ガンダムブレイカー3 彩渡商店街物語   作:ナタタク

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機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ第3期(勇太のノートより)
第7話「鉄華団」

何者かからのメッセージを受け取った曉はタービンズと共に火星へ戻る。
そして、かつて鉄華団の基地があった場所へ足を踏み入れる。
そこで待っていたのは三日月・オーガス名乗っていた男だった。


第50話 世界大会開幕

ギガフロート北東部に位置する港に客船が止まり、船から選手や観客たちが次々と降りてくる。

船から出たミサは真っ先に目を輝かせながら見たのは、ギガフロート中央からどこまでも空へと続く軌道エレベーターだ。

「うわぁーーー!!これが軌道エレベーターかぁ。ずっと映像でしか見てなかったから、すっごく新鮮だなぁ」

「ガンダム00の世界だけのものとばかり思っていたけど、本当にこの目で見れるなんて…」

「おいおい、驚くのはこれだらだぞ。将来はこいつがあと2基はできるぞ。それに、さっさと検査を済まさねーと会場に入れねーぞ」

「はいはい。いこ、勇太君」

「うん…」

手荷物検査や金属検査を受けながら、勇太はパンフレットにあったここからの動きを思い出していく。

これからすぐに行われる予選はビッグトレーの戦闘区域から離脱するまでの援護だ。

ビッグトレーそのものは耐久値は無限で、撃沈する心配はないが、ダメージを受けることでポイントがたまっていく。

そして、そのポイントが少ないチームから順番に一次予選通過となる。

そこからの二次予選は生き残ったチームを何組かに分け、更にCPU機体が混ざった乱戦が行われ、その中で残った2チームずつが本選への切符を手に入れることになる。

本選から行われるのはジャパンカップと同様のトーナメントで、その時と違う点は決勝に登れるには2チームのみで、そこでは真っ向からのガチンコ勝負となることだ。

検査を終え、歩いて軌道エレベーター施設に入る。

(皆さま、こんにちは。私は軌道エレベーターコントロールAI『アテナ』です。本大会の進行管理を任せられることになりました。わずかな期間ですが、よろしくお願いいたします)

「AIが大会進行管理?」

「宇宙エレベーターのすべてをAIがコントロールしているんだ。カーゴの発着スケジュールからデブリ回避のマニューバまでな。今回はイベントスケジュールをインプットして、進行管理をさせているんだろう」

「ハイテクだねぇ…」

「本当だねぇ…」

「やぁ、来たね」

近くのベンチに座っていた金髪の青年が隣のメイド服の女性と共に立ち上がり、勇太たちの前までやってくる。

彼の姿を見た瞬間、勇太の視線が彼に向けられる。

「ウィリアム・スターク…」

「沢村勇太。アジアツアー、見ていたよ。ゲーティア、中々のガンプラだったね。そして、井川美沙。意外だったよ。まさか、君がアメリカ大会で準優勝できるなんて…。正直、君のことを舐めてきた。その点は反省しないとね」

「そんなのどうだっていい。それより、約束守ってよね。商店街は絶対につぶさせないから」

ミサにとって、一番大事なのは綾渡商店街だ。

大切な居場所であるそこを守るためにここへ来た。

相手がだれであろうと関係ない。

商店街を守るためなら、たとえ相手が赤い彗星であろうと戦う。

その腹積もりでここまで来た。

「もちろんさ。約束をした以上は必ず守るのはビジネスの基本さ。それが分からないほど愚かじゃないよ。思って以上に楽しめそうだ。行こう、ドロシー」

「はい、それでは皆様。これから宇宙エレベーター見物がありますので」

「ドロシー…」

「はっ、わたくしこのような巨大建造物を前にして、舞い上がっているようです」

「今回のバトルはチーム戦だよ。チームメイトは…そのドロシーさんになるの?」

「ああ、彼女じゃないよ。本当は一人でも十分だけど、それだとフェアーじゃないし、一人都合をつけておいたよ。誰なのかは、予選までお楽しみってね。特に、君たちが驚いてくれることを願うよ」

