「ああー…ようやく補給ができて、助かったぜ」
ジャングルの中にある地球連邦軍のキャンプで弾薬の補給を行う青いムラサメのパイロットがコックピット内で背伸びをする。
そばには同じチームのフォビドゥンとドムットリアも補給を受けており、演出としてか陸戦型ガンダムや陸戦型ジムも待機している。
密林が自分たちの姿を隠してくれており、敵の反応もないため、すっかり安心している様子だ。
「なぁ、次はどこへ行く?」
「今度は西へ移動だな。とにかく、戦いは避け続けないとな」
この予選はどんな手段を取ったとしても、とにかく1時間生き残ることが唯一無二のクリア条件だ。
彼のチームは徹底的に敵を避けることで生き延びてきた。
何度かCPUの敵機と遭遇することはあったものの、敵チームと遭遇することはなかった。
「にしても、少しは戦っとかないとなまって…!?」
ドムットリアのセンサーが巨大な熱源を感知し、急いでヘリコプター形態のまま飛行を始める。
「おい、どうした!?」
「な…んだよこれ!?こんなの聞いて…!!」
呆然とするドムットリアを大出力のビームが撃ち抜き、爆散させる。
その時にようやく、2機のセンサーもドムットリアが感知した熱源を感知していた。
「こんなでかい熱源…どうして気づけなかったんだ!?」
拾った反応は戦艦以上のレベルの熱源であり、これほどのものであればもっと遠くからでも感知できるはずだった。
ジャミング機能がついているのか、それともこちらの作りこみが甘いのか、反応を拾うのを遅れ、おまけに一番センサーの反応が良かったドムットリアが撃墜されたことを悔やむ。
だが、熱源を感知できただけで、まだその正体がわからない。
補給を中断した2機は離陸して、ジャングルの上からその正体を知る。
「こいつは…!?」
「そんなの…聞いてないぞーーーー!!」
バキバキと容赦なく熱帯雨林をつぶしていく4輪の巨大タイヤ。
茶色い無骨な色彩で、大型メガ粒子砲8門に対空ビーム砲35門というぜいたくな火力を持つその戦艦が一直線にこちらへ迫っている。
フォビドゥンは誘導プラズマビームを、ムラサメはF91のビームランチャーを発射する。
タイヤの強度のことを考えているのか、いずれのビームもまっずぐブリッジに向かって飛んでいた。
しかし、ブリッジに直撃したにもかかわらず、スケールの大きさがそのまま防御力にも反映されているのか、無傷だった。
「化け物戦艦がぁ!!」
「待て!!」
ゼロ距離から直接ビームを撃ちこもうと、フォビドゥンが仲間の制止を聞かずに突っ込んでいく。
止めようとするムラサメだが、主砲で胸部を撃ち抜かれ、撃墜されてしまった。
飛んでくるビームをゲシュマイディッヒ・パンツァーで弾いていくが、火力が段違いで、何度も激しい衝撃がコックピットを襲う。
戦艦の主砲レベルの火力を次々と歪曲させていく以上、新型大容量ジェネレーターとトランスフェイズ装甲で燃費問題が改良されたはずのフォビドゥンのバッテリーがどんどん減っていく。
ついにはバッテリー残量がゼロになり、ゲシュマイディッヒ・パンツァーが対空ビームで撃ち抜かれて破壊される。
更に主砲で片腕をえぐり取られ、ダメージを受けすぎたためにシステムトラブルが起きたのか、地上へ落下してしまう。
「う、動け!!この…ああ!!」
モニターに巨大なタイヤが近づいていて、その質量の大きさにパイロットは戦慄する。
その状況に、彼は『Vガンダム』で登場したリガ・ミリティアの女性メカニック、ミズホ・ミネガンの最期を思い出す。
彼女と同じ撃墜のされ方で脱落するのかと皮肉交じりに笑う中、フォビドゥンは巨大タイヤに踏みつぶされていった。
「よし…ザムス・ガルはつぶした。これでバグは出てこないはず」
超大型メイスを片手に、月面からブリッジがつぶれて墜落を始めるザムス・ガルを見ながら、勇太はミサとロボ太と通信をはじめ、コックピットの備品入れに入っていたビニールの水筒から給水を始める。
VRが現実ではないと認識できたとしても、体全体がそれを理解できているわけではない。
喉が渇いたりおなかがすいたりすることもあり、それ故に現実世界と同じく飲食をしている。
