第15話「ヴィーンゴールヴの落日」
各国メディアのハイジャックが発生し、そこで映像に現れたのはかつて鉄華団の一員だった男、ライド・マッスだった。
彼岸花を名乗る彼らはダインスレイヴによるヴィーンゴールヴへの直接攻撃を宣言するとともに、1発目が発射される。
ジュリエッタはヴィーンゴールヴ陥落を阻止すべく赴くが、ライドの駆るガンダムフレーム・オリアスがそれを阻む。
「邪魔をするな!!」
モビルスーツ2機がギリギリで隣り合って飛ぶことができる程度の幅の道を進みながら、ゲーティアのレールガンが進路を阻むトーチカを撃ちぬく。
だが、トーチカを1機や2機つぶしたところで次々と新しいトーチカが現れて道を阻み、フルアーマー化しているゲーティアとアザレアがセレネスとダブルシザースの盾になることで被弾していく。
ミサのアザレアに装備されている外装、ヴォルケーノアーマーはガスマスクを装備した茶色い装甲とその隙間を隠すような黒いマントが特徴的で、フルアーマーでありながらも極力機動力を確保しようとしたものだ。
マント部分はサンドロックの対ビームコーティングマントのため、ビームへの守りはあるものの、実弾に対しては申し訳程度だ。
「内部に突入するまで持ってくれれば…!!」
迎撃できるトーチカをレールガンで破壊しつつ、ルートデータと損傷率を確認する。
あと少しで中枢にたどり着けるが、それまでにはもう外装は限界を迎える。
そして、最後の壁だといわんばかりに大量のバグが正面から飛び込んでくる。
「損傷率がひどい…今度は僕が道を作る!!」
前に出たゲーティアの外装が展開され、その中に内蔵されているミサイルがあらわになる。
銃身へのダメージを無視してレールガンを連射すると同時に内蔵されたミサイルが全弾発射される。
ミサイルの暴風雨が襲い掛かるバグを蹴散らしていき、その熱に惹かれた生き残りのバグの一部が集まっていくのをアザレアのビームキャノンが討ち取る。
「コントロール艦…やっぱりあった!」
ミサイルを撃ち尽くした外装を強制排除して近づいてくる残りのバグを薙ぎ払いつつ、左手で麒麟を握り、ターゲットをバグを出撃させるガル・プラウに向ける。
発射された弾丸は一直線にそこに向けて飛び、艦体を貫通させる。
大きなダメージを受けたガル・プラウは爆発とともにその姿を消し、それをよそに5機は通過していく。
通路を抜けた先に広がるのはかつてのウイルスに侵されたインフォの中枢部に似ている。
違いがあるとすれば、その周囲には数多くのモビルスーツや戦艦のデブリが漂っていることだ。
「ここだ…ここが中心部だ!」
「でも、本丸が見当たらない。ミラージュコロイドでも使っているのか…!?」
インフォの時にはここにグランドマスターガンダムがいて、それを撃破することでウイルス駆除を完了することができた。
だが、ここには誰もいない。
熱源反応も何もない中、ロボ太が何かを見つける。
「皆、あれを見ろ!!」
ロボ太が指をさした方向に4人の目が行く。
そこには人間の姿があった。
黒いジオンの制服を模した衣装姿で、真っ黒な髪をした美女。
「死神…!?」
勇太の脳裏に浮かんだのは重力戦線で登場した死神。
連邦ジオン問わず、強烈な悩みや復讐心を持つ兵士たちに甘い言葉で近づき、そして煽った挙句に不条理な死を与える存在。
おそらくはこれがウイルスの本体。
「なるほど…これがガンプラバトル。これがガンプラファイター…見ているだけでは物足りません」
「まずい…!!」
危険を感じたサクラが死神に向けてGNシザーズからビームを放つが、彼女に命中する直前でビームは霧散してしまう。
両手を広げた死神の体が徐々に巨大化していくとともに、黒いオーラに包まれていく。
「私も…私のガンプラで挑戦させてもらいます」
オーラの中から現れる存在に勇太たちは戦慄する。
「サクラさん、これは…」
「間違いないわ…ここで最悪の存在を相手にすることになるなんて…」
オーラを突き破り、巨大な腕が最初に現れる。
