ガンダムブレイカー3 彩渡商店街物語   作:ナタタク

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第58話 正義を胸に

「カドマツさん、今…ステーションは!?」

「緊急離脱プログラムが起動してやがる!こっちから中止命令を送ってるが…御覧の通りだ!!」

必死にノートパソコンとコンソールを接続した状態で命令を送るカドマツだが、何度キーボードをたたき、コードを送ってもプログラムの進行を止めることができない。

(緊急離脱プログラムにより、これより地上用テザーとの切り離しを開始します)

「あのぅ…いったい何が?緊急離脱プログラムというのは…?」

「宇宙エレベーターに備わっている機能でな、近くで大規模な事故やテロが起こった時に施設の安全を確保するために一時的にステーションを軌道から離脱させることができるんだよ」

「じゃ、じゃあその事故が起こっていて…?」

「そうじゃない…!コンピュータウイルスが強制的にプログラムを開始するように制御AIを仕向けたんだ!くそ…これじゃあラチがあかないぜ!!」

「そんな…」

カドマツに説明されるまで、事態を飲み込み切れなかったハルは今自分の身が置かれている事態にめまいを覚え、その場に座り込んでしまう。

「ああ…テザーが…」

窓から宇宙の様子を見ていた勇太の目に次々と強制排除されていくテザーのパーツが見える。

やがてステーションがゆっくりと回転していきながら地球から離れていく。

このステーションがどこへ行くかは誰にもわからない。

このまま宇宙を漂うのか、太陽に飲み込まれるのか、地球以外のどこかの星に流れ着くのか。

いずれにしても、一つ言えることはこのままでは全員ステーションの中で一生を終えることになるということだ。

「くそ…なら、軌道修正だ!軌道修正プロセス起動!!」

緊急離脱プログラムが止められないなら、そのあとに必ず動くことになるものがある。

このまま離脱を続けると地球へ戻れなくなる。

それを防ぎ、なおかつ元の位置に戻すために軌道修正プロセスは必ず備わっている。

(アクセス、拒否します。安全を確認できません)

「安全も何も、そんな事態は起こってねーんだぞ!軌道修正プロセス起動!!」

(アクセス、拒否します)

「うわーーー!くそっ、お手あげだ!!」

カドマツの脳内でいくつもの手段がシミュレートされつつあるが、いずれも軌道修正プロセス起動への道筋を作れない。

おそらくウイルスは制御AIのもっと根深い、母体の部分を侵食している厄介なもの。

いくら外側から刺激を加えたところで、そこへ入り込むすべがなければどうしようもない。

緊急事態に備えて、そこへのバックドアも探したが、そこもウイルスが封鎖している。

「カドマツでもどうにもならないなんて…」

「おい、ハルさん!地上との連絡はできるか!?」

「地上…ああ、はい!今…!」

呆けていたハルだが、どうにか正気に戻ると持っている端末で地上への連絡を試みる。

テレビ局から支給されたもので、これで宇宙から地上への連絡も可能だ。

(おお、ハルさん!大丈夫かい!?)

「それが…ステーションが緊急離脱プログラムで外へ行ってしまって…地上がどうなっているのか、こちらでもわからなくて…」

(何も起こっていないぞ!?軌道エレベーターがどうしてこんなことになったのか、今NASAも調べているが…軌道修正はできないのか!?)

「それが…今こちらでエンジニアの方にしてもらっていますが、軌道修正ができない状態です!!」

(何だと…!?NASAも地球から軌道修正プロセス開始命令を送っているが、何も応答がない!これでは…)

「そんな…」

軌道エレベーターとギガフロートを委託管理されているNASAでも手詰まり。

突然の事態に混乱が続いている中で、地上から助けを得られるか不透明。

「くそ…!ウイルスがどうにかできれば、俺からでもNASAからでも軌道修正プロセスを実行させることができるが…」

だが、こんなウイルスをどうやって破壊するか。

今手持ちのウイルス除去プログラムを入れたくても、そもそもその命令が拒否されている状態だ。

(ウイルス関係のプログラムじゃあ、入れない…。クソっ!!)