なお、VR空間ではいくら飲食しても太らないうえに味がきちんと再現されるということから、オンラインゲームを中心にスイーツや料理が女性プレイヤーの注目の的になっているらしい。
「良かったぁ。でも、なんで月のバグがいるの!?」
「ラフレシア・プロジェクトでは、フロンティアサイドの後で月や地球にもバグを放出する計画があったから…多分、それが理由だと思うよ」
「人を殺すだけの無人機…仮に子供の玩具に擬態して使われていたとしたら、より醜悪だな…」
周囲に散らばるバグの残骸を見るロボ太はそのようなプロジェクトを考えた鉄仮面、カロッゾ・ロナに恐怖した。
G3ガスを使ったコロニー住民への虐殺、コロニー落としなど、ガンダムシリーズではこうした虐殺行為の描写が多い。
だが、無人機による殺戮の代表格としてはこのバグの印象が強い。
最も、ガンダムバトルシミュレーターではバグが人を殺すようなことはせず、ただモビルスーツを攻撃するだけにとどまる分マシだ。
「けど、これでここも静かに…うん??」
「ただいま、東南アジアのジャングルに巨大アドラステアが登場しました!これを撃破し、地球クリーン作戦を止めるか、それとも交戦を避けて生き延びるか、それは各チーム次第です!予選終了まで残り15分です!」
オープンチャンネルでハルの声がコックピットに聞こえてくる。
同時にモニターにはアドラステアが北へ走っていく姿が映っていた。
「うえええ!?アドラステアってこんなに大きかったっけ!?5倍以上大きいよ!?」
「まさかこれって…48分の1スケール!?そんなアドラステアがあるなんて…!これは?」
映像をよく見ると、そこにはサクラが乗っていると思われるブリッツをはじめとした数機のガンプラの姿があり、彼女らはアドラステアを止めようと動いていた。
中にはリガ・ミリティアが行ったように、機能停止したCPUのガンプラを核爆発させるという手段を見せる機体もあった。
だが、それでもスケールの違いを覆すことができず、満足にダメージを与えることもままならない。
「ま、まさか…月までこれって来ないよねぇ…?」
「いや、あり得るかもしれない…」
アドラステアをはじめとしたモトラッド艦は地球クリーン作戦が地球連邦軍とザンスカール帝国の停戦協定によって中止とされた後、地球から引き上げたことは知っている。
だが、問題はどのようにして宇宙へ戻ったかだ。
停戦協定からエンジェル・ハイロゥ攻防戦が始まるまでのおよそ2週間で。
考えられることがあるとしたら、モトラッド艦に大気圏離脱能力もあることだ。
機体先端に展開されるビームシールドの出力を高め、機体全体を防御した状態であれば難しくない。
実際に、『機動戦士クロスボーン・ガンダム』でキンケドゥ・ナウやトビア・アロナクスなどの地球にいたクロスボーン・バンガードのモビルスーツ部隊はバックパックに大型のミサイルを取り付け、ビームシールドで防御しながら垂直方向で大気圏離脱を成功させている。
「そうなったら危ない…急いで合流しよう!」
勇太は月面にあるマスドライバー基地に進路を向け、スラスターを全開にして移動を開始する。
「ちょっと、勇太君!…もう、本当は戦いたいだけなんじゃないの!?…あ…」
勇太の本音がそれだと叫んだミサだが、ここでチームの勝利を優先するはずの勇太がそのような選択をしたことに驚きを感じた。
もしかしたら、これまでの戦いで勇太にもまた変化が起ころうとしているのかもしれない。
あたかも、ダブルオーライザーに乗り続けてイノベイターへと革新を果たした刹那・F・セイエイのように。
「…もう、しょうがないなぁ。遅れないようにしないとね。ロボ太!」
「承知!おそらく、マスドライバー基地には降下船もあるはずだ」
「くぅ…!モトラッド艦なんてものを出すたぁ…運営の奴ら、何考えとるんや!?」
メガビームランチャーすら、堅牢な装甲で受け止めてしまうアドラステアの装甲にホウスケは舌打ちする。
遠慮なしにビームを発射しながら一直線に進むその暴君によって、複数のチームがすでに脱落している。
おまけにモトラッド艦にもVガンダム時代のモビルスーツの標準な動力源であるミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉が搭載されており、ビームが直撃すると核爆発するというとんでもない設定がある。
