ガンダムブレイカー3 彩渡商店街物語   作:ナタタク

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機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ第3期(勇太のノートより)
第16話「彼岸花の怒り」

ヴィーンゴールヴ陥落とアリアンロッド艦隊の敗走。
この事実は世界中に駆け巡り、様々な勢力の思惑が加速する。
そして、彼岸花はそれだけではとどまらず、地球各地のギャラルホルン基地へのダインスレイヴ攻撃を開始する。
敗軍の将となったジュリエッタは恥を忍び、かつて討った男の息子のいる歳星へと赴く。


第60話 世代を超えて

「くそ…サイコシャードシステムまで完全再現かよ!!」

モニターから勇太たちが窮地に陥っている光景を見るカドマツは拳を机にたたきつける。

武器を失った状態でネオ・ジオングと戦うのは不可能に近い。

原作では、武器を失ったユニコーンとバンシィ・ノルンに対してはそこからは兵装を利用せず、腕だけで勝負を受けたフロンタルとは違い、あのウイルスは遠慮なく兵装を使用してくる。

特にファンネルビットによって掌握された周囲の戦艦やモビルスーツによる攻撃も待っている。

まさに絶体絶命だ。

「何か…何かできることはないのかよ!?」

ネオ・ジオングを倒すための武装を届け、なおかつそれらを無効にするサイコシャードを破壊できる存在。

それがなければ、勇太たちは負けて、この宇宙を永遠にさまよわなければならなくなる。

「坊ちゃま…」

「どうなっちゃうの…私たち…」

なすすべなく、沈黙が流れる。

その中で、カドマツのノートパソコンに1通のメールが届く。

「このタイミングにメール…?こいつは…!?」

 

「まったく、邪魔をして!!」

四方八方から襲い掛かるジェガンのビームライフルをどうにか回避するサクラだが、回避しきれずにかすめたりしたことで装甲が傷つき、サクラも疲労が増していくがネオ・ジオングに届かない。

それはウィル達も同様で、どうにか拳や足で襲い掛かるファンネル・ビットやモビルスーツを排除することができても、それ以上のことができない。

「まったく、このままじゃあの2人はともかく…」

「僕とウィリアム…ロボ太がガス欠する!!」

もし外装を装備して出撃していなかったら、今頃推進剤はレッドゾーンに突入していただろうが、今の状態でもそうなるのはもう時間の問題だ。

おまけに覚醒しようとしても、あのサイコシャードによって覚醒エネルギーまで遮断されているのか、覚醒もできない。

「せめて…あのサイコシャードを!!…!!」

遠いネオ・ジオングをにらむ勇太だが、周囲のギラ・ドーガとジェガンの部隊の動きを見たと同時にアザレアに視線を向ける。

周囲を囲まれたアザレアに向けて、敵機の銃口が向けられていた。

「やられちゃう…!!」

「ミサぁー--!!!」

ゲーティアが囲まれたアザレアを守るべく身を乗り出す。

ナノラミネートアーマーでビームから身を守れるゲーティアだが、多くのダメージを負ったと同時に塗料も消耗している。

どこまで耐えられるかわからないが、それでも何もしないわけにはいかない。

だが、攻撃しようとしたモビルスーツ達が側面から飛んできたビームの雨を受けて爆散していく。

「ビーム…どうして!?」

ここには自分たち5機以外には味方がおらず、兵装もすべて破壊されているためにこんな芸当はできないはずなのに。

「これは…!!」

「ミサぁー--!!!」

聞き覚えのある声が聞こえ、同時にフルバーニアンをベースとした青いガンダムがビームサーベルを抜いて突撃し、生き残っていたギラ・ドーガを一刀両断した。

モニターに映るのはコウ・ウラキのノーマルスーツ姿をしたユウイチの姿だ。

「パパ!?」

「ユウイチさん、どうして!?」

「インフォちゃんとミスターに助けてもらったの…さ!!」

突然の侵入者に対して、ウイルスからの命令でジェガン達がターゲットをユウイチに向ける。

サイコシャードを展開している状態で、それでも武装を使用できる彼は今、一番脅威となる可能性の高い存在だ。

それを破壊しようとしたジェガンだが、側面からボクサーを模した改造が施されたガンダムAGE-1タイタスというべきガンプラ、猛烈號の体当たりを受け、バラバラになる。

「おっと、俺らを忘れてもらっちゃあ困るぜ!」

「腕は鈍っていないわね!」

2機にターゲットを定めたファンネル・ビットがミリタリー調のカラーリングとなったジェスタ、ジェスタ・コマンドカスタムのスナイパーライフルが放つ1発のビームで撃ちぬかれた。

