精霊使いの剣舞~氷結の剣舞姫~   作:舞翼

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連投です。


第5話 決闘騒ぎ

 やって来たのは、エリス・ファーレンガルト。学院の風紀を守る騎士団長だった。その後ろに、同じ恰好をした少女が二人。

 

「学院の内で私闘は禁じて……なっ!?」

 

 ファーレンガルドは、瓦礫となった宿を見つめる。

 

「こ、これは、いったいどういうことだ!」

 

 ファーレンガルトは、怒気を含んだ声音でそう言った。

 

「わ、私の作った家が気に入らないとか、そういうことか?抗議行動なのか!?」

 

「これはだな、ファーレンガルト。お姫様たちがちょっとな」

 

 クレアとリンスレットは、お互いに指を差し合った。

 

「このバカ犬が粉々に吹き飛ばしたのよ」

 

「その前に、この残念胸が燃やしたんですわ!」

 

 ファーレンガルトは納得したように溜息を吐く。

 

「……なるほど。いつものお前たちの仕業ということか」

 

「あら、いつものとは、随分な御挨拶ですわね、騎士団長」

 

「いつもの、だろう?レイブン教室の問題児」

 

 ファーレンガルトが、キッとリンスレットを睨み返す。

 騎士団の少女たちも、後から追い付いて来た。

 三つ編みにした茶色い髪の少女と、黒髪の少年っぽい髪形の女の子だ。

 クレアたちの顔を見ると、苦虫を噛み潰したような顔になる。

 

「……火猫のクレア!それに、氷魔のリンスレット!」

 

「また何かやらかしたのか?劣等(・・)なレイブン教室が」

 

 少女たちの目には、あからさまな侮蔑の色が浮かんでいた。

 

「……なんですって?」

 

「今、なんとおっしゃいまして?」

 

 クレアとリンスレットが同時に二人を睨みつける。

 だが、少女たちの目は、クレアとリンスレットを無視して、編入してきた俺とカミトへ向いた。

 

「あんたたちか。学院に編入してきたっていう、例の男の精霊使いは」

 

「へぇ、悪くないわね。結構カッコイイし、可愛いじゃない」

 

「ちょっと、コイツらはわたしが見つけた奴らよ!」

 

「二人は、私の下僕にする予定ですわ!」

 

 いや、ならねーからな。と俺は内心で突っ込む。

 三つ編みの少女は鼻で笑い、

 

「あら、誰もチームを組んでもらえないからって、色仕掛けで編入生をたぶらかすなんて、辺境の田舎貴族はやることがせこいわね」

 

「へ、辺境の田舎貴族ですって……」

 

 リンスレットの顔が引き攣った。

 これは、かなりの地雷発言らしい。

 

「そうよ。ローレンフロスト家なんて、家柄だけがご自慢の田舎貴族じゃない」

 

「な、なな、な――」

 

「お、お嬢様。落ち着いて――」

 

「ふ、ふふ、ふ、わたくしは落ち着いてますよ、キャロル」

 

 リンスレットはにっこりと笑った。……お姫様なのにかなりの形相である。

 もう一人の少女がクレアの方を向き、嘲笑うように言った。

 

「クレア・ルージュに至っては、貴族どころか反逆者の妹じゃないか。まったく、学院はどうしてこんな奴の入学を認めたのだか」

 

 クレアの表情がきつくなり、鞭で地面を打ち据えた。

 

「――黙りなさい。消し炭にするわよ」

 

 声が震え、紅い瞳は静かな焔にたたえ、押し殺した声で呻く。

 

「(クレアが反逆者の妹……。まあいいや、今はそれはどうでもいい……)」

 

 刹那、――凄まじい吹雪(・・・・・・)がこの場に吹き荒れる。イレイナと俺の吹雪だ。カミトたちと騎士団が、俺とイレイナの吹雪を見て目を丸くする。

 

「……おい、テメェら。言い過ぎじゃねぇか。言っていい事と悪い事があるって、親から教わらなかったのか……」

 

「……ここで貴女たちを凍らせちゃおうかしら。私、今かなり怒ってるの……」

 

 俺たちの怒りに呼応して、周りの木々が所々に凍っていく。

 温度が劇的に下がり、後ずさる騎士団。

 これを止めたのは、俺の隣に立っていたユーナだった。ユーナは俺に腰に手を回す。

 

「落ち着いて、カケル君。決闘で白黒をつければいい話だよ。その方が穏便に事を済ますことができるから。ね、イレイナさんも」

 

「………………わかった」

 

「………………今回はユーナちゃんに免じて見逃してあげる。……次はないと思って」

 

 徐々に収まっていく吹雪。

 周囲の温度も、徐々に戻ってきていた。

 

「あ、ああ。――クレア・ルージュ、リンスレット・ローレンフロスト。貴様らもそれで構わないか?決闘形式は、そちらで決めるがいい」

 

「……そうね、一対一(ワン・オン・ワン)は面倒ね。三人制(スリーマンセル)でどう?」

 

「いいだろう」

 

 そう言って、踵を返して去っていく騎士団。

 彼女たちの背中を見ながら、クレアが毒づいた。

 

「ふん、後悔させてやるわ!特に、あの髪の短い奴は絶対に許さない!」

 

「いい機会ですわ。騎士団の連中は前から気に入らなかったんですの」

 

「リンスレット、足でまといにはならないでよ」

 

「あら、誰に言っているんですの?」

 

「……お前らな、小屋を破壊した後は決闘騒ぎか?勘弁してくれよ」

 

 カミトは深い溜息を吐いた。

 

「ま、そんなわけだから」

 

 クレアは腰に手を当て、カミトを指差した。

 

「さっそく、あんたの力を見せてもらうわよ、奴隷精霊!」

 

「……オレかよ。カケルとキャンベルがいるじゃんか」

 

「は?あんたバカじゃない。カケルの力は今見たでしょ。あれじゃ決闘にならないわよ。騎士団が蹂躙されるだけよ。それに、ユーナ・キャンベルは部外者」

 

「そうですわね。決闘を見届ける第三者ということでどうでしょうか?証人がいれば、私たちが勝った確実性がでますので」

 

 決闘は、元素精霊界(アストラル・ゼロ)で行うらしい。時刻は、深夜二時に(ゲート)の前に集合だ。

 

「そうね。ナイスアイディアよ、リンスレット。そういうことなので、奴隷精霊、絶対勝つわよ!」

 

 マジか……。と言い、瓦礫の家の前でカミトはうんざりと肩を落とした。

 俺とイレイナ、ユーナは、頑張れと内心で言う事しかできなかった。




もうすぐ戦闘描写だ。
上手くか書けるか、メチャクチャ不安です(-_-;)
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