赤い巨大な六本腕にある指は1本ずつがメガ粒子砲となっているとともにファンネルでもある。
腕の後から出てきたのは100メートルを超える巨体にメガ粒子砲をこれでもかと積み込み、足を持たないユニット。
ラプラス事件ではバナージとリディを阻む最後の壁として現れ、不死鳥狩りではゾルタンの憎悪とシンクロして地球とコロニーすべてを崩壊させようとした存在、ネオ・ジオング。
その中心には例の死神が乗り込んでいる格好だ。
「まさか、ネオ・ジオングを出すなんて…」
「あんなの…倒せるの!?」
「臆するな!スケールがガンプラバトルのすべてではない!!」
「では…試してみるがいい…」
死神がそうつぶやくと同時にネオ・ジオングに搭載されているメガ粒子砲が火を噴く。
大出力のビームの雨が次々と5人を襲い、その弾幕をくぐりながら接近していく。
「奴にはIフィールドがついている!勇太、君のその銃なら効果があるはずだ!」
「わかってる!当たるかどうかまでは保証できないけど!!」
機体に当たりそうなビームを右手に持っている左文字の刃を盾にして受け止め、照準をろくに合わせることなく麒麟を1発発射する。
本来へのコースとはならなかったものの、それでもプロペラントタンクの1つに着弾し、それに気づいたネオ・ジオングが爆発寸前のタンクを切り離す。
「遠距離の脅威…威力重視の実弾ライフル…排除する」
ビームの雨を納める気配がないネオ・ジオングが今度は上2本の腕を出し、指先に装備されているワイヤーが射出される。
ワイヤーは浮遊している戦艦やモビルスーツの残骸に突き刺さり、同時にそれらの既に死んだはずの動力がよみがえり、メインカメラに明かりがともる。
「さあ、行け!!」
「何…これ!?」
ネオ・ジオングにジャックされた戦艦とモビルスーツの残骸が修復されていき、それらが勇太たちに攻撃を仕掛けてくる。
「カドマツさん、これは…!?」
「あのウイルスめ…侵食する際に破壊したウイルス除去プログラムを再利用しているらしい!おまけに修理までしてやがるぜ!!」
「ネオ・ジオングだけじゃなくて、他の機体の相手もするのか!?」
ライフルビットを展開して遠距離から攻撃を仕掛けるギラ・ドーガを撃墜していき、接近してくるグフイグナイテッドに刀で応戦する。
だが、そちらに注意を向けているとネオ・ジオングのファンネルやメガ粒子砲が飛んでくる。
あのファンネルを撃ち込まれたらどうなるかは誰もが理解している。
「こうなったら…!」
「ミサ!」
スラスターを全開にしたアザレアが目の前にいる敵機だけをガトリングで仕留めつつ、それ以外を無視してネオ・ジオングに向けて突撃を仕掛ける。
襲い掛かる弾幕を装甲と対ビームコーティングマントが受け止めていき、ダメージが限界に近付いている装甲を強制排除し、弾切れになったガトリングを手放す。
「Iフィールドがあっても、ゼロ距離なら!!」
どんなにIフィールドで身を守ることができるとしても、至近距離からのビームに対しては守ることが難しい。
そこから左手のビームキャノンで攻撃を仕掛ければ。
「無駄だ」
2機のドラッツェがビームサーベルを展開し、アザレアに向けて突っ込んでいく。
「まずい、ミサちゃん!!」
「くうう…こうなったら、やるわよ!!」
ファングを展開していたダブルシザースだが、それらを機体周囲に配置させる。
隙だらけになりつつあるダブルシザースに向けて周囲の敵機が攻撃を仕掛けるが、ウィルが彼女の護衛に回る。
「さっさと使え!こんな数を正攻法で相手するだけまずい!!」
「ええ…トランザムミラージュ!!」
GNファングたちのサポートを受ける中でトランザムを起動したダブルシザースから桜吹雪のような高濃度GN粒子が放出される。
その粒子で障害を受けた機体や戦艦は動きを止めていき、ミサに迫っていたドラッツェも彼女を見失ったことで動きを止める。
至近距離に到達するアザレアだが、ビームキャノンを握る左手の増加装甲のダメージは限界に近く、発射すればどうなるかは明白だ。