猛烈號、ジェスタ・コマンドカスタムのパイロットも、勇太たちの知り合いだ。

「マチオおじさんに…ミヤコさん!?」

「懐かしいなぁ!!今の時代のシミュレーターってのはノーマルスーツも装備できるのか!?」

アルゴ・ガルスキーのファイタースーツ姿になったマチオにトライスターのノーマルスーツ姿のミヤコ。

それぞれがかつての楽しかった日常と、それから離れた時間の長さを感じていたが、今はそれを懐かしんでいる場合ではない。

まだまだ数多くのジャックされた機体と戦艦が残っていて、それらが3人を狙っている。

「カドマツさん!僕たちはどうしたらいいですか!?」

「あ、ああ!!今のあいつらは何もできない!あのでっかいリングをぶっ壊さない限りな!できるか!?」

「よし…みんな、できるか!?」

「おうよ、了解よ!」

「んで、ぶっ壊した後は…」

「はい、私が皆さまに武器を渡します」

シミュレーターに待機するドロシーは白黒のカラーリングとなっているガンペリーで出撃準備を整えていた。

中にはミサイルの代わりに武装コンテナを搭載していて、その中には勇太たちの武装をありったけ入れている。

すべては来るべき時に備えるために。

 

「くそ…!くそぉ!!」

襲い掛かるファンネル・ビットとモビルスーツ達に拳を振るうことしかできないウィルが声を上げる。

ミノフスキードライブを最大稼働にしてもビームサーベルを発生させることができず、武装もない今となってはこうすることしかできない。

だが、とうとうセレネスの周囲をモビルスーツとファンネル・ビットに囲まれる。

「くっ…!!」

歯をかみしめるウィルだが、この状況を脱する手段を見つけることができず、とうとうセレネスの拳が下がる。

だが、攻撃しようとしたモビルスーツ達は真上から降ってきたビームの雨によって、ファンネル・ビットもろとも消し飛んでいった。

「腕が落ちたんじゃないか?ウィル」

唐突に聞こえた懐かしい声。

久しぶりにテレビで聞いたときとは違う、8年前に戦った時と同じ声。

「あんたに言われたくはないよ」

もし、あの時の彼なら、ボロボロだったとはいってもこちらの不意打ちに対処できたはず。

そもそも、ここまで勇太とのバトルでボロボロにはならなかったはず。

背後に現れたブレイク・ケンプファーに振り返るそぶりを見せないウィルに言葉をかける。

「ウィリアム・スターク。私はあの時、君とは全力で戦ったよ」

「…」

「神とガンプラにかけて誓う。ファイターとして恥じることはしていない」

「なら…ならどうしてファイターをやめたんだ!?」

8年前からずっと聞きたかったこと。

ため込んでいたものを吐き出すとともにようやくウィルはミスターガンプラと向き合う。

本当はわかっていた、あのバトルは本当に正々堂々、全力で戦ったものだということくらい。

ずっと忘れられなかった、刃と刃を交え合う感触とバトルの果てにボロボロになったお互いのガンプラ。

そして、敗北したにもかかわらず見せてくれた屈託のない笑顔。

嘘偽りがないというなら、ファイターを引退する必要もなかっただろうに。

メディアに対しても、そう声を挙げればよかったのに。

「それに…それに、どうして…勇太とはバトルを…」

バトルするのにふさわしい相手がもうすでにいたのに。

確かに8年前と比べると腕は落ちたかもしれないが、それでも戦えることは既に示している。

ミスターガンプラだって、8年近くも前線から離れていたにも関わらず、勇太と戦えた上に覚醒だってすることができた。

せめて、一声かけてほしかった。

「ウィル…君もファイターならわかるはずだ」

腰にさしてある刀を鞘ごと外し、ウィルの前で手放した後でゆっくりと近づいたミスターガンプラが彼の肩に手を置く。

「チャンプ…」

本当に些細な理由。

ファイターとしては当たり前の、自分と対等に戦えるかもしれない相手と全力で戦いたいという思い。

それは、この世界選手権で勇太と戦いたいと思ったウィルと同じ思い。

「違うぞ…ウィル。今の私は…ミスターガンプラだ!!」

 