不敵な笑みを浮かべたウィルはドロシーと共にその場を後にする。

立ち去る2人の後姿を見送る勇太たちのもとへ、今度はハルがやってくる。

「あ、いたいた。こんにちは、綾渡商店街ガンプラチームの皆さん!」

「あなた、確か大会MCの人!?」

「そうそう。覚えていてくれてうれしいな」

「どうしてこんなところに?」

「あなたたちは日本一なのよ。そのチームが世界大会に出場するってことで、レポーターとして派遣されたのよ。さっそくで悪いけど、ちょっとそのままそこにいて」

ニコリと笑ったハルは手元にあるタブレット端末を勇太たちに見せる。

そこにはなぜか今ここにいる勇太たちの写真が写っていた。

「ええ!?どうして??どこかにカメラマンさんがいるの!?」

キョロキョロと周りを見渡したミサに笑みを浮かべるハルは端末を操作し、写真を変える。

次の写真に写っているのはそのキョロキョロとしているミサの姿だ。

「フフ、どうやらカメラの調子はいいみたいね。あとは…うん、あー、テステス。マイクもOK。いつでもOKね」

「え、え、ええ!?」

「ミサちゃん、マイクロドローンカメラだよ」

「ほえ?マイクロドローンカメラ??」

「いうなれば、滅茶苦茶小さいカメラつきのドローンさ」

「みなさん、こんにちわー!私は今、太平洋に浮かぶギガフロートの上に立っています!そう、皆さんもご存じの宇宙エレベーターに来ているのです!」

「え、えええ!?もしかして、これってテレビで…うわあああああ!!」

今ここでの話、そして自分の姿がこれからネットテレビ局を通じて世界に発信される。

そのことを理解したミサの顔が急激に赤くなっていき、緊張のあまり口がパクパクと壊れたレコーダーのように開閉を繰り返す。

勇太もミサほどではないが緊張しており、手が震えていた。

「それでは、チームリーダーの井川美沙さん!今大会の意気込みをどうぞ!」

「ふえああ、あえあ…ええっと、その…優勝目指して頑張ります!」

「はーい、OK!では、沢村勇太さんからも一言お願いします」

「じゃあ…応援、よろしくお願いします!」

「ありがとう!じゃあ、私はほかにも取材しないといけないから…じゃあ、優勝目指して頑張ってね!バイバイ!!」

軽く手を振ったハルはマイクロドローンと共に次のチームの元へ向かう。

2人ともバトルの時以上にどっと疲れを感じ、特にミサは足までふらついている状態だ。

「おいおい、勘弁してくれよ。予選が始まるってのにそんなんでつまずくなよ?」

「は、はい…」

強がりを口にしたいミサだが、もはや緊張でグダグダなのは明白なためにその余裕はなかった。

幸いなのは自分たちの予選ブロックはCで、気持ちを整えるだけの時間は用意されているということだ。

「まずは、休憩と一緒にしっかり相手を見ておかないとな。特にAブロックにはあの金髪坊主が出るからな」

「ウィリアム・スタークとガンダムセレネス…」

「それに、あいつのチームメイト…誰なんだ?」

 

「それでは、予選ブロックAのバトルが始まります。参加チームは中央シミュレーターへ集まってください。繰り返します…」

「いよいよ、始まるわね」

控室にいるほかのチームがゾロゾロと動き出す中、少女はそのようなことを気にすることなく、テーブルに置いてあるガンプラを布で拭いていた。

そんな彼女の前にウィルとドロシーがやってくる。

「やっぱり、これから予選とはいえ世界大会なのに、落ち着いている。そうしたところ、嫌いじゃないよ。直接頼んだ甲斐があったよ」

「そんなことを言って、本当ならあなた一人で出たかったんじゃないの?」

「まあね、けどガンプラバトルは個人戦じゃなくてチーム戦だからね。それに、だとしたら、僕の実力に見合うチームメイトが必要だ。それは君も同じじゃないかな?」

生憎、一緒にいるドロシーはガンプラ経験ゼロで、戦力として数えることはできない。

自分のツテにも、そうした強いファイターを引き抜くことは難しく、プロを金で雇うとなったらゴシップのネタになってしまう。

そこで白羽の矢がたったのが彼女だ。

「…そうね。だからあなたのチームに入った。けれど…忘れないで。あなたがあのエキシビションマッチでやった所業…許すつもりはないから。一人のファイターとしても…一人の仲間としても」

立ち上がり、にらむようにウィルを見る彼女の手は怒りで震えている。

もしもの時があったらとドロシーが前に出ようとするが、ウィルが制止させる。

「そうだね…大人げなかった。反省しているよ。今後このようなことを決してしない。そして、約束は守るよ。君と彼女が真剣勝負できる状態にするって」

「そう…。私も彼と戦える環境を作ってあげる。けれど…もし同じようなことをしたら、その時点で棄権するから」

 

「そろそろ始まる…場所は、地球上のランダムな場所か…」

水上でも荒野でも行動可能なビッグトレーなことから、場所はオデッサやキャリフォルニアベース、ニューヤークなど一年戦争時代の地球の各所にステージが設定され、その中のいずれかに放り出される。

また、CPUのガンプラについては完全にランダムに出現する。

(ランダムになる以上、汎用性がとにかく要求されるのか…。ウィリアムのチームは…)

モニターでは次々と配置されるチームが決まっていき、ウィリアムのチームであるチームアグレッサーが配置されたのはタクラマカン砂漠だ。

(それでは、世界大会1次予選Aブロック、開始します)

アテナの開始宣言と共にモニターには次々と出撃するガンプラたちの姿が映し出される。

さっそくそれぞれのチームが設定した母艦から出撃し、地上へと降りる彼らを歓迎したのは対空ミサイルとトーチカによる弾丸の嵐だ。

「あわてるなよ、当たりそうなものだけ撃ち落とせばいい」

「くそ!降りられるのかよ、これは!!」

まるでジャブロー上空から降下するジオン兵の気持ちになった彼は左手のシールドで身を守りつつ降下していく。

中には大出力のビームで弾幕ごと地表のトーチカを薙ぎ払うチームも存在した。

「はは、CPUなんかにビックトレーはやらせないさ」

地上へ降り、ビッグトレーの直掩に回るウィルが右手のビームライフルで接近してくるラル専用ドムの牽制する。

だが、CPUのレベルにも差があるように、そのドムはウィルのビームを次々と回避し、照準をビッグトレーの艦橋に向けつつある。

だが、突然ドムの足が止まると同時にまるで挟まれたかのように機体がガシャガシャと悲鳴を上げながら内側へと締め付けられていく。

「これって…」

そんな異変を起こしたドムを見たミサの目が留まる。

消える機体、そして鋏。

不意にミサの脳裏にあの少女の姿が浮かぶ。

「邪魔をしないで。あの子と…ミサと戦いたいのよ。この凛音桜と…」

ダメージに耐えられなくなったドムが爆発し、煙の中から攻撃したガンプラの正体が飛び出してくる。

ガンダムスローネドライベースの形状をしているが、ピンク色に塗装されており、ブリッツヘルシザースの象徴ともいえるハサミが両腕に搭載され、腰にはスローネツヴァイのスカートアーマーも装備されている。

「この、ガンダムスローネダブルシザースはね!!」

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