英霊であったさっきまでとも、全く勝手の違う感覚。それに対して、困惑、動揺、驚嘆、そういった想いが先行する。それは、君にとって、本当に初めての感覚だった。初めての感情だった。

 しかし、それらの想い以上に、君の心を満たすのは、もっと純粋で、分かりやすい感情だ。

 

「私は、私は、人間に、人間になったんだ……、なったんだよ、マリスビリー」

 

 きっとこれを、人は喜びと呼ぶのだろう。

 生前の君は、他者から見れば、決して無感情な存在には見えなかったはずだ。それは魔術王ソロモンの歴史を見れば分かるし、史実としてそうだった。

 しかし、事実は変わってくる。

 自由意志一つ持たなかった君は、人を、民を見ることで、人間というものを学習し、人らしく振る舞うだけの舞台装置だった。

 ある男は、生前の君の様を、まるでコンピューターによって形成されたAIのようだった、と述べたことがあった。

 感情の発露のように見える言葉は、膨大な知識から導き出された反応で、データベースから適した感情を参照するようにして生まれた反射の積み重ねでしかなかったと。

 人に望まれてAIが形作られるように、君は、神に望まれて形作られていたのだから。

 

「そうか、そうか……、君がそう望んだというのならば、きっとそれは、とても素晴らしいことだ」

 

 マリスビリー・アニムスフィアは、どこか祝うように、君に言葉を投げかける。

 彼は、魔術師らしい魔術師だ。つまるところ、人でなしで、一般的な道徳からはかけ離れている。しかし、それでも、彼は友を大事にする人間だった。

 先程までの君は、真の意味で、友というものを理解していなかったが、人間になった今は、こうやって喜びを分かち合える間柄こそが友なのだと、そう思えた。

 

「しかし……、君はこれからどうする……いや、どうしたい?」

 

 どうしたいか。

 ひどく新鮮に映る言葉だった。

 まるで、初めてその単語を耳にしたかのような気分だ。

 自由意志がなかった君は、今までその問いに対して、悩むことすら許されなかったのだから、それは当然のことだろう。

 だが、どうしたい、と問われて、人間になった今、それに悩むことはできても、答えを導き出すことはできなかった。

 なにせ、人間になった君は、これからすべき目的が()()()()()()()()

 君は今、全くの自由なのだ。君を縛るものは、何一つとしてなかった。

 ゆえに、マリスビリー・アニムスフィアの問いに、君は答えを返せない。

 

 君は、眉をひそめ、どうしたものかと悩みあぐねる。

 

 すると、くつくつとした笑い声が聞こえた。

 きょとんとした表情で、笑い声の主、マリスビリー・アニムスフィアへと顔を向ければ、彼は、君が悩む様子がそんなにおかしいのか、愉快そうに喉を鳴らしていた。

 

「マリスビリー、なにがそんなにおかしいんだい」

 

「いや、いや、君が悩む、というのが、はじめてのことだったからね、どうしてもおかしくなってしまったのだよ」

 

 ああ、そういえばそうか、と、君は得心する。

 過去未来、全てを見通す千里眼を神より賜った君は、悩むことなど決して無かった。

 事実、この聖杯戦争中も、マリスビリー・アニムスフィアが君に助言を求めることはあれど、君が彼に助言を求めることなどただの一度もなかった。

 だから君も、少しおかしな気持ちになりながら、マリスビリー・アニムスフィアに問いを投げる。

 

「なら、マリスビリー、君が私に教えてくれ」

 

 私はこれから、どうすればいい?

 そう、君が助けを乞えば、マリスビリー・アニムスフィアは、本当に、本当に楽しそうにしながら、こう口にするのだった。

 

「だったら、私のところに来るといい」

 

 それが、君の始まり。

 そこが、人間となった君の、全てを始める居場所だ。

 さあ、未だ名も無き人間よ。

 

 ――カルデアへようこそ。

 

 

 

◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

 

 

「現状では、どう演算しようとも証明不可能です!」

「意識の拡散率は未だに増加中、このままでは……!」

「ちょっと、どうにかしなさいよ!」

「はいはい、落ち着いて落ち着いて、任せてくれたまえって」

 

 

◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

 

 

 

 君とその少女の出会いは、さほど劇的なものではなかった。

 なにかドラマ性に溢れたような、感動的なイベントがあるようなこともなく、ただ、なんでもない、人と人との出会いでしかなかった。

 けれども、それが印象的ではなかったか、と問われれば、そうでもないかもしれない。

 

