「ほぇー、これがバルバトスの新装備かぁ…」
アザレアのカメラに映るバルバトスの姿を見たミサが興味津々にバックパックに装着されているテイルブレードを見る。
見た目はバルバトスルプスレクスに装備されているテイルブレードと変わりないものの、勇太曰く、接続しているのはワイヤーではなく、ケーブルになっているとのこと。
「まさか、実戦テストがこんな形になるとは思わなかったけどね」
「それにしても、何とまがまがしい空間だ。これも…ウイルスの仕業か?」
ロボ太は周囲に浮かぶ紫色のキューブの塊を見て、血のような赤にそまったサイバー空間に身震いを覚える。
ここはインフォのメモリの内部で、シミュレーターを使って勇太たちはその中に侵入している。
「あのキューブがインフォの中のウイルスだ。こいつらを今から倒せるようにしてやる。ウイルスバスティングの時間だ」
「カドマツさん、別のアニメを始める気ですか?」
某ネットナビと小学生がWで主人公を務める番組を思い出していると、カドマツに手が加えられたキューブが姿を変えていき、紫色の装甲のガフランに変化する。
「ガンプラになった!!」
「ということは、ガンプラバトルでそのままウイルス除去ができると…?」
「そういうことだ。お前らのガンプラにはワクチンプログラムを入れてある。これでウイルスを退治していって、奥へ進んでくれ」
ガフランの1機が勇太たちの姿を見つけ、両手のビームサーベルを展開して突進してくる。
「そうとわかれば…!!」
勇太はバックパックにマウントされているビームショットガンを手にし、突進するガフランに向けて発砲する。
胴体を撃ち抜かれたガフランは青い光を放って消滅する。
「よし、ワクチンプログラムに問題はないようだな。あとはコアプログラムを探して、破壊しろ。そうしなきゃ、いつまでもウイルスが増殖する」
「了解。同胞を助けるために、頑張ろう!」
トイボット、ワークボットの違いがある物の、同じロボットであるインフォはロボ太にとっては初めてのロボット友達だ。
そんな彼女を救いたいという想いが強いのか、ロボ太が積極的に前へ出始める。
「あ、ロボ太!前へ出過ぎ!!」
「仕方ない…サポートに入ろう!」
「了解!!」
破砕砲では加減が効かな過ぎることから、勇太はさっそくバルバトスのテイルブレードを伸ばす。
バルバトスのセンサーにはガフラン2機とマスターガンダム1機、更にはデスアーミー4機の反応があり、いずれも接近してくるロボ太に注目している。
「いけ、テイルブレード!」
牽制のためにビームショットガンを連発しつつ、テイルブレードを操作し、前へ進んでいく。
側面から飛んでくるビームにいち早く気づいたマスターガンダムがマスタークロスを回転させ、それをビームシールド代わりにして防御するが、そのあとで飛んでくるテイルブレードがビームシールドを突破し、そのガンプラを串刺しにした。
マスターガンダムを貫通した後、ブレードが二又の刃のような形に展開し、そこからビームが発射された。
その形はドレッドノートガンダムやXアストレイに装備されているプリスティスに似たものだ。
「へえ、ファングみたいに遠近両用にしたんだねー。でも、さすがに今まで自分に尻尾がなかったのが不思議には思わないよね?」
「まあね。僕は三日月・オーガスじゃないから」
苦笑しつつ、テイルブレードを元に戻す。
ケーブルを長時間露出し、攻撃対象になるのを避けるためだ。
右手に握っている超大型メイスをビームを撃ってくるバクトに向けて突きたてる。
超大型メイスに対して、重装甲型のバクトのビームは通用せず、おまけにガンダムAGE-1のドッズライフルを凌いだ電磁装甲も巨大な質量のそれには意味をなさない。
胴体が粉砕され、頭の四肢だけが原形をとどめていた。
背後から攻撃しようとしたゲイツも射出されたテイルブレードで貫かれた。
「こうなったら私も…負けてられない!!」
フラッシュバンを発射し、閃光によって敵ウイルスの視界を封じ込め、マイクロミサイルランチャーとミサイルポットを撃つ。
ミサイルの雨がフルアーマー騎士ガンダムの周辺のガフランやデスアーミーを撃破していき、彼の障害をつぶしていく。
上空からやってきた紫色のGN-XのビームライフルはGNフィールドを展開して防御していく。
「甘く見ないでよー…ヴァーチェのGNフィールドは堅いんだから!!」
フィールド展開中も、GNキャノンのチャージが可能となっており、チャージ完了と同時にGNフィールドが解除される。
そして、発射された高出力のビームの中に3機のGN-Xは消滅していった。
「うおおおお!!インフォ殿から出ていけ、薄汚いウイルス共!」