「まさか、僕の機体をキャリアにされるなんてな…」

背中のアームズアーマーXCを砕かれたセレネスを握るウィルは己のうかつさを恥じる。

まさかガンプラのパーツにこのような時限爆弾を仕組まれるとは思わなかったが、考えてみればそれができる状況でもあった。

バイラスとの戦いで、バイラスの仲間のガンプラに組み付かれたときに仕込まれたとしか考えられない。

「度が過ぎた正義が身を亡ぼすか…。だが、俺たちまで巻き込まれるのは御免だ!何か手段がないか、何か…」

「まさか、ガンプラバトルがしたくて来ただけで、こんなことに…」

徐々に離れていく地球を見つめるサクラはフゥとため息をつく。

ガンプラバトルをする中で、プログラムを学んだことはあるものの、カドマツほど専門的な知識のないサクラはもはやカドマツに託すことしかできない。

後輩やライバルがいる中で、何もできない自分が腹立たしくなる。

「ねえ、勇太君…」

ミサの声が聞こえ、ぎゅっと握られた手に目が言った後で、そこからミサへと視線を向ける。

快活なミサも、さすがに今回のようなことでは不安がいっぱいで、小刻みに震えている。

「ミサちゃん…」

「私たち、このまま…」

「言わないで、ミサちゃん…。僕も、何かできればいいけど…」

ガンプラバトルでは確かにウィルと勝負でき、覚醒まで行える世界レベルのプレイヤーであっても、結局はただの高校生。

現実では何もできない、そんな自分を恨む。

隣にいる少女を勇気づけることさえできない。

「ねえ、勇太君…。私、本当は大会が終わってから言いたかったけど…でも、もう何が起こるかわからないし、何も言わないで死んじゃうなんて嫌!」

「ミサちゃん…」

「勇太君、私…勇太君のことが…」

「皆さん、お茶をお持ちいたしました」

ミサの覚悟の言葉などお構いなしに平常心のドロシーの声がナーバスになりつつあるステーションに響く。

どこにあったのか、配ぜん用のカートを押して入ってきたドロシー。

「おいおい、んだよこんな時…!?」

のんきに茶でも飲んでいる暇があるなら、少しでも解決策を探す。

そのつもりで突っぱねようとしたカドマツだが、カートの上にあるものに目が留まる。

紅茶の入ったポッドに7人分のティーカップ。

そして、切り分け用のナイフと一緒に用意されているのはひときわ大きな…。

「ドロシー、なんでアップルパイまであるんだ?」

「宇宙で飲むお茶菓子を楽しみにしておりましたので。紅茶には甘いものが欲しくなります」

「ああ…ああ、そうだ。パイだ!アップルパイだ!!そうだ、そうだぜ!!」

何かを思いついたカドマツの表情が明るくなり、すぐにノートパソコンにもう1本線をつなげる。

そして、パスワードを入力した後でその線をシミュレーターと接続し、プログラムを構築していく。

「アップルパイがお好きでしたか?」

「ああ…そうだな。アップルパイにはリンゴが入っているが、ペチャパイには何が入っているか知ってるか?」

「おいコラ、カドマツ…」

「イギッ!?」

先ほどまでの物悲しい空気はどこへやれ、急に目元が黒く染まったミサの勇太の手を握る手に力がこもり、何か嫌な音が聞こえた勇太は同時にそこから激痛を覚える。

「ハッ、シリコンでしょうか?」

「それはあとから入れるんだよぉ!!」

「や、やや、やめてミサちゃん!手が、手がぁ!!!!」

「ペチャパイがどうしたんだ?」

「ああ…コンピュータウイルス退治を可能にしてやる!!」

確かにこのウイルスはウイルス対策ソフトやそれに関係するシステムの介入に敏感だ。

だとしたら、その間のクッションとなり、隠れ蓑となるものがあればいい。

その条件をガンプラバトルシミュレーターが補ってくれる。

「よし…お前ら、準備を!!やることはわかってるだろ!」

「痛た…わかりました、ミサちゃん!急いで準備だ!今できる範囲でガンプラを強化するんだ!」

「わかった!!」

「私たちも手伝うわ、ウィリアム、あなたもよ!!」

「ああ、わかってる…。この不始末の原因が僕にもある以上、何もしないわけにはいかない!!」

「できる限り、急いでくれよ!時間がたてば、軌道修正プログラムが効かなくなっちまうからな…!」

 