 人間となった君がまず行ったことは、物を学ぶことだった。

 聖杯から、生活に困らない程度の現代知識は与えられていたが、それでも、それは最低限のものだ。人間として満足に生きていくには、自ら率先して知識を蓄える必要があると、君は認識していた。

 とはいえ、今の君に目的はないのだから、学ぶと言っても、それはゆっくりとしたものだった。手当たり次第に、色々な学問の触りを知りながら、ゆっくりと、人間というものを、君は育もうとしている。

 学びの場として活用するのに、カルデアはさほど困らない場所だろう。雑多に色々な分野の書物が資料室にはまとめられていたし、マリスビリー・アニムスフィアから、それらを使用する許可も貰っている。

 

 そのため、今日も君は、資料室に訪れていた。

 いつもは、いくつか目ぼしい書物を見つけたら後は退散するだけだが、今日は少し、勝手が違った。

 

 そこには一人、先客がいた。

 資料棚に手を伸ばす一人の少女。

 君は、彼女のことを知っている。

 カルデアを訪れてから、まださほど日は経っていないが、それでも、その少女は、君が知っておくのに、十分な間柄であると言えた。

 少女は、どうやら、高い位置に収められた書物を手に取ろうとしているようだが、背丈の関係から、どうにも難航している。一生懸命に手を伸ばすが、その様は実に危なげなく見えた。

 

 君は、少女に近づく。

 

「これでいいのかな」

 

 困っている人間に、手を貸すことができる。

 小さな親切だったが、生前では考えられない自分の行いに、君はどこか満足げになりながら、少女が求めていたであろう書物を手渡した。

 

 それを受けて、少女はどこか不機嫌そうに鼻を鳴らす。

 

「確か、貴方は……お父様の食客だったかしら」

 

 今の君は、職員としてではなく、食客として、ここカルデアに招き入れられていた。

 未だ、目的なく物を学んでいる君に、職員は務まらないだろうし、なにより、君の自由を制限しないために、マリスビリー・アニムスフィアが行った配慮だった。

 そして、そのマリスビリー・アニムスフィアをお父様と呼ぶこの少女は、彼の娘であり、ここカルデアに所属している職員の一人、オルガマリー・アニムスフィアである。

 マリスビリー・アニムスフィアから聞いてはいたし、何度か遠目に見たことはあったが、こうやって、面と向かって話すのは初めてのことだ。

 初めてだが、しかし、なぜだか、彼女は君のことを快く思っていないようだと、君は、この不機嫌さから理解できた。

 

「ああ、よろしく、オルガマリー」

 

「ふん、居候によろしくされてもね」

 

 ああ、なるほどと、君は得心する。

 確かに、職員でもない人間が、このカルデアを自由に行き来している様子は、見ていてあまり気持ちのいいものではないかもしれない。

 人に望まれることはあっても、邪険にされたことはない君は、また一つ新しい経験を得て、なんだか少し、場違いながら嬉しくなってくる。

 

「反論一つないなんて、呆れてものも言えないわね」

 

 そんな君の様子を、彼女は尻込みしているとでも取ったのか、またしても不機嫌そうに言葉を返すと、いくつかの書物を片手に、資料室を後にする。

 人間になって日が浅い君は、彼女に対して気の利いた言葉も思いつかず、そのまま見送ることにした。

 なにか声をかけるべきだっただろうか。

 君は、正しい人間の在り方というものを模索するように、少し、頭をひねるだろう。

 

 しかし、君とオルガマリー・アニムスフィアは、それからも何度か、顔を合わせることとなる。

 今までは、偶然にも時間帯が合わなかったようだったが、彼女も頻繁に、この資料室を利用しているようで、君と彼女は、十分に顔なじみと言えるくらいにはなっていた。

 

「オルガマリー、これって、どういう意味かわかるかな」

 

 一つ、書物を広げながら、君が彼女に教えを乞う。

 人間になってからというもの、君は自分が、凡人になったということを自覚した。本当に、普通の人間になった君は、一つの分野の深い知識を得ようとすると、どうしても理解しにくい部分が見つかってくる。

 その点、オルガマリー・アニムスフィアは優秀だった。少女と言えるような若い身ながら、君の質問に対して、答えを貧したことはさほどない。

 

「……はぁ、貴方、こんなこともわからないの?」

 

 オルガマリー・アニムスフィアの態度は、数度の邂逅を経ても、決して軟化することはなかったが、しかし、どうしてか、律儀にも君の質問を無碍にはしなかった。

 数度言葉を交わし、満足の行く理解が得れた君は、彼女に一つ礼をする。

 