バルバトスとアザレアの戦いを見て、より火が付いたのか、フルアーマー騎士ガンダムはダナジンやドラド、ゲイツの集団を前に切った張ったの大立ち回りを披露する。
力の盾がビームを防ぎ、炎の剣を振ることで生み出される炎の鎌鼬が敵ウイルスを両断する。
長距離からビームを撃ってくるレガンナーに対しては接近しつつ、背中にマウントしている電磁スピアのビームガンで牽制する。
レガンナーの細長い両足に小型のビームが次々と着弾し、ついにそのうちの1本が砕け散り、1000トン近い体を転倒させる。
「ウイルスであるならば…爆発の心配もあるまい!」
レガンナーに搭載されている大型ジェネレーターの存在とそれの爆発による周囲への被害への考慮はガンプラバトルでは必要だが、ウイルスとの戦いでは必要ない。
これまで撃破したウイルスは爆発せず、青い光を放って消滅するだけだったからだ。
ロボ太はためらいなく電磁スピアを突き立て、レガンナーを消滅させた。
「さっすがロボ太!!うわっと!!何あれ!?」
壁に貼り付けられるように設置されたビッグガンやトーチカから発射されるビームをGNフィールドが受け止める。
トーチカのビームならともかく、ビッグガンから発射されるビームについては強い衝撃がコックピットを襲い、火力の違いを思い知ることになる。
ノートパソコンでメモリ空間の状況を確認したカドマツもこれらの存在を見ていた。
「あれは元々インストールされてたセキュリティソフトだな。ウイルスに乗っ取られちまってたか」
「破壊しても構わないんですか?」
「ウイルスバスティングが終わったら、すぐに最新のセキュリティソフトを入れることができる。かまわず破壊してくれ」
「了解!」
超大型メイスをその場に置き、ガーベラ・ストレートとタイガー・ピアスの2本をもって、まずはGNフィールドを破る可能性のあるビッグガンに接近する。
ご丁寧なことに、ビッグガンにはそれを操作するザクⅡ(サンダーボルト版)の姿があり、そのウイルスがトリガーを引くたびにビームが一直線で飛んでくる。
「まっすぐな攻撃なら、軸さえずらせば!!」
あらかじめ、コースが決まっているのであれば、ましてやまっすぐにしか撃てないのであれば対策は難しくない。
フルアーマー騎士ガンダムやアザレアに命中すると思われるビームは2本の刀で受け止めて防御し、それ以外は左右にずれて回避していく。
そして、肉薄したビッグガンをザクⅡごと2本の刀で切り裂き、撃破する。
ビッグガンが1基破壊されたことで、接近してくるバルバトスを脅威と認識し、ほかのトーチカとビッグガンが照準を変えようと一時的に攻撃の手を緩める。
「攻撃が止んだ、今なら!!」
「沈黙させる!!」
そのわずかな隙を突く形で、アザレアのビームマシンガンがトーチカをスクラップに変えていき、フルアーマー騎士ガンダムの炎の剣がビッグガンとそれを操るリック・ドム(サンダーボルト版)を真っ二つにした。
「なんだか楽しいね、ガンプラバトルでウイルスを除去するのって!」
周囲のウイルスを掃討し、周囲を警戒しながら前進する中で、ミサは高揚感を覚える。
インフォにとっては一大事で、場違いな感情であることは分かっているが、それでもバトルが楽しくて仕方がなかった。
それが人助けにつながるのであれば、なおさらそうだ。
「これから、ウイルスをガンプラバトルで倒せる時代が来るかなー?」
「かもなー。でも、今その時代になるのは勘弁してくれよ。こっちはウイルスとお前らの調整で忙しいんだ」
ノートパソコンで彼らの動きを見つつ、ウイルスデータをバトルで除去できるように調整するのはコンピュータの知識があるカドマツ1人でやっており、それがインフォのメモリ空間だけ侵食しているため、今回はどうにかなっている。
仮に大型コンピュータなどになったら、さすがのカドマツでも助けを借りないとこうした環境を整えることができない。
また、ウイルスの除去がうまくいっているのは勇太とミサ、ロボ太といったバトルの実力がある彼らだからできることだ。
普通のファイターでは、ウイルスに駆逐されてしまうのがオチだ。
「カドマツさん、コアユニットらしく物体を見つけました!」
「おお、勇太。バルバトスのカメラを見る」
勇太からの通信を受けたカドマツは映像をバルバトスのカメラのものに切り替える。
映像の中央には薄紫のバリアに覆われた、巨大なキューブが回転しながら配置しており、それを守るために作られたのか、4機のガンダムヘッドがいて、その口からデスアーミーやデスバッドなどが大量に出てくる。
「うわあ…まるでデビルガンダムコロニーへ行ってるときみたい…」
「デビルガンダムが出たら、余計それっぽくなるよ」
「無駄口を叩いている場合ではない!来るぞ、ミサ!主殿!」