どす黒い紫の霧に閉ざされ、その中を同じ色のGN-Xやプロヴィデンス、レジェンド、アルケーなどのモビルスーツの姿を模したウイルスが徘徊する。

ウイルスは内部にあるウイルス対策プログラムまで変質させており、それらは迎撃用のビッグガンとそれを制御するザクⅡへと姿を変えていた。

その不気味で一切に色彩のない空間にひびが入る。

そのヒビに1機のウイルスが気づいたと同時にヒビは大きな裂け目へと変わり、そこからトランザム状態のプトレマイオス2改が突入する。

遺物に気づいたウイルスたちはビームやミサイルなどでプトレマイオス2改を迎撃し始めた。

攻撃の余波は格納庫にも響き、コックピットにも衝撃が伝わる。

「まさか、こんなプログラムがあるなんて…。ガンプラバトルでウイルス退治か…」

V2のバックパックを装着し、両肩と両足にGNシールドビットとGNライフルビットを複数装着した状態のセレネスの中で、ウィルは予想外のウイルス退治の解決策に舌を巻く。

プレイヤーの技量に左右されるとはいえ、それでも専門知識なしでウイルス退治ができるそのシステムは画期的で、どうしてそれを広めようとしないのかとさえ思うほどだ。

「カドマツの奴…乙女の傷をえぐるようなことをしやがって…ブツブツ…」

「ミサちゃん、落ち着いて、それよりも、今は…」

ミサに握りつぶされかけた右手を左手でさする勇太はゲーティアの装備を状態を確認していく。

今のゲーティアは全身を覆うようにグレーの色彩のディジェと言わんばかりの外装に包まれていて、背中に装備している左文字と麒麟がなければ、おそらくはゲーティアと認識できないだろう。

両足はドムのように大型化し、両腕には二連装レールガンを装着されている。

バックパックにはデスサイズヘルのような羽根をつけ、より悪魔としての印象を深めていた。

「わかってるよ!もう…。サクラさん、装備はどう?」

「ええ、問題ないわ。さすが勇太ね。こんな短時間でいい装備を作れるなんて」

「そんなことないですよ、ミサちゃんとロボ太の協力もあったし、それにウィリアムもパーツをくれたから」

サクラのスローネはサクラの花びらが刻まれたGNアームズが装備されていて、GNキャノンが内蔵された進捗可能の大型のハサミが左右に装備されている。

「それで、ウィリアムはいいの?私たちみたいにフルアーマーにしなくても」

「フルアーマーの装備はあんまりなじめないからさ。慣れない装備を使うよりはこれの方がマシさ」

「いいか、お前ら。相手はこのステーションの中枢に侵食することができたウイルスだ、生半可な相手じゃねえ。でも、お前らならやれる。必ずやれる。頼むぜ…お前ら!」

「うん…!井川美沙、アザレア行きます!!」

「バーサス騎士ガンダム、ロボ太で出るぞ!」

「ウィリアム・スターク、セレネス出る!」

「凜音桜、スローネ出るわ」

「沢村勇太、ゲーティア出るよ」

勇太たち5人のガンプラがプトレマイオス2改から飛び出していく。

その様子がカドマツのノートパソコンの映像にも表示される。

「よし…中には入れたな。ハルさん、今の俺たちの状況を地上に知らせてくれ!少しでもあいつらを助けるためにも…」

「は、はい…!ええっと、マイクロドローンは…」

端末でマイクロドローンの位置を確認し、カメラを起動させる。

道筋を作ることができたカドマツだが、それだけでは不十分だ。

大人として、勇太たちのためにもっとできることがあるはず。

「火力で道を作るわ!」

「いっけええええええええ!!!」

スローネのGNアームズの後方に外付けされているミサイルランチャーから次々とミサイルが発射され、ミサも左手に装備されているビームキャノンと右手のガトリングガンを同時発射する。

射線上のウイルスが変異したGN-XⅢやアヘッド、プロヴィデンスなどが激しい実弾とビームの猛攻に撃墜されるか、撃墜されなかったとしても、武器や機体のどこかに大きな損傷を受けることとなった。

 

「おい、ユウイチ!!」

「勇太君とミサちゃん、大丈夫なの!?」

ガンプラショップにマチオとミヤコが駆け込み、店にあるテレビを見るユウイチに声をかける。

二人とも決勝戦の放送を見ており、ウイルスによって試合中止になったと同時に映像が途切れたことで疑問を抱いていたが、つい先ほどステーションが地球から離れていっていることが報じられた。