「君は優秀だね、オルガマリー」

 

「…………ふん、この程度で、褒められる謂れはないわ」

 

 そして、本心から褒めてみるが、どうにも彼女は、そう言った賞賛の言葉を素直に受け取ってくれないきらいがあった。

 どんなときでも、棘のある対応をしてくる彼女だったが、しかし、こういったときの反応は、なんだか棘の中に、弱々しさが見え隠れしているように、君には思えたかもしれない。

 

「私はね、貴方と違って、この程度で満足する人間じゃないのよ」

 

 彼女はそう言う。

 どこか、気を張っているように思える。

 満足する人間ではない、と、そう言っているが、なんだか、その満足とは、決して彼女自身が形作っている目標には見えなかった。余人の期待、周囲の環境、育ってきた今まで、そう言ったものが、彼女の目標を作り上げているようだと、君には思えた。

 それは、人間になった君には、痛いほどに理解できてしまうものだった。

 神に、人に、民に、ただ望まれるがだけに在り続けた君は、その危うさを、きっと誰よりも知っていた。

 

「私から見ても、君は十分に努力しているし……」

 

 だから、これは本心だが、それ以上に、彼女の助けになればいいと、そう思って、口に出た言葉だ。

 

「それは既に認められるべきことだと、思うよ」

 

 君はきっと、正しい言葉を口にしただろう。

 決して、その言葉は誰かの不幸を願ってのものではない。それは誰の目にも明らかだ。しかし、正しい言葉であれば、綺麗な想いであれば、それらだけさえあれば、心が動かされる――そういうものではないのが、人間という生き物である。それを、君はまだ理解できていなかった。

 

「認められる……?」

 

 ゆえに、君の言葉で彼女の表情に影が差したという現状に、君は因果関係を理解することができない。

 なぜだろう、なぜなんだろう。

 君は彼女の助けになりたいと思った。

 彼女の肩の荷が降りればいいと思った。

 それでも、その想いは、その言葉は、彼女には、オルガマリー・アニムスフィアには届かない。

 

「……貴方に、私の、なにが」

 

 オルガマリー・アニムスフィアが言葉に詰まる。

 苦しそうに、嘆くように、それでいて、それを言語化できないように、口にして吐き出すことすら、躊躇われるように。

 君の言葉一つで、彼女は苦悩している。

 

「……違う、違うんだ」

 

 君は決して、彼女にこんな顔をさせたかったのではない。

 

「なにが、違うっていうのよ……」

 

「それは……」

 

 君も、言葉に詰まる。

 

 どんな言葉を投げかければいいのだろう。

 魔術王ソロモンとして在ったころの君は、人を教え導くなど、何度も経験してきたことだし、いつだって適切な言葉を授けてきた。

 しかし、今の君に、人を導くことなどできない。

 未だに自分が人未満であることを、君はどこまでも自覚していた。

 

「それは…………」

 

 いや、と。

 君は、先程までの自分の思考を否定する。

 なぜ、君は彼女を導こうなどと考えているのだろう。

 君はさっきまで、彼女に教えを請うていた。

 だから決して、君は彼女より立場が上なんてことはないはずだ。

 人間歴がまだ一年にも満たない君よりも、人間としては、彼女の方が先輩である。そう、彼女の方が先輩なのだ。

 ゆえに、助けたいという感情は、導こうという想いは、決して、君が彼女に与える側に立っているからついて出たものではない。

 つまるところ、これは勝手なのだ。

 自分勝手で、君自身が、彼女を助けることで満たされたいと思ったにすぎない。

 それはエゴで、自己中心的な想いで。

 

 そして、これがきっと人間だ。

 

「ああ、そうだ、違う、違ったんだ」

 

「だから、なにが……!」

 

 ぽろぽろと、思考が口から漏れ出していた君に、オルガマリー・アニムスフィアは、痺れを切らしたかのように、激昴する。

 そんな、人間らしい彼女を見て、場違いな想いながら、そうありたい、だなんて思ってしまって。

 

「私のために、君を認めさせてくれ」

 

「……は?」

 

「君が認められてくれないと、私のちっぽけな努力に立つ瀬がない」

 

 怒りを露わにしたり、癇癪を起こしたりするのは、みっともないことだろう。

 そして、こんなふうに、自分の弱さを見せつけることも、酷くみっともない。

 どこか惨めな気分になって、羞恥心が沸いて出る。

 

 それでも、そんなみっともなさこそが、きっと今の君には足りていなくて。

 

