ガンダムブレイカー3 彩渡商店街物語   作:ナタタク

41 / 83
第41話 限界突破

G4Sを中心とした3機のガンプラと勇太のガンプラが対峙する。

数ではロクト達の方が有利だが、彼らが動き出す気配はなく、それは勇太も同様だ。

「どうして…別チームであるあなたたちが協力して…」

ロクトのチーム、鹿児島ロケットとツキミとミソラの所属している沖縄宇宙飛行士訓練学校は当然別チームで、卒業生の就職先の1つという繋がりしかないように勇太には見えた。

ロケットを扱う企業は近年、軌道エレベーターが作られたのが契機となって一気に拡大していっている。

それに伴い、世界各地で宇宙飛行士不足が発生しており、各国ではこぞって宇宙飛行士訓練学校の開設及び拡大に予算を出している。

沖縄宇宙飛行士訓練学校はJAXA所属の宇宙飛行士のOBが講師として開設されたもので、国内にある訓練学校の中でも最大の規模だ。

「悪く思わないでくれ、これも勝負のうちさ」

「そういうことだ。辛いけどさ…勘弁してくれよ!」

「それだけ…彩渡商店街ガンプラチームが脅威だって…ポジティブに考えた方がいいのかな…?」

数では厳しく、モニター越しで見たところ、少なくともロクトのG4Sは厄介なガンプラに見えた。

変形機構を持っているうえに、おそらく共闘したときは見せなかった武器も持っているはずだ。

また、ツキミとミソラのガンプラも、わずかながら損傷はあるものの、戦闘継続に問題がない状態で、それぞれの装備が一方が接近戦型、もう一方が遠距離支援型ではっきりと違いが見える。

「ごめんなさい…でも、それでも、私たちは勝ちたいから…それに、就職したいから!」

「ん…?就職??」

「学校を卒業しても、宇宙飛行士になれる奴はほんの一握りなのさ。でも、ここで勝てば鹿児島ロケットとコネができる!俺とミソラの夢に近づけるんだ!」

宇宙飛行士の需要が高まったとはいえ、それでも宇宙飛行士が狭き門だということには変わりない。

2人がいる学校そのものは簡単な体力試験以外は普通の高校受験と変わりなく、よっぽどの運動音痴でない限りはパスできるが、問題はその先だ。

沖縄宇宙飛行士訓練学校の場合、宇宙飛行士訓練生の資格を取るための試験を3年生の夏に受ける必要がある。

そこでの一次試験のペーパーテストは一般教養と基礎的な専門知識、心理検査が行われ、そこではまんべんなく平均点をとることを条件としたセレクト・アウト方式が採用されている。

そこで半分以上の生徒が涙をのみ、二次試験へ進むとそこではJAXAの部長・課長による面接と心理カウンセラーによる面接、おまけにネイティブ・スピーカーとの英語面接を受け、3日間病院で体が徹底的に調べられることになる。

そうした試験を受けることから、沖縄宇宙飛行士訓練学校は全寮制が採用されており、バランスのとれた食事や徹底した自己管理を叩き込まれることになる。

そうした試験を受けたあとで待っている3次試験では泳力の検査や長期滞在への順応力が問われ、その試験をパスすることでようやく宇宙飛行士訓練生となり、卒業後は1年間の訓練を受けた後でようやく宇宙飛行士として就職することができる。

もちろん、宇宙飛行士になれなかったからこれで終わりというわけではなく、そこから大学受験を経て民間企業に就職するといった進路も存在し、実際に宇宙飛行士にはなれなかったがその学校での経験を生かして活躍している社会人もいる。

しかし、それでもほんの一握りしか宇宙飛行士になれないという現実に変化はなく、仮に訓練を受けて宇宙飛行士として認められたとしても、就職できなければどうにもならない。

ジャパンカップ優勝という称号以上に切実な事情を2人は抱えていた。

「そういうことさ。先輩として、そんな2人の願いをどうにか実現させたいと思っているのさ。だから…勝たせてもらうよ」

さっそく、G4Sが右手で握るバスターライフルをバルバトスに向けて発射する。

ナノラミネートアーマーで身を固めているものの、受けているとしばらく動けなくなるうえにカメラも使えなくなってしまうことから、勇太は真上へ飛ぶことでそのビームを回避し、テイルブレードを射出する。