「ステーションとの回線接続状態、しかし、ウイルスがこちらの回線の存在に気づきました」

「こっちでウイルスを妨害する!!どうにかするぞ!!」

「くそ…どんなウイルスだよ、これぇ!!」

4つのシミュレーターに接続されているインフォを経由してつながったパソコンを操作する白衣の男たち。

白衣に着けられている名札にはハイムロボティクスの社員証がつけられていて、彼らは全員カドマツの部下だ。

「接続限界時間まであと3分ってところか…」

「頼むぜ…俺たちもどうにか時間を稼ぐからよぉ!!」

 

「いくぞ、ユウイチ!のんびりしている暇はねえぞ!!」

「わかってるさ…。すまない、ミサ…。こうして近くにいるように見えるのに、本当はずっと遠くにいる。僕たちにできるのは…これが精いっぱいだ」

モニターに映るミサと勇太の顔。

きっと、父親としての役目で言うならば、ここでかっこよくあのネオ・ジオングを倒して娘を救うのがベストだろう。

だが、自分はそんなことができるようなニュータイプでもなければ、物語の主人公でもない。

その役目を果たすことのできる人間、ミサを守り抜くことができる人間はもう、すぐそばにいる。

「勇太君…御覧の通りのやんちゃだけれど…自慢の娘だ。これからも…この子のことを、頼むよ」

「ユウイチさん…」

「パパ!!」

ユニバーサルブースターポッドを展開し、一気に加速してネオ・ジオングに向けて突撃していくユウイチ。

彼がいた場所にはライフルとシールドだけが残されていた。

 

「何者だ?お前たちは?」

接近してくる、本来ならばあり得ない増援に向けてネオ・ジオングが左手のビーム砲を発射する。

1発1発が圧倒的な出力のビームを散開して回避する4機。

だが、周囲に散らばっているスクラップと比較すると生きのいい存在で、それらをコントロールすればあのイレギュラー達に対する勝率が上がる。

ファンネル・ビット達がユウイチ達を操ろうと襲い掛かる。

「それはもう見切っているさ!!」

刀のないブレイク・ケンプファーは背中のヴォワチュール・リュミエールを展開し、拡散ビームを発射する。

ビームの雨を受けたファンネル・ビットが次々と爆散していき、ケーブルを切断されたものについては制御不能となって宙を舞う。

「そこよ!!」

ファンネル・ビットの対処をミスターガンプラに任せたミヤコはスナイパーライフルをネオ・ジオングの左腕に向けて最大出力モードで発射する。

Iフィールドの守りがない状態のそれに向けて放たれた、ビームマグナムに匹敵するビームは大きな穴を穿ち、破壊した。

大出力のビームを放ったスナイパーライフルからは自動的に赤熱化したバレルが自動排出され、バックパックに装備されているサブアームによって自動的にバレルが装てんされる。

だが、ネオ・ジオングが持つアームは4本。

たとえ1本つぶされたとしてもまだ3本あり、しかも破壊された1本も徐々に再生していく。

「そう簡単に、再生なんてさせねえぞおおお!!」

だが、そう簡単にすべてを再生できるはずがない。

再生しようとする腕にダメ押しといわんばかりに猛烈號のビームラリアットが襲い掛かり、もう1本の腕に対しては体当たりをして止める。

だが、猛烈號の頭上にはもう1本の腕があり、そこからファンネル・ビットが襲い掛かろうとする。

「いくぞ、ゼピュロス!!EXAMシステム、起動!!」

(EXAMシステム、スタンバイ)

ゼピュロスに備えられたシステム、EXAMの軌道とともにツインアイが赤く染まり、猛烈號を襲おうとしたファンネル・ビットに接近するとバルカンで破壊していく。

接近しようとするゼピュロスに対処しようとネオ・ジオングのウェポンコンテナが展開され、その中に備えられているビームライフルとロケットランチャーが連続で発射されるが、赤い残像だけを残して瞬間移動のような機動で回避していく。

だが、それらの弾幕はたとえゼピュロスでも接近することが難しく、その間にもタイムリミットが迫る。

そんな中でゼピュロスはビームサーベルを抜き、それをネオ・ジオングに向けて投擲する。

サーベルは展開されていないものの、ゼピュロスに装備されているそれはアイドリングリミッター機能が搭載されているタイプ。

インパクト時にのみ刀身が展開されるそれの接近を危惧したネオ・ジオングがビームライフルでそれを破壊する。

破壊されたビームサーベルから拡散する粒子は強い光となってネオ・ジオングの視界をつぶす。

「娘に…何しやがるんだ、馬鹿野郎!!」

ユウイチの怒りに満ちた声が響くとともにEXAMの力が強まり、ゼピュロスの右拳が赤く光る。

フルスピードで突っ込んだゼピュロスの拳はサイコシャードを粉々に、発振器ともども破壊してしまった。

だが、それと同時にゼピュロス達は回線を切断されたことで、姿を消してしまった。

 