「私は努力しているつもりだが、きっと君の方が、死に物狂いで努力している。君はすごい人だ」

 

 人間になったという自覚が、本当の意味で、君には根付いていなかった。

 無駄に気張らず、下手に気負わず、君は人間として生きるべきなんだ。

 だから、先程までのオルガマリー・アニムスフィアの、あの気取った様子を、君が痛々しいと思ってしまったのは、それはきっと、ただの鏡写しで。

 

 君は、彼女を助けたいと思ったのではなかった。

 君は、彼女を通して、楽になりたかったのだろう。

 

「頼むよ、オルガマリー……私のために、君を褒めさせてくれ」

 

 そう、みっともなく。

 愚直な瞳で、それが真実だと語るように、君が投げかければ。

 

「……貴方、馬鹿じゃないの」

 

 オルガマリー・アニムスフィアは、いつも通りに鼻を鳴らし、口悪く、君を貶し。

 それでも、どこか満足げに、顔を背けた。

 

 

 

◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

 

 

「意識は収束下にありますが、座標は未だに安定せず……!」

「確率振幅の規則性、未だに取得できません!」

「本当に大丈夫なんでしょうね!?」

「うん、こればっかりは、少し賭けかな」

 

 

◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

 

 

 

 無機質ながら洗練されたデザインの廊下を、君は一人歩く。

 無機質、であるが、しかし、君はこの空間に、暖かみなんてものを、覚えはじめたころかもしれない。

 カルデアでの生活は、もう一年にもなろうとしていて、君は食客という身でありながら、カルデアの一員という気分を味わえていることだろう。

 

 さて、次は何をしようか。どんな学問を学ぼうか。君のゆっくりとした学びは、未だに専門分野というものを自覚させることはなかったが、たくさんのことを知るというのも、楽しいものだ。

 

 もう時間も夜に差し掛かろうとしているが、まだもう少し、寝る前に、いくつか書物を読む時間もあるだろう。

 

「――――」

 

 そんなところで、君の思考は、はたりと中断される。

 ふと、視界の端に入った、廊下の側面を、透き通った、窓を目にして。

 

 君は歩みを一度止め、考えていた予定を棄却して、そして、足早に廊下を進みはじめた。

 そうして、少し進んだところで、偶然にも、君と同じく廊下を歩んでいた、目的の背中を発見する。

 

「マリー」

 

 君は、その人物、オルガマリー・アニムスフィアに声をかける。

 

 カルデアの生活の中で、もっとも親しくなったのは確実に彼女だろう。君はカルデアでは、マリスビリー・アニムスフィアしか頼れる人物がいなかったし、オルガマリー・アニムスフィアにも父親である彼以外、信頼できる大人というものが()()()()()()()()

 

 利害の一致、とも違うが、そんな、お互いの隙間を埋めるようにして、君らの仲は着実に深まっていた。

 

 深まっていた、はずだが。

 

「……貴方、少し私に気安すぎやしないかしら」

 

 オルガマリー・アニムスフィアは、その容貌を不機嫌そうに歪めた。

 どうやら、最近になって呼び始めた愛称が不機嫌になる理由なのだろう、と君は当たりをつける。

 

 とはいえ、君としては十分に愛称で呼び合える程度には仲良くなっているつもりだったし、嫌々ながらも、呼んでもいいと許可を貰っていたため、なぜ不機嫌になるのだろう、という疑問が生まれる。

 なので、君はいつも通りに、オルガマリー・アニムスフィアに難問の指南を受ける時と同じような気分で、彼女に不機嫌の理由を問うことにした。

 

「なんで、って……、それは……」

 

 しかし、彼女自身も、自分が不機嫌になっている理由に、明確な言葉を示せないようで、悩ましげに唸った。

 いつも、君の質問に難なく答える彼女が、そうやって悩みあぐねている様は、なんだか、マリスビリー・アニムスフィアが、君の悩む様を笑ったときのようで、あの時の彼の気分を理解できた気がして、少しだけ頬が緩む。

 

 その結果、悩みあぐねているオルガマリー・アニムスフィアを、言うなれば“にまにま”とした表情で君は見下ろしているということになり、それを馬鹿にされているとでも取ったのか、彼女が話を断ち切るように顔を背けた。

 

「と、とりあえず……、そう、そうよ、貴方に呼べる名前がない今、私だけ愛称で呼ばれるのは、なんだか不公平な気がするわ」

 

 なかなかに因果関係の破綻した言であったが、しかし、事実でもあるため、君は言い返せない。

 君には、未だに名前というものがなかった。

 