長きにわたるモビルスーツとともに進化した核融合炉の高すぎる出力の代償といえるかもしれない。
水爆とは違い、核融合炉は重水素とヘリウム3を強力なレーザーで融合させてエネルギーを生み出すシステムになっているため、爆発したとしても放射能の発生はわずかにとどまる。
だが、それでもモビルスーツの核爆発1回でサイド7やインダストリアル7の外壁に大穴が開くほどの破壊力で、モトラッド艦の場合は下手に破壊してしまうとそれ以上の爆発を起こすことになる。
核爆発を起こさせることなく行動不能にするためには、艦橋をつぶす、もしくは横転させて行動不能にするのが妥当だ。
VR空間であるため、放射能の心配はないが、それでも撃破したけれども撃破したアドラステアの核爆発に巻き込まれて脱落ではシャレにならない。
「いざとなれば、勇太がやったように…」
東京でのリージョンカップ決勝戦の映像はサクラも見ており、勇太が覚醒でミサ達をアトミックバズーカによる核爆発から守ったことは知っている。
それを応用して、覚醒エネルギーで爆発を抑え込むことがもしかしたらできるかもしれない。
「そのためにもまずは!!」
インパクドダガーを投擲し、ハリネズミのようにアドラステアの周囲を覆う対空ビーム砲の一部をつぶして火力を少しでも減退させる。
「ケイコ!何かいい武器ないんか!?」
「ありますよ!これを!」
コンテナからメイスを取り出したケイコはホウスケに投げ渡す。
よりによって、以前戦ったバルバトスの主力武器かよと舌打ちするものの、今は選り好みしていられない。
メイスを受け取ると、それで車輪についている砲台を1つ叩き潰した。
だが、やはり砲台もスケールの違い故に頑丈なのか、メイスを見るとひびが入っており、何度も攻撃できるか疑問だ。
「まずいわね…あと少ししたら海だわ…」
アドラステアの進む先には東シナ海があり、そこからは当然海に潜って進むつもりだろう。
水中に入られるとビームが減衰し、余計に攻撃手段が限られてしまう。
おまけに、ほとんどのガンプラには水中戦用の装備がない。
水中に入られた以上はそのまま放置して、逃げてしまえばよいのだが、今の彼らにはそのような選択肢はなかった。
そんな中、急にアドラステアの主砲が何もないはずの上空に向けられ、メガ粒子砲が発射される。
「あれって…降下船!?」
「アドラステアに突っ込んどる!?」
案の定、メガ粒子砲で撃ち抜かれた降下船は爆散する。
しかし、別方向から飛んできた質量弾がアドラステアの側面に直撃する。
あまりの威力に一瞬傾きかけたアドラステアだが、あっという間に制御を取り戻した。
「あの破壊力の弾丸…まさか、勇太!?」
「破砕砲が効かないか…!」
密林の中で超大型メイスを地面に突き刺し、破砕砲を発射していた勇太は健在な姿を見せるアドラステアに驚きを見せる。
メガ粒子砲が発射される前に、既に勇太たちは降下船から降りており、それをダミーとして利用していた。
「勇太!まさか…このアドラステアを倒しに…?」
「それ以外に…何か理由はある!?」
破砕砲による攻撃をあきらめたのか、超大型メイスを構えたバルバトスがアドラステアに向けて接近する。
対艦武器の側面もある超大型メイスの質量攻撃であれば、スケールの違うアドラステアでもただでは済まないはず。
だが、対空ビーム砲の弾幕が激しく、簡単に近づくことができない。
「勇太君!アドラステアの視界をふさぐよ!」
「了解!!」
ミサがアドラステアの正面に立ち、フラッシュバンを発射する。
ブリッジ目前でさく裂した閃光によって、一時的にアドラステアのビーム砲が止む。
「これなら!」
照準補正が行われている間にしとめる。
深呼吸し、バルバトスを覚醒させると、一気にアドラステアのブリッジの前に立ち、青いオーラを纏う超大型メイスを振り下ろす。
これで、あの黄金のジャスレイ号のようにブリッジがつぶれ、アドラステアも止まる。
そう思っていた勇太だが、超大型メイスの直撃を受けたブリッジはひびが入った程度で壊れていなかった。
「く…うわあ!?」
