ガンダムブレイカー3 彩渡商店街物語   作:ナタタク

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第16話 忍び寄るライバル

核爆発の光の中に3機は姿を消し、会場は騒然とする。

「よっしゃーー!!これで、優勝は佐成メカニクスのものだー!どうだ、カドマツぅ!」

「いいや…」

「まだだ!」

カドマツとミスターの目はじっと映像に向けられている。

核爆発の光が消えたとき、会場がざわつきはじめ、モチヅキの目が丸くなる。

「んな…んな…そんな、馬鹿なぁーーーー!?!?!?」

爆風が消え、青い光のバリアが見えてくる。

その中心にはバルバトスがいて、アザレア・カスタムと騎士ガンダムも無傷でそのバリアの中にいる。

「た、た、た…耐え抜いたーーーー!!彩渡商店街ガンプラチーム!!アトミック・バズーカの核攻撃を耐え抜きましたーーーー!!」

「くっ…でも、まだ勝負がついたわけじゃないっすよぉ!!」

原作と違って、ラジエーターシールドはより頑丈な出来になっており、まだ両腕のマニピュレーターは動き、

シールドを投げ捨て、2本のビームサーベルを手に、3機に向けて突撃する。

「うおおおお!!!」

太刀を手にしたバルバトスが青いオーラを纏ったまま突撃する。

ビームサーベルと太刀がぶつかり合う。

サイサリスのビームサーベルの出力は最大となっている。

これであれば、たやすく太刀を熱で両断できるはずだったが、青いオーラに包まれた太刀を両断できず、むしろじりじりと追い詰められていく。

「そんな!?サイサリスがパワー負け!?」

「このまま押し切る!!」

「んなこと…認められない!!」

サイサリスがバルカンを発射し、バルバトスの頭部を破壊しようとする。

しかし、青いオーラに銃弾が弾かれていく。

「うおおおおおお!!!」

「姐さん…ごめん…」

そのまま押し切ったバルバトスの太刀でサイサリスが両断される。

地上へ着地すると同時に、真っ二つになったサイサリスが爆散した。

「決まったーーーー!!優勝は彩渡商店街ガンプラチーム!!ミスター、今回の戦い、いかがでしたでしょうか?ミスター、ミスター!!」

ハルが実況する中、ミスターは何も言わずにじっとバルバトスを見ていた。

サングラスによって両目が隠れているせいか、彼の表情が読み取れない。

「ミスター!!」

「ん…?ああ、すまない。年甲斐もなく感激してしまった…。いや、見事!!見事だったぞ!!佐成メカニクスのまさかの隠し玉!そして彩渡商店街ガンプラチームの連携!どちらもジャパンカップに出てもおかしくない!!」

「ミスターからのお墨付きをいただきました!優勝した彩渡商店街ガンプラチームのジャパンカップでの活躍をみなさん、ご期待下さーーい!」

 