その放送は既にユウイチも見ていて、テレビには今のステーションの位置が図解された上で専門家によって説明が行われている。

「では、本来ならば安全が確認されてから元の軌道へ戻るためのプログラムが起動するはずだということですね?」

「そうです。しかし、問題はそのプログラムが起動しないこと。そして、安全か否かを判断するのはAIだということです。それに備えて、人の手でプログラムを起動する手順もありますが…ウイルスによってそれが阻まれている以上はそのウイルスを除去しなければ…」

「勇太君、ミサ…ロボ太…」

テレビの映像を見るユウイチの手に力がこもる。

最愛の娘とその友達が下手をすると地球へ二度と戻れなくなるような事態になっているというのに何もできないことが歯がゆくて仕方がなかった。

「これは…嘘だろ!?たった今、ステーションから映像が届いています!こちらをご覧ください!!」

割り込むように表示されるのはユウイチ達にとっては見たことのない紫のまがまがしいフィールドとそれとほぼ同じ色の砲台やガンプラの数々。

それらに相手をしているのは5機のガンプラだ。

「地上の皆さん、この映像が届いていますか!このバトルは今、地上から遠ざかりつつある静止軌道ステーションで行われています!コンピュータウイルスによって暴走した制御AIに対して現在、ガンプラバトルシミュレーターを使ってウイルス除去が行われています!!」

「ガンプラバトルでウイルス除去!?そういや、それって…」

「ええ、ミサちゃんが言っていたわね。それでインフォちゃんを助けたって…」

「じゃあ、ミサたちは戦っているのか…?」

敵ガンプラを次々と撃破していくゲーティア達だが、相手は百単位。

数的には圧倒的に不利で、増加装甲や武装によって継続戦闘能力を引き上げても限界がある。

「悪い、ハルさん。マイクを貸してくれ!」

「ええ、ちょっと!?」

「地上にいる誰でもいい、聞いてくれ!この宇宙エレベーターは30年以上かけてようやく完成したものだ!それが心無いものの手によって失われつつある!これから始まる宇宙の時代とその命綱になる宇宙エレベーターをここで無くすわけにはいかないんだ!今、必死に戦っているこいつらに俺たちがガキの頃に夢見た未来を見せてやりたいんだ!こいつらに命を懸けさせるためにこんなものを作ったわけじゃないんだろ!?だから誰でもいい、頼む!力を貸してくれ!!」

「カドマツさん…」

人類の財産であり、可能性の象徴である宇宙エレベーターへの想い。

その開発にかかわったわけではないが、それを作った人々の思いは理解しているつもりだ。

その善意と祝福を呪いに変えるわけにはいかない。

「ミヤコ、お前の客の中に宇宙関係に強い奴はいねえか!?誰でもいい、あいつらに助けを…」

「ユウイチさん、皆さん!!」

「ミスターガンプラ…」

「力を貸してほしい…助ける方法は、まだある…!」

 

「そこをどけえええええ!!!」

両腕に連装レールガンを発射し、放たれた弾頭がGN-Xの胴体を撃ちぬき、機体そのものを真っ二つにする。

飛んでくるビームや実弾を外装のナノラミネートアーマーが受け止め続け、敵中に深く切り込むとともに外装の羽根にはバチバチと電気が走る。

「薙ぎ払ええええええ!!!」

勇太の叫びと同時に羽根から激しい電撃を放出していく。

激しい電撃が周囲のガンプラを薙ぎ払っていき、道を作っていく。

「へえ、やるじゃないか!!」

敵陣の大穴が開き、それを見届けたウィルはセレネスの新たな装備である光の翼で亜光速レベルの機動力を見せつける。

アームズ・アーマーXCがなくなったことで低下した反応速度をミノフスキードライブの光の翼の機動力向上で補ったセレネスのスピードにウイルスが追いついておらず、すれ違いざまに光の翼によって両断されてしまうほどだ。