「おっと…!厄介な武器はどうにかしないと!」

左手のシールドブースターとバックパックのスラスターで一気に加速させ、テイルブレードの刃とビームから逃れるG4Sは攻撃する気配を見せない。

あくまで回避に専念しており、バルバトスのエネルギーの消耗を待っているようだった。

(見た限りでは、近接戦闘武器でバルバトスにダメージを与えることができる武器はサテライトキャノンとミサイルだけ…。サテライトキャノンは危険だけど、ミサイルはナノラミネートアーマーがあるから怖くない。けれど…)

あくまでサテライトキャノンはG4Sのモビルアーマー形態を見たときの形状であると想定しているだけで、実際にそうなのかはわからない。

さすがのナノラミネートアーマーでも、スペースコロニーを破壊するほどの出力を誇るサテライトキャノンを受けたら消滅してしまう。

厄祭戦でそれほどの火力を持つ兵器が存在したかは分からないが。

「接近戦に持ち込めばあ!!」

真上に回避することを読んでいたツキミが自らのガンプラ、エンハンスドデファンスに対艦刀を握らせ、バルバトスに切りかかる。

ビームと実弾の両方の特性を併せ持つその刃なら、ナノラミネートアーマーを切り裂くことができる。

そのことは分かっている勇太は超大型メイスで受け止める。

「まずは装甲をはがさないと!!」

勝つとしても、自分たちの力を見せておきたいと思っているミソラは自分のガンプラ、ガンティライユが握るアグニを発射するとともに対艦バルカンとミサイルを発射する。

鍔迫り合いを突然やめたエンハンスドデファンスが下がると同時にビームとミサイル、弾丸がバルバトスを襲う。

「く、うううう!!」

コロニーの外壁を撃ち抜くほどの破壊力を誇るアグニを受けてもなお、バルバトス本体への損傷はわずかなものの、一気にコックピット内部の気温が上がっていく。

「く、ううう!!追加装甲のダメージが…!!」

「動けなくなった…なら、チャンスだ」

「サテライトキャノン!!」

動けない今の状況を考える中でやってくる最悪の可能性に勇太は身震いする。

彼の予想通り、G4Sはリフレクターを展開するとともにサテライトキャノンを手にする。

月面のフラッシュシステムがG4Sからの通信を受信し、マイクロウェーブが照射される。

マイクロウェーブを受信し、サテライトキャノンのエネルギーチャージが始まる。

「終わりだ…!」

ロクトがつぶやくとともに引き金が引かれ、サテライトキャノンが発射される。

そのビームは身動きの取れないバルバトスを容赦なく呑み込んでいく。

「バルバトス、サテライトキャノンのビームに飲み込まれてしまった!!これは…彩渡商店街ガンプラチーム、万事休すなのかーーー!!」

「勇太…!!」

モニターでサテライトキャノンに飲み込まれるバルバトスを見たカドマツが絶句する。

これで終わってしまうのか、会場が静まり返る。

「やった…!これであとは…」

サテライトキャノンのビームが消滅し、射線上に何も残されていないのを確認したツキミは勝利を確信する。

あとはまだ撃墜されていない満身創痍のアザレアを倒せば、綾渡商店街ガンプラチームの敗退が決まる。

しかし、その中で異変に気付いたのはミソラだった。

「これは…待って、ロクトさん、ツキミ!!反応があるわ!!すごく速い!」

「やっぱり、これだけじゃやられないよね…」

ロクトのモニターにも、ジグザクに飛ぶ光が見え、その光をアップで表示する。

そこには装甲が若干焼け焦げていて、テイルブレードや破砕砲、超大型メイスや増加装甲をすべて失ったバルバトスがいて、ロクト達に迫っていた。

「どうしてだ!?確かにあの時、サテライトキャノンのビームに飲み込まれて…!!」

「おそらく、増加装甲を強制排除して、ギリギリのタイミングで避けたのだろうね…」

焼け焦げた装甲に武装をほぼすべて失った今の姿を見ると、本当に撃墜ギリギリのところで避けたのだということが分かる。

さすがは決勝まで生き延びただけのことがあるが、結局は寿命が若干伸びただけだ。

(超大型メイスも破砕砲も、太刀も、サテライトキャノンで失ってしまった…。爪もボロボロだ。残った武器は…)

武装のないバルバトスにできることがあるとしたら、ナノラミネートアーマーの頑丈さとガンダム・フレーム特有の出力を生かした肉弾戦くらいだ。

だが、サテライトキャノンが装甲の塗料を焼き尽くし、自慢のナノラミネートアーマーの効力も半減している。

そして、おそらくエンハンスドデファンスはトランスフェイズ装甲付きで、実弾では与えるダメージも軽微だろう。

(それでも、やるしかない…!!)