「それでも…えええええい!!」
最大出力でビームキャノンを発射し、同時に増加装甲が限界を超えて自壊する。
ほぼゼロ距離のビームはネオ・ジオングの装甲を貫き、腕の1本を破壊する。
「やるほど…目をつぶして攻撃か」
センサーに不具合が出たとしても、攻撃の手段がある程度わかっていればその攻撃が位置を教えてくれる。
ファンネルを収納した1本の腕がアザレアをつかむ。
「く、ううううう!!!」
「やはりそこにいたか、このまま握りつぶして…」
「そんなこと…させない!!トランザム!!」
トランザムで赤く染まったアザレアが絞殺そうとずるネオ・ジオングの腕を力づくで開いていく。
増加装甲によって守られていたアザレアだが、それでもすべてのダメージをそれで相殺できたわけではなく、損傷している箇所があり、トランザムを利用した力づくの突破によって、損傷個所を中心に負担が重くなっている。
「ミサ!今助ける!!」
弾幕をかいくぐったロボ太が援護のために指の関節を狙って剣を突き立てる。
指の1本でも関節にダメージがあれば、その分楽になる。
どうにか突破したアザレアは左手のビームキャノンを投げ捨て、バックパックに装着されているビームマシンガンを手にし、自分を拘束した手に向けて連射する。
あくまでも本体にしかIフィールドが施されておらず、力技で突破されたことでダメージを負っている腕にはビームマシンガンに雨に耐えるだけの力はなく、爆散した。
「ミサちゃん!よかった…」
「安心している場合か!?まだ来るぞ!!」
「なかなかやるな…ならば、これはどうだ?」
ネオ・ジオングの両肩とリアスカートからパーツが分離し、そこを中心に死神から放たれる黒の混じったサイコシャードが展開されていく。
ナノサイズのサイコミュ用コンピュータチップを中心に生み出される結晶型疑似サイコフレームといえるそれは光輪のような形状で展開されていき、赤黒い周囲の光景に黒と金の光が混じっていく。
「サイコシャード!!うわっ!!」
「キャア!!」
サイコシャードの光が一瞬だけ放たれると同時にセレネスのライフルビットが爆散し、シールドビットに装備されているビーム砲の粒子貯蔵タンクも爆発し、刀も折れてしまう。
ファングも刃が折れ、ビーム砲も爆発し、さらには強制排除したギガンティックシザーズも大爆発を起こす。
セレネスとダブルシザースだけでなく、ゲーティアやアザレア、バーサル騎士ガンダムもまた、兵装のすべてが折れるか爆発し、使用不能となってしまった。
まるで戦意喪失だけを目的とするかのように。
「武器が使えないなら、もう肉弾戦しか!!」
「肉弾戦だって!?冗談じゃない!この弾幕をくぐらなきゃならないうえに、ネオ・ジオングの出力は測定不能なんだぞ!?」
「それでも…やるしかないでしょう!!」
負ければ、永遠に宇宙をさまようことになる。
少なくとも、ミサだけでも地球へ返したい。
そう願う勇太の操縦桿を持つ手に力が入った。
装備名:ヴォルケーノアーマー
アザレアの強化装備の1つとして勇太が作ったもの。
アザレアの少女らしい様相とは真逆で、ガスマスクをつけた2本角の鬼というべきフルフェイズのヘッドギアと茶色をベースとした装甲とその隙間を覆い隠すように黒の対ビームコーティングマントの切れ端が接合されたような恰好をしている。
左手部分には手持ち式のビームキャノンが装備されていて、手持ちにしたうえで銃身を可能な限り短くすることで取り回しをよくする代わりに反動がヴォルケーノアーマーで受け止める設計となっていることからアザレア単体での発射は不可能(万が一発射する場合はどうなるかはビームマグナムを撃った後のデルタプラスの腕がいい例になる)。
右手には大型のジャイアントガトリングを装備しており、ビーム耐性を持つ機体への対応策となりえる。
外装そのものは強制排除可能で、そのあとで本来のバックパックにマウントしているアザレアの装備を使用することになる。