デビルガンダムが生み出した下僕、デスアーミー達の特徴は常に大軍で動き、自らの身を顧みない突撃だ。
早い段階で、一気にたくさん撃破しないと、逆にこちらが不利になってしまう。
「だったら、これを!!」
「勇太君、こっちも!」
破砕砲の照準をガンダムヘッドに合わせる。
GNバズーカもデスアーミーの大軍を薙ぎ払えるよう、既にチャージを始めている。
「いけえ!!」
「うおりゃあ!!」
破砕砲から発射される弾丸がガンダムヘッドの頭部を吹き飛ばし、青い光に変えていく。
そして、アザレアはGNバズーカでただひたすらこちらにむけて全身を続けるデスアーミー達を焼き尽くしていく。
「「ロボ太!!」」
「うおおおおお!!!」
ガンダムヘッドの1機とデスアーミーの多くが撃破されたことでできた道をフルアーマー騎士ガンダムはケンタウロス形態となって、コアプログラムに向けて全力疾走する。
彼の存在に気づき、主であるコアプログラムを守ろうと上空のデスバットが金棒型ビームライフルを連射するが、ケンタウロス形態となり、スピードの上がった彼に当てることができない。
「くらええええ!!」
一太刀でバリアごとコアプログラムを破壊せんと、炎の剣に力を籠める。
ロボ太の闘志を現すように、炎の勢いが増し、バルジを真っ二つに切り裂いたガンダムエピオンのハイパービームソードに匹敵する炎の刀身を手にする。
「うおおおお!!」喰らえ、縦一文字斬りぃ!!」
フルアーマー騎士ガンダムが飛び上がり、炎の剣を縦に振る下す。
モーションは単純だが、相手は動けないコアプログラムであるため大した問題ではないと思っていた。
だが、コアプログラムから赤と黄のビームが飛んできて、胴体に命中したフルアーマー騎士ガンダムが大きく吹き飛ばされる。
「ロボ太!?」
「大丈夫だ、霞の鎧のおかげで、軽傷で済んだ。だが…!!」
「デスアーミー、ガンダムヘッド…となると、出てくるよね…」
破砕砲を今度はコアプログラムに向けて発射するが、今度は紫色に光るモビルスーツのマニピュレーターが出てきて、高速で飛んでくる弾丸を受け止め、そのまま握りつぶした。
破砕砲の威力がかなりのものであったためか、握りつぶした後のその手からは煙が発生し、装甲が壊れて内部パーツが露出している。
しかし、その損傷も徐々に修復されていった。
もはや、正体を隠す必要はないと判断したのか、コアプログラムのバリアが消え、大型化した後で徐々にその姿を変えていく。
「どういうことだ!?」
「カドマツさん、どうしたんですか!?」
「コアプログラムをガンプラに変換できなかったのに、あいつ…勝手に!!」
コアプログラムはバリアがあるせいか、カドマツはそれをガンプラに変えることができなかった。
しかし、無理にガンプラに変換する必要がなく、そのまま放置していた。
ガンプラに変換させる際に入れるプログラムによって、ウイルスがインフォの全プログラムに侵食するのではなく、ワクチンプログラムとなったバルバトス達の破壊を優先させるように仕向けることができるが、その場で動かないコアプログラムにそのようなことをしても意味がない。
コアプログラムを破壊すれば、ウイルスはこれ以上増殖しないことから、このままの状態で破壊すればいいと思ったが、それはカドマツが想像していた以上に厄介な存在だったようだ。
100メートル以上の大きさを誇る、4機のモビルファイターがDG細胞で融合したようないびつなモビルファイター。
「グランドマスターガンダム…」
目の前に現れた脅威の名前を勇太はつぶやいた。
武器名:テイルブレード(バルバトス・レーヴァテイン版)
バルバトス・レーヴァテインのバックパックに新たに装備されたケーブル付ブレード。
元となったパーツはガンダムバルバトスルプスレクスのテイルブレードと同じく、ハシュマルの超硬ワイヤーブレードだが、勇太の手によって、ワイヤーはエネルギー供給のためのケーブルに変更され、ブレード部にはビーム砲への変形機構やドリルのように回転できるプログラム、そしてケーブルを失っても操作及び再回収が可能になるよう改造が施されている。
これにより、プリスティスやファングに近い性質を持つオールレンジ攻撃兵装へと変貌と遂げた。
こうなったのはバルバトス・レーヴァテインの武器のほとんどが実弾で、フェイズシフト装甲を施したガンプラへの対抗手段が限られていること、そして勇太自身が覚醒の特訓がうまくいっていないことから、それの息抜きをするためであることが大きい。
なお、バックパックのベースはバルバトスルプスのものと同じであるため、バックパックのサブアームや武装の懸架はこれまで通り使うことができる。