綾渡商店街ガンプラチーム勝利のためにも、今は何ができるかだけを考える。

バルバトスは一直線にまずはガンティライユに向けて突っ込んでいく。

「ええ!?わ、わ、私!?」

追い払おうと対艦バルカンとミサイルを撃ちまくるが、想像以上のスピードと反応速度に追いつけず、次々と避けられ、徐々に距離も詰められていく。

(これまでのバルバトスよりも速いスピード…スラスター出力はフルアーマーの時と同じということか…!)

ロクトは以前読んだガンダムの漫画にあったジム・ストライカーとピクシーの戦いの場面を思い出す。

ピクシーの当時最速の瞬発力と機動力、そして大出力のビームダガーによる格闘戦能力に苦戦するなかで、ジム・ストライカーは装備していたウェラブルアーマーを強制排除、それによって一気に上昇したスピードで渡り合い、最終的にピクシーの撃破に成功した。

それと同じような状況が展開されており、まさかの攻撃にミソラが動揺し、それを照準精度の欠いたミサイルとバルカンが示している。

「このまま一気に…!!」」

「弱い者いじめはよくないな…綾渡商店街の悪魔君!!」

そのバルバトスに割り込んだG4Sがビームサーベルを抜き、バルバトスの爪とぶつかり合う。

「悪魔…僕が…??」

「知らないのかい?今の君は彩渡商店街の悪魔、なんて異名がついているんだよ」

バルバトスに乗っているから、鉄華団の悪魔と絡めてそのような異名がついているのだろう。

そんなことなど露とも知らない勇太はそんな異名をつけられていたことに驚いていた。

三日月の乗るバルバトスの戦闘スタイルならともかく、自分はその悪魔にはあまり似合わないと自己分析している。

だが、今はそんなことを考えている場合ではない。

希少金属で作られた爪でも、サテライトキャノンでもろくなっていることもあり、大出力のビームサーベルを前に刃こぼれが生じている。

「さあ、このまま敗れるか?それとも続けるか…?」

「…あなたにそれを決める権利があるとでも!?」

「だが、もう君の武器はこの爪だけ。それを失えばもう…」

「勇太君!!」

「ミサちゃん…!!」

ミサの声が聞こえ、3機のレーダーに新たな反応が出る。

グリプス2の中から半壊状態のアザレアが出ており、その手にはサクラにとどめを刺したGNピストルが握られていた。

「受け取って!!GN粒子は入ってるから…!!」

GN粒子に対応したセンサー調整がされていないバルバトスではこれは使いこなせないかもしれない。

だが、それでも勇太の勝利につながるかもしれないかすかな可能性を信じて、ノイズが生じるモニターでボロボロなバルバトスを見る。

「武器を渡すつもり!?そうはさせないわ!!」

ガンティライユがアグニをアザレアに向け、照準を合わせる。

そして、一撃で仕留めるつもりでその大出力のビームを発射した。

わずかに残ったGN粒子をすべて推進力に回し、どうにか回避しようとするが、わずかに横にずれるだけで、アグニの光で装甲の一部が焼かれる。

「ううう!まだ!まだ、撃墜されるわけにはいかない!!これを勇太君に渡すまでは!!」