 ソロモンという名前は、今の君には既に名乗る資格がないわけだし、なにより、その名を名乗る縛りもない。

 人間となった君は、自由になった君は、その縛りなき自分を名指す言葉を持っていなかった。

 

 別に、名前というものに確固たる拘りがあるわけではないし、それこそ仮の名前でもいいから決めてしまってもいいのではないか、とも君は思う。

 しかしどうにも、どんな名前も、どこかしっくり来ない、という奇妙な感覚が君の中では渦巻いていた。

 

「……それで、わざわざ急いで私のところに来てたみたいだけど、何か用かしら」

 

 その彼女の問いで、君も目的を思い出し、スッと窓の方を指差す。

 そこには、静かな夜空が満遍なく広がっていて。

 それは、君がカルデアを訪れてから、初めて見る光景であり。

 

「ちょっと、空を見ないかい?」

 

 吹雪は、晴れていた。

 

 

 

 

 

 カルデアの扉を開くとともに、君の身体は底冷えるほどの外気に晒される。

 吹雪が晴れていようとも、ここカルデアは雪山の上に設置されており、夜であることも相まって気温は酷く低い。

 厚着をしてから外に出た君たちだったが、それでも身震いするほどの寒さで、息は白く染め上げられた。

 

「……寒い」

 

 オルガマリー・アニムスフィアの言葉はもっともだと、君は思う。

 それでも、君は彼女と一緒に、この空を見たかった。それは何か、明確な理由があるわけではなかったけれど、なんだか無性に、そう思ったのだ。

 

「で、本当にただ空が見たかっただけなわけ?」

 

 そのため、その問いには、君はただ頷くことでしか答えられない。

 目的もなく、また、必要もなく、それでも、この綺麗な景色を、君は彼女と共有したかった。

 

 オルガマリー・アニムスフィアは一つ、諦めたようにため息をつく。

 だが、ゆっくりと空を見上げた彼女の横顔は、どこか満足そうに君には見えた。

 

「ま、綺麗ね」

 

 標高六〇〇〇メートルから見る星空。

 これは、君は生前でも、英霊であったころでも見たことがない景色だ。

 果てがないように暗く沈む空の中で、点々と輝く星々。遠方に、深く、広く、君たちを包み込むように、空はどこまでも暗く、明るかった。

 空は君たちを闇へと誘い、星は君たちを光に包む。

 今この瞬間、世界には君たち二人しかいないように、星の瞬きは君たちを祝福していた。

 

「――ああ」

 

 君が、今持ったその感情こそが、人が持つ、もっとも尊きものの一つだろう。

 

 そこから、無言の時間が続く。

 ただただ、星と君たちだけで形作られた世界が、静かに続く。

 そんな折、オルガマリー・アニムスフィアは、ぽつりぽつりと言葉を吐いた。

 

「カルデアはね、こうやって星を観測するように、地球そのものを観測できるようにした機関なの」

 

 ああ、君は知っている。

 それこそが、その機構の完成こそが、マリスビリー・アニムスフィアの願いだった。

 

「カルデアスを使えば、この星の歴史、全てを詳らかにできるわ。人類史の始まりも、神代の時代の究明も、それどころか、未来の観測だってできる」

 

 君が、人間になると、そう願ったことと、きっと同じくらい、尊い想いの詰まった願いだ。

 君が人間になることを、マリスビリー・アニムスフィアは祝福してくれたのだから、君はそれと同じくらい、カルデアスの成立を祝福していた。

 

「でもね」

 

 オルガマリー・アニムスフィアが言葉を切る。

 ずっと空を見上げながら聞いていた君は、彼女の方へと顔を向けた。

 

「きっと、ただ魔術師としての本願を果たそうとするだけならば、きっと、もっと楽な方法はあると思うの」

 

 マリスビリー・アニムスフィアは聖杯を手に入れた。

 あの時点で、彼は人類には為し得ない奇蹟を起こすことができた。

 それでも彼は、その誘いを否定して、自らの悲願の足がかりとだけにした。

 

 今に思えば、その在り方はひどく人間らしいな、と君は思うことだろう。

 そして、その想いを受け継ぐこの少女も、正しく人間だと。

 君は、オルガマリー・アニムスフィアの言葉を清聴しながら切に思う。

 

「それでも、このカルデアが成そうとしていることは、私はどこまでも美しいものだと思うし」

 

