では、どうぞ。
俺は昨日の騒ぎの後、シャワーを浴びベットで眠りに就いた。数時間休息を取り、目を覚ますと眩しい朝日が斜めに差し込んでいる。
俺は上体を起こし、大きく伸びをした。……てか、今思った。この部屋のベットは一つだけしかなかったような……。
「……まあそうなるよね」
俺の隣には、部屋着姿のユーナが眠っていました。
とにかく、俺は朝の鍛錬をする為女子寮を出る。カミトにも参加してもらいたいが、昨日の今日じゃ体力等は、完全に回復してないだろう。
中庭に出た所で、俺は無詠唱で
ちなみに今の俺は、VネックTシャツに黒の短パンとラフな真っ黒装備である。
「やりますか」
『カケルって、ホントに剣術が好きよね。子供の頃もだったかしら?』
「そうかもな。物心ついた時から、剣を振ってたし。だから、イレイナと契約ができたのかもな」
『そうかしら?私は、将来この子と契約するんだろうなぁ。って想ってたけど』
そんな事を話しながら、素振りをする俺。
それにしても、何故、
――鍛練を始めて数時間後。左右を見回しながら、制服を着たユーナが姿を現す。
ユーナは俺の元まで歩み寄り、
「中庭に居たんだ、探したよ」
「悪いな。いつもの習慣で、素振りをちょっと」
「そうなんだ。見ててもいいかな?」
「楽しいもんじゃないぞ」
野郎が汗を流してるだけだしね。
ユーナが、いいよ。って言ってる事だし、まあいいか。てか、気を利かせてスポーツドリンクとタオルを用意してくれるとか。ユーナさん、嫁スキル高くね?
「そういえばね、カケル君。カミト君が女の子を部屋に連れ込んだ話って知ってる」
「いや、知らんが」
ユーナが言うには、カミトがベットに連れ込んだのは銀髪美少女らしい。
俺が思うに、その美少女の正体は、――――だと思うんだが。
ともあれ、鍛練を終え、部屋でシャワーを浴びてから制服に着替え、入口でユーナと合流し並んで歩き校舎へ向かう。ちなみに、イレイナもアレイシア精霊学院の制服を着て、現実世界に顕現してる。
「よう、カミト」
「ああ、カケルか」
校舎へ向かっている途中で、俺はカミトと遭遇し、ユーナとイレイナはカミトの隣に居た銀髪美少女と先に校舎へ向かった。
カミトは、怪我も大した事なそうだし
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
「あの子の正体が剣の封印精霊、
「オレも驚いたんだ。知らない子が一緒にベットに寝てたんだからな」
「人型精霊は、人間とほぼ同じだしな。解らなくても、当然といったら当然かもな」
「ああ、そっか。イレイナさんは氷結精霊なんだよな」
まあ確かに、イレイナを知らない人が見た場合、その人たちは人間と勘違いするだろう。つっても、俺はイレイナを精霊でもあり、人間でもあるって見てるけど。……何か、矛盾してる気がするが気にしない方向で。
「まあな。自慢の
それにしても、周りから「見て、変態よ……いや、淫獣
ざわざわざわと、と心に響く声が聞こえる。いや、何。俺のハートをブレイクしようとしてるの。……俺、泣いちゃうよ……。マジで泣いちゃうよ……。
「カミトは淫獣なんですか?」
「カケルは、淫獣になるまでの甲斐性はないと思うけどなぁ」
「わ、私は、カケル君が淫獣でも今まで通りだよ……」
更に、俺たちに元へ歩み寄った、精霊と同居人が心を折りにくる。いや、マジで心が痛いです……。
つーか、カミトは後ろから襲われるように、騎士団長様から殺気を当てられていた。ご丁寧に、鞘から抜いた剣が首筋に当てられている。
「か、カゼハヤ・カミト。き、貴様という男は!そのようないたいけな少女を、て、手籠にしてるとは!」
「……あ、あのな。こいつは、俺の契約精霊だよ。て、てか、カケルはいいのかよ?」
おいこら。俺まで巻き込もうとするな。
「あ、アマヤ・カケルの精霊は、そ、そこに立っているイレイナ・アッシュフォードだろう。人型精霊で美少女でも、な、何も問題ないはずだ。――カゼハヤ・カミト!私は、貴様の隣にいるいたいけな少女の事を言っているのだ!」
が、その瞬間。フェーレンガルトの目が驚愕に見開かれた。
首筋に突き付けていた剣が、ぐにゃぐにゃに折れ曲がったからだ。
「な、何だ。これは!?」
「
ファーレンガルトは目を丸くして、折れ曲がった剣を見つめていた。
精霊魔術でも似たような現象を引き起こす事もできるが、銀髪少女のように、指先を動かすやってのけるのは高位精霊しか考えられない。
「なるほど……疑ってすまなかった」
元に戻った剣を収め、ファーレンガルトは謝罪する。
それからは、昨日の決闘の話になり状況を教えてくれた。
決闘に参加していた、ラッカと呼ばれる者とレイシアと呼ばれる者は暫く休養らしい。何でも、カミトたちの
「そうだ、エリス。クレアの居場所を知らないか?」
カミトが、ファーレンガルトにそう聞いた。
「クレア・ルージュなら、まだ部屋に引き籠ってるのではないか?契約精霊を失ったのが、ショックのようだったからな」
「それが、もう部屋に居ないらしいんだ。ファーレンガルトは、クレアの行く場所に心当たりはないか?」
ファーレンガルトは、考え込むように顎に手を当てる。
「そういえば、今日の午後、学園都市で《軍用精霊》の
《軍用精霊》との契約は、要するにスカウトだ。
オルデシア騎士団が強力な《軍用精霊》を提供する代わりに、学院側は学院生を差し出す。
以後は、《軍用精霊》と契約した学院生は軍属とされ、代償として要請があった場合には従わなければならないのだ。
だが、強力な精霊と契約できる機会なので、志願者は多いらしい。確かに、アレイシア精霊学院では、精霊騎士を目指して入学した者も多いのだ。
契約者を決める内容も、当然――
クレアの性格、行動からして――
契約精霊なしで剣舞を舞う。それは自殺行為でしかない。今のクレアには契約精霊が居ないのだ。
「……なあユーナ。式典の場所って何処か解るか?」
「う、うん。確か、学院都市のオンビリ通りを真っ直ぐ行った所だよ」
「……そうか、解った。――イレイナ」
「――いつでもOKよ」
俺たちは、式典へ向かう為走り出した。
カミトも俺と同じ事を思ったのだろう。カミトもエストと呼ばれる精霊の手を引いて走り出している。後ろでは、ファーレンガルトとユーナが何かを叫んでいたが、俺とカミトは気にせず走る。……つっても、責任感が強いユーナは追いかけて来るだろうなぁ……。まあその時はその時だ。てか、彼女の力量からして心配は無用かもしれない。
一巻も、終盤に差し掛かってきましたね。
ではでは、感想お願いします!!