「今度こそ…!!」

「受け取って、勇太君!!」

アグニ2発目と同時に、アザレアの手からGNピストルが離れていく。

「勝ってね、勇太君…」

「ミサちゃん!!」

G4Sの腹を蹴り、無理やり射線上へと向かってGNピストルをつかむ。

同時に、モニターにはアグニで撃ち抜かれ、爆散するアザレアの姿が映った。

「ありがとう、ミサちゃん…アザレア…」

武器と思いを託してくれた戦友に感謝の言葉を口にし、GNピストルをG4Sに向ける。

「まだまだ、勝たせてはくれないみたいだね。勇太君」

ガンプラ越しに感じる勇太の闘志を感じたロクトは優勝への道がまた少しだけ遠のいたことの無念さと同時にまだ戦えることへの喜びを覚えた。

「まだ…戦うのかよ。仲間は2機とも撃墜されて、残ったのは自分だけでもう武器もないってのに…」

「勝たなきゃいけない理由があるのは僕も…同じだから…」

最初はミサの願いに根負けし、それをかなえるために戦っていたが、今は明確な目的が勇太にもある。

勇武が見ることのできなかった夢の『先』を自分が見るため、そのために今は戦っている。

そこへ行くためにも、まだ負けるつもりはなかった。

 

シミュレーターの扉が開き、その中からミサが出てくる。

観客がモニターに映るバルバトスと3機のガンプラの戦いにくぎ付けになる中、カドマツとロボ太が彼女を迎えに来る。

「お疲れさん、ミサ。すげえ活躍だったじゃないの」

他意なしに、素直にミサの健闘を称える。

ロボ太も言葉は出すことはできないものの、サムズアップすることでミサを褒めた。

「ああ、カドマツ、ロボ太。もう、ちゃんと勇太君を応援しなきゃダメじゃん。今ウチの生命線は彼なんだから…」

「ミサ…」

ミサの手にはボロボロになったアザレアが握られている。

サクラとの戦い、そしてミソラの攻撃を受けたことで、今のアザレアを彩るのは華やかなピンクではなく、隅のような黒と灰だ。

だが、それには確かにジャパンカップ決勝で戦った証があった。

「ああ、ごめん。喉乾いたから、ジュース…買ってくるね。すぐ、戻るから待ってて」

「あ、ああ…」

裏へと戻っていくミサをロボ太が追いかけようとするが、カドマツが左肩に手を置き、首を横に振る。

「ロボ太、今は一人にしてやれ。人間というのは…たまには一人でかみしめたいときっていうのがあるのさ」

 

観客の声援がこだまする廊下をミサは1人で歩く。

そして、自販機コーナーに到着するとそこにあるベンチに腰掛ける。

ミサは両手でボロボロのアザレアを握り、それを見つめる。

「う、う、ううう…」

ミサの目が潤み、しずくがポタポタとアザレアに向けて落ちていく。

左手で拭おうとするが、いくら拭っても涙が止まらない。

どんどん涙があふれ出て、鼻水も出ている。

今の姿をとても勇太やカドマツ達に見せることはできない。

「ごめんね…みんな。ごめんね…アザレア…。うわあああああああん!!!!」

我慢から解放され、大声で泣き叫ぶミサ。

その声は静かな廊下に吸い込まれていき、消えていった。

 