そして、その日の夜…。

「それではー、リージョンカップ優勝を祝って…カンパーイ!」

「「カンパーイ!!」」

ミヤコの店で、勇太たちが乾杯し、ジャパンカップ出場権獲得のお祝いを始める。

カドマツを含むいつもの面々が店を貸し切り、飲み食いしているが、その中にはなぜか見慣れないメンツが2人いる。

「カンパーイって、なんで私らまで乾杯してんだ、馬鹿!?」

「ただ酒飲ませてもらって何が不満なんだよ?」

「そうっすよー、姐さん。せっかくなんだから楽しんでやりましょうよー」

すっかりこの空気になじんだウルチがマチオについでもらったビールをもう3杯も飲んでいる。

顔が若干赤くなっており、もっともっととマチオに空っぽになったグラスを出す。

「私のはジュースだ、飲めるか!!」

モチヅキのグラスに入っているのは酒ではなく、ただのオレンジジュースだ。

ミヤコに未成年と誤解され、アルコールを出してもらえなかったのだ。

実を言うと、2人は試合終了後、無理やりカドマツにここまで連れてこられたのだ。

宴会の代金は払わなくていいとのことだが、裏があるということは確信していた。

しかし、タダで飲めるのならどこでもいいとウルチが勝手に承諾してしまったため、こうしてここに来ている。

「いやー、さすがに未成年にはちょっと…」

「あの、ユウイチさん。モチヅキさん、これでもカドマツさんと同年代なんですよ」

「これでもってなんだぁ!これでもって!!」

「え…嘘!?本当に!?」

「悪いか!どうせ見た目は小学生だよぉ!カドマツ、酒よこせぇ!」

カドマツのそばにあるビーム瓶を奪い取ったモチヅキは瓶のままビールを飲み始める。

「ちょっと、一気飲みはダメだって!」

「あいつ…相当ストレスためてんだな」

こうして立て続けに見た目のことでいじられたモチヅキがこうしてやけ酒を飲みたくなるのは分かる気がした。

といっても、居酒屋へ行っても小学生と誤解されて追い出され、結果としてウルチに買ってこさせた酒を飲んでストレスを発散させている。

飲み終えたモチヅキの顔は真っ赤に染まっていた。

「ねえねえ、私にも若作りの秘訣を教えて!」

目を輝かせながらミヤコがモチヅキに迫る。

ミヤコにとって、モチヅキのその小学生のような若さを三十路になっても維持できていることがとてもうらやましかった。

そのせいで本人がどれだけ苦労しているのかを知らずに。

「作ってんじゃねーよ!!いいからおかわりのビーム持ってきやがれぇーーー!!」

顔を真っ赤にして激怒するモチヅキの火の粉がこちらに及ぶのを恐れた勇太は離れたところに避難し、そこでコーラをチビチビと飲み始める。

「まったく、カドマツさん…どうしてこの人たちまでここへ…」

「勇太君、今日はありがとね」

唐揚げやサラダを持ってきたミサが勇太の隣に座り、そこでオレンジジュースを飲み始める。

「ん…ミサちゃん。偶然だよ。おんなじことをもう1度やれって言われてももう…」

勇太は核爆発からミサ達を守ったときのことを思い出す。

その時はミサとロボ太を守りたいという思いでいっぱいで、爆発を抑えたいと彼らの前で核の白い光に向けて手をかざしていた。

そして、その間にあの青い光のバリアが生まれて、3人は核爆発から逃れることができた。

「そういうことじゃないってぇ。私を励ましてくれた時」

「え…?ああ…。それ以外に思いつかなくってさ…」

「ってことは、勇太君ってガンプラバカなんだね」

「バカって…なんだか馬鹿にされてる感じが…」

「褒め言葉だよ、褒め言葉。気分を悪くさせちゃってごめんね?」

笑顔を見せるミサは空っぽになったコップを置き、いきなり勇太の腕にしがみついてくる。

「ちょ…ミサちゃん!?」

貧乳であるため、女の子の柔らかい感触がわずかしか伝わらないものの、異性からこのようなことをされた経験のない草食系の勇太にとっては十分威力があり、彼の顔が真っ赤になっている。

よく見ると、ミサの顔も赤くなっており、鼻にはモチヅキやマチオらから感じるような変なにおいが入ってくる。

「ミ、ミサちゃん…もしかして…お酒、飲んじゃった!?」

「えー?お酒なんへ飲んれないよー…」

ろれつが回らず、スリスリと勇太にほおずりを始めてくる。

最初にチームを組むと言ったときは思いっきり抱き着いてきたのを覚えているが、彼女があんな大胆なことをしてきたのはその時だけだ。

(た、た…助けて!!カドマツさん、ユウイチさん、マチオさん、ミヤコさん、ロボ太!!)

心の中で大人たちとトイボットに助けを求めるが、彼らは大人の会話に夢中で、モチヅキは酔ったせいかぐっすりと眠っており、飲むのに飽きたウルチは料理に夢中になっている。

「勇太くーん…」

「え…?」

勇太の目の前に来て、両足を彼の背中に伸ばして逃げられなくしたミサは目を閉じる。

「え…ミ、ミサちゃん、何を…??」

「キス…して?」

「はぁ!?」

「チューしてー…いいれしょー…」

「あ、いや、ちょっと!?まだ僕たち、恋人同士じゃ…」

酔った勢いでキスを迫ってくるミサにすっかり勇太は気圧されている。

そこにはミサ達をピンチから何度も救ったエースの姿がなかった。

ゆっくりと顔を近づけてくるミサから逃れられず、顔を真っ赤にした勇太は目を閉じる。

しかし、いくら待っても柔らかな感触が襲い掛かることはなかった。

「あ、あれ…??」

目を開けると、ミサは勇太の肩に頭を置いた状態で眠ってしまっていた。

「おーおー、最近の子供ってのは大胆なんだなー」

「本当ね。もしかしてって思ったけど…」

「ええ、あ…その、僕は…いや、僕たちは!!カドマツさーん!!」

涙目になり、チームメイトであるカドマツに救いを求める。

彼なら自分たちは恋人同士じゃないことを説明できると信じた。

だが、カドマツは2人を見て、まるでいいおもちゃを見つけたぞって思っているかのようなニヤケた表情を見せている。

「おー、こいつは将来が楽しみだ。ユウイチさん、いいんじゃないですか?」

「そうだなぁ。彼になら僕のガンプラコレクションを…。いやぁー、あのミサに春が来るなんて…」

「カドマツさぁーーん!!!」

ホワイトベースからマチルダの死を悼んだアムロのような声がミヤコの店中に響き渡った。

 

「以上がタイムズユニバース百貨店各店舗の売り上げ収支です」

高層ビルの最上階にある広い部屋に入ってきた、黒いロングヘアーで黒いメイド服を着た日系アメリカ人の女性が白いTシャツと灰色のチョッキ、黒いスリムパンツを履いた金髪で青い瞳の少年に報告する。