「はあ、はあ、はあ…」

「ユウイチ…」

シミュレーターから出たマチオが最初に見たのはユウイチの後姿だった。

本当は最後まで戦いたかっただろう、最後まで娘を守りたかっただろう。

サイコシャードを破壊したことで、活路を生み出すことまではできただろうが、あくまでもそれだけ。

そこから勝利へ、地球へ還る道を作ることができるのはミサたちしかいない。

「大丈夫、帰ってくるさ…みんな…」

「ええ、もちろんですよ。彼らは…最高のチームなんですから」

「当然です!それに、先輩もいるんスよ」

「早く帰ってこないと、次の納期までの仕事が間に合わねえんだから…」

不安はある、だがそれ以上に帰ってきてくれると信じているから。

 

「お待たせしました、皆さま。反撃の時間でございます」

サイコシャードが破壊され、出撃したドロシーのガンペリーが中心部に突入する。

そこから次々とウェポンコンテナがばらまかれていく。

「そうか…これが、これこそがガンプラバトル。そして、ついに見つけた…!最強のガンプラを!!これで、私のガンプラは完成する…!!」

今まで無人となっていたコア部分が強い光を発し、そこに現れたのは浅黒い装甲となった、勇太にとっては一番見慣れているガンプラ。

「これは…」

「そうだ、お前だ。お前という最強のガンプラを取り込み、私のガンプラは最強となる!!」

ゲーティアが搭載され、同時にネオ・ジオングが覚醒を発動する。

破壊されていたファンネル・ビットも大型アームも再生され、続けてサイコシャードもよみがえらせようとする。

だが、サイコシャードについてはなぜか再生しない。

「何…?どうなっている?」

「悪いが、もうそのサイコシャードは使えねえぜ」

 

「お疲れ様、インフォちゃん」

「いえ、私もあの時のお返しをしたかったので」

ハイムロボティクスの技術者によって事後のメンテナンスを受けるインフォが思い出すのはあの時のペチャパイ…ではなく、暴走事件。

その時のウイルスと今回ステーションに入れられたウイルスの制作者が同じであることが幸いだった。

どんなに強力なウイルスを作ろうとしても、作る人間が同じであるならば、似た傾向や癖のようなものがある。

そして、ウイルス除去を行った際に同時に収集したデータを元に、即興のウイルス対策ソフトを作った。

たとえウイルスそのものを破壊することができなかったとしても、勇太たちを援護するため。

そのソフトによってネオ・ジオングの再生機能の一部に障害が現れ、結果としてサイコシャードを使用不能に追い込んだ。

「お返しなぁ…ロボットがそんなことを言うとは思わなかったが…」

 

「サイコシャードがなくとも、最強のガンプラを手にした私の敵ではない」

サイコシャード再生をあきらめたネオ・ジオングが覚醒エネルギーを利用した大出力のビームを次々と発射しつつ、両手にはコピーした麒麟2丁が出現し、勇太たちに向けて発射する。

激しい弾幕の中を飛びつつ、ゼピュロスが残したビームライフルを放ちながらコンテナに接近するゲーティア。

接近したゲーティアに反応するかのようにコンテナの外装が外れ、その中に収納されている合体状態の麒麟と左文字を手にする。

「仕切り直しだ…!!」




機体名:ガンダム・ゼピュロス
形式番号:RX-ZP
使用プレイヤー:井川雄一
使用パーツ
射撃武器:ビームライフル(フリーダム)
格闘武器:ビームサーベル(νガンダム)
頭部:ブルーディスティニー3号機
胴体:デュエル
バックパック:フルバーニアン
腕:ビルドストライク
足:デュエルアサルトシュラウド
盾:シールド(フルバーニアン)

ミサの父親であるユウイチが所有するガンプラ。
機動力中心の設計となっていて、フルバーニアンのユニバーサルブースターポッドの恩恵によって劇中のフルバーニアンのようなバッタめいた機動を見せることも可能。
また、ブルーディスティニー3号機の頭部を装備していることからEXAMシステムも使用可能。
機体そのものが作られたのは20年近く前であり、それゆえか塗料が剝がれているなどによる性能は当時と比較すると低下している。
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