更に側面からアインラッドが突撃してきて、その衝撃でバルバトスがアドラステアから落ちてしまう。
アドラステアからアインラッドやツインラッドに乗ったゾロアットが次々と出撃しており、周囲のガンプラに向けてミサイルやビームで攻撃を仕掛けてくる。
「まさか、CPUのガンプラを積んでいたなんて…!」
「捕まれ!!」
飛行形態のバエルが飛んできて、勇太はその機体の足をつかんで飛行を始める。
「バエルとヘブンズソードのハイブリット…こんなガンプラもあるんだ」
「君か?凛音さんが言っていた覚醒するファイターというのは…?」
「凛音…?サクラさんのこと?もしかして…」
「江宮英。彼女のチームメイトさ。それにしても、予想できないことをするなぁ。まさか、アドラステアと戦うためにわざわざ地球へ降りるなんてなぁ」
地上へバルバトスを下したスグルはすぐにバエルをモビルスーツ形態に切り替え、両翼から赤と黄の羽根を4枚ずつ分離し、アドラステアに向けて発射される。
ファンネルのような兵器のようで、再び動き出した対空ビーム砲の弾幕を避けていき、それぞれがその砲台の1つ1つに突き刺さる。
「まずはその針を折る!」
そう叫ぶと同時に刺さった羽が爆発し、それに飲み込まれた対空ビーム砲が沈黙する。
「あともう一撃与えることができれば…!」
覚醒による超大型メイスの一撃は確かにアドラステアに効果があった。
一撃でダメならもう一撃と考えた勇太だが、問題はあと覚醒がどれだけ持つかどうかだ。
バエルに救出された際にすぐに覚醒を解除したものの、先ほどの一撃にだいぶ集中力を使ってしまった。
もう1度覚醒できるとしても、対艦としてはあと5秒程度が限度だろう。
「勇太、覚醒ができるのはあなただけじゃないわ!」
「サクラさん!」
バルバトスと並び立つブリッツが覚醒し、ピンクのオーラに包まれる。
だが、サクラは自分の覚醒であのアドラステアを倒せるとは思っていない。
自分のブリッツにはバルバトスのような巨大な質量攻撃を与える武器がない。
だが、それでも群がるゾロアットや砲台をつぶすことはできる。
ミラージュコロイドを発動し、ブリッツが姿を消す。
同時に、3機のピンク色のオーラを纏ったブリッツが姿を現し、インパクトダガーをゾロアットやアドラステアの砲に向けて投げつける。
覚醒によって爆発力が上がったのか、次々と砲台をつぶしていくが、それでもアドラステアの装甲を破壊するには至らない。
「あのピンクのブリッツには負けられん!」
ワタルのレコードブレイカーはわざと射線上を光の翼を展開させて高速で飛行を続ける。
巨大なビームサーベルへと転用できる光の翼を脅威ととらえたのか、アドラステアはレコードブレイカーへ次々とビームを発射していくが、圧倒的な機動力を誇るレコードブレイカーに命中しない。
「勇太君とサクラさんにばっかりいいかっこはさせない!!」
アザレアがGNバズーカをアドラステアの側面から発射し、砲台を大出力のビームで焼き尽くしていく。
こちらへの攻撃が収まったのを見て、バルバトスはテイルブレードをアンカー代わりに発射してアドラステアのブリッジに固定する。
そして、スラスターとテイルブレードのケーブルの戻る力を利用して一気に接近していき、間近に迫ると同時に覚醒する。
そして、横に薙ぎ払うように超大型メイスを振るい、アドラステアのブリッジを粉々に粉砕した。
ブリッジを失ったことでアドラステアの動きが止まり、大質量の攻撃を受けた勢いで横転した。
「はあ、はあ…やった…。あ、あれ…??」
バルバトスを立ち上がらせようとした勇太だが、なぜか操縦桿が固く、動く気配がない。
「どうしたの?勇太君」
「いや…バルバトスが動かなくなって…」
「動かなくなったって…どうして!?」
両肩の放熱ユニットが大きく開き、覚醒で放出された熱が一気に出ているためか、真っ白な煙が大量に出ている。
2度による覚醒の全力攻撃にバルバトスそのものが追い付かなくなっていたのだろう。
「まずいぞ…このままでは」
アドラステアを倒すため、一度は共闘したものの、まだ予選は続いているうえ、大阪ガンプラ同盟と選抜チームは損傷しているものの、まだまだ戦える状態だ。