メイドからUSBメモリを受け取った少年はすぐに自分のそばにあるノートパソコンを立ち上げ、USBメモリをさしてパスワードを入力する。

すると、Excelで作られた各店舗の収支データが表示され、マウスを動かしながら確認していく。

「ありがとう、ドロシー。ところで…あんまり売り上げが伸びていないところがあったけど…」

「はい。彩渡駅前店ですよ。ウィル坊ちゃま」

「彩渡駅前か…」

ウィルの脳裏に彩渡商店街という名前が浮かぶ。

日本のガンプラバトル選手権については、ニューヨークでも話題となっており、自分がよく読んでいるニュース雑誌にもたまにそれに関する記事が載ることがある。

たとえ興味がないとしても、こういう形で勝手に入ってきてしまうのだ。

数日前に購入した雑誌にそのような名前のチームがあったことをウィルは思い出した。

「時代に取り残された古臭い商店街をもう1度発展させるために作ったチームが確か…。けなげなことだ」

ウィルは外資企業タイムズユニバースのCEOを19歳という若さで務めている。

3年前に父親が病死し、後継者としてまつりあげられた。

元々、高校に行かずに経営学や帝王学などの会社経営に関するノウハウを父親に現場に連れていかれたり、知り合いの大企業の実力者から学ぶことで経営者としての才能を磨き続けており、最初は若造と馬鹿にしていた社員たちからの信頼を勝ち取っている。

なお、ドロシーは同い年で、小さいころから知り合った関係だ。

「責任者によりますと、その商店街の宣伝戦略が効果を上げているとのことです」

ドロシーはそれを証明するため、最近の彩渡商店街の利用者数や売り上げ予測の統計が書かれた書類をウィルに見せる。

確かに、タウンカップ優勝を果たしてからは、少しずつ利用者数が増えてきており、売り上げもそれに合わせて伸びてきている。

このまま勝ち進み、宣伝効果が高まると、彩渡駅前店にとっては厄介な存在になる。

「ガンプラバトル…」

ウィルは舌打ちしつつ、そのことが机の中にしまっている、それについて書かれた雑誌を手にし、ゴミ箱に投げ捨てた。

「ドロシー、日本行のチケットと滞在先の確保を」

「…」

「ドロシー?」

まさか、と思い、腕時計を見つつ、カクカクと顔をドロシーに向ける。

ドロシーはどこから出したのか、ドーナッツをあろうことか雇い主の前で平気で食べている。

「申し訳ありませんが、本日の勤務時間は数分前に終了しました」

彼女は残業はしない主義であり、定時になるとこうしてプライベートの時間を過ごし始めるか、帰宅してしまう。

数分ぐらいいいだろうと文句を言いたくなるのだが、彼女の仕事は的確で優秀であるため、ここは目をつぶらざるを得ない。

「残業代、出すからさ」

「お茶入れますね。いつ出発なさいますか」

ドーナッツをしまったドロシーはティーカップに紅茶をいれ、ウィルに差し出す。

スケジュール表を見始めたウィルはゆっくりと紅茶を飲み始める。

「今すぐだ」

「なるはや…すぐ手配いたします」

お辞儀をしたドロシーは空港に交渉をするため、席を外した。

ドロシーを見送ったウィルは重役たちにメールを送り、不在中の指示をある程度出しておいた後で、自社の保有株式の情報を確認する。

その中でも、スリーエスの株式に関しては既に6割以上を保有しており、支配株主としてその企業は完全にタイムズユニバースの子会社化している。

「さて…汚いビジネスに手を染めた無様な大人には報いを受けてもらおうか。世界を浄化するために…」

ノートパソコンからピロリンと音が鳴り、1件のメールが入ってくる。

セキュリティソフトでチェックをした後で開き、中身を見たウィルは笑みを浮かべる。

「そうだ…。これでいい。これでこの企業を浄化できる」

 




機体名:騎士ガンダム
形式番号:ASGT-02SD
使用プレイヤー:ロボ太
使用パーツ
射撃武器:なし
格闘武器:電磁スピア(ビームガン、パイルバンカー内臓)orナイトソード
シールド:ナイトシールド
頭部:騎士ガンダム
胴体:騎士ガンダム
バックパック:騎士ガンダム
腕:騎士ガンダム
足:騎士ガンダム

カドマツがロボ太用に用意した騎士ガンダム。
見た目は普通の騎士ガンダムと変化はないものの、勇太とミサの手直しにより、反応速度や機動性を中心に高まっている。
射撃武器はないものの、主力武器の電磁スピアにはビームガンとパイルバンカーを内蔵しており、ナイトシールドについてはトランスフェイズシフト装甲製となっている。
なお、ロボ太はSDガンダム以外のガンプラの操縦ができず、SDガンダムでの参加そのものがかなり少数であるため、珍しさから話題となることが多い。
バトルではフロントアタッカーを務めることが多い。
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