 だが、君の自己認識は、未だに全く成っていない。

 マリスビリー・アニムスフィアは、目の先の奇蹟よりも、自らの願いを祈った。オルガマリー・アニムスフィアはその想いを受け継ぎ、それが素晴らしいことだと語る。そんな彼らが人間ならば、それを肯定できる君も、きっと――。

 

「――なんだか、すっごく、ロマンティックじゃない?」

 

 きっと正しく、人間だ。

 

「……ロマンティック?」

 

 君は呆けた表情でオルガマリー・アニムスフィアを見つめる。

 その様子に、呆れたような仕草で彼女は応えた。

 

「なに、貴方、変なところで物を知らないと思ってたけど、こんな言葉も伝わらないの?」

 

「……いや」

 

 違う、そう、違うはずだ。

 君はその言葉を知っている。

 ロマンティック、ロマンと。

 君はその言葉に感銘を受けたはずだ。

 いや、どこでだろうか、君は思い悩む。確かに今、その言葉をはじめて聞いたような、そんな気分だった。しかし、君はその言葉を誰よりも愛していたはずだ。

 ぐるぐると渦巻く思考の中、君はポツリと言葉を吐き出す。

 

「ロマン、と」

 

 まるで、問題の答えを与えられたように。

 しっくりと、歯車がかち合ったかのように。

 

「私のことは、ロマン、と呼んでくれないか」

 

 そう、君が言えば、彼女は思わず、吹き出し、笑う。

 

「なに、なによそれ……それじゃあ名前っていうより、愛称よ。先に愛称決めてどうするの」

 

 よほどおかしく思えたのか、オルガマリー・アニムスフィアは、楽しげに、実に楽しげに笑う。

 そんな彼女を見つめていると、なんだか気恥ずかしくなってきて、君は自分が性急すぎたことに思い当たる。

 

 ならば、そう、まずは名前を決めようと、そう考え。

 

「名前……」

 

 そして、やはり、決めるというより、思い出すように。

 

「私の名前は……」

 

 既に決まりきった解答を導き出すようにして、口が動いた。

 

 

 ――ロマニ・アーキマン。

 

 

 

 

 

 

 そう、君が呟けば。

 そう、君が認識すれば。

 

 君の世界が崩れる。

 君の世界が拓ける。

 

 視界にノイズが掛かるように、思考のノイズが晴れていくように。

 今まで見ていた景色が、空間が、世界が、割れるように、拓けるように、崩れ落ちる。

 

 君は認識する。自らの現状を、今の全てを、やっと正しく認識しだす。

 

 君は、そう。

 自らの第一宝具を使用した君は、その身を全て、神へと返還した。

 それは、座すらからも消失する、完全なる終わりだった。

 しかし、未だに君の意識は、こうして、ほとんど残滓と成り果てながらも残り続けている。

 

 ああ、心配せずとも、君の第一宝具は正しく発動した。

 君は本来、あのまま消え失せるはずだっただろう。

 

 だが、君が第一宝具を使用した、あの時。

 カルデアと、時間神殿の座標は一致していた。

 本来観測できないはずだった、あの特殊な空間を、事象記録電脳魔ラプラスは、収集し、記録していた。

 それは、ソロモンの指輪に残った、君という意識の残滓も、例外ではない。

 

 しかし。

 それでも、君という存在は、君の意識という揺らぎは、時間の経過とともに、ノイズデータとして処理される程度のものだった。

 君という存在は、ほんの少しのラグだけ残して、消え失せるはずだった。

  

 ならば、今なお君の意識が存在し続けるここはどこだろう。

 時間神殿でもなければ、カルデアでもない。

 

 これは、夢だ。

 

 英霊と契約した人間は、時折、その英霊の生前を夢で見ることがある。

 勿論、君と契約していたマリスビリー・アニムスフィアは既に他界しており、その縁が、その繋がりが、残ることはない。

 しかし、自分の死期を悟っていた彼は、人間となったとはいえ、英霊として本来は在った君のことを想い、ある一つの楔を残していた。

 自らの娘、オルガマリー・アニムスフィアと、英霊ソロモンに、ほんの僅かな、しかし、念入りに、縁を、繋がりを、彼は残して逝った。

 

 だが、君も知っていることながら、オルガマリー・アニムスフィアすらも、レフ・ライノールによって殺害されている。

 しかし、レフ・ライノールは一つのミスを犯した。

 

 惑星の魂である、カルデアス。

 高密度霊子の集合体であるカルデアスと、肉体を失い、擬似霊子体でしかなかったオルガマリー・アニムスフィアは、その呑み込まれる過程で分解されるも、完全に消滅することはなかった。だが、消滅することはなくとも、オルガマリー・アニムスフィアの意識は拡散し、人としての自意識を保っているとは言い難い。