フロントアタッカーであるバルバトスをかばいながら戦わなければならない状況となってしまった。
「こうなったら、私とロボ太で勇太君を…」
「いや、その必要はあらへんで」
「え…?」
「予選終了です!参加者の皆さま、1時間にわたる戦闘、大変お疲れさまでしたーーー!!」
コックピット内にハルの声が響き、モニターの右側に表示されているタイマーが0になっていた。
「現在、生き残っているチームすべてが本選進出のチームとなります!」
上空に大型パネルが出現し、本選進出チームの名前が表示される。
その中にはもちろん、彩渡商店街ガンプラチームの名前も入っている。
「やったーーー!!本選出場決定だぁーーー!!」
「着かれた…」
パイロットシートにもたれた勇太はようやく疲れを実感し始めていて、ヘルメットを外す。
「お楽しみは本選までお預けやな…ミサ、勇太!覚悟しとれよ!」
「それはこっちのセリフ!商店街のためにも、負けられないもん!」
「…しっかし、覚醒がここまで熱を発生させるというのは想定外だったなぁ」
宿舎に戻り、バルバトスの修理をする勇太を見ながらカドマツは改めて覚醒が生み出す力を感じていた。
同時に、それがどれだけ機体にも負荷をかけているのかもわかった。
バルバトス・レーヴァテインは確かに放熱手段が増えたことで、ある程度覚醒の負荷に耐えることができる設計になっているが、フレームそのものの強度は従来のガンダム・フレームと変わりはない。
しかも、覚醒の力が初めて覚醒したときよりも上がっているようで、それもバルバトスに深刻な負荷を与えてしまっている。
「今は消耗したフレームを交換したりすればする話だが、戦いが終わる前に熱のせいでまた動けなくなったら…」
「分かっています。今は応急処置にしかなりませんが…」
バックパックの下部にファントムに採用されている強制冷却カートリッジを取り付ける。
これで過剰な覚醒の負荷熱で動けなくなった時に無理やり再起動させることができる。
「装甲の交換をすれば、冷却材循環系の効率化ができますけど…」
明日にはすぐに本選が始まるうえ、ロボ太のSDガンダムのセッティングをしなければならない都合上、新しい装甲を作るのは難しい。
できるとしたら、徐々に冷却材循環系を改良した装甲に張り替えていくことくらいだ。
ファントムが外惑星で入手した希少金属性の装甲に張り替え、ゴーストガンダムに生まれ変わるだけでも2週間近くかかっている。
「あんまり根詰めすぎんなよ。お前には俺やロボ太、それにあいつがいるだろう?」
「ええ…ありがとうございます、カドマツさん」
「そういやぁ、気になったんだが…そのノートは何だ?」
カドマツはバルバトスのそばにあるノートを見る。
『4』と番号が書かれているだけで、気になって手に取ろうとしたが、その前に勇太がシュッと取り、胸に抱える。
「今は…見せられません」
「今は…?」
「はい。本選に間に合うかはわかりませんが…きっとびっくりするものになってますよ」
機体名:ガンダム・バエルH&H(ヘル&ヘヴン)
形式番号:ASW-G-01H&H
使用プレイヤー:衛宮英
使用パーツ
射撃武器:なし
格闘武器:バエル・ソード×2
頭部:ガンダム・バエル
胴体:ガンダム・バエル
バックパック:ガンダムヘブンズソード
腕:ガンダム・バエル
足:ガンダムヘブンズソード
盾:なし
ガンダム・バエルをベースとした可変式のガンプラ。
ガンダム・バエルはアグニカ・カイエルやマクギリス・ファリドが搭乗した際に圧倒的な性能を発揮したものの、バルバトスルプスレクスやキマリスヴィダールと比較すると装備面で見劣りがあり、決定打に欠けていた。
そこで、ガンダムヘブンズソードのパーツを組み込み、フレームに手を加えたことで高機動可変モビルスーツへと生まれ変わらせた。
なお、モビルスーツの全長に匹敵する長さのバックパックはガフランなどのヴェイガン系のモビルスーツのバックパックを元にして3つの関節を追加して折り畳みを可能にしている。
アドラステア戦でヘブンズダートをファンネルのように使用していたことを考えると、残りの技であるウィンドファイヤーやヘブンズトルネードにも何か手が加えられている可能性がある。