だが、どんなに機動力を高めたとしても相手の数が段違いでウィル自身もウッソのようなニュータイプではない。

被弾することもあり、そもそもウィル自身も光の翼はぶっつけ本番。

「GNシールドビット展開だ、僕を守れ!」

機体に装備されているGNシールドビットとライフルビットが展開され、飛んでくるビームや実弾をシールドビットが受け止め、ライフルビットが長距離の敵を撃つ。

「はあああああ!!!」

ロボ太は電磁スピアとバーサルソードに二刀流でGN-Xを切り裂き、襲い掛かるドラグーンのビームを受け止める。

「まとめて吹き飛ばしてくれる!!はあああああ!!!」

電磁スピアを一度地面に突き刺したバーサル騎士ガンダムが両手でバーサルソードを手にして空に掲げる。

バーサルソードにバチバチと電気が発生するとともに彼を中心に竜巻が発生する。

電気を帯びた竜巻は周囲のガンプラを吸い込んでいき、感電させるとともに切り裂いていく。

「受けよ、我が奥義トルネードスパークを!!」

竜巻が収まるとともにバラバラになったガンプラが降ってきて、撃墜判定となったためか消えていく。

「カドマツ殿、まだか!?」

「ああ…もう少しだ。どこだ…入り口は…!」

地上へ声掛けを終え、カドマツが行っているのは深部への道の特定。

そこから生みされたウイルスの大群はそこで生まれ、ここにきている。

どんなにここでウイルスを駆除したとしても、大本を絶たなければ何の意味もない。

「カドマツ急いでぇ!!」

「頼みます…!」

ウイルスを少しでも駆除し、見つけやすくするためにも、勇太たちは力をふるう。

ゼクスとノイン、そしてガンダムのパイロット達が大量のサーペントをパイロットを殺さないという制約がかかった上で戦っていたように。

だが、次第に外装の装備も底をつき始め、弾切れのレールガンを強制排除する。

「邪魔を…しない!!」

サクラはGNギガントシザースを起動し、ギガンティックシザースの倍の大きさをしたハサミが2機のGN-Xに食らいつく。

大型化したことで単純にパワーも上がっているそのハサミは2機のモビルスーツを一気に挟みつぶしていく。

そして、両肩部分に存在するGNキャノンが発射され、接近してくる敵ガンプラを薙ぎ払っていった。

 

「よし…あいつらが暴れてくれているおかげで俺への警戒が緩くなった!もう少し…もう少しだ…!」

アップルパイをかじるカドマツは最深部へのルートづくりを完成させていく。

このデータを送れば、勇太たちは大本を叩くことができる。

だが、大本のウイルスがどれほど強大なものかはカドマツも想像できない。

かつて、バイラスが放ったウイルスに感染したインフォの場合、大本のウイルスはグランドマスターガンダムの姿となっていて、圧倒的な力を見せていた。

今回はそれと同じか、それともそれ以上に強大な存在になっていることは確か。

だが、あの時と比較しても勇太たちはかなり強くなっていて、サクラとウィルもいる。

世界レベルの実力者たちなら勝てる。

「よし…道はできた!お前ら、待たせたな!!今からルートデータを送る!そこから奥へ突入しろ!!」

 

「よし…ありがとう、カドマツさん!!道がわかった!みんな、いい!?」

「了解…!道は、こちらで作るわ!!」

GNアームズを強制排除したサクラはそれを指定されたルート上にいる敵に向かって飛ばす。

GNコンデンサーに残存するGN粒子でGNフィールドを展開したままにしていて、その質量による突撃は進路上のウイルスを破壊していき、道を阻む壁にぶち当たる。

衝突と同時に爆発を起こし、その先に隠れた道が見えた。

「突入するよ!!」

「ああ!」

「了解!!!」

勇太とウィルが先頭に立ち、5機は飛び込んでいく。

その先は真っ暗な闇のみが存在していた。




武装名:GNアームズTYPE-S
ガンダムスローネダブルシザースへの追加装備として勇太たちが作ったGNアームズ。
疑似太陽炉搭載機であるダブルシザースと機体の色に合わせてGNコンデンサーとカラーリングを調整したうえで、両腕部分には大型化したGNキャノン内蔵型GNギガントシザースが装備されている。
後方には外付けでGNミサイルポッドとプロペラントタンクが装備されており、それについては弾切れになれば自動的に強制排除される形になっている。
機動力以上にGNフィールドの出力と火力を優先したことからダブルシザースと比較するとステルスフィールドが使用できず、機動力が低下する形となったが、近距離長距離での戦闘に対応でき、継続戦闘能力の向上につながっている。
ただし、GNアームズそのものの制御は不可能であり、分離後の再合体は不可能になっている。
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