 

 そのため、普通に考えれば、これはミスとも言えないものかもしれない。

 そう、普通ならば、だ。

 

 観測された君の残滓と、拡散された彼女の残滓。

 それらは同調するように、お互いが、お互いに繋がりを求めるように、縁を通して、在り続けた。

 どちらも、ちょっと小突けば、溶けて消えしまうような、儚い存在ながら、君たちは、無意識ながらも、支え合うようにして、自らを保ち続けていた。

 

 その結果生まれたのが、君の現状であり、この特異点だ。

 これは夢だ。君と、オルガマリー・アニムスフィアが形作った、あり得たかもしれない、そんな幽き世界だ。

 

 本来の君は、この夢のように、ゆっくりと人間性を育むことなどできなかったはずだ。

 なにせ、人間になる直前に、君は識ってしまった。人類の滅亡を、人理の焼却を。

 ゆえに、君は貪欲に学び、その過程で、ロマニ・アーキマンとなった。

 その目的のために立ち止まることを許されなかった君は、オルガマリー・アニムスフィアの危うさを知りながらも、彼女のために、なにか行動することはできなかった。

 

 君を突き動かす、あの光景が、それを許さなかった。

 

 しかし、それは、君に小さな後悔を残したことだろう。

 最善を為した君だが、しかし、人間となった君は、その機械的な選択を肯定できなかった。

 彼女を助けたかった君と、誰かに助けられたかった彼女。

 君たち二人の願いは、この夢、この特異点を作り出した。

 

 だが――。

 君は、こうも理解しているだろう。

 

 君の存在は、世界の揺らぎを作り上げた。しかしそれは、カルデアの職員によって観測できるような歪みではないと。

 この程度のノイズは、世界の自浄作用が、正しく整えてしまうだろう、と。

 放置しておけば問題ない揺らぎまでも特異点だと断じて観測しようと考えるほど、カルデアの人間は暇ではない。

 それは、君がもっとも自覚していることだった。

 君の意識はいくつかの奇蹟によって、こうして残滓として残り続けたが、そのロスタイムも、ここで終わりを迎える。

 

 この奇蹟のような夢とともに、消滅を免れた君という存在も、ここで正しく、完全な終わりを迎えるのだ。

 

 ――崩れた世界が、また新しい形を作る。

 

 その光景を、君はよく知っていた。

 この夢が、自分の想いによって形作られているのならば、最期に映るものがこの光景になるのは、当然のように思えただろう。

 

 そこには、忙しなく働くカルデア職員の姿があった。

 君が助けることができなかったはずの、オルガマリー・アニムスフィアまでそこにはいたため、これは完全に夢なのだろうと、君は理解する。

 

 なにかを観測しようとモニターを凝視する彼らを見て、過去の自分を、君は思い馳せた。

 そして、その職員たちの横では、なにかを祈るようにして立っている、人類最後のマスターの姿もある。

 あの子は、きっと今でもなにかに立ち向かっているのだろうな、と、そう君は思った。

 それを支えられないのは、少しだけ心配だけど……、と、そう考えるも、マスターの横に立つ、盾のサーヴァントを見て、そんな考えは杞憂だろうと、君は思い直す。

 

 あの二人にならば、任せられる、と。

 

 後悔も、心残りも、君にはいっぱいあったが。

 それでも、満足だ、と、君の胸はいっぱいになる。

 

 そのままゆっくりと、君の視界はぼやけていき、世界から色が抜け落ちていく。

 モノクロの視界で、崩れ落ちていく世界で、君の意識は、解け、世界へと還元されていく。

 

 ――ああ、いい人生だった。

 

 君は、そう思った。

 それは強がりでも、終わりに対する鼓舞でもなく、本当に、君はそう思ったのだろう。

 そうして、君は、自らの終わりを、とうとう受け入れる。

 

 

 ああ、でも。

 君はここで、こうも思うのではないだろうか?

 

 最期に、ああ、最期に。

 あと、もう少し、もう少しだけでいいから――。

 

「この光景を見ていたいなぁ……」

 

 なんて、そんなふうに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………。

 ………………。

 ………………………思った?

 

 うん、思ったね?