「やっぱり、俺に狙いを定めてきたか!!」

GNピストルを撃ってくるバルバトスに対艦刀に内蔵されているビームライフルで迎撃する。

武装がろくにない今のバルバトスが勝つための条件の1つは相手の武器を奪うこと。

そして、一番のねらい目となるのはバルバトスでも扱える対艦刀。

アグニの再チャージを待っていられないミソラもミサイルでバルバトスを狙い、ロクトもビームライフルで攻撃を仕掛けてくる。

「くっ…僕も、覚悟を決めないと…!」

まだ覚醒できるだけの気力が戻っておらず、ロクトの発射したビームがバルバトスの右足を撃ち抜く。

機体制御に乱れが生じる中で、勇太は阿頼耶識でバルバトスのプログラムを検索する。

ガンダム・フレーム由来のモビルスーツの本領を発揮するため、そして勝利のための手段は1つだけだ。

三日月がグレイズ・アインやハシュマルを倒すために使ったリミッター解除。

それをすれば、まさに彩渡商店街の悪魔ともいえる力を発揮できるだろう。

しかし、それを発動するためには機体が損傷しすぎた。

ナノラミネートアーマーもボロボロになっている以上、全力でやった場合は長い時間闘えず、もしかしたら自爆するかもしれない。

だが、もうこれ以外に勝つ手段が考えられない。

「ごめん、バルバトス…」

最終警告を無視し、リミッター解除のパスワードを入力する。

「動きが止まった今なら!!」

動きが止まった今を逃したら、もう攻撃を当てることさえできなくなるかもしれない。

ツキミは対艦刀でバルバトスを両断しようとする。

しかし、刃が当たろうとした瞬間、バルバトスが消えてしまう。

「消えた…うわっ!!」

いきなり側面から衝撃が走り、エンハンスドデファンスが大きく吹き飛ばされる。

バルバトスからの攻撃なのは確かだが、どうやって攻撃したのか、あまりの衝撃でセンサーに不具合が生じている。

モニターを見ると、そこには赤くカメラを光らせたバルバトスが映っていて、スラスターを全開にさせて突っ込んできていた。

「こいつ…!!」

「ツキミ!!ツキミはやらせないわ!!」

ツキミと勇太の間に割って入ったミソラがアグニを発射する。

最大スピードで突っ込んできている今のバルバトスなら、避け切ることはできないと思っていた。

しかし、バルバトスはバッタのように右へ大きく機体をそらしてかわし、ガンティライユを素通りしてそのままエンハンスドデファンスに迫る。

対艦刀は大型であるがために小回りが利かず、ライフルを撃とうとする前に懐に飛び込まれてしまう。

「な…!?」

「まだだ…もっと引き出して、バルバトス…!!」

エンハンスドデファンスの右腕をつかみ、リミッターを失い暴れ馬と化した出力で思いっきり引きちぎる。

そして、残った左腕の関節に手刀を振り下ろして叩き切り、対艦刀を奪い取った。

「ちょうどいい…!」

ビーム刃を作ることはできないが、この重量であれば、3機を倒し切ることができる。

左手にGNピストルを、右手に対艦刀を手にし、次の狙いをミソラに向ける。

「ひぃ…!!」

まさに悪魔に見えるバルバトスに恐怖したミソラはどうにか追い払おうとアグニを発射する。

恐怖に囚われる中でも、ツキミに当たらないように射線を調整できている点は彼女がジャパンカップで勝ち上がった強者であることを表しているだろう。

しかし、枷のないバルバトスには止まって見え、装甲に接触するギリギリのところでかわされてしまう。

そして、一気に肉薄してきて、対艦刀で切り裂かれそうになる。

「やられる…!!」

「ミソラぁ!!」

両腕のないエンハンスドデファンスがガンティライユに激突し、ガンティライユは吹き飛ばされる。

「ツキミ!?」

次の瞬間、エンハンスドデファンスの胴体が自らの武器であるはずの対艦刀で貫かれる。

せめてもの抵抗か、バルカンを撃ってきて、その弾丸の1発がコックピットをかすめる。

「危ない…なぁ!!」

その抵抗すら許さないと言わんばかりで左手のGNピストルをゼロ距離から頭部に向けて発射した。

対艦刀を抜き、その場を離れるとともに頭を失い、胴体を貫かれたエンハンスドデファンスが爆発する。

その爆発をミソラは呆然と見ていた。

決勝まで一緒に勝ち上がってきたツキミが覚醒ではなく、リミッター解除したバルバトスから自分を守るために倒れたという現実が受け入れがたかった。

だが、それを受け入れる余裕を与えるほど今の勇太はお人よしではない。

そのミソラのガンティライユにあっという間に接近し、対艦刀で一刀両断していた。

「ふうふうふう…」

息を整え、こちらへ飛んでくるビームをかわした勇太は対艦刀をビームを撃ってきたG4Sに向ける。

周囲にはバルバトスの装甲の破片が飛び散っており、装甲に走っている亀裂は肉眼でも見えるくらいだ。

「驚いたよ…けど、あと1発当たったら、お陀仏といったところかな?」

「動けるだけ…充分です。はあはあ…」

リミッター解除による負担は勇太に容赦なく遅い、送り込まれるデータや機体の操作によって既に疲れ切っている。

その状態で最大の難関であるG4S、ロクトと戦わなければならない。

「これで1対1。少しはフェアーに近づいた」

「本当は君と1対1で、正々堂々と戦いたかったけどね」

チーム戦故のささやかな後悔を飲み込み、再びビームサーベルを抜く。

バルバトスも奪った対艦刀を構える。

「さあ…最期に立っていた方がジャパンカップ優勝チームだ!!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。