 

 今、君は、自らの意思で、そう思った。そう願った。

 つまり、君は自己を認識した。

 

 この夢の中ではね、君の意識はひどーく拡散していて、君は正しく、自らの存在を証明することすらできていなかったわけだけど。

 それが、今この瞬間、君自身の願いによって、君という存在は、一時的に収束しつつある。

 

 それを、カルデアスは観測した。

 つまるところ、カルデアの人間によって、君の存在は証明できる。

 

 なに? カルデアは、君の存在に気づくことができないはずだって?

 おいおい、()がどれだけ時間をかけて、君に()()()()()きたと思ってるんだい。

 

 まあ、たしかにね?

 普通の人間じゃ、いや、優秀な人間でも、こんな小さな揺らぎから、君の残滓なんてものを観測できるわけがないんだけどさ。

 

 あれ。

 

 あれれ。

 

 もしかして、もしかしてさ。

 君、忘れてない?

 

 忘れてるなら、ほら、今すぐにでも思い出させてあげよう。

 ここ、カルデアにはね。

 君の帰るべき、ここにはね。

 ()()()()()がいるという、その事実をさ――!

 

 

 

◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

 

 

 

 召喚サークルが、金色の光を吐き出しながら、回転を始める。

 その様子を固唾を飲んで見守っている我らがマスターを尻目に、私はこれまでのことに思いを馳せる。

 

 ロマニの意識が、こうして残り続けたのは、さっき語りかけた通りだけど。

 そもそもの切っ掛けはもう一つあった。

 

 時間神殿での最後の戦い。

 人理焼却式ゲーティアが、人王ゲーティアを名乗った、あの戦い。

 人王というのは、言葉遊びでもなんでもなく、彼はあの瞬間、人間性を会得していた。

 

 つまるところ、人王ゲーティアは、人理に刻まれたわけだ。

 

 ゲーティアという存在は、ソロモンによって使役されていた概念の具現。

 人王ゲーティアの存在は、逆説的に、魔術王ソロモンの存在を証明するものでもあった。

 なーんて、世界に迷惑を掛けた身内に、実は助けられていた、なんてのは、ちょっとロマニには言いにくいことだったわけだけど。

 

 さて、召喚サークルの起動が済むと、その場には一人の男が立っていた。

 編まれた白い髪を左肩から垂らし、荘厳な衣服の下から覗かせる肌は褐色で――その姿はまさしく、魔術王ソロモンなわけだけど、そこに、どこか、頼りなさ気な印象を受けるのは、錯覚ではないだろう。

 

 男が口を開く。

 

「――魔術王ソロモン、召喚に応じて現界した。我が力、我が全て、マスターが望むままに、私はただ在ろう」

 

 その言葉を受けて。

 私の横に立っていた、マスターと、その盾のサーヴァント、その二人の瞳に小さな悲しみの色が灯る。

 

 まあ、私は確かに、この方法でも、ロマニ・アーキマンではなく、ソロモンという英霊の側面を、召喚による逆説的な座の証明によって呼び出してしまう、という可能性も示唆していた。

 

 示唆、していたが。

 ホント、君はなに? こういうところで、ちょっと驚かそうだなんて思うわけだ。いつもヘタレなくせに、自分が優位だと思うと直ぐに、君は調子に乗るよね。

 私が小さくため息をついたのが見えたのか、魔術王ソロモンは、一つクスリと笑って――。

 

「……なーんてね、僕の名前はロマニ・アーキマン。Dr.ロマンって呼んでくれると嬉しいかな」

 

 ――ああ、そうさ、Dr.ロマンティック。

 君の人生(ロマン)は、きっとここから始まるんだから。

 




「というか、君、絶対僕に語りかけているとき、面白がっていただろう」
「おいおい、邪推がすぎるというものだよ。私はいつだって、君のためを思っていたさ」
「そりゃあ、存在が不確かな部分を演算補助しながら、僕の思考とかを補完してくれてたのはわかるけどさ……なんだか、子どもに語りかけてるみたいな感じじゃなかったかな……?」
「いや、私はボケてしまった老人に語りかけてる気分だったよ?」
「もっと悪いよね!?」
「帰ってくる居場所も忘れているような、君が悪いんだよ」
「はぁ、本当に、君は……」
「ほらほら、私なんかと話してないで、もっと他の子たちと話して来なよ。みんな、君を待ってたんだからさ」
「ああ、もう……、そうさせてもらうよ」
「お、そうだ、最後に一つ、万能から凡人たる君に言葉を送ろうか」
「はぁ、なに、なんだい、迷惑かけたんだ。恨み言の一つや二つ、まだまだ受け入れてみせるよ、僕は」
「おかえり、ロマニ」
「――